今の仕事を辞めて、別企業で派遣社員として働きたいと感じる人もいるでしょう。
ただ、適切な手続きを踏まないと、転職がスムーズにいかなくなります。
そこで今回は、派遣を辞める人の主な理由を紹介するとともに、派遣をやめるときに大事なこと・伝えるタイミングなどについて紹介します。
仕事の辞め方が分からない人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
派遣を辞める人の理由を見てみよう

派遣社員として長く働き続ける人もいれば、諸事情で働くことを辞める人もいます。
はじめに、派遣を辞める人の理由を見てみましょう。
人間関係が上手くいかない
職場内の人間関係が上手くいかずに、派遣として働くことを辞めるケースは多いといえます。
例えば「無視される」、「上司・同僚に罵倒(パワハラを)される」などです。
職場によっては全従業員から無視をされるケースもあります。
また、人とのコミュニケーションが苦手な人も人間関係で悩みやすいといえます。
もし、人間関係が上手くいっていない人はコミュニケーションスキルを磨くための教室に通うと良いでしょう。
また、コミュニケーションスキルについて記載してある本を読んでみることもおすすめします。
正社員登用してもらえなかった
正社員登用してもらえないことが分かり、派遣社員を辞める人もいます。
数カ月・数年間、派遣社員として働いた後に正社員登用される人がいる一方で、正社員登用されない人がいるのも事実です。
勤務先企業によっては派遣社員のモチベーションを上げるために「正社員登用のチャンスがあることを匂わせる発言をするケース」もあります。
派遣会社や勤務先企業の担当者から持ち上げられたのに結局正社員として働けなかった場合、モチベーションが下がり退職につながってしまうのです。
幅広く業務をこなしたいと思った
派遣契約では、原則契約時に伝えた業務しか派遣社員に任せることはできません。
しかし、派遣社員のなかには派遣契約で結ばれた業務以外の仕事にも取り組みたいという気持ちを持つ人もいます。
その場合、派遣社員として働くことを辞めて別の会社へ転職するケースもあります。
ただ、転職先によっては前職よりも業務範囲が狭くなる場合もあるので、一概に転職すれば良いというわけではないようです。
今の仕事が向いていないと思った
今の業務が向いていないと感じ、退職する人もいます。
経理職で働いている人であれば「数字を扱う細かい仕事が辛いから接客業の仕事をしたい」。
営業職で働いている人であれば「顧客と直接関わる仕事は気を遣うから事務職の仕事をしたい」といった形です。
今の職場で働き出して「イメージしていた業務と違った」、「仕方がないから今の仕事を始めた」人に多いかもしれません。
給料が安い
給料が安いと感じて仕事を辞める人もいます。
「給料のわりに業務量が多い・内容が難しい」、「他求人の時給を見て、自身の給料が安いと感じた」、「同じ部署内の派遣スタッフより給料が安いことを知った」などの理由があるようです。
その場合、派遣会社の担当者に相談すると、給料を上げてもらえるケースもあるので実践してみてください。
辞めることを伝えるタイミング(日にち)は

派遣を辞めるにしても退職を伝えるタイミングは重要です。
なぜなら、伝えるタイミングが外れると派遣会社だけではなく勤務先企業にも迷惑をかけるからです。
この章では、どんなタイミングで退職を伝えるのが最適かを紹介します。
退職するときはどんなタイミングで伝えれば良い?
退職することを伝えるタイミングを見極めるために、これから紹介する3つの内容を意識してみてください。
1.繁忙期ではないか?
繁忙期とは業務が忙しくなる時期のことです。
主に「決算月、年末」などが挙げられます。
この時期は、社内業務に追われる人が増えやすいため避けた方が良いでしょう。
逆に、閑散期であれば社内業務が落ち着くことも多いので、退職したいことを伝えるタイミングとしては最適です。
2.月末・週末ではないか?
毎月末・毎週末(土日休みの会社の場合)も業務が集中しやすいです。
もし、退職することを伝えるのであれば、月中の水曜・木曜あたりがベストでしょう。
ただし、会社の長期休業期間(正月・ゴールデンウィーク・お盆など)が終わった直後の週は、社内業務に追われることが多いので気を付けましょう。
3.退社時間ギリギリではないか?
退社時間ギリギリに伝えるのも控えた方がよいでしょう。
従業員によっては退社後に予定が入っており、あなたと話す時間をとれない可能性があるからです。
また、退職したい旨を伝えられた側が「なぜ、退社時間ギリギリでそんな大事な話を伝えてくるのか?」と、不快な気持ちを持つ場合もあります。
出勤開始直後、昼休み終了後などに退職する旨を伝えると良いでしょう。
退職を伝えるときに守った方が良いルール

