エンジニアとしてキャリアを積んできたけど、マネジメントは未経験。
「どんなスキルが必要で、どの本を読めばいいか分からない…」と悩んでいませんか?
適切なエンジニア向けマネジメント本を選べば、技術者としての強みを活かしつつ、チームの課題解決や効果的な手法を学べるので、マネジメントへの移行をスムーズに進められます。
本記事では、未経験者が最初に読むべき本の選び方や、キャリアの悩みに合わせた具体的なマネジメント本を厳選して解説します。
あなたに最適な一冊を手に取り、チームとの信頼関係を構築しながら、確実にマネジメントスキルを身につけていきましょう。
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本記事で紹介する、エンジニア向けマネジメントの名著7冊
まずは、エンジニアが最初に読むべきマネジメントの名著7冊を一覧でご紹介します。
それぞれの本がどんな課題に役立つかをまとめたので、あなたの状況に合う一冊を見つける参考にしてください。
もし気になる一冊が見つかったら、ぜひこのまま読み進めてみてください。
以降の章では、これらの名著から得られる知識を現場で実践するためのヒントも含めて、より深く、そして分かりやすくご紹介します。
書名 | どんな本? | こんな人におすすめ |
『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』 | テックリードからCTOまでのキャリア段階ごとの役割とスキルを解説する、キャリアの道しるべ。 | 今後のキャリアパスに悩んでいるエンジニア |
『ピープルウェア』 | 技術ではなく「人」に焦点を当て、生産性の高いチームを作るための原理原則を説く不朽の名著。 | チームの生産性が上がらずに悩んでいるマネージャー |
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 | Intel元CEOが語る、マネージャーの仕事を「アウトプットの最大化」と定義したマネジメントのバイブル。 | マネジメントの役割と本質を基礎から学びたい方 |
『Team Geek』 | Googleのエンジニアが書いた、エンジニアチーム特有の「人間関係」の問題を解決するための本。 | チーム内のコミュニケーションに課題を感じているリーダー |
『エレガントパズル』 | 急成長する組織の課題解決に特化し、複雑な問題を「パズル」と捉え、実践的な解決策を探る。 | スタートアップのマネージャーやCTO/VPoEを目指す方 |
『失敗の科学』 | 失敗を許容し、学習する組織文化の重要性を説く。心理的安全性の土台となる考え方が身につく。 | チームで失敗を乗り越え、成長する文化を作りたい方 |
『プロジェクトのトラブル解決大全』 | 炎上プロジェクトの火種を早期発見し、解決するための超実践的な「火消し術」を86項目で紹介。 | プロジェクトがなぜか炎上しがちなマネージャー |
エンジニアがマネジメント本を読むべき理由とは?

技術力を活かしてさらにキャリアアップを目指すなら、マネジメントの知識は強力な武器になります。
この章では、エンジニアがマネジメント本を読むべき理由について紹介します。
本を読むことで得られる主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- テックリードからCTOへのキャリアアップが可能になる
- チーム開発の生産性が向上する
- 技術力以外の市場価値が身につく
理由(1)テックリードからCTOへのキャリアアップが可能になる
エンジニアとしてのキャリアを積み重ねる中で、技術力だけでは到達できない上位職種への道筋が見えてきます。
テックリードやエンジニアリングマネージャー、さらにはCTOといったポジションには、コーディングスキル以外の能力が必要不可欠です。
マネジメント本を読むことで、これらの役職で求められる人材育成、戦略的思考、組織運営といった具体的なスキルセットを体系的に学習できます。
特に『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』のような書籍では、各キャリアステップで必要な能力が明確に解説されており、自分の現在地と目標とのギャップを把握できます。
技術の専門性を活かしながら組織全体に影響を与えるリーダーになることで、年収1,500万円以上の高い市場価値を持つ人材として活躍する道が開けるでしょう。
以下の表に『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』 (原題: The Manager’s Path) |
著者 翻訳者 | Camille Fournier 武舎 広幸, 武舎 るみ |
出版社 | オライリー・ジャパン |
発行年月 | 2018年9月 |
ISBN-13 | 978-4873118482 |
ページ数(目安) | 312ページ |
概要 | テックリードからCTOまで、エンジニアの各キャリア段階で求められるスキルセットと役割を具体的に解説。自身のキャリアパスを描き、次のステップに進むための道しるべとなる一冊です。 |
こんな人におすすめ | ・今後のキャリアパスに悩んでいるエンジニア ・テックリードからマネージャーを目指している方 ・各マネジメント役職の役割の違いを明確に理解したい方 |
