2023年は、ChatGPTをはじめとした生成AIがブームとなりました。生成AIとは、テキスト・イラスト・画像などを自動で作成する技術のことで、プログラミングもAIで自動生成できるとされています。
生成AIプログラミングを実際に業務で活用することはできるのでしょうか?今回は、生成AIプログラミングの概要の他、メリット・デメリットや代表的なサービスについてご紹介します。

生成AIを活用したプログラミングとは?

まずは、生成AIを活用したプログラミングとはどのようなものなのかについてご紹介します。
生成AIプログラミングとは?
生成AIプログラミングとは、生成AI(既存のデータを解析し、その情報を元に新しいコンテンツを生成すること)を活用してプログラミングを行うことを指します。
数多くの既存のコードとプログラミング言語の文法をAIに学習させることで、特定のタスクや機能に対応するコードを自動で生成します。
なお、「コード生成AI・コーディングAI・ソースコードAI」といった呼び名がありますが、生成AIプログラミングと同じ意味の言葉です。以下、もっとも一般的な「コード生成AI」で統一してご紹介します。
コード生成AIの可能性と社会・経済への影響は?
コード生成AIはまだはじまったばかりの技術ですが、このまま進化すると社会・経済に大きなインパクトを与えるとされています。社会・経済への影響について解説します。
プログラマーに与える影響
「AIが人の仕事を奪う」といったテーマの議論が活発に行われています。コード生成AIにおいては、「AIがプログラミングをできるなら、プログラマーはいらなくなるのでは?」という不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
ただ、コード生成AIのコードは正確性にまだ不安があり、専門家によるチェックやフィードバックが欠かせません。そのため、AIが発達したからといって、プログラマーが完全にいなくなるという可能性は極めて低いでしょう。
今後、さまざまな企業で導入が進む?
コード生成AIを利用できるサービスはいくつかありますが、専門家によるコードのチェックが欠かせないという状況から、そこまで普及していないのが現状です。
ただ、AIの精度が高まり、コード生成AIを活用したワークフローが確立すれば、今後さまざまな企業で導入が進むかもしれません。
イノベーションの推進をサポートする?
コード生成AIを導入する最大の魅力は、基本的なコーディングタスクやテスト作業などをAIに任せて、より高度でクリエイティブな作業にリソースを集中させられる点です。
プログラマーの負荷軽減・リソースの最適化に役立てられるため、コード生成AIを導入することで、イノベーションを起こしやすい環境を構築できるでしょう。
コード生成AIを活用するメリット・デメリット

次に、コード生成AIを活用するメリット・デメリットについてご紹介します。
コード生成AIのメリット
まずは、コード生成AIのメリットをひとつずつ確認していきましょう。
開発スピードが飛躍的に向上する
基本的なコーディングやテスト作業など、比較的簡単な作業をコード生成AIに任せ、プログラマーのリソースを高度な業務に集中させることで、開発スピードの飛躍的な向上を期待できます。
コードの誤りを見つけたり、修正したりする精度が高い
コード生成AIは、コードの誤りを見つけ修正する能力に優れています。プログラマーが書いたコードのチェックにコード生成AIを活用することで、作業の正確性が高められるかもしれません。
コーディングを最適化できる
コード生成AIは、膨大な量のコードを学習し記憶できます。この能力を活かして、例えばより効率的なコードの書き方を模索して提案するなど、ナビゲーションのような使い方への応用を期待できます。
コード生成AIのデメリットは?
一方で、コード生成AIにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
コードの正確性に不安がある
生成AIの能力は日進月歩で進化していますが、コードの正確性においてはまだまだ不十分とされています。コードを書いてもらってもダブルチェックが必要になり、業務効率化が悪化する懸念があります。
依存度が高くなる懸念がある
コード生成AIに依存すると、プログラマーのクリエイティビティや問題解決能力の低下につながります。そのため、「基本的なコーディングはAI」「プログラマーはより高度な業務」など、コード生成AIを導入する際には業務のすみわけが重要になります。
また、決まったコードを繰り返し創造性が失われることで、最終的なアウトプットの質も低下する恐れがあります。
セキュリティリスクが高くなる
コード生成AIの弱点は、セキュリティリスクを踏まえたコードが書けないという点です。コード生成AIのコードが脆弱性を生み出し、プログラムの不具合や情報漏洩の原因につながる恐れがあります。
倫理的・法的なリスクにつながる可能性がある
コード生成AIは、セキュリティリスクと同様に、著作権やプライバシーを踏まえたコードを書くことができません。そのため、意図しないところで著作権やプライバシーを侵害してしまう恐れがあります。
コード生成AIの今後予測される進化

