保育士から違う仕事にキャリアチェンジ！成功へのポイントを解説

保育士の仕事は、子どもたちの成長を支える大切な職業ですが、待遇や労働環境の面で課題を抱えているのが現状です。

給与水準の低さ、長時間労働、休暇が取りづらいなど、さまざまな不満を感じながら働いている保育士は少なくありません。

しかし、保育の現場で培ったスキルや経験は、ほかの多くの職種で活かすことができるのです。

この記事では、保育士から違う仕事へのキャリアチェンジについて、転職先の選び方や成功のポイントをくわしく解説していきます。

保育士から違う仕事に転職を考える理由

多くの保育士が転職を考える背景には、さまざまな理由があります。

ここでは転職を考える理由についてくわしく見ていきましょう。

退職理由の傾向

※参照：東京都福祉保健局「令和4年度東京都保育士実態調査結果」

保育士の転職理由として最も多いのは、職場の人間関係でした。

それに続いて仕事量の多さや給料が安いなどの待遇面での不満が多くあげられています。

業界平均と比較しても保育士の給与水準は低く、責任の重さに見合わない待遇であることが大きな課題です。

また、持ち帰り仕事や休憩時間が十分に取れないなど、労働環境の改善を求める声も多く聞かれます。

保育士をやめたい？今の職場をやめたい？

転職を考える際に重要なのは、保育士という職業自体に向いていないと感じているのか、それとも現在の職場環境に不満があるのかを見極めることです。

職場環境の問題であれば、保育士として別の職場に移る選択肢も考えられます。

しかしキャリアチェンジを望むのであれば、自分の適性や希望に合った新しい職種を探さなければなりません。

保育士の経験を活かせるおすすめ職種

実は、保育士としての経験やスキルは多くの職種で活かすことができます。

子どもとの関わりだけでなく、保護者対応や同僚との連携など、さまざまな場面で培った能力が評価されます。

ここでは具体的なおすすめ職種を5つ紹介します。

介護職

保育士として身につけた「人をケアする」スキルは、介護の現場でも大いに活かすことが可能です。

コミュニケーション能力や観察力、きめ細やかな対応力は、高齢者介護の場面でも重宝されます。

また、介護職は人手不足が深刻な業界であり、転職しやすい環境が整っています。

児童福祉施設のスタッフ

児童養護施設や放課後等デイサービスなど、子どもに関わる福祉施設は保育士の経験が直接活かせる職場です。

保育所とは異なる環境で、支援を必要とする子どもたちの成長をサポートでき、やりがいを感じやすい職種といえます。

新しい視点で子どもたちと向き合えることも魅力の一つです。

教育関連の職種

塾講師や家庭教師など、教育関連の職種は保育士の経験を活かせる代表的な転職先です。

子どもの発達段階を理解していることや、一人ひとりに合わせた対応ができることは、教育現場でも大きな強みとなります。

また、保育士と比べて柔軟な働き方がしやすいことも魅力です。

カウンセラーや相談員

保育士として培った傾聴力や共感力は、カウンセラーや相談員として活躍する際の重要なスキルです。

とくに子育て支援センターなどでの相談員は、保育の実務経験があることで、より具体的なアドバイスができる点が評価されます。

資格取得が必要な場合もありますが、長期的なキャリアプランとして検討する価値があります。

行政や公共サービス

市区町村の子育て支援課や児童福祉課など、行政機関での勤務も保育士の経験を活かせる選択肢の一つです。

現場での経験を活かしながら、より広い視点で子育て支援に関わることができます。

また、公務員として安定した待遇が得られることも大きなメリットです。

異業種に転職する場合のおすすめ職種

保育士の経験を直接活かせない職種でも、培ってきたスキルは様々な業界で評価されます。

とくに対人スキルやマルチタスク能力は、多くの職種で求められるスキルです。

ここではおすすめの異業種を5つ紹介します。

事務職

保育士として身につけた正確な文書作成能力や細やかな気配りは、事務職で高く評価されます。