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理由(2)チーム開発の生産性が向上する
一人のスーパーエンジニアの力だけでは、複雑なソフトウェア開発を乗り切ることはできません。
チーム全体の力を最大限に引き出すことこそが、プロジェクト成功の鍵を握ります。
マネジメント本には、そのための具体的な手法が詰まっています。
例えば、円滑なプロジェクト進行、活発なコミュニケーション、的確なタスク配分といった手法を実践することで、チームのパフォーマンスは驚くほど向上するのです。
『ピープルウェア』や『プロジェクトのトラブル解決大全』といった書籍では、炎上プロジェクトを未然に防ぐ方法や、チーム規模と生産性の関係が科学的根拠とともに解説されています。
1on1ミーティングの効果的な進め方、心理的安全性の構築、問題の早期発見と対処など、実践的な手法を身につけることで、開発効率と品質の両方を同時に改善できる環境を作り出せます。
以下の表に『ピープルウェア』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『ピープルウエア 第3版ヤル気こそプロジェクト成功の鍵』 (原題: Peopleware: Productive Projects and Teams, Third Edition) |
著者 翻訳者 | トム・デマルコ, ティモシー・リスター 松原 友夫, 山浦 恒央,長尾高弘 |
出版社 | 日経BP |
発行年月 | 2013年12月 |
ISBN-13 | 978-4822285241 |
ページ数(目安) | 320ページ |
概要 | ソフトウェア開発における最大の問題は技術ではなく「人」であると喝破し、創造的なチームを作るための環境や文化について科学的根拠を基に解説。多くのエンジニアに読み継がれる不朽の名著です。 |
こんな人におすすめ | ・チームの生産性が上がらずに悩んでいる方 ・メンバーが働きやすい環境を本気で構築したい方 ・マネジメントの本質を学びたい方 |
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以下の表に『プロジェクトのトラブル解決大全』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』 |
著者 | 木部智之 |
出版社 | KADOKAWA |
発行年月 | 2022年2月18日 |
ISBN-13 | 978-4046055316 |
ページ数(目安) | 256ページ |
概要 | 実際の現場で使える具体的なトラブル解決法を86項目に整理。 「ずっと使える100の質問」の作り方、1人決断タイム、犯人活用法、正しいバッファーの置き方、チームのルール作り、オフィス改善のコツなど、超実践的な手法を多数紹介。 |
こんな人におすすめ | ・プロジェクトがなぜか炎上しがちなマネージャー ・トラブルの予兆を早期に察知し、対策したいリーダー ・具体的な失敗事例から学びたい方 |
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理由(3)技術力以外の市場価値が身につく
変化の激しいIT業界では、「技術に詳しいだけのエンジニア」と「技術もわかるマネージャー」のどちらが求められるでしょうか。
答えは明確です。
特に30代以降のキャリアを見据えたとき、チームを率いて成果を出す能力は、あなたの市場価値を大きく左右します。
マネジメント本から得られる技術的意思決定、人材育成、戦略的思考といったスキルは、転職や昇進の場面で「この人が欲しい」と思わせる強力なアピールポイントになるのです。
これらのスキルを身につけることで、開発部長、プロダクトマネージャー、ITコンサルタント、スタートアップ創業者など、多様なキャリア選択肢が生まれます。
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』や『エレガントパズル』のような入門書から学習を始めることで、技術スキルの陳腐化リスクを回避しながら、長期的に市場価値の高い複合的な能力を構築できるでしょう。
以下の表に『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント』 (原題: High Output Management) |
著者 翻訳者 | アンドリュー・S・グローブ 小林 薫 |
出版社 | 日経BP |
発行年月 | 2017年1月 |
ISBN-13 | 978-4822255015 |
ページ数(目安) | 336ページ |
概要 | Intelの元CEOが自身の経験を基に、マネージャーの仕事を「アウトプットの最大化」と定義。1on1や目標設定など、今日でも通用する実践的なマネジメント手法を体系的に解説した、まさにマネージャーのバイブルです。 |
こんな人におすすめ | ・マネージャーの役割を基礎から学びたい方 ・チームのアウトプットを具体的に向上させたい方 ・市場価値の高いマネジメント思考を身につけたい方 |