次に、今後予想されるコード生成AIの進化についてご紹介します。
機械学習モデルの進化により複雑なプログラミングに対応する
コード生成AIの核となるのは、機械学習モデルという技術です。機械学習モデルがさらに進化することで、膨大なコードから高度な推論を行い、より複雑なプログラミング言語の生成を期待できます。
また、プロジェクト要件を理解して最適なソリューションを導いたり、コードの品質を向上させるリファクタリングを提案したり、コードの生成に限らないマルチな能力を備えた生成AIに進化する可能性もあります。
自動プログラミングから自律システムへ移行する
現在のコード生成AIが自動で行えるのは、「コードの生成」に限定されており、その他の入力や操作は人間が行っています。
自らで考えてプログラミングを行い、自分でテストまで完了させるような「自律システム」にまで進化させるのが、コード生成AIの最終目標です。
プログラミングが安易になり、エンドユーザーが自分でプログラミングができる時代に
今後、コード生成AIは、エンドユーザーでも使えるサービスにまで進化する可能性が高いです。
コード生成AIをエンドユーザーが使える状況になれば、プログラマー以外の方でも、自分のニーズや目的に合わせて、自由にシステムやアプリケーションを開発できるようになります。
代表的なコード生成AIサービス 6選
料金 | 主な機能 | 特徴 | |
Amazon CodeWhisperer | 無料 | ・コード生成 ・セキュリティスキャン機能 ・コードのレビュー | セキュリティスキャン機能など、高度な業務にも対応 |
AI Programmer | 無料 (※プロトタイプ) | ・コードの生成 | シンプルなUIと機能で使いやすい |
GitHub Copilot | 無料 | ・コード生成 ・コードの予測提案 | 文脈理解力が高く、多様なコーディネーターや言語に対応 |
Google Colab×Codey | 有料 | ・コード生成 ・コード補完 ・コード支援チャットボット | Colabが得意とするPythonのコード生成やコード補完に適したツール |
Code Llama | 無料 | ・コード生成 ・コード補完 ・コード支援チャットボット | 機能が充実しており、高度なコード生成にも対応。コード補完やデバッグなどのタスク効率的に最適 |
OpenAI Codex | 無料 | ・コード生成 ・コード補完 ・コード支援チャットボット | 充実した機能と使いやすくシンプルなUIが特徴 |
最後に、代表的なコード生成AIのサービスをご紹介します。
Amazon CodeWhisperer
Amazon CodeWhispererは、Amazon Web Services (AWS)が提供する機械学習に基づいた無料のプログラマー支援ツールです。
セキュリティスキャン機能を搭載しており、脆弱性の弱いコードを検出できるほか、コードの提案やレビューを自動化し、開発者がより速く、より効率的にコードを書けるように支援します。
AI Programmer
AI Programmerは、有限会社ASRealが提供しているコード生成AIです。現在プロトタイプを無料で公開しており、日本語で指示を出すだけで必要なソースコードを生成してくれます。
GitHub Copilot
GitHub Copilotは、GitHubが提供する無料のコード生成AIです。
指示に対してコードを生成する機能だけでなく、OpenAI Codexを基にしており、自然言語のコメントやコードから次に書くべきコードを予測して提案する機能も搭載しています。
Google Colab×Codey
Google Colabは、ブラウザ上でPythonコードを書き、実行できる環境を提供するGoogleのサービスです。
Google Colab には、コード補完・自然言語によるコード生成・コード支援チャットボットといったAIコーディングが活用できるCodeyを搭載しており、コード生成AIに対応しています。
Code Llama
Code Llamaは、Meta社が開発した無料で使えるコード生成AIです。
5000億単語以上のデータを学習しており、コード補完・自然言語によるコード生成・プログラム関連の質問に回答するチャットの機能を搭載しています。複雑なコード生成にも対応しているのが特徴です。
OpenAI Codex
OpenAI Codexは、OpenAIが開発した無料で活用できるコード生成AIです。自然言語の指示によるコード生成・コードの自動補完に対応しています。
また、プログラミングの疑問を返答するチャットボットも搭載しています。
まとめ
コード生成AIとは、指示に合わせてテキスト・画像・イラストなどを自動生成するAI技術を活用したコーディングツールです。
基本的なコーディングを自動生成できる他、コードの修正・提案など、プログラミング業務の効率化にも活用できます。興味がある方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、コード生成AIの導入を検討してみてください。