とくに保護者とのやり取りで培った丁寧な対応力や、行事の準備で磨かれた計画性は、一般事務や医療事務などさまざまな事務職で活かせます。

営業職

保育現場で培った円滑なコミュニケーション能力は、営業職での大きな武器です。

保護者や同僚と信頼関係を構築してきた経験は、顧客との良好な関係づくりに直結します。

とくに教育関連の商材や子ども向け商品の営業職では、現場経験者としての知見が重宝されます。

販売職

接客業での重要なスキルである傾聴力や共感力は、保育士として日々の保護者対応で磨かれている可能性が高いです。

アパレルや雑貨など、とくに家族向け商品を扱う販売職では、子育て世代のニーズを理解している強みを発揮できます。

また、実務経験を活かして子ども服や玩具などの販売アドバイザーとして活躍することも可能です。

カスタマーサポート

問題解決能力やクレーム対応の経験は、カスタマーサポート職での重要なスキルです。

保育現場での保護者対応で培った冷静な判断力と丁寧な説明能力は、顧客満足度の向上に貢献します。

また、在宅ワークの選択肢も増えており、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。

IT関連職

デジタル化が進む現代では、ITスキルを活かした職種への転職も選択肢の一つです。

需要が高く人手不足の業界であり、未経験からでもプログラミングなどデジタルスキルを習得することでキャリアアップが望めます。

保育現場でのICT化対応の経験があれば、それを活かして教育関連のシステム開発やコンテンツ制作など、専門性の高い職種にチャレンジも可能です。

保育士から違う仕事に転職するメリット

環境の変化に不安を感じる方もいますが、転職にはさまざまな魅力があります。

ここでは主なメリット3つについてくわしく解説していきます。

労働環境の改善が期待できる

多くの業界では、残業時間の削減や有給休暇の取得促進など、働き方改革が進んでいます。

保育現場特有の持ち帰り仕事や休憩が取りにくい環境から解放され、メリハリのある働き方を実現できる可能性が高くなります。

また、土日祝日が確実に休めるなど、生活リズムの改善も期待できます。

キャリアアップの機会が得られる

異業種への転職は、新しいスキルや知識を習得する絶好の機会となります。

とくに成長産業では、研修制度が充実していることも多く、着実なキャリアアップを図ることができます。

また、保育士としての経験を基盤に、より専門的なスキルを身につけることで、将来的な選択肢も広がります。

給与アップが期待できる

【雇用形態別の平均時給】※2024/10/30時点

※参照：求人ボックス給料ナビ「保育士 / 一般事務 / 営業 / 販売スタッフ / カスタマーサポート / ITエンジニア」

保育士は残念ながら給与水準が比較的低い職種とされていますが、異業種への転職によって収入アップを実現できる可能性があります。

とくにIT業界や営業職など、成果に応じて給与が上昇する職種では、努力次第で大幅な収入増も期待できます。

また、残業代の適切な支給など、待遇面での改善も見込めます。

保育士から違う仕事に転職するデメリット

転職には魅力的な面がある一方で、避けては通れない課題もあります。

ここでは、想定される3つのデメリットと対処法についてくわしく解説します。

新しい職場に慣れるまでが大変

これまでと全く異なる環境での仕事は、最初は戸惑うことも多いです。

新しい業務知識の習得や職場での人間関係づくりには一定の時間がかかります。

しかし、保育士として培った適応力やコミュニケーション能力を活かすことで、この期間を乗り越えることが可能です。

待遇の不満が改善されない可能性がある

労働環境や給与など、希望する待遇改善が必ずしも実現するとは限りません。

とくに未経験での転職の場合、試用期間中は給与が抑えられることも少なくありません。

転職前に給与水準や昇給制度について十分な確認を行い、現実的な期待値を持つことが大切です。