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以下の表に『エレガントパズル』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか』 (原題: An Elegant Puzzle: Systems of Engineering Management) |
著者 翻訳者 | Will Larson 吉羽 龍太郎, 原田 騎郎 |
出版社 | 日経BP |
発行年月 | 2024 年5月 |
ISBN-13 | 978-4296070916 |
ページ数(目安) | 260ページ |
概要 | 急成長する組織におけるエンジニアリングマネジメントの課題解決に特化。採用、チーム編成、技術的負債など、マネージャーが直面する複雑な問題を「パズル」と捉え、エレガントな解決策を探ります。 |
こんな人におすすめ | ・スタートアップ企業のマネージャー ・組織規模の拡大に悩んでいるリーダー ・CTOやVPoE(技術部門の責任者)を目指す方 |
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新任マネージャーが陥りがちな失敗とその対策

マネージャーになったばかりの頃は、誰でも戸惑うものです。
この章では、新任マネージャーが陥りがちな失敗とその対策について紹介します。
ここでは、特にエンジニア出身者がつまずきやすい、以下の3つの失敗パターンを見ていきましょう。
- プレイヤー意識が抜けず仕事を抱え込む
- 過干渉によりメンバーの主体性を奪う
- 技術的な正しさでメンバーを論破する
失敗例(1)プレイヤー意識が抜けず仕事を抱え込む
エンジニアからマネージャーになった人が最初にぶつかる壁が、プレイヤー意識が抜けないことです。
優秀なエンジニアであればあるほど、「自分でやった方が早いし、クオリティも高い」と感じてしまうのは、ごく自然な感情かもしれません。これまで個人の技術力で評価されてきたのですから、無理もないことです。
しかし、マネージャーの仕事は、自分自身が手を動かすことではなく、チーム全体の成果を最大化することです。
あなたが深夜まで一人で複雑なバグ修正に奮闘している間、本来やるべきだったメンバーとの1on1や、チーム全体の成長を支援する時間は失われていきます。これでは、マネージャーの役割を果たしているとはいえません。
この問題を解決するには、段階的な権限移譲と適切なフィードバック体制の構築が必要です。
まずは小さなタスクから始めて、メンバーに任せる範囲を徐々に拡大していくことで、チーム全体の能力向上と自分自身のマネジメントスキル習得を両立できるでしょう。
失敗例(2)過干渉によりメンバーの主体性を奪う
自分の技術力に自信があるからこそ、メンバーのやり方が非効率に見えてしまうことがあります。
これが、過干渉につながってしまいます。
例えば、コードレビューで「自分ならこう書く」と細部まで修正を指示したり、技術調査の進捗を逐一確認して指示を出したり、議論の途中で「結論はこうだよね」と話をまとめてしまったりする行動です。
こうした過干渉は、短期的には品質が保たれるように見えるかもしれません。しかし、長い目で見れば、メンバーから「自分で考える力」と「挑戦する意欲」を奪ってしまいます。結果として、マネージャーの指示がなければ動けない、主体性のないメンバーばかりになり、チームは活力を失っていくのです。
また、失敗から学ぶ機会も奪われるため、問題解決能力や意思決定スキルが育たず、結果的にマネージャーの負荷がさらに増加する悪循環に陥ります。
効果的なマネジメントのためには、目標設定と成果の評価基準を明確にした上で、目標を達成するための手段やアプローチはメンバーの創意工夫に委ねる「目標管理」のアプローチを採用することが重要です。
失敗例(3)技術的な正しさでメンバーを論破する
エンジニアは論理的思考や技術的正確性を重視する文化で育ってきたため、その正しさをメンバーとの対話でも求めてしまいます。
これが、自分の豊富な知識や経験を武器に、相手を一方的に言い負かしてしまう「論破」という失敗につながってしまうのです。
例えば、アーキテクチャの議論でメンバーの提案に対し、技術的な欠点ばかりを次々と挙げて却下してしまったり、進捗の遅れについて報告された際に、その理由を技術的な観点から理詰めで反論したりする行動がこれにあたります。
このような対応は、一見するとその場で最も効率的に問題を解決しているように見えるかもしれません。
しかし、実際にはチーム内に「何を言っても否定される」という空気を作り出し、メンバーが安心して発言できる心理的安全性を根本から破壊してしまいます。論理で打ち負かされた経験のあるメンバーは、今後のミーティングで積極的に意見を述べることをためらうようになるでしょう。その結果、多様な視点や新しいアイデアが生まれにくく、停滞した組織になってしまいます。
さらに深刻なのは、重要な課題やリスクが見えにくくなることです。
報告しづらい雰囲気の中では、小さな問題の火種が誰にも気づかれないまま放置され、気づいたときには手遅れとなる深刻なトラブルへと発展する危険性が高まります。
チームとして建設的な対話を実現するには、技術的な正しさをぶつけ合う前に、まずメンバーの意見や提案の背景にある考えや懸念を丁寧に聞く姿勢が大切です。
相手の視点を一度受け止めて尊重した上で、自分の意見として技術的な指摘を伝えることが、信頼関係を築く上で不可欠になります。
マネジメント本で習得できる必須スキルとは?

