年金って何?基礎から年金受け取りまでを解説

20歳になったら必ず納入することになる「年金」。

これは、老後のための公的年金制度であり、国民の義務でもあります。

しかし、「保険料の納金が辛い」「本当に年金って必要?」「年金を受け取るために何か手続きがある?」など、年金についてよくわからず未納のままにする人や自分が老後にどのくらい支給されるのかを把握していない人が多くいます。

そこで、年金についてわかっていない人や年金について見直したい人のために、年金に関する知識や仕組みなどをわかりやすく解説します。

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年金制度への加入は、条件を満たせば可能です。そのため、派遣社員でも条件を満たした働き方をすれば、老後に備えることができます。

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年金とは?


最初に説明したように年金とは、老後のための公的年金制度のことを言い、各種類によって加入条件などが変わり、納付額もそれぞれ異なります。

年金受給開始の年齢は基本的に65歳からですが、繰上げや繰下げ受給の希望によって変わります。

年金の中でも公的年金の「国民年金」「厚生年金」は社会に出たら深く関わるようになる年金……ほかにも私的年金といった個人年金保険などがあります。

いずれも老後の手助けとなる金銭を受けるために必要であり、国民に深く関わりのある制度です。

そんな年金についてさらに詳しく説明をしていきましょう。

公的年金

まず、必ず加入する必要がある年金制度が含まれる公的年金。

この制度には「国民年金(基礎年金)」「厚生年金」という二種類が含まれ、老後に受給するための重要なものとなります。

ほかにも公的年金には年金を受け取る「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」なども含まれます。

では、国民年金、厚生年金について少し掘り下げていきます。

すべての人が加入する「国民年金」

この年金制度は、学生でもフリーターでも日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が対象となります。

つまり、20歳になったら必ず加入することになる年金です。

保険料の納付額は月額16,540円(令和2年4月~令和3年3月)であり、収入に関係なくほとんどの場合が一律となっています。

学生で収入がない人や仕事の状況によっては納付するのが大変かもしれませんが、国民の義務であるため、必ず支払いをしましょう。

これだけを聞くと、失業したばかりで支払えないなどの理由がある人にとっては厳しいかもしれませんが、どうしても支払えないという場合は「免除制度」「納付猶予制度」などがあるのでその制度を利用する手続きを行ってください。

会社員が加入する「厚生年金」

こちらは国民年金とは別で、厚生年金制度が適用されている会社で働いている人が対象となります。

仕事をしていれば適用されると思うかもしれませんが、非正規雇用(アルバイト・パートなど)の場合は「1カ月の実働日数・1週間の実働時間が一般社員の4分の3以上」でなければ加入できません。

しかし、2022年10月以降は、この条件を満たしていない場合でも、以下の条件を満たしていれば加入することができます。

  • 学生ではない
  • 月給が8.8万円以上
  • 1週間の実働時間が20時間以上
  • 雇用期間が2か月以上見込まれている
  • 務めている会社の従業員が常時101人以上いる(短時間労働者の場合は満たさずともOK)

また、納付額は収入によって変わります。

その支払いは給料で国民年金とともに給与から控除されるため、支払い忘れという事態に陥ることはほぼないでしょう。

公務員や教員が対象の「共済年金」

国家・地方公務員、私立学校教員などの常時勤務する人が加入する共済制度となります。

■共済(組合)制度
共済名対象保険者
国家公務員共済組合常勤の国家公務員など各省庁の共済組合
地方公務員等共済組合常勤の地方公務員など各地方公共団体の共済組合
私立学校教職員共済組合私立学校勤務の教職員日本私立学校振興・共済事業団

ですが、この制度は平成27年9月30日以前に受給権を得た人が対象です。

実は、共済年金は平成27年10月から廃止になり、厚生年金に統一されました。

そのため、平成27年10月1日以降に受給権を得た人は「厚生年金」として受け取ることになります。

公的年金は基本的に「二階建て」

年金について調べた、話を聞いたことがある人であれば、聞いたことがあるかもしれませんね。

この二階建てという言い方は、公的年金の構造を建物にたとえた言い方です。

必ず払うべき年金である「国民年金」を建物の一階部分、条件に合った人が加入して上乗せできる「厚生年金」を二階部分としています。

この一階・二階部分にあたる年金が対象となる人が多いのでよく聞く言葉です。

余談ではありますが、実は「三階建て」なんて言い方をするときもあります。

これは、三階部分にあたる年金が「私的年金」と言い、公的年金とは違ってこれは民間の保険会社や私的に準備をする保険であり、公的年金に上乗せする形の年金となります。

結果的にもらえる年金はいくら?