職種や年齢によっては内定が難しい

経験のない職種への転職や、一定年齢以上での転職は、採用のハードルが高くなる可能性があります。

派遣社員としての就業経験を積んでから正社員を目指すなど、段階的なアプローチを取ることでハードルを下げることが可能です。

転職を成功させるポイント

転職を成功に導くためには、しっかりとした準備と戦略が必要です。

ここでは、転職成功のための具体的なポイントについて解説していきます。

自己分析をしっかり行う

転職成功の第一歩は、自分自身の強みと弱み、そして本当にやりたいことを明確にすることです。

保育士として培ったスキルや経験を客観的に分析し、それらがどのような職種で活かせるかを具体的にリストアップすることで、効果的な転職活動が可能になります。

また、自己分析を通じて転職の軸が定まり、面接での説得力のある自己アピールにもつながります。

面接対策を完璧にする

面接では、保育士としての経験をどのように新しい職種で活かせるかを具体的に説明することが求められます。

とくに、保護者対応やチームワーク、問題解決能力などの汎用的なスキルについて、実例を交えながら分かりやすく伝えられるよう準備しましょう。

また、志望動機や将来のキャリアプランについても、一貫性のある説明ができるよう練習を重ねておくと有利です。

スキルアップに向けた学習

異業種への転職を考える場合、必要なスキルを事前に習得しておくことで、採用される可能性が高まります。

たとえばパソコンスキルやビジネスマナーなど、基本的なビジネススキルは、オンライン講座や書籍でも学べます。

また、資格取得にチャレンジすることで、自身の市場価値を高めることも可能です。

転職サイトやエージェントも活用

転職活動を効率的に進めるためには、転職サイトやエージェントの活用が有効です。

とくに転職エージェントや派遣会社は、履歴書や職務経歴書の作成支援から面接対策まで、きめ細かなサポートを提供してくれます。

また、企業の内部情報や業界動向についても詳しい情報を得ることができ、より的確な判断が可能になります。

円満に退職する5つのコツ

これまでお世話になった職場との良好な関係を保ちながら退職することは、将来的なキャリアにも良い影響を与えます。

円満退職のためのポイントをくわしく見ていきましょう。

退職のタイミングを考える

保育現場は子どもたちの生活に直接関わる仕事であるため、退職のタイミングは慎重に選ぶ必要があります。

年度の切り替わり時期や、行事の少ない時期を選ぶことで、園の運営や子どもたちへの影響を最小限に抑えることができます。

また、引き継ぎに十分な時間を確保するためにも、退職時期の設定は余裕を持っておきましょう。

かならず上司へ報告と相談

退職の意向は、まずは直属の上司に丁寧に伝えることが基本です。

事前にアポイントメントを取り、落ち着いた環境で話し合える場を設定しましょう。

その際、具体的な退職理由や今後のキャリアプランについても誠実に説明し、理解を得られるよう努めることが大切です。

また、引き継ぎスケジュールについても相談し、園の運営に支障が出ないよう配慮することも欠かせません。

退職理由は前向きに伝える

退職理由を伝える際は、否定的な表現を避け、前向きな理由を中心に説明しましょう。

たとえば「新しいキャリアにチャレンジしたい」「より専門的なスキルを身につけたい」など、建設的な理由を挙げることで、周囲の理解も得やすくなります。

また、これまでの経験への感謝を添える心遣いも大切です。

引き継ぎの準備をする

子どもたち一人ひとりの特性や保護者との関係性など、細かな情報も含めた丁寧な引き継ぎが必要です。

担当している業務の手順書を作成し、後任者が円滑に業務を引き継げるよう準備すると、園の運営への影響を最小限に抑えることができます。

とくに重要な引き継ぎ事項はリスト化し、漏れがないよう確認しましょう。

感謝の気持ちを伝える

最後まで誠実に仕事に取り組み、お世話になった同僚や保護者には必ず感謝の気持ちを伝えましょう。