では、マネジメント本は具体的にどのような力を与えてくれるのでしょうか。
この章では、マネジメント本で習得できる必須スキルについて紹介します。
マネジメント本で習得できる必須スキルは以下の4つです。
- 心理的安全性を高めるチーム内対話術
- プロジェクトを円滑に進める管理能力
- メンバーの成長を促進する1on1の方法
- 効果的な目標設定とフィードバックの手法
スキル(1)心理的安全性を高めるチーム内対話術
マネージャーとして、最初に手に入れたいのが「心理的安全性」の高いチームを作るスキルです。
技術的な問題やバグの報告、進捗の遅れといったネガティブな情報を早期に共有できる環境がなければ、プロジェクトの真の状況を把握することは困難です。
『失敗の科学』や『Team Geek』といった書籍では、心理的安全性が高いチームほど失敗から学習し、イノベーションを生み出しやすいことが実証されています。
そのための具体的な手法が、例えば『ピープルウェア』で紹介されている「ブレームレス・ポストモーテム」です。
これは、問題が起きた際に「誰のせいか」を追求するのではなく、「なぜ起きたのか」「どうすれば防げるか」という未来志向で議論する振り返りの手法です。
犯人探しをやめるだけで、チームの雰囲気は劇的に変わります。
また、『エンジニアリングが好きな私たちのためのエンジニアリングマネジャー入門』では、日常会話でも相手の話を最後まで聞き、異なる意見を歓迎する姿勢を示すといった基本的な対話術が詳細に解説されており、これらの手法を習得することでメンバーが安心して情報共有できる組織文化を構築できるでしょう。
以下の表に『失敗の科学』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』 (原題: Black Box Thinking) |
著者 翻訳者 | マシュー・サイド 有枝 春 |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
発行年月 | 2016年12月 |
ISBN-13 | 978-4799320235 |
ページ数(目安) | 343ページ |
概要 | 成功する組織の「失敗から学ぶ文化」を分析し、心理的安全性やブラックボックス思考の重要性を説く一冊。失敗を隠蔽せず、成長の糧とするためのマインドセットを学べます。 |
こんな人におすすめ | ・チームの失敗を許容し、学習する組織を作りたいマネージャー ・心理的安全性の重要性を論理的に理解したい方 ・問題の根本原因を特定する文化を醸成したい方 |
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以下の表に『Team Geek』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『Team Geek ― Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』 (原題: Team Geek: A Software Developer’s Guide to Working Well with Others) |
著者 / 翻訳者 | Brian W. Fitzpatrick, Ben Collins-Sussman 角征典 |
出版社 | オライリー・ジャパン |
発行年月 | 2013年7月 |
ISBN-13 | 978-4873116303 |
ページ数(目安) | 240ページ |
概要 | Googleのエンジニアが、ソフトウェア開発における「人間関係」の問題解決に焦点を当てた一冊。謙虚・尊敬・信頼(HRT)を軸に、エンジニアチーム特有のコミュニケーション課題を乗り越える方法を説きます。 |
こんな人におすすめ | ・チーム内のコミュニケーションに課題を感じているマネージャー ・ギスギスしたチームの雰囲気を改善したいリーダー ・人間関係の構築方法を具体的に知りたい方 |
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以下の表に『エンジニアリングが好きな私たちのためのエンジニアリングマネジャー入門』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『エンジニアリングが好きな私たちのための エンジニアリングマネジャー入門』 (原題: Engineering Management for the Rest of Us) |
著者 翻訳者 | Sarah Drasne 岩瀬義昌 |
出版社 | 日本能率協会マネジメントセンター |
発行年月 | 2024年7月 |
ISBN-13 | 978-4800592415 |
ページ数(目安) | 264ページ |
概要 | コード中心の仕事から「人」や「チーム」中心の仕事へと変わる際の戸惑いや課題に寄り添い、現場で直面するリアルな悩みとその対処法を解説 |
こんな人におすすめ | ・初めてマネージャーになったエンジニア ・これからマネージャーになる予定で、何をすべきか知りたい方 ・体系的かつ網羅的にマネジメントの基礎を学びたい方 |