今まで年金の種類や仕組みについて説明をしてきました。

ここで気になるのが「自分はいったいいくらもらえる?」ということではないでしょうか。

先にも説明をしたように、国民年金は必ず加入しますが、厚生年金は条件を満たした人が対象となるもの。

つまり、この厚生年金がどのくらいかによって一人一人の年金が変わってきます。

雇用形態でも変わってきますので、雇用形態ごとに比較をしたこちらの「【2000万円不足】正社員とフリーター、年金はいくら貰えるかを徹底検証!」も参考にしてください。

ですが、目安で算出しているものではなく、自分の年金について知りたいのであれば年金機構の「ねんきんネット」で試算してみてください。

【参考サイト】
年金機構
ねんきんネット

国民年金加入の手続き


20歳になったら必ず加入する国民年金ですが、自動的に加入されるわけではありません。


厚生年金に加入している人や厚生年金加入している配偶者に扶養されている人でない限りは、自分で手続きを行わなければなりません。

以下に手順を記載しますので、手続きが終わっていない人やこれから来る人は参考にしてください。

郵送で届いた書類を役所や年金事務所へ提出

20歳になってから概ね2週間以内に「基礎年金番号通知書」、「国民年金加入のお知らせ」、「国民年金保険料納付書」、「国民年金の加入と保険料のご案内」、保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書、返信用封筒が送付されます。

書類が来たら、必要項目へ記入をし、住んでいる地域の市役所や区役所、町村役場、近くの年金事務所などへ提出をしましょう。

この手続きを行う時点で支払いが厳しいという場合は、保険料の支払いに猶予が与えられる「学生納付特例制度(学生対象)」「保険料免除制度・納付猶予制度(社会人対象)」の手続きも併せて済ませましょう。

年金を払わないでいるとどうなる?


これまでの話で私たちが支払うべき年金についてわかってきたかと思います。

そこで、今一度年金を払わないでいるとどうなるかを説明していこうと思います。

国民年金に関しては義務である

厚生年金が適用される人は、国民年金も同時に給与から控除されるので問題なく支払われているかと思います。

一方、学生やフリーターの人は自分で支払わなければなりません。

ですが、年金を支払うのが厳しいということで未納のまま放置する人がいるのも事実です。

国民年金に関しては納金するのが義務なので、必ず済ませておきましょう。

■将来年金が支給されない可能性が…

当然といえば当然ではありますが、義務であるものを納金しなければ、受け取る権利も失われます。

年金を受け取るには条件があり、それは「支払っている期間が保険料の納付期間・免除期間(受給資格期間)の合計が10年以上ある」というものです。

慌てて支払ってもそれがこの期間を満たしていないものであれば受け取ることはできません。

ですが、海外に居住していたなどの理由で払えなかった場合には「合算対象期間」とみなされ、受給資格期間に加算できます。

それによって受給できるようになる可能性もありますので、一度年金機構で確認をしてみましょう。

また、現在はマイナンバー制度も取り入れているので、納金や年金受給予測などの管理もされるようになっていくので、今後は状況の確認や相談なども今まで以上にスムーズにいくかと思われます。

■納金のための督促が来る

一つ目でも述べましたが、この納金は義務であるため必ず行わなければなりません。

ですが、それでも納金をしない人には督促状が来てしまいます。

その督促状も無視していると、滞納金が発生し、最悪の場合は財産の差し押さえが執行されます。

こうしてみると、滞納することは何一ついいことはありません。

年金は老後を支えてくれる大切な制度なので、しっかりと決まりごとを守りましょう。

もし、支払いが厳しいという人は免除や猶予などといった制度もあり、どうしても支払えない人はこちらを活用することをおすすめします。

納金できない!そんな時の「免除制度」「納付猶予制度」

学生やフリーターであればお金がない、という事態にも陥るかもしれません。

そんな、どうしても払えない人のための制度があります。

条件が合えば利用できますので、国民年金機構に相談してみましょう

年金定期便とは

国民年金などに加入した人には毎年、国民年金機構から誕生月にはがきが送られてくるかと思います。

そこには、対象の人が将来年金をどれくらい受け取れるかの金額が書いてあります。

この金額を確認することで、将来の計画が立てやすくなりますし、不明な点があれば早めに相談に行くこともできます。

また、記入漏れがあった場合もここで確認ができます。

このように、役立つ情報が詰まっているはがきなので、届いた際にはご確認ください。

さらに詳しく知りたい人は年金機構公式サイトの「年金定期便」をご覧ください。

はがきだけでなくWEBからも確認可能

年金定期便は誕生日にはがきが送られると言いましたが、もし、今すぐ確認をしたい!と思った場合、人によってははがきをどこへしまったか忘れている人もいるのではないでしょうか。

