IT人材不足が深刻化?2030年問題の概要と今後需要が増加するIT職種とは?

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この記事でわかること

  • 2030年にはIT人材が最大で約79万人不足するといわれている
  • IT人材の需要は今後ますます高まると予測。今のうちからスキルを高めておくとベスト
  • 技術力だけでなく、マネジメントやヒューマンスキルがあればより重宝される人材に
編集者プロフィール
ウィルオブテック事業部
早川 直良

エージェント歴13年。これまでコールセンター、オフィスワークなど幅広い領域にて、約5万人の転職支援実績がある。現在はIT領域に特化し、これまでのエージェント経験を活かした中長期的なキャリア支援を強みとしている。

「2030年問題」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ただ、具体的にどのような問題が発生するのかについては、詳しく知らない方もいるかもしれません。

2030年問題は市場全体に影響を与える問題ですが、特にIT業界への影響が大きいとされています。そこで今回は、2030年問題の概要やIT業界に与える影響などについて解説します。

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2030年に深刻な人材不足に?2030年問題とは?

まず、2030年問題の概要についてご説明します。

労働人口が激減?2030年に総人口の約1/3が高齢者に

2030年問題とは、少子高齢化が進行することで表面化するさまざまな問題の総称です。2030年は、総人口の約1/3が高齢者になるとされており、医療・介護需要の急激な増大、社会保障制度の負担増加のほか、深刻な労働人口不足が主な問題として取り上げられています。

IT人材は79万人が不足する?

労働人口不足の中でも、特に人材不足が深刻化するとされる業界のひとつがIT人材です。2030年までに約79万人の不足が予想されています。

技術革新が進む中でのこの大幅な人材不足は、日本の経済成長や国際競争力に影響を与えかねません。デジタル化の加速に伴い、IT人材の需要は増加する一方で、供給が追いつかない状況が予測されています。

※参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査レポート

2030年問題と関連した課題とは?

2030年問題と同様に語られるのが、以下の3つの問題です。それぞれの概要について解説します。

2025年問題

2025年問題は、特に日本で指摘されている問題です。この年には、戦後のベビーブーム世代が75歳以上になり、高齢者の比率が大幅に増加します。

これにより、医療・介護サービスへの需要の増大、労働力不足、年金財政の圧迫など、さまざまな社会的・経済的な問題が予想されています。

2040年問題

2040年問題は、環境やエネルギーに関連する問題を指すことが多いです。気候変動による影響が顕著になると予測されており、持続可能な社会の実現に向けた具体的な行動が求められています。

また、いくつかの国々では、2040年までに化石燃料に依存しないエネルギーシステムへの移行を目指しています。

2050年問題

2050年問題は、地球規模での人口動態、環境変化、技術進化などに関連する幅広い課題を包含しています。特に、気候変動への対応、持続可能な開発目標(SDGs)の達成、技術革新とそれに伴う社会的な変化などが主な焦点です。

多くの国が2050年までに温室効果ガスの排出を「ネットゼロ」にする目標を掲げており、これに向けた取り組みが進行中です。

労働人口の減少だけじゃない。IT人材の不足が顕著になる理由とは?

2030年問題と関連して、以下のような要因が絡むことでIT人材の不足がさらに加速するとされています。

IT需要の急激な拡大

DXの推進・リモートワークや働き方の多様化などの影響を受けて、IT需要は急激に拡大しています。

このような需要の急激な拡大に対して、新しい技術の習得や人材の育成が追い付かず、IT人材が不足する状況が生じています。

IT人材の育成に時間がかかる

IT分野は専門的な知識やスキルを要する領域であり、優秀な人材を育成するには時間が必要です。大学や専門学校では基本的な知識やスキルを学ぶことができますが、実務に即した経験や最新の技術トレンドに対応するためには、実践的な経験が不可欠です。

また、技術の進化が速いため、常に最新の知識を更新し続ける必要があります。これらの要因が、IT人材の供給が需要に追い付かない一因となっています。

技術の発展が著しく人材の供給が追い付かない

IT分野は非常に進化が速く、新しい技術が継続的に登場しています。例えば、AI・データサイエンス・サイバーセキュリティなどの分野では、数年前と比べて全く異なる技術が用いられていることがあります。

教育機関や企業における研修プログラムが最新のトレンドに迅速に対応することは容易ではなく、結果として人材の供給が需要に追い付けない状況が生じています。

IT人材の不足で予想される悪影響とは?

IT人材が不足することでどのような悪影響が発生するのでしょうか?ここからは、IT人材の不足で予想される悪影響について解説します。

グローバル競争力の低下

IT人材が不足すると、技術革新やデジタル変革における遅れが生じてしまい、結果として企業や国のグローバル競争力の低下につながります。

特に、テクノロジーは経済成長の重要な要素であるため、IT分野での遅れは製品開発・マーケティング・顧客サービスなど、ビジネスのあらゆる面に影響を及ぼします。

情報セキュリティに関するリスクの増大

IT人材の不足は、特に情報セキュリティの分野において深刻な影響が懸念されます。セキュリティ専門家が不足すると、サイバー攻撃への対応能力が低下し、企業や組織のデータ保護が不十分になるリスクが高まります。

結果的に、データ漏洩・システム障害・ビジネスの中断など、重大な結果を招く可能性があります。

デジタル分野の開発や改善が進まない

IT人材が不足すると、新しいデジタル製品やサービスの開発、既存システムの改善や更新が遅れます。イノベーションの機会損失や技術的な遅れが生じ、結果として市場での競争力や顧客満足度の低下につながる可能性があります。

特に、急速に進化するテクノロジーの世界では、開発の遅れが長期的な影響を及ぼすこともあります。

既存エンジニアへの負担増大

IT人材が不足すると、既存のエンジニアや技術者に対する業務負担が増大します。業務過多が深刻になり、従業員の燃え尽き症候群や職場離職のリスクが高まる可能性があります。

また、プロジェクトの遅延や品質の低下など、事業や企業の価値にも悪影響を及ぼすこともあるでしょう。長期的には、このような過剰な負担が企業の人材流出や新規人材の確保における課題をさらに悪化させる場合があります。

需要の増加が見込めるIT職種とは?

IT人材の不足が深刻化しつつあるため、エンジニアなどの業種を中心にIT人材の需要が非常に高まっています。特に、需要が増加すると見込まれている職種をご紹介します。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画・実行・納品までを管理する職種です。ITの知識や経験が必要なのはもちろん、複数のエンジニアを管理する業務が発生するため、チーム管理、コミュニケーション、問題解決スキルを必要とします。DXの推進に伴い、需要が高まり続けている職種です。

▼プロジェクトマネージャーに関する記事
プロジェクトマネージャーについてより詳しく知りたい方は、『プロジェクトマネージャーは「しんどい」仕事?PMに向いている・向いていない人の特徴と魅力を解説!』
こちらの記事も、ぜひご覧ください。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアは、クラウドコンピューティング関連のサービス・アプリケーションの開発・運用・管理に携わる職種です。クラウドの普及に伴い、Amazon Web Services (AWS)・Microsoft Azure・Google Cloud Platform (GCP)などのクラウドプラットフォームに関する専門知識が求められています。

IoTエンジニア

IoT(Internet of Things)エンジニアは、インターネットに接続されたデバイスやシステムの設計・開発・実装を行う職種です。IoT技術はスマートホーム、産業自動化、ヘルスケアなど多くの分野での利用が進んでおり、この分野の専門家に対する需要が増加しています。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアは、情報セキュリティやサーバーに関連する業務を担当するエンジニアのことです。

ITインフラの中でも、組織の情報セキュリティを確保するために、セキュリティシステムの構築・運用・保守を行うのが一般的です。サイバー攻撃の増加と複雑化に伴い、この分野の専門家の需要が高まっています。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、大量のデータから有用な情報を抽出し、分析する専門家です。現代では、ビジネスの重要な事柄を決定したり、戦略を考えたりする際の根拠としてビッグデータが活用されているため、専門的なデータ分析のスキルを持つデータサイエンティストの需要が増加しています。

プロンプトエンジニア

プロンプトエンジニアとは、AIから最適な答えを引き出すことを目的に、コマンドやメッセージを構築・運用するエンジニアです。Chat-GPTをはじめとする生成AIの登場以降に注目され始めた職種で、今後非常に需要が高くなっていくと予想されています。

▼プロンプトエンジニアに関する記事
プロジェクトマネージャーについてより詳しく知りたい方は、「プロンプトエンジニアリングとは?注目を集める理由と業務内容や必要なスキルを解説!」
こちらの記事も、ぜひご覧ください。

需要に対応して活躍するために。求められるIT人材になるためのポイント

IT人材が不足する状況は、すでにエンジニアとして働いている方にとっては非常に有利な状況ともいえるでしょう。

ただ、企業に求められるIT人材になるには、市場の需要に上手く対応する必要があります。長く安定して活躍するためにも、以下のようなポイントに注意しましょう。

先端技術への知見・経験を深める

IT業界は技術革新が非常に速い業界です。その中で活躍し続けるためには、最新の技術トレンドに敏感であることが重要です。

例えば、AI・データサイエンス・クラウドコンピューティング・ブロックチェーンなどの分野に関する知識と経験を積むことが、市場の需要に応える上で不可欠です。

これらの技術は多くの業界で応用されており、専門知識を持つIT人材に対する需要は高いです。講座やセミナー、ワークショップの参加、もしくは実際のプロジェクトへの参画を通じて、継続的な学習と実践的な経験を積むことが重要です。

情報セキュリティに特化した知見・経験を深める

情報セキュリティは、企業や組織にとってますます重要な領域です。サイバー攻撃の複雑化と頻度の増加に伴い、専門的なセキュリティスキルを持つ人材が高く評価されています。

セキュリティシステムの設計・リスク管理・侵入検知システム・暗号化技術・コンプライアンスなどの分野に関する深い理解と経験が求められます。

エンジニアとしての専門性をどのように伸ばすべきかに悩んでいる方は、情報セキュリティに特化して能力を伸ばすのも良いでしょう。

ヒューマンスキル・マネジメントスキルを高める

ITエンジニアとしてのスキルだけでなく、ヒューマンスキルやマネジメントスキルを高めることも大切です。コミュニケーション能力・問題解決能力・チームワーク・リーダーシップ・スケジュール管理などのスキルは、プロジェクトの成功に大きく貢献します。

特に、プロジェクトマネージャーなどの上流工程に携わりたいと考えている方にとっては欠かせないスキルといえるでしょう。

まとめ

ITは、私たちの生活はもちろん、ビジネスにも深く浸透している非常に重要なテクノロジーです。この流れは今後も加速していき、それに伴ってIT人材の不足が深刻化すると予測されています。

特に需要が高いとされているのが、プロジェクトマネージャーやセキュリティエンジニア・プロンプトエンジニアなどの分野です。エンジニアとしてキャリアにお悩みの方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考に今後のキャリアプランを考えてみてください!

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