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- 『ピープルウェア 第3版』は「理由(2)チーム開発の生産性が向上する」で紹介しています。
スキル(2)プロジェクトを円滑に進める管理能力
ソフトウェア開発プロジェクトは本質的に不確実性が高く、要件変更や技術的な問題が頻繁に発生するため、体系的なプロジェクト管理手法の習得が不可欠です。
『プロジェクトリーダーの教科書』では、プロジェクトを定義フェーズ、デザインフェーズ、推進フェーズに分けて管理することで、各段階での重要なポイントを見逃さずに進められると解説されています。
特に「やらないこと」を明確にするスコープ定義や、リスクを予測したバッファマネジメントは、エンジニアが陥りがちな技術的完璧主義を適切にコントロールする重要な手法です。
『プロジェクトのトラブル解決大全』が教えてくれるのは、多くの炎上プロジェクトは、最初から大火事だったわけではない、ということです。
技術的負債やコミュニケーション不足といった、小さなボヤを見過ごした結果、取り返しのつかない大火事へと発展するのです。
この本から、ボヤを早期に発見し、消火するための具体的な方法を学ぶことで、プロジェクトの成功率は格段に高まるでしょう。
以下の表に『プロジェクトリーダーの教科書』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『プロジェクトリーダーの教科書― 外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ』 |
著者 | 中鉢 慎 |
出版社 | かんき出版 |
発行年月 | 2018年7月 |
ISBN-13 | :978-4761273569 |
ページ数(目安) | 192ページ |
概要 | プロジェクトを「定義」「デザイン」「推進」の3フェーズに分け、各段階でリーダーがやるべきことを明確に解説。「やらないこと」を決めるスコープ管理など、日本の現場に即した実践的なノウハウが満載です。 |
こんな人におすすめ | ・初めてプロジェクトリーダーを任された方 ・プロジェクトの進め方に型がなく、毎回手探りになっている方 ・計画通りにプロジェクトを進めたい方 |
https://amzn.asia/d/8yOMeym |
- 『プロジェクトのトラブル解決大全』は「理由(2)チーム開発の生産性が向上する」で紹介しています。
スキル(3)メンバーの成長を促進する1on1の方法
メンバーの成長とやる気を引き出す上で、マネージャーが使える最も強力なツールが「1on1ミーティング」です。
これは単なる進捗確認の場ではありません。
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』では、1on1の目的を以下のように定義しています。
- 部下の教育と訓練
- 情報交換
- 相互理解の促進
- 問題解決
マネージャーがメンバー一人ひとりと深い関係性を築くための重要な機会と位置づけています。
『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』では、効果的な1on1の進め方として、以下のポイントが紹介されています。
- メンバーが話す時間を8割以上にする
- 業務の進捗確認ではなく成長やキャリアに関する話題を中心にする
- 具体的なアクションプランを一緒に考える
技術的な課題について相談を受けた際は、すぐに答えを提供するのではなく、メンバー自身が解決策を考えられるよう適切な質問を投げかけることで、問題解決能力の向上を支援できます。
定期的な1on1により、メンバーの現在の状況や将来への不安、技術的な興味を把握し、適切なサポートを提供することが可能です。
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は「理由(3)技術力以外の市場価値が身につく」で紹介しています。
『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』は「理由(1)テックリードからCTOへのキャリアアップが可能になる」で紹介しています。
スキル(4)効果的な目標設定とフィードバックの手法
チームの生産性を高め、メンバーの成長を促すためには、進むべき方向を示す「目標設定」と、正しい道を進んでいるかを確認する「フィードバック」が、車の両輪のように機能することが不可欠です。
まず目標設定では、誰が見ても誤解のしようがない、具体的で分かりやすい目標を立てることが重要です。
エンジニアリングチームは、品質や開発速度など評価すべき点が多岐にわたるため、目標が曖昧だとメンバーが混乱してしまいます。
『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』で紹介されているSMART原則のように、何を・いつまでに・どのレベルまで達成するのかを明確にすることで、メンバーは迷わずに行動できるようになります。
次にフィードバックでは、単に結果を伝えるだけでなく、メンバーの成長を促すような対話が必要です。
特にエンジニアに対しては、『エレガントパズル』で示されているように、コードレビューでの具体的な改善提案や技術選択の議論など、客観的な行動や成果に焦点を当てて話すことが効果的です。
もし改善点を伝える場合でも、相手の人格や能力そのものを否定するような言い方は避け、あくまで事実に基づいた伝え方をすることが信頼関係を守る上で重要になります。
そして、この二つのスキルを最大限に活かすコツは、目標設定の段階でチーム全体の目標とメンバー個人の技術的な興味やキャリアプランをうまくすり合わせることです。
やらされ仕事ではなく、メンバーが自分ごととして目標に取り組めるようになれば、その後のフィードバックも前向きに受け止められ、効率的な成長を力強く後押しできるでしょう。
以下の表に『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』 |
著者 | 山口 周 |
出版社 | 大和書房 |
発行年月 | 2023年6月 |
ISBN-13 | :978-4479797852 |
ページ数(目安) | 223ページ |
概要 | 現場経験に基づいた実践的なプロジェクトマネジメントの指南書です。電通、ボストン・コンサルティンググループ、コーン・フェリーなどでの豊富なコンサルティング経験をもとに、多様な人材をまとめあげ、あらゆるプロジェクトを成功させるリーダーの「思考と行動」を具体的に解説しています |
こんな人におすすめ | ・大規模プロジェクトや多様な関係者をまとめる必要があるマネージャー ・論理的な問題解決能力や目標設定スキルを高めたい方 ・ステークホルダーとの調整に苦労している方 |
https://amzn.asia/d/0Dc8NBI |
- 『エレガントパズル』は「理由(3)技術力以外の市場価値が身につく」で紹介しています。
課題別で見るおすすめのエンジニア向けマネジメント本

マネジメント本の内容は様々で、今のあなたが抱える課題や目指す姿によって、手に取るべき一冊は変わります。
この章では、課題別で見るおすすめのエンジニア向けマネジメント本について紹介します。
以下の5つの課題に分けて解説します。
- 初心者向け:マネジメントの全体像が理解できる本
- チーム作り:心理的安全性を高めるノウハウが学べる本
- プロジェクト管理:失敗しないプロジェクト運営法が分かる本
- 1on1実践:メンバーを育成するための対話方法が学べる本
- キャリア形成:CTOを目指すために役立つ本
初心者向け:マネジメントの全体像が理解できる本
マネジメントへの移行で不安になるのは、そもそも何をする仕事なのか、その全体像が見えにくいことが原因です。
まずはその不安を解消するため、マネジメントの全体像をスムーズに理解できる入門書から始めましょう。
『エンジニアリングが好きな私たちのためのエンジニアリングマネジャー入門』は、技術者とマネージャーの役割の違いを明確に解説し、コードから人へと対象が変わる大きな転換点について具体的に説明しています。
また、『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』では、テックリードからCTOまでの各役職で求められるスキルセットが体系的に整理されており、自分のキャリア目標を明確にできます。
忙しいエンジニアには『1分間マネジャー』のようにシンプルで読みやすい書籍もおすすめです。
これらの入門書を読むことで、マネジメント職への不安を軽減し、技術的な強みを活かしながら組織運営スキルを身につける方法が理解できるでしょう。
まずは自分の現在地と目標とのギャップを把握し、段階的にマネジメント能力を向上させていくことが重要です。
以下の表に『1分間マネジャー』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『新1分間マネジャー』 (原題: The New One Minute Manager) |
著者 翻訳者 | ケン・ブランチャード, スペンサー・ジョンソン 渡辺木綿子 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発行年月 | 2015年6月 |
ISBN-13 | : 978-4478025253 |
ページ数(目安) | 144ページ |
概要 | 物語形式で、マネジメントの要点を「1分間目標」「1分間称賛」「1分間叱責」の3つに凝縮。非常にシンプルで即実践可能な手法が特徴で、多忙なマネージャーでもすぐに取り入れられます。 |
こんな人におすすめ | ・マネジメントの基本を手早く学びたい方 ・多忙で分厚い本を読む時間がない方 ・実践的な行動指針をシンプルに知りたい方 |
https://amzn.asia/d/8GnlFXZ |
- 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』は「理由(1)テックリードからCTOへのキャリアアップが可能になる」で紹介しています。
