派遣社員は正社員・契約社員・アルバイト・パートとどう違う?

「派遣社員」と聞いてどのようなイメージをお持ちですか? 正社員、契約社員、アルバイト、パートなど他の働き方や雇用形態となにが違うのでしょうか。ここでは派遣社員の雇用形態と他の形態のなにが違うのかを説明します。また、どんな志向の方が派遣社員に合っているかのメリットやデメリットをお伝えします。 

派遣社員の雇用形態とは? 

派遣社員は派遣会社と雇用契約を結ぶという点が、正社員、契約社員、アルバイト、パートなどと大きく違う点です。後者のこれらの雇用形態では雇用主と直接雇用契約を結びます。 

派遣の場合は、派遣元から紹介された企業(派遣先)でお仕事をしますが、雇用契約は派遣会社と結びます。派遣先企業と派遣労働者との間に指揮命令関係があります。派遣先企業が派遣労働者に対して仕事の指示や指導等を直接行うことができます。 

派遣社員の時給の相場はどのくらい? 

派遣の給与は時給で計算されます。派遣社員の雇用形態は短期間の契約更新のため「いつ契約終了になるか分からない」というリスクがあります。また、正社員に比べてボーナスがないことが多いため、時給は高めに設定されています。 

厚生労働省による23年度の調査では、地域差がありますが派遣の時給の全国平均は1,500円程度というデータがあります。下記の通り職種別、スキル別で時給が変わってくるのが一般的ですが、派遣先企業の提示によって微妙に変わってきます。高時給と言われる派遣のお仕事はニーズの高い職種、特別なスキルを要するものですが高いだけあってより即戦力が求められます。 

・OA機器操作:1,200~1,500円 

・電話での顧客サポート:1,100~1,300円 

・受付・案内などの業務:1,000~1,300円 

・秘書:1,400~1,500円 

・クリエイティブ系の広告デザイン、編集:1,400~1,500円 

・通訳・翻訳・速記:1,700~1,800円 

・金融商品の営業は1,700~1,900円 

・専門性の高いソフトウェア開発:2,000円以上から 

派遣社員と契約社員で迷う人が多い?

 

派遣社員と契約社員の違いは派遣会社と契約を結ぶか雇用主と結ぶかですが、インターネットの求人サイトで”派遣”と検索すると似たような条件で”契約社員”も出てくることもあり、迷う方も多いようです。法律の面での違いを簡潔にまとめました。 

派遣社員の契約内容の特徴 

派遣社員では法律上の雇い主はあくまでも人材派遣会社のため事故やトラブルの対処は人材派遣会社が行います。(実際は指揮命令をしている派遣先企業が責任を追う事項があり労働派遣法にて定められています。) 

契約社員と違って、通勤手当が支給されずやや違ったルールはありますが、健康保険、厚生年金、雇用保険、有給休暇などは人材派遣会社によって同様に確保されます。 

契約社員の契約内容の特徴 

契約社員で働く場合雇用契約の締結は雇用先と結び、業務内容の指揮は現場の上司からもらいます。 

ほぼ正社員と同じ内容の雇用契約を企業と直接結びます。よく見られる契約社員の雇用契約の年数は2〜3年です。契約期間切れが近づくと自動更新とする契約もありますが、どちらかが契約の終了を希望した場合、契約満了にすることが可能です。 

それでは上記の法律面での大きな違いを元に、派遣社員と契約社員それぞれのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。次でご説明します。 

派遣社員はどういう人に合っている? 

下記の内容に魅力を感じる方は派遣社員が合っていると言えるでしょう。 

今までのキャリアを活かして働ける 

派遣のお仕事は、ご紹介時に詳しいお仕事内容や必要なスキル・経験・専門性を確認できるので、今まで経験した業務の専門性を高めたり、持っているスキルを活かせたりする仕事を選ぶことができます。また、詳しい業務内容や条件を聞いてから選ぶことができるので、より希望に合った企業・職種で働くことができます。 

人気企業や有名企業で働け 

派遣のお仕事では、正社員として採用されるには狭き門を通過しなければならない大手企業や人気企業で働くことができます。確率としてはまれなケースではありますが、実力が認められればそのような会社で契約社員としてステップアップする道もあるでしょう。 

派遣会社のフォローがある 

派遣社員として働くことは、派遣会社の心強い担当者がいるということです。何か派遣先企業でトラブルがあっても独りではなく担当者がケアしてくれます。 

また、あなたのお仕事における強みや、今後のキャリアプランを知ってもらうことでステップアップのアドバイスを受けられるでしょう。また相談や交渉ごとにも応じてくれます。例えば、時給を上げてほしいなどの相談、勤務時間を1時間短くしてほしい、もう少し業務量を減らしてほしいなどの要望を派遣会社にすれば、担当者が派遣先の担当者と交渉してくれるでしょう。 

自分のスタイルに合わせて働け 

勤務期間、時間、場所など、自分の希望条件を重視できます。例えば趣味を優先したい、スクールに通いたいなどのライフスタイルがあれば自由な時間が確保できるような残業のないお仕事を選ぶこともできますし、短時間で扶養枠内でのお仕事を選ぶこともできます。正社員や契約社員のような直接雇用ではなかなか実現できない働き方のスタイルです。  

自分にあった業界や職業を探せる 

若手の方は特に自分にどんな職業が合っているかなどがはっきり定まらないこともあるでしょう。派遣なら短期契約で働くことが可能ですので、いろいろな企業や職種での経験できます。 

契約社員はどういう人に合っている? 

契約社員には下記のようなメリットがあります。下記の項目に当てはまる方は契約社員を目指されても良いのではないでしょうか。 

・1〜2年単位で落ち着いて働きたい方 

・働いている会社でより責任のある仕事をしたい、貢献したいという気持ちの強い方 

・正社員同様の健康保険、厚生年金、雇用保険などの福利厚生に魅力を感じる方 

※正社員同様と言いましたが、退職金やボーナスは契約社員の場合は一般的にありません。(企業によってインセンティブ支給の可能性はあります) 

派遣社員で働くことのリスク 

派遣社員は雇用が不安定で、いつ契約終了になるか分からないリスクもあります。 

「派遣切り」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、これはどういう状態なのでしょうか。これは契約期間が○ヶ月と約束していたところを期間内で打ち切りにされることを指します。例えば、3ヶ月の契約期間だったら2ヶ月目に「辞めてください」と通告されるなどです。また、長年貢献してきたにも関わらず理不尽な理由やきちんとした理由の説明なしに契約が切られることもあります。 

しかし、これは一方的に企業だけが悪いのではありません。上記の派遣社員の給与の部分で触れたように、派遣社員の時給が高いのは、初めから企業が即戦力を期待しているからです。入社後すぐに貢献してくれると思われているということも頭に入れておきましょう。 

なかなか新しい仕事や環境に慣れることができず、最初の更新で断られてしまった派遣社員は、その企業にとって期待外れであったということです。 

しかし現在、法改正がかなり進んでおり、止む終えない理由で無い限りは労働者保護の観点でむやみに契約を打ち切ることは厳しくなってきています。2018年から派遣社員の無期雇用化が採用されたため、今から派遣社員として働く方は特別に問題を起こさない限りは「派遣切り」にあわないでしょう。 

まとめ 

派遣社員とその他の雇用形態の違いがお分かりいただけましたか? ただやみくもに派遣社員として働くことを選ぶのではなく、自身がどういうライフスタイルを持ちたいのか、どのようなキャリアプランを築きたいのかを考えた上で選択できるといいですね!

参考サイト: