社内SEは「やめとけ」と言われる理由は?メリット・デメリットや向いている人の特徴を解説!

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この記事でわかること

  • 社内SEとベンダーSEの違い
  • 社内SEが「やめとけ」「きつい」と言われる理由は?
  • 社内SEに向いている人・向いていない人の特徴
編集者プロフィール
ウィルオブテック事業部
坂田 雄平

過去に8年ほど、受託企業でITエンジニアの経験あり。長年培ってきたエンジニア経験をもとに、求職者さまに寄り添ったキャリア支援を得意としている。

SEとして働いている人のなかには「社内SEはやめとけ」といった意見を耳にしたことがあるかもしれません。

なぜ社内SEは「やめとけ」といわれてしまうのでしょうか?今回はやめとけといわれる理由や社内SEとして働くメリット、向いている人の特徴などを解説します。

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TOPICS

社内SEとベンダーSEの違いとは?

まずは、社内SEとベンダーSEについて解説します。社内SEとベンダーSEの業務には以下のような違いがあります。

社内SEの業務内容

社内SEの主な業務内容は以下のとおりです。

社内システム・インフラの構築、運用、保守

社内SEは、企業内のITシステムやインフラの設計・構築・運用・保守などがメイン業務です。社内ネットワーク・サーバー・データベースの管理、およびセキュリティ対策なども該当します。

システムの導入

新しいソフトウェアやシステムの導入に際して、社内SEは、選定・導入計画・設定・トレーニングなどを行います。これにより、社内の業務効率化や情報システムの最適化を図ります。

IT関連の社内ヘルプデスク

社内のIT関連の問題や質問に対応するためのヘルプデスク業務も社内SEの役割です。従業員からの技術的なサポート要求に応え、問題を解決します。

ベンダーSEの業務

次に、ベンダーSEの主な業務内容は下記をご確認ください。

自社システム・ソフトウェアの企画・開発

ベンダーSEは、自社の製品であるソフトウェアやシステムの企画、開発に携わります。顧客の要件に基づくカスタムソフトウェアの開発や、既存製品の機能改善などを行います。

自社システムの導入支援・保守

ベンダーSEは、自社製品の顧客への導入支援を行います。顧客の環境に製品をインストールし、適切に機能するよう設定することや、使用方法のトレーニング、アフターサポートや保守も担います。

まとめると、社内SEは自社の専属システムエンジニアで、ベンダーSEは販売するシステムやソフトウェアを開発したり、導入をサポートしたり、社外向けに価値を提供するSEといえるでしょう。

社内SEが「きつい」「やめとけ」といわれる6つの理由

この章では、社内SEという職種に対してネガティブな評価が生まれる背景について紹介します。社内SEが「きつい」「やめとけ」といわれる理由には主に以下の内容があります。

  • 最先端のITスキルを習得しにくい
  • 社内調整に時間がかかる
  • IT関連の雑用を任せられる可能性がある
  • 社内で評価されにくい可能性がある
  • 属人化による業務負担が大きくなりやすい
  • 転職市場での評価が低くなりがち

最先端のITスキルを習得しにくい

社内SEは、特定の社内システムやプロセスに関連するスキルを磨ける一方で、最新の技術動向や革新的なITスキルの習得が難しい場合があります。

というのも、社内の業務に特化しているため、業界全体の技術進歩に追従しにくい状況が生じるからです。

社内調整に時間がかかる

社内SEは、異なる部門間でのコミュニケーションや調整に多くの時間を費やすことがあります。

ステークホルダーのさまざまな要求を満たすために欠かせず、本来の技術分野から離れざるを得ないことが多くなりがちです。

IT関連の雑用を任せられる可能性がある

社内で唯一または少数のIT専門家である場合、本来の業務以外にも多くのIT関連の雑用が割り当てられることがあります。

専門的な業務に集中できないと悩む社内SEも少なくありません。

社内で評価されにくい可能性がある

ITの専門性が企業の主要業務でない場合、社内SEの業務が適切に評価されにくいことがあります。

ITの貢献が直接的なビジネス成果として認識されず、正当な評価を得られない可能性もゼロではありません。

属人化による業務負担が大きくなりやすい

社内SEは特定のシステムや業務に深く関与するため、知識やスキルが属人化しやすい傾向にあります。

特定の社員に業務が集中してしまい、代替人員の不足が問題となることもあります。

転職市場での評価が低くなりがち

社内SEは転職活動において市場価値が低く評価される傾向があり、キャリアアップが困難になりやすいという現実があります。これは社内SEが特定企業の独自システムに特化した業務に従事することが多く、汎用的なスキルや最新技術への対応力が不足しがちなためです。

開発業務よりも既存システムの運用・保守が中心となることが多く、転職市場では技術的な深みが不足していると見なされることがあります。

例えば、Web系企業への転職を希望しても、モダンな開発手法やクラウド技術の実務経験不足を理由に書類選考で落とされるケースが見られます。また、年収アップを期待して転職活動を行っても、現職と同程度かそれ以下の条件しか提示されない状況も珍しくありません。

こうした状況を改善するには、定期的な技術研修への参加や個人プロジェクトでの最新技術習得、業界標準の資格取得などを通じて市場価値を高める努力が必要です。

デメリットばかりじゃない!社内SEとして働くメリットとは?

男性2人と女性2人が議論を交わしている様子

一方、社内SEにはさまざまなメリットがあります。ひとつずつ確認していきましょう。

外部企業からのプレッシャーがない

社内SEは、社外のクライアントから直接プレッシャーを受けることがないため、仕事の進行において納期に余裕を持たせたり、比較的落ち着いて取り組むことができたりします。

社内の要件と期待に集中し、社外の顧客からの緊急の要求や変更に頻繁に対応する必要がありません

ワークライフバランスを整えやすい

社内SEは決まった就業時間と明確な職務範囲を持ち、比較的ワークライフバランスを保ちやすい環境であることが多いです。

一方でベンダーSEは、顧客の要求に応じて柔軟な働き方が必要になることが多く、ワークライフバランスに影響を与える場合があります。

会社の成長に貢献できる

社内SEは、自社のビジネスに直接的に貢献するシステムやソリューションの開発に携わります。

自身の業務が会社の成長や効率化にどのように寄与しているのかを大きく実感できるでしょう。

企画・要件定義などの上流工程を経験できる

社内SEは、システムの企画段階や要件定義といった上流工程に深く関与する機会が多々あります

例えば、プロジェクトの初期段階からの立ち上げ方や、何に注意しながらプロジェクトを進めるべきなのかを学べるでしょう。

プロジェクトマネージャーやPMOを目指す人にとっては非常にやりがいのある仕事といえます。

社内の人から直接感謝される機会が多い

社内SEの大きな魅力の一つは、同じ会社で働く同僚から直接感謝を受ける機会が多いことです。「社内seはやめとけ」という声もありますが、実際に働いてみると想像以上にやりがいを感じられる場面に出会えます。

社内SEは社員のITトラブル解決や新システム導入を通じて、顔の見える同僚の業務を直接サポートする立場にあるからです。例えば、PCの調子が悪くて困っている営業担当者のトラブルを迅速に解決した際に「おかげで重要な商談に間に合いました、ありがとうございます」と感謝されることがあります。

また、新しいシステムを導入して作業時間が大幅に短縮された部署から「残業が減って本当に助かっています」といった具体的な感謝の声を聞くことも多いのです。

このような直接的なフィードバックは、SIerなど外部企業で働く場合にはなかなか得られない貴重な体験といえるでしょう。

勤務地が安定している

社内SEのもう一つの大きなメリットは、勤務地が非常に安定していることです。

新卒で「社内seはやめとけ」と世間から言われることもありますが、生活の安定性を重視する人にとっては非常に魅力的な職種です。

社内SEは特定企業の本社や主要拠点に常駐して業務を行うため、SIerのように客先常駐で勤務地が頻繁に変わることがありません。システム運用や保守業務が中心となるため、長期出張や頻繁な移動も少なく、家族との時間を大切にしたい人には理想的な環境といえます。

実際に、家族を持つ社内SEからは「子供の学校行事に参加できる」「習い事の送迎ができる」といった声が聞かれます。また、住宅ローンを組む際にも勤務地の安定性が金融機関から評価されるケースもあるようです。

地域コミュニティとの関わりを深めたり、長期的な人生設計を立てやすい環境は、キャリアを考える上で重要な要素の一つといえるでしょう。

社内SEは向き不向きがある職種!向いている人・向いていない人の特徴は?

社内SEにはメリット・デメリットがあり、向いている人にとっては非常に良い選択肢になりえます。

どのような人が社内SEに向いているのか、反対にどのような人が社内SEに向いていないのか、詳しく解説します。

社内SEに向いている人

社内SEに向いている人の特徴は以下のとおりです。

コミュニケーション力に長けている人

社内SEは社内の多様な部門と協力し、スケジュールを調整しながら業務を進める必要がある仕事です。

そのため、コミュニケーション能力と調整能力が重要です。

例えば、新しいシステムの導入説明会では、営業部門や経理部門の社員に対して、専門用語を使わずに操作方法やメリットを伝える必要があったり、システムトラブルが発生した際には、影響を受けた各部署に対して現状と対応策を適切に説明し、不安を軽減することもあります。

さらに、各部署からの要望を正確に聞き取り、技術的な実現可能性を検討した上で適切な提案を行う調整力も必要です。

コミュニケーション能力に自信がある人にとって、社内SEは非常にやりがいのある職種といえます。人と話すことが好きで、相手の立場に立って物事を考えられる人は、社内SEとして高く評価される傾向があります。これらが得意な人は、社内SEとして早期に活躍できるでしょう。

マルチタスクが得意な人

マルチタスクが得意な人は、社内SEの多様な業務に対応するために必要不可欠な特徴を持っています。

社内SEは多くの場合、同時に複数のタスクに対応する必要があります。

例えば、セキュリティのトラブルを解消しながら、システムの導入支援を行い、社員からPCに関する問い合わせに返答するなど、全く異なる種類の業務を同時並行で進める状況が日常的に発生します。

午前中は経営陣向けのシステム企画会議に参加し、午後は緊急のサーバーメンテナンス作業を実施し、夕方には他部署からの問い合わせ対応を行うといった具合に、一日の中で頻繁に業務を切り替える必要があります。

また、複数のプロジェクトを同時進行で管理し、それぞれの優先度や締切を適切に判断して効率的に作業を進める能力も求められます。

物事を整理して優先順位をつけることが得意で、複数の作業を並行して進めることに苦手意識がない人にとって、社内SEはやりがいをもって働けるでしょう。

上流工程職種を目指している人

上流工程職種を目指している人にとって、社内SEは理想的なキャリアパスの一つです。

社内システムの企画や要件定義など、プロジェクトの上流工程に関わる機会が多いため、将来的にプロジェクトマネージャーやPMOを目指している人にとっては非常に有益な経験となるでしょう。

社内SEの業務は、プログラミングやシステム構築といった下流工程よりも、企画・要件定義・設計といった上流工程が中心となることが多いためです。具体的には、経営層からの要望を受けて新システムの導入を検討する際に、業務分析を行い、必要な機能を整理し、予算や導入スケジュールを含めた提案書を作成するといった業務が主体となります。

ITシステムの技術面だけでなく、経営やマネジメントにも関わる機会も多く、これらに興味がある人にとって社内SEは、おすすめの仕事といえます。

また、ベンダーとの交渉や外部パートナーとの協業においても、技術的な詳細よりもプロジェクト全体の方向性や品質管理に関わることが多くなります。

将来的にITコンサルタント、さらにはCIOといった上流ポジションを目指している人にとって、社内SEでの経験は非常に価値の高いものといえるでしょう。

ワークライフバランスを重視したい人

ワークライフバランスを重視したい人にとって、社内SEは非常に魅力的な職種です。

会社にもよりますが、社内SEは比較的定時で働くことが多く、イレギュラーな残業や休日出勤が発生しにくい職種です。

多くの企業において、社内SEの勤務時間は一般社員と同様に設定されており、深夜残業や休日出勤が常態化しているケースは比較的少ないとされています。

これは、システム開発を外部ベンダーに委託することが多く、社内SEは主に要件定義や進行管理、運用保守といった計画的に進められる業務が中心となるためです。

業務過多に陥りにくいため、「定時で必ず帰りたい」「休日出勤は絶対に避けたい」など、ワークライフバランスを保ちたい人にとって働きやすい環境である可能性が高いです。

もちろん、システム障害やメンテナンス作業で緊急対応が必要になることもありますが、Web系企業の激しい開発スケジュールと比較すると、予測可能で安定した働き方ができることが多いのです。

ITツールやシステムに詳しい人

ITツールやシステムに詳しい人は、社内SEとして大きな強みを発揮できます。

社内SEの業務では、様々なソフトウェアやクラウドサービス、業務システムを組み合わせて最適な業務環境を構築することが求められるためです。

例えば、Microsoft Office、Salesforce、Slack、Teams、各種ERPシステムなどの使い方に精通している人は、これらのツールを活用した業務効率化提案を行うことができます。また、新しいツールの導入検討時には、機能比較や導入効果の予測、社員への操作研修なども担当することになります。

ITツールの知識が豊富な人は、単に技術的な設定だけでなく、「どのツールがどの部署の業務に最適か」「どうすればユーザーにとって使いやすくなるか」といった視点から提案できるため、社内から高く評価される傾向があります。

「未経験で社内seはやめとけ」という意見もありますが、既存のITツールに関する豊富な知識を持つ人にとって、社内SEは非常に適した職種です。

サポート業務にやりがいを感じる人

サポート業務にやりがいを感じる人は、社内SEに非常に適しています。

社内SEの業務の大部分は、社内の人々がITを活用して効率的に働けるようサポートすることです。

PCの設定方法が分からない新入社員への指導、システムの使い方で困っている営業担当者への説明、業務効率化を求める部署への最適なツール提案など、日々様々なサポート業務に携わります。

こうした業務では、相手の立場に立って考え、分かりやすい説明ができる能力が重要です。また、問題を解決した際に直接感謝の言葉をもらえることが多く、「ありがとうございます、本当に助かりました」「おかげで作業が楽になりました」といった反応を得られることは大きなやりがいとなります。

技術的な知識だけでなく、相手の困りごとを親身になって解決しようとする姿勢が、社内SEとして成功するための重要な要素です。人の役に立つことに充実感を覚える人、困っている人を見過ごせない性格の人にとって、社内SEは非常に満足度の高い職種といえるでしょう。

カスタマーサポートやヘルプデスクの経験がある人も、そのスキルを存分に活かせる環境です。

社内SEに向いていない人

社内SEに向いていない人にはどのような特徴があるのでしょうか。

貪欲に新しいIT技術を学びたい人

社内SEの仕事は、社内の既存システムやプロセスに関連しているため「業務に必要なのは既存システムに関する知識と経験で、それ以外はそこまで必要とされていない」というケースがあります。

そのため、トレンドや最先端のテクノロジーに触れたい、または積極的に導入して活用したいというSEにとっては、物足りなく感じるかもしれません。

システムやソフトウェアの開発だけに集中したい人

社内SEは、開発業務だけでなくシステムの運用・保守・社内ユーザーのサポートなど、多岐にわたる業務を担うことが一般的です。

開発作業に専念したい人にとっては、多様な業務を進めなければならに社内SEは望ましくない可能性があります。

安定よりもエンジニアとしての成長を重視して働きたい人

社内SEは比較的安定志向の人が多く、定期的な業務や既存システムの維持が中心です。そのため、新しい挑戦や技術的な成長を重視する人にとっては、やや物足りなく感じるかもしれません。

特に、技術的なスキルを磨くための新たなプロジェクトや刺激的な環境を求める人には、ベンダーSEの働き方が適している可能性があります。

社内SEの将来性とキャリアパス

女性2名、PC、オフィス

この章では、社内SEという職種の将来性と可能なキャリアパスについて紹介します。社内SEの将来性とキャリアパスには主に以下の内容があります。

  • 社内SEの需要動向と市場の変化
  • 社内SEから目指せるキャリアアップの選択肢

社内SEの需要動向

社内SEの需要は今後も継続的に高まっていく傾向にあり、実際には将来性の高い職種として注目されています。企業のデジタル化が加速する中で、社内システムの企画・導入・運用を担う社内SEの重要性が増しているためです。

特に、コロナ禍によるリモートワークの普及やデジタルツールの活用拡大により、IT環境の整備と運用管理がビジネス継続の生命線となったことで、社内SEへの期待と責任が大幅に拡大しています。

経済産業省のDX推進指針により多くの企業がデジタル変革に取り組んでおり、これまで社内SEを置いていなかった中小企業でも新規採用が増加している状況です。

また、クラウドサービスの普及により、従来の「システムを維持する」役割から「ビジネスを変革する」役割へと社内SEの職務内容が進化しており、テレワーク対応、セキュリティ強化、業務自動化などの新たなニーズに対応できる社内SEの市場価値は向上し続けています。

社内SEから目指せるキャリアアップ

社内SEの経験は多様なキャリアパスへの足がかりとなり、実際には幅広いキャリア選択肢が存在します。

IT部門管理職、ITコンサルタント、プロジェクトマネージャー、CIOなど、技術スキルとビジネススキルの両方を身につけられる社内SEならではの経験が活かせる職種は多岐にわたります。

社内SEはシステム全体を俯瞰する視点、ユーザーニーズの理解、プロジェクト管理能力、ベンダー管理スキルなど、多くの職種で重宝される能力を習得できるからです。

具体的には、社内SEから情報システム部長やCIOへ昇進するケース、ITコンサルティング会社へ転職してクライアント企業の業務改善を支援するケース、プロジェクトマネージャーとしてシステム開発プロジェクトを統括するケース、ベンダー企業でプリセールスエンジニアとして顧客の課題解決を行うケースなど、多様な道筋があります。

また、起業してIT関連のコンサルティング業を始める元社内SEも増えており、社内の様々な部署と連携する経験により得られる業界知識や業務プロセスの理解が大きな強みとなっています。

社内SEへの転職を成功させるために必要なスキル

資料、グラフ、オフィス、男性2名

この章では、社内SEへの転職を成功させるために必要なスキルについて紹介します。
社内SEへの転職を成功させるために必要なスキルには主に以下の内容があります。

  • プログラミングスキル
  • コミュニケーションスキル
  • IT関連の幅広い知識と経験
  • マネジメントスキル

プログラミングスキル

社内SEにとってプログラミングスキルは必須ではありませんが、基礎的な理解があることで業務の幅が大きく広がり、転職時の競争力も向上します。「社内seはやめとけ」という声もある中で、プログラミングスキルを身につけることは大きなアドバンテージとなります。

社内SEの主な業務は既存システムの運用・保守、ベンダー管理、要件定義などが中心となるため、高度なプログラミング能力は必ずしも求められません。

しかし、Excel VBAでの業務自動化スクリプト作成、SQLを使った売上データの集計・分析、Webシステムの簡単なカスタマイズ作業、APIの仕様書理解とデータ連携の検討などは日常業務で頻繁に発生します。

また、外部ベンダーとの技術的な議論や、システム改修の影響範囲を判断する際に、プログラミングの基礎知識があると的確な判断ができるのです。

転職面接では「Python、JavaScript、SQLの基礎ができます」といったアピールポイントにもなります。

完全未経験者はまずExcel VBAやSQLから始め、その後Python、JavaScript、HTML/CSSなどWeb系の基礎技術を習得することが推奨されます。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは社内SEにとって最も重要なスキルの一つであり、技術スキル以上に転職成功の鍵を握る要素です。優れたコミュニケーション能力があれば技術的な経験不足をカバーできる場合も多いです。

社内SEは技術者でありながら、非技術部門との橋渡し役としての機能が強く求められます。

営業部門からの「売上管理システムをもっと使いやすくしたい」という曖昧な要望を、具体的な機能要件に落とし込むためのヒアリング能力、システム障害発生時に影響範囲と復旧見込みを各部署に適切に伝える説明力、経営陣に対してIT投資の必要性とROIを分かりやすくプレゼンテーションする能力などが日常的に求められます。

また、ベンダーとの交渉、プロジェクトチームの調整など、技術的な内容を分かりやすく伝える能力が業務の成果を大きく左右します。

転職準備として、技術的な内容を非技術者に説明する練習を積み、面接では具体的なコミュニケーション経験をエピソードとして語れるよう準備することが重要です。

IT関連の幅広い知識と経験

社内SEには特定分野の深い専門性よりも、IT全般にわたる幅広い知識と実務経験が求められ、これが転職時の大きな差別化要因となります。実際には幅広いIT知識を効率的に身につけることで、未経験者でも十分に活躍できる職種です。

社内SEはシステム開発、ネットワーク、セキュリティ、クラウド、データベース、業務システムなど、IT分野全般に関わる業務を担当することが多く、一つの技術に特化するのではなく、全体を俯瞰してシステムの最適化を図る役割が期待されます。

具体的には、クラウド移行プロジェクトでのAWS・Azure・Google Cloudの比較検討、セキュリティ強化のためのファイアウォール設定やVPN構築、ERPシステムの導入プロジェクトでのSAP・Oracle・Salesforceの機能比較、RPAツールの導入による業務自動化の企画・実装などが実際の業務として発生します。

まず基本情報技術者試験レベルの基礎知識を体系的に学習し、その後クラウド、セキュリティ、データベースなどの分野で実際にハンズオン経験を積むことが重要です。

マネジメントスキル

マネジメントスキルは社内SEのキャリア発展において不可欠であり、プロジェクト管理能力とチームリーダーシップが転職時の強力なアピールポイントとなります。

社内SEは技術者としてだけでなく、ITプロジェクトの推進役としての役割も担うことが多く、システム導入プロジェクトの進行管理、外部ベンダーとの調整、社内関係者との合意形成など、プロジェクトを成功に導くためのマネジメント能力が求められます。

新基幹システム導入プロジェクトでのスケジュール管理とリスク管理、複数のベンダーが関わるシステム統合プロジェクトでの調整業務、社内システムのセキュリティ強化プロジェクトでのステークホルダー管理、災害対策システムの構築プロジェクトでの予算管理と品質管理などが具体的な経験として挙げられます。

また、チームでの作業が多いため、メンバーのスケジュール調整、作業分担、品質管理なども重要な業務となります。

PMP資格の取得やプロジェクトマネジメント研修への参加を通じて体系的な知識を習得し、現職で小規模なプロジェクトのリーダー経験を積極的に積むことが重要です。

チームビルディングやファシリテーションスキルの向上も並行して進めるべきでしょう。

「やめとけ」と言われない優良な社内SE職場を見つける方法

ここまで社内SEとベンダーSEとの違いやメリット・デメリットについて解説しました。しかし、今回ご紹介したのはあくまで一般論に過ぎません。

なかには最先端技術を積極的に導入でき、スキルを高められる社内SEもあれば、逆にワークライフバランスを重視できるベンダーSEもあります。

この章では、「やめとけ」と言われない優良な社内SE職場を見つける方法について紹介します。優良な社内SE職場を見つける方法には主に以下の内容があります。

  • 企業の労働環境を徹底的にリサーチする
  • 自己分析とキャリアプランの明確化
  • 転職エージェントの効果的な活用法

社内SEか否かよりも、企業が自分に合っているか合っていないかを冷静に判断することが大切です。

自分にあった働き方の会社を見つけるためにも、「企業の口コミや評判を確認する」「エンジニア専門の転職サイトやエージェントを活用する」といったポイントに注意してみてください。

企業の労働環境を徹底的にリサーチする

優良な社内SE職場を見つけるためには、企業の労働環境について表面的な情報だけでなく、実際の働き方や職場文化まで深く調査することが不可欠です。

「社内seはやめとけ」という声が生まれる背景には、求人票や企業HPに記載されている情報と実際の労働環境に大きな乖離があることが多いためです。

特に社内SEの場合、企業によって業務内容、責任範囲、労働時間、キャリアパス、技術環境などが大きく異なります

具体的なリサーチ方法として、OpenWork、転職会議、カイシャの評判などの口コミサイトで現職・元社員の生の声を確認することが重要です。また、企業の決算資料やIR情報からIT投資状況を分析し、LinkedInで社員のキャリア履歴を確認することで、実際の成長機会を把握できます。

企業説明会や職場見学での直接的な情報収集、業界関係者からのヒアリングなども組み合わせて多角的に調査しましょう。

平均残業時間、有給取得率、離職率、昇進実績なども重要な指標となります。

自己分析とキャリアプランの明確化

自分の価値観、スキル、キャリア目標を明確に把握し、それに合致する企業を選ぶことが、長期的に満足できる社内SE職場を見つける最も確実な方法です。自己分析をしっかり行うことで適切な企業選択ができます。

社内SEという職種は企業によって求められる役割が大きく異なるため、自分が何を重視し、どのような働き方を望んでいるかを明確にしないと、ミスマッチが起こりやすくなります。

例えば、ワークライフバランスを重視するなら残業時間や休日出勤の頻度、技術成長を重視するなら新技術導入の積極性や研修制度、安定性を重視するなら企業の財務状況や業界での地位、やりがいを重視するなら裁量権の大きさや経営陣との距離感などを重点的に評価する必要があります。

また、5年後、10年後にどのようなポジションに就きたいかを具体的に描き、そのキャリアパスが実現可能な企業を選ぶことが重要です。

自己分析ツールやキャリアカウンセリングを活用して客観的な視点を取り入れ、優先順位を明確にした評価シートを作成することが効果的です。

転職エージェントの効果的な活用法

転職エージェントを戦略的に活用することで、非公開求人へのアクセス、企業内部情報の入手、選考対策の支援など、個人では得られない価値のあるサポートを受けることができます。

適切なエージェントを活用することで優良企業との出会いの機会を大幅に増やすことが可能です。

転職エージェントは企業との直接的な関係を持っており、求人票には記載されない詳細な情報や、企業が求める人物像、選考のポイントなどの内部情報を保有しています。

特に社内SE特化型のエージェントであれば、業界の動向や各企業の特色についても深い知識を持っているため、より精度の高いマッチングが期待できます。

エージェント経由でないと応募できない非公開求人への応募などを活用しましょう。また、企業の採用担当者や現場責任者との面談セッティング、内定後の年収交渉や入社日調整の代行なども重要なサービスです。

エージェントは転職のパートナーとして位置づけ、自分の希望や懸念を率直に伝えて信頼関係を築くことが成功の鍵となります。

まとめ

今回ご紹介したように、社内SEには向き不向きがあります。実際に働く前から「社内SEはやめとけ」という意見を鵜呑みにしてしまうと、機会損失につながってしまう可能性があります。

「自分は社内SEに向いているのか?」といった悩みを抱えているなら、ウィルオブテックの無料キャリア相談でエンジニア転職に詳しいキャリアアドバイザーに相談してみませんか?

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