- 『エンジニアリングマネジャー入門』は「スキル(1)心理的安全性を高めるチーム内対話術」で詳しく紹介しています。
チーム作り:心理的安全性を高めるノウハウが学べる本
効果的なエンジニアリングチームを構築するには、メンバーが安心して発言できる心理的安全性の確保が不可欠です。
『ピープルウェア』は「プロジェクト開発で最も重要なのは人である」という前提のもと、優秀な人材を惹きつけ維持する方法や創造的な仕事環境の構築術を詳細に解説しています。
技術的な判断ミスやバグの報告といったネガティブな情報を早期に共有するためには、非難されない安心感が必要です。
『Team Geek』では、技術者特有のコミュニケーション課題とその解決策が具体的に示されており、エンジニア文化に適した人間関係の構築方法が学べます。
『失敗の科学』では、失敗から学習する組織とできない組織の違いが科学的根拠とともに分析されており、ブレームレス・ポストモーテムなどの実践的手法も紹介されています。
これらの書籍で学んだ知識を活用することで、チームメンバーが積極的に意見を出し合い、問題を早期発見できる組織を構築できるでしょう。
- 『ピープルウェア 第3版』は「理由(2)チーム開発の生産性が向上する」で紹介しています。
- 『Team Geek』『失敗の科学』は「スキル(1)心理的安全性を高めるチーム内対話術」で紹介しています。
プロジェクト管理:失敗しないプロジェクト運営法が分かる本
多くの開発プロジェクトが失敗に終わる根本的な原因は、仕様変更や技術トラブルといった予期せぬ問題に対し、場当たり的な対応しかできず、開発が迷走してしまうことにあります。
そのような失敗を避けるには、あらかじめ体系的な管理手法を身につけておくことが不可欠です。
ここでは、失敗しないプロジェクトの運営方法を具体的に学べる本を紹介します。
『プロジェクトリーダーの教科書』は、プロジェクトを3つの段階で管理し、今何をすべきかを明確にする手法を解説しています。
最初に「やらないこと」を決める重要性も学べるため、エンジニアがこだわりがちな技術的完璧さをうまくコントロールする助けとなるでしょう。
また、『プロジェクトのトラブル解決大全』では、多くの炎上プロジェクトが小さな問題の見過ごしから始まると指摘し、その火種を早期に発見して大火事になる前に対処する方法を具体例から学べます。
さらに、『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』を読めば、より大規模で複雑なプロジェクトにおいて、多様な関係者の意見をまとめ、計画を前に進めるための高度な技術を身につけることができます。
これらの書籍から、自分のチームの状況に合った手法を段階的に学ぶことで、プロジェクトの成功率を高めることができるでしょう。
- 『プロジェクトリーダーの教科書』は「スキル(2)プロジェクトを円滑に進める管理能力」で紹介しています。
- 『プロジェクトのトラブル解決大全』は「理由(2)チーム開発の生産性が向上する」で紹介しています。
- 『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』は「スキル(4)効果的な目標設定とフィードバックの手法」で紹介しています。
1on1実践:メンバーを育成するための対話方法が学べる本
メンバーの能力を引き出し、モチベーションを高く保つ上で、1on1ミーティングほど強力な手法はありません。ただし、単なる進捗確認で終わらせないためには、その目的と具体的な進め方を学ぶ必要があります。
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は、1on1を単なる面談ではなく、部下の教育、情報交換、問題解決のための重要な機会と定義しています。
多くの技術者出身マネージャーはメンバーとの深い対話に慣れていませんが、この本を読めば、成長やキャリアといった本質的な話題を中心に据えた、効果的な進め方の基礎が身につくでしょう。
現場で起こりがちな課題への対処法を知りたいなら、『マネージャーの問題地図』が最適です。
メンバーに8割以上話してもらうことの重要性や、具体的なアクションを一緒に考える手法など、すぐに実践できるノウハウが満載です。
また、『管理職1年目の教科書』は、特に「聞く力」に焦点を当てています。
月1回、30分からでも始められる具体的なステップが紹介されているため、無理なく対話スキルを向上させることができるでしょう。
これらの本を通じて、進捗管理ではない、メンバー一人ひとりの成長に寄り添う本物の1on1を実践していきましょう。
以下の表に『マネージャーの問題地図』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『マネージャーの問題地図』 |
著者 | 沢渡 あまね |
出版社 | 技術評論社 |
発行年月 | 2018年8月 |
ISBN-13 | 978-4774198743 |
ページ数(目安) | 224ページ |