とくに、直接関わってきた子どもたちや保護者には、適切な形でお別れの挨拶をすることが大切です。

良好な関係性を保ったまま退職することで、将来的なキャリアにもプラスの影響をもたらすことができます。

派遣会社の活用もおすすめ

異業種への転職を考える際、派遣会社の活用は有効な選択肢の一つです。

派遣社員として働くことで、新しい職種を経験しながら、自分に合った仕事を見つけることができます。

派遣会社の魅力

派遣会社には、未経験の職種にも挑戦しやすい環境が整えられています。

また、就業前の研修や就業後のフォローアップなど、手厚いサポート体制があることも大きな魅力です。

とくに、保育士としての経験を活かせる職種の紹介や、希望の条件に合った求人の提案など、きめ細かなマッチングが期待できます。

登録から就業までの流れ

派遣会社への登録は、まずはWEBサイトからエントリーするのが一般的です。

その後、カウンセリングを通じて希望条件や適性を確認し、具体的な求人を紹介してもらいます。

派遣会社のコーディネーターは、保育士からの転職者の支援経験も豊富なため、不安な点や疑問点についても親身になってアドバイスをしてくれます。

就業が決まった後も、定期的なフォローアップで安心して働き続けることができます。

くわしい登録の流れは「派遣登録の流れ図解で解説！失敗しないポイントと注意点とは？」をご覧ください。

派遣会社を選ぶポイント

派遣会社を選ぶ際は以下のポイントをチェックしましょう。

• 保育士経験者の転職支援実績
• 希望する職種の求人数
• 研修制度の充実度

また、担当コーディネーターの対応の丁寧さや、就業後のサポート体制なども重要です。

複数の派遣会社に登録することで、より多くの選択肢の中から最適な仕事を見つけることができます。

よくある質問

ここでは、保育士から違う仕事への転職を考える際によく寄せられる質問について回答していきます。

保育士の経験を活かせる職種にはどんなものがありますか？

介護職、児童福祉施設のスタッフ、教育関連の職種（塾講師や家庭教師）、カウンセラーや相談員、行政や公共サービスなどがあります。

これらの職種では、保育士として培ったコミュニケーション能力やケアのスキルが役立ちます。

「保育士の経験を活かせるおすすめ職種」でくわしく紹介しています。

異業種への転職を成功させるためにはどうすればいいですか？

自己分析をしっかり行い、自分の強みやスキルを明確にしておきましょう。

また、転職サイトやエージェントを活用して専門的なアドバイスを受けることや、面接対策を徹底することも成功のポイントです。

必要なスキルを事前に学習しておくことも有効です。

「異業種に転職する場合のおすすめ職種」や「転職を成功させるポイント」も参考にしてください。

一人での転職が不安なのですが、どうすればいいですか？

転職サイトやエージェントを利用すると、転職活動がスムーズに進み、自分に合った職場を見つけやすくなります。

求人情報の提供や面接対策などのサポートが受けられること、希望に合った職場を紹介してもらえること、就業後のフォローアップがあることなどが魅力です。

「転職サイトやエージェントも活用」や「派遣会社の活用もおすすめ」もご覧ください。

まとめ

保育士から違う仕事へのキャリアチェンジは簡単な道のりではありませんが、十分な準備と適切なサポートがあれば、必ず道は開けます。

保育士としての経験は、想像以上に多くの職種で活かすことができ、それは大きな強みとなります。

とくに重要なのは以下の3点です。

• 自己分析をしっかり行って自分に合った職種を見極める
• 転職エージェントや派遣会社などのサポートを積極的に活用する
• 必要なスキルアップを図りながら段階的にキャリアチェンジを進める

転職を考えている方は、まずは情報収集から始め、自分のペースで準備を進めていくことをおすすめします。

そして不安なことがあれば転職のプロに相談し、新しいキャリアへの第一歩をサポートしてもらいましょう。