ですが安心してください、「ねんきんネット」というサイトから自分の年金について確認することができるのです。

「今、未納分ってあったかな?」「今のままだと将来どのくらいもらえるのかな?」「年金定期便を印刷して手元に残しておきたいな」などといった場合にも活用できます。

ですが、利用するにはログインをする必要があるので、初めてログインする人は新規登録から始めましょう。

65歳から受け取れる「老齢年金」


国民年金や厚生年金などを収めた人に対して65歳から支給される「老齢年金」。

この年金は大きく分けて「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」があります。

ほかにも障害年金や遺族年金などといったものもありますが、基本となる大きく分けた2つについて説明をしていきます。

老齢基礎年金

20歳~60歳までの全40年間で保険料を納めた人を対象に65歳から満額支給する年金のことを言います。

保険料を全額免除された期間がある場合は平成21年3月分までは3分の1、それ以降の期間分は半額となります。

もちろん、保険料未納がある期間は対象外となっています。

老齢厚生年金

こちらは厚生年金を支払っていた人に対し、老齢基礎年金に上乗せして支給される年金のことです。

また、この老齢厚生年金も老齢基礎年金と同じく65歳から受け取れるのですが、これとは別に60歳以上65歳未満の間に受け取れる年金があります。

それは「特別支給の老齢厚生年金」です。

この年金は以下の条件を満たしていれば受けられる年金になります。

  • 老齢基礎年金を受けるための資格期間を満たしている
  • 厚生年金に加入していた期間が1年以上ある

60歳~65歳で受給を予定している人

年金を待つ間のこの期間を「待機期間」と言います。

この期間でただ年金が支給されるのを待つのではなく、年金記録の見直しをすることがおすすめです。

年金記録に相違や漏れはないか、住所などの変更手続きは済ませたかなどを事前に見ておくことでよりスムーズに正確に、年金支給の手続きができるようになります。

年金を受けるための手続き


定年退職をし、いざ年金を受け取ろうと思っても待っているだけでは年金は支給されません。

実は、この年金を受け取るためには年金機構から届けられる書類を提出する必要があります。

ここでは、その手続きについて説明をします。

書類は郵送で届く

まず、年金を受け取れる年齢になる3カ月前に年金機構から事前送付用の「年金請求書」や年金請求の手続きに関する案内が郵送で送られます。

年金請求書には「基礎年金番号」「氏名」「生年月日」「性別」「住所」「年金加入記録」が印字されていますので確認をしておきましょう。

ですが、忘れないうちに手続きをしようと届いてすぐに書類を提出しても受け付けてもらえません。

万が一、書類をなくしたとしても年金事務所や年金相談センターの窓口でももらえるのでご安心ください。

書類提出は受給対象年齢になってから

書類は3カ月まえから届くのですが、その書類を提出するのは受給対象の年齢になる年の誕生日前日からとなります。

書類が届いてから提出まで少し期間が空くので、書類をなくさないよう気を付けて保管をしましょう。

手続きは近くの年金事務所か年金相談センターへ

重要な書類となるので、請求書などの手続きは近くの年金事務所、または年金相談センターに行きましょう。

どこに事務所があるのか知りたい人はこちらの「事務所の所在地」から確認ができます。

では、手続きの際に必要となる持ち物を挙げていきます。

状況によって必要であったり必要でなかったりするので、何が当てはまるのかご確認ください。

すべての人が対象の持ち物

本人証明のための書類戸籍抄本や戸籍の記載事項証明、住民票などの生年月日が記載された書類
※単身者でマイナンバーの登録がある場合は不要
本人名義の受取先となる金融機関の通帳などカナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳またはキャッシュカード(コピー可)等
印鑑認印OK

請求者の厚生年金の加入期間が20年以上で配偶者またはお子様(18歳未満)がいる人が対象

戸籍謄本(記載事項証明書)配偶者やお子様の氏名や生年月日の確認、請求者との続柄の確認で使用
・世帯全員の住民票写し生計維持関係の確認で使用
※マイナンバーの記入をすることで省略可
・配偶者の収入確認ができる書類(所得証明書や源泉徴収票など)
・お子様の収入確認ができる書類(義務教育中であれば不要、高等学校在学中であれば学生証など)