概要 | 「部下が育たない」「会議が長い」など、現場のマネージャーが直面する具体的な「あるある」な悩みを地図のように示し、それぞれの問題に対する処方箋を提示。現場感あふれる実践的な一冊です。 |
こんな人におすすめ | ・日々のマネジメント業務で具体的な悩みを抱えている方 ・実践的で、すぐに使える解決策が欲しい方 ・メンバーとの対話方法に悩んでいる方 |
https://amzn.asia/d/1narhNy |
以下の表に『管理職1年目の教科書』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『新 管理職1年目の教科書:外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール』 |
著者 | 櫻田 毅 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
発行年月 | 2023年4月 |
ISBN-13 | 978-4492047301 |
ページ数(目安) | 250ページ |
概要 | 新任管理職が最初に押さえるべき心構えやスキルを体系的に解説。特に「聴く力」の重要性を強調し、部下との信頼関係を築くための基本を学べます。1on1の土台となるスキルが身につきます。 |
こんな人におすすめ | ・プレイヤーからマネージャーへの役割転換に戸惑っている新任管理職 ・部下とのコミュニケーションの基本を学び直したい方 ・1on1で何を話せばいいかわからない方 |
https://amzn.asia/d/9KcmuXm |
- 『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は「理由(3)技術力以外の市場価値が身につく」で紹介しています。
キャリア形成:CTOを目指すために役立つ本
技術リーダーとしてキャリアの頂点を目指すには、単なる管理能力だけでなく、経営レベルの視座が不可欠です。
技術力とビジネス戦略、その両方を理解し、組織を成長させる能力こそが、CTOに求められる核心といえるでしょう。
そのための思考法を実践的に学ぶなら、『エレガントパズル』が最適です。
これはエンジニアリングマネジメントに特化した問題解決集であり、チーム編成や技術継承といった、リーダーが直面する難問への具体的なアプローチを示してくれます。
普遍的な原則と思考の軸を学ぶ上では、『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』が役立ちます。市場価値の高いリーダーが持つべき普遍的な考え方を、この一冊から深く吸収できるからです。
そして、組織が大きくなる際の課題については、『人が増えても速くならない』が答えをくれます。チーム規模と生産性の関係を科学的に分析しており、スケールする組織作りには欠かせない知識です。
これらの書籍で得た知識を活用すれば、技術とビジネスの両面から組織をリードできる、市場価値の高い人材へと成長できます。
年収1500万円を超えるようなキャリアパスも、決して夢物語ではありません。
以下の表に『人が増えても速くならない』の詳細をまとめました。
項目 | 内容 |
書名 | 『人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~』 |
著者 | 倉貫義人 |
出版社 | 技術評論社 |
発行年月 | 2023年6月 |
ISBN-13 | 978-4297135652 |
ページ数(目安) | 136ページ |
概要 | ソフトウェア開発は単純な作業の積み重ねではなく、思考や設計が中心となるため、人数を増やしても生産性が直線的に上がらない理由を具体的に説明。コミュニケーションコストや技術的負債、教育・情報共有の負担増など、現場で起こるリアルな課題を取り上げています。 |
こんな人におすすめ | ・チームの規模拡大に伴う生産性の低下に悩んでいるマネージャー ・自律的なチームを育てたいリーダー ・組織設計やスケーラビリティに関心がある方 |
https://amzn.asia/d/eocQFvz |
- 『エレガントパズル』『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は「理由(3)技術力以外の市場価値が身につく」で紹介しています。
マネジメント本の知識を現場で実践する方法

本を読んだだけで満足しては意味がありません。
この章では、マネジメント本の知識を現場で実践する方法について紹介します。
具体的な方法は以下の3つです。
- チームの具体的な課題と照らし合わせながら読む
- 読書会を開催して共通理解を深める
- 学んだ内容を一つずつ実務で試す
方法(1)チームの具体的な課題と照らし合わせながら読む
エンジニア出身のマネージャーが書籍の知識を効果的に活用するには、現在のチームが抱える具体的な課題を明確にした上で、その解決策を探すように読書することが重要です。
技術的な問題解決に慣れているエンジニアの思考パターンを活かし、マネジメント課題も同様のアプローチで取り