転職活動において「どの企業を選ぶか」は、人生の大きな分岐点になります。
しかし、情報があふれている今の時代、「どれを信じていいか分からない」と感じている人も多いのではないでしょうか?
SNSや採用ページを見て「楽しそう!」「雰囲気よさそう!」と思って応募したけれど、入ってみたら全然違った……。 そんな話も珍しくありません。
今回は、現代の転職活動における企業選びの難しさと、「自分の軸」を見つめることの大切さについて解説します。

執筆者プロフィール
合同会社エンジニアリングマネージメント 社長
久松 剛さん
慶應義塾大学大学院政策メディア研究科博士(政策・メディア)。2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。合同会社エンジニアリングマネージメント社長兼レンタルEM。ベンチャー企業3社にてIPOや組織改善コンサル、PjMなどを歴任後、2022年に合同会社を設立。
現在はスタートアップから日系大手企業まで企業規模を問わず、採用や組織改善コンサル、セミナー、執筆など幅広く活躍中。
TOPICS
情報があふれる時代の企業選び
今の時代、企業はさまざまな方法で自社をアピールしています。
- キレイにデザインされた採用サイト
- SNSでの社員インタビューや会社イベントの様子
- 「働きやすさ」や「裁量の大きさ」をアピールする求人票
- 明るくて楽しそうな動画コンテンツ
これらを見れば、会社の雰囲気がなんとなく分かるような気になりますよね。 そのノウハウは「CX(Candidate Experience)」として注目され、企業による“ハック”も増えています。
しかし、その情報がすべて「リアル」かというと、そうとは限りません。
加速する“候補者体験”のハック
最近では、ブランディングのために綿密に設計された採用コンテンツが増えています。
コーポレートサイト、公式X(旧Twitter)、採用ブログ、社員インタビュー動画……そのどれもが「楽しそう」「活気がありそう」と感じさせる作りになっています。
もちろん、企業努力の結果とも言えます。
しかし中には、「現場の実情とは違うのでは?」と思ってしまうケースもあります。
たとえば、
- 「フラットな組織」と言われていたのに、実際はトップダウン
- 社員インタビューが全員、経営陣や広報寄りのメンバーだった
- 一部の口コミサイトに“過剰な演出”が感じられることもある
- 「リモートワーク可能」と書いてあるのに、実際には出社前提だった
そんな“ギャップ”に直面することも十分あり得ます。
オンライン完結型選考の落とし穴
特に最近は、1day選考やフルリモート面接が増えています。
候補者にとっては便利ですが、企業の空気感を感じたり、社員の表情や会話の雰囲気をつかんだりする機会が減ってしまうのも事実です。
- 「社員と雑談する機会がなかった」
- 「面接官が全員マネージャー以上で、現場の声を聞けなかった」
- 「一度もオフィスを見ずに内定が出た」
こうした状況では、「ここで働く自分」をリアルに想像するのは難しいかもしれません。
もちろん、短期間で内定が出るスピード感や効率の良さは魅力です。
ですが、それが自分に合った企業なのかを判断する材料は、足りなくなりがちです。
最終的には“自分の目”と“納得感”
企業選びに正解はありません。なぜなら、「誰かが良いと言っていた」企業が、あなたにとっても良いとは限らないからです。
大切なのは、自分自身が納得できる軸を持つこと。
- 「裁量が欲しい」と思うなら、面接で実際のプロジェクト体制を聞いてみる
- 「働き方の柔軟性」が大事なら、リモートや時差出勤の実態を確認する
- 「一緒に働く人」が気になるなら、現場の社員と話す機会をリクエストする
そういった一つひとつの行動が、あなたの“納得感”につながります。
自分の軸を持つためにできること
最後に、企業選びで迷わないために、ぜひ試してほしいアクションをいくつか紹介します。
- 面接では質問をする側にもなる
受け身にならず、気になることを積極的に聞きましょう。
「社員間の勉強会や交流はありますか?」など、雰囲気が伝わる質問が有効です。
抽象的な話だけでなく、具体的なエピソードも引き出せると、より企業のリアルな姿が見えてきます。 - 社員のSNSや登壇情報もチェック
採用広報ではなく、個人の発信から伝わる空気も参考になります。 - 気になる点は遠慮せず確認する
「評価制度はどのようになっていますか?」「どういった方が活躍する傾向にありますか?」など、実態に迫る質問をしましょう。 - 「なんとなく」ではなく「なぜここが気になるのか」を言語化する
この言語化こそが、あなた自身の“転職軸”になります。
理想の企業選びとは——「自分のやりたいこと」との接点を見つけること
最終的に「良い会社かどうか」を決めるのは、その会社が世の中でどう評価されているかよりも、あなた自身のやりたいこととマッチしているかどうかです。
- どれだけ待遇が良くても、自分が関わりたい分野と違えばモチベーションは続きません。
- どれだけカルチャーが合っていても、やりたい仕事ができなければ納得感は薄れます。
逆に言えば、自分のやりたいこと(転職の軸)が明確になっていれば、選考の場でも「ここは合いそう」「ここは違うかも」という判断がしやすくなります。
企業選びは“マッチング”です。そして理想的なマッチとは「自分のやりたいこと」×「企業の方向性」=納得できるキャリア選択です。
この掛け算がうまく成立したとき、転職は成功に近づきます。情報に振り回されすぎず、自分の内側にある「こう働きたい」を軸にしましょう。
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