請求者の厚生年金の加入期間が20年未満で配偶者の厚生年金(共済)加入期間が20年以上の人対象

戸籍謄本(記載事項証明書)配偶者の氏名や生年月日の確認、請求者との続柄の確認で使用
・世帯全員の住民票写し生計維持関係の確認で使用
※マイナンバーの記入をすることで省略可
・請求者の収入確認ができる書類

そのほか(請求者の状況によって必要となる持ち物)

年金手帳基礎年金番号以外の年金手帳がある場合
雇用保険被保険者証雇用保険に加入したことがある場合
※7年以内であれば再交付可能
年金加入期間確認通知書共済組合に加入していた期間がある場合
年金証書配偶者を含み、ほかの公的年金からの受給がある場合
医師や歯科医師の診断書障害の状態(1級または2級)にあるお子様がいる場合
合算対象期間の確認ができる書類年金機構に掲載されている「年金未加入期間に関する申出書」を参照

年金の受け取りは2ヵ月に1回


手続きを終えればあとは受給されるのを待つだけです。

ですが、この年金の支払いは2ヵ月に1回の頻度で行われ、2ヵ月分の支給がされます。

さらに、支払日は支払い月の15日となります。

もし、15日が土日祝日であった場合は、その直前の平日に支払われます。

わかりやすく、年金の支給月と支払いの対象月を一覧にしました。

■年金受給スケジュール
支払月支払対象月
2月12月、1月
4月2月、3月
6月4月、5月
8月6月、7月
10月8月、9月
12月10月、11月

年金受給中に仕事はしてもいいの?

年金だけでは生活できないという人もいるかもしれません。

そんな人は、定年退職した後も生活できるよう働いて稼ぐようになるでしょう。

実は、年金受給中に働き始めると、一定金額以上稼ぐような仕事だと年金受給額が減ってしまう可能性があります。

この働きながら受け取る年金のことを「在職老齢年金」といいます。

65歳以降に受け取れる年金月額と総報酬月額相当額の合計が46万円以下であれば支給される年金は全額受け取れるのですが、これがそれ以上になってしまうと、金額に応じて受け取れる年金が減らされてしまいます。

年金月額とは老齢厚生年金のことです。

総報酬月額相当額とは、標準報酬月額(直前3ヵ月分の月給平均)と直近1年間の賞与を12で割ったものを足した額です。

つまり「生活が大変で働くのはOK。だが、稼ぎが多いと受け取れる年金が減らされてしまう可能性がある」ということになります。

老齢年金の「繰上げ受給」

この老齢年金というものは、65歳から支給される年金のことを言います。

ですが、この繰り上げ受給を希望することで定年後の60歳~64歳の間でも年金受給が可能になります。

また、少し余裕があるからと年金を70歳から受け取るなどの「繰下げ受給」という受給方法もあります。

ただ、この繰り上げ・繰り下げには注意しなくてはならないことは、この受給方法によって受給される金額が変わるということです。

繰り上げの場合は月あたり0.5%減り、繰り下げの場合は月あたり0.7%増えます。

このように、受給は65歳からと完全に決まっているわけではなく、生活の状況によってよりためになる受給方法を見直すことができます。

自分に合った受給を見つけることでより良い年金受給が可能になります。

さらに詳しく知りたい人は、年金機構の下記ページをご確認ください。

【参考サイト】
年金の繰上げ受給
年金の繰下げ受給

まとめ

改めて年金について説明させていただき、年金の仕組みや重要性をより理解できたのであれば幸いです。

働く今だからこそ老後の自分のために対策をとっておくことは、大切なことです。

もし、少しでも年金について興味がわいた、気になることが出てきたという人は、ねんきんネットや年金機構などの機関へ問い合わせる、サイトを閲覧するなどをし、自分の年金をしっかりと把握しておきましょう。

派遣社員でも老後に備えることができるので働き方を見直しませんか?
年金の1つである厚生年金は、仕事をしている人で条件を満たしていれば加入できる年金です。この2つに入ることで、老後も安心して生活することができます。

派遣会社では、厚生年金への加入条件を満たす働き方を提案することもできます。希望する働き方を担当者に伝え、一緒に無理なく働ける仕事を見つけていきましょう。
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