退職を伝えるときには、最低限のルール(マナー)として覚えておきたいこともあります。
主に下記3つが挙げられます。
1.退職をしたいときは、派遣会社の担当者へ伝える
退職する旨を伝える際は派遣会社の担当者へ伝えましょう。
派遣会社の担当者ではなく、勤務先の上司へ退職する旨を伝える派遣社員もいますが控えた方が良いです。
なぜなら、派遣社員の雇用に関することは派遣会社で対応することになっているからです。
また、勤務先の上司へ退職する旨を伝えたことで、派遣会社と勤務企業の間でいざこざが起こるケースもあります。
それを防ぐ意味でも、退職したいときは派遣会社の担当者に伝えましょう。
なお、伝えるときには「仕事を辞めたい理由」を明確に話すことを忘れないでください。
理由は、派遣会社があなたの退職理由に納得しないと、退職を認めてもらえないケースもあるからです。
2.最低でも退職予定日の1カ月以上前に伝える
暗黙の了解として、退職予定日の1カ月以上前には退職したい旨を伝えましょう。
勤務先企業内で、あなたが辞めた後のシフトを組んだり、代わりの人材を探したりする必要があるためです。
また、派遣会社内でも社会保険関係の手続きを行う必要があります。
周囲に迷惑をかけないようにすることが大切です。
3.退職決定した旨を部署内の人全員に伝える必要はない
退職決定したことを部署内の人全員に伝える必要はありません。
退職決定した旨を伝えるときは、直属の上司だけで大丈夫です。
大勢の人に退職する旨を伝えると、情報が錯綜して社内がパニックになり業務に支障が出ることもあります。
不必要に退職する旨を伝えるのは控えてください。
派遣を辞める前に有給は使えるの?

読者のなかには「派遣社員は有給を使えないのでは?」と思っている人もいるでしょう。
この章では、退職前の有給使用について紹介します。
有給は原則取得できる
退職前に有給取得は可能です。
仮に5月31日に退職する人の有給が3日間残っている場合であれば、5月28日を最終出勤日として5月29日~31日まで有給を取得することもできるということです。
ただし、勤務先企業によっては退職前の有給取得を禁じられるケースがあります。
その場合は、派遣会社の担当者へ相談してください。
なかには、勤務先企業の担当者に気を遣って有給を取得しない人もいますが、有給の取得は労働者に認められている権利なので遠慮する必要はありません。
ただし、最低限の仕事(例.業務の引継ぎなど)を片付けたうえで有給取得しましょう。
派遣を辞める日程が決まったら関係者へメールで伝えよう

辞める日程が決まったら、関係者へメールで伝えましょう。
メールを送信する際はいくつかのポイントがあるので紹介します。
関わりがある社内メンバーへ送る
関わりがある社内メンバーに送付しましょう。
事前に伝えることで、最終出社日にいろいろな人があなたへ仕事を振る確率も下がります。
また、メールを送るときには「最終出社日には予定があるため、用事がある方は〇月〇日までにご依頼ください」などの一言があると親切かもしれません。
取引先の方にもメールを送る
取引先の方にもメールを送りましょう。
メールを送るときには「新しい担当者・電話番号・メールアドレス」、「最終出社日」は伝えてください。
また、挨拶メールを送る数週間前に担当者へ最終出社日を伝えておくのも親切です。
最終出社日に行うことは?
最終出社日に行わなければならないことを確認するのも大事です。
作業漏れがあると、退職後に派遣会社の担当者から電話がかかって来ることもあります。
最後の章では、最終出社日にやるべきことを見てみましょう。
会社の備品を返却する
会社の備品は最終出社日に返却するケースが多いです。
「ノートパソコン、社内の携帯電話、ロッカーの鍵」などがあります。
とくに、ノートパソコン・社内の携帯電話の取り扱いには気を付けてください。
なぜなら、会社の個人情報が入っているからです。
紛失した場合、弁償だけでなく情報漏洩による損害賠償請求をされるかもしれません。
なかには、最終出社日が近付くにつれて気持ちが浮つく人もいます。
とくに、飲みの席に行くときは「会社・駅のコインロッカー・自宅に備品を保管して」、備品紛失のリスクを抑えましょう。
引継ぎ漏れがないか確認する
最終出社日に引継ぎ漏れがないか確認するのも大事です。
場合によっては、退職後に電話がかかってくるケースもあるため気を付けましょう。
引継ぎ方が雑だと最終出社日以降に思わぬトラブルに巻き込まれるケースがあります。
引継ぎの際には、下記内容を意識してみてください。
1.引継ぐ業務の資料をつくる
引継ぎで使用する資料を作っておきましょう。
資料には業務内容の一覧だけではなく、各業務内容の行い方(入出金業務であれば、どのインターネットバンキング・銀行口座を利用するかなど)、各業務内容を行う曜日・時間帯も記入すると親切です。
資料も、各業務内容によってワード・エクセル・パワーポイント・PDFを使い分けると見やすい資料ができるでしょう。
なお、資料を作成するときは色文字などを使い、分かりやすく仕上げることも大事です。
「引き継いだ作業の内容を全て理解してもらえる」ことを目標に資料作成すると良いでしょう。
2.後任者と一緒に業務を行う
資料だけでは業務内容のイメージが湧きづらい場合もあります。
そこで、後任者と一緒に作業をすることも忘れないでください。
なお、後任者と一緒に作業をするときは前任者が作業手順を見せた後に、後任者に作業をさせて合っているか確認しましょう。
後任者が作業できたことを確認したら次のステップへ進むと効率的に引継ぎが進むはずです。
さらに、後任者と一緒に作業を行うことで資料に記載してある内容に不備がないか確認もできます。
資料の内容を見直す意味でも、1つ1つ確認しながら業務を行いましょう。
3.業務の不明点がないか聞く
前任者は業務引継ぎ時において、後任者へ不明点がないか聞くのも大事です。
後任者によっては、前任者が確かめないと不明点をいってくれないケースがあるためです。
前任者が後任者の感じている業務の不明点を把握することなく引継ぎを進めると、退職後に後任者から電話がかかってくる場合もあります。
退職をしたのに、業務内容について質問されるのは嫌ですよね?
それを防ぐためにも、業務の不明点がないかこまめに確認することをおすすめします。
4.1日で引継ぎを完了させようとしない
1日で引継ぎを完了させようとするのは危険です。
引継ぎ内容が少なければ可能かもしれませんが、業務量が膨大な場合だと後任者が1日で全ての業務内容を理解するのは難しいです。
そのため数日間に分けて引継ぎを行うことをおすすめします。
なお、引継ぎを行うときは各業務内容についての説明・実践を行った後に、後任者が一通りの作業を1人で全てできるか確認すると良いでしょう。
後任者の作業内容を確認するときは「どの業務内容でつまずきやすいか?」を確認したり、「どうすれば後任者が苦手な作業を克服できるか」を伝えると、後任者も業務内容を理解しやすくなるはずです。
お菓子を渡す
義務ではありませんが、お世話になった証としてお菓子(食べ物)を渡すのも大事です。
お菓子は、食べればなくなるものなので職場に迷惑をかけることもほとんどありません。
退職のときに後を濁さないためにも、お菓子を渡すのは大事です。
なお、お菓子を購入するときは下記のことを意識すると良いでしょう。
1.複数種類のお菓子を渡す
人によって好み・口にできるものは違うため、複数種類のお菓子を購入しましょう。
例えば、クッキーの詰め合わせを送ったとしましょう。
バターが苦手な人や小麦アレルギーの人はクッキーを食べることができないため、一部の従業員に不快な気持ちを与えることもあります。
それを避けるためにも「クッキー、饅頭、せんべい、おかき」など、いろいろな種類のお菓子を購入した方が良いでしょう。
1種類のお菓子を大量に買うのではなく、複数種類のお菓子を少量に分けて購入することを覚えておきましょう。
2.日持ちが長いお菓子を選ぶ
従業員によっては、出張などで数日間・数週間職場へ戻らないケースもあります。
そのような人が職場で働いていることを考慮して、日持ちが長いお菓子を選ぶのも重要です。
お菓子によっては、消費(賞味)期限が1カ月以上に設定されているものもあります。
どのお菓子が日持ちするか店員へ訪ねると、おすすめの商品を紹介してくれるでしょう。
3.小分けしてあるお菓子を選ぶ
1つ1つ包装紙に包んであるお菓子を選ぶのも大事です。
例えば、「1つの袋に大量のお菓子が入っている」ものだと封を開けた瞬間に空気が入るため、お菓子が湿気たり風味が落ちたりする恐れがあります。
どうせなら、お菓子をおいしく食べていただきたいですよね?
その気遣いを忘れない意味でも覚えておきましょう。
4.のし紙を付ける
のし紙とは、熨斗と水引と呼ばれる柄が印刷されている紙のことです。
のし紙を商品に付けることで、特別感(高級感)を演出できます。
退職時に職場へ贈る商品にのし紙を付ける場合は、水引の上部に「お礼」と書き、下部に「名前(苗字)」を書くのが一般的です。
百貨店やスーパーによっては、のし紙の内容を書いてもらえるケースもあります(店内で購入した商品に限る)。
退職するときに渡す商品だと伝えると、それに合った内容をのし紙に記入してくれますので利用してみてください。
新しい派遣先で充実した仕事生活を手に入れよう

読者のなかには、退職が決まってウキウキしている人もいるでしょう。
しかし、退職時の手続きを的確に行わないとトラブルに巻き込まれる(例.前の職場から電話がかかってくる)ケースもあり、新しい職場でのモチベーションが下がる危険性もあります。
転職先で快適に働くためにも、退職時の手続きは丁寧に行うことをおすすめします。
- 参考書籍:人材派遣のことならこの1冊(著:岡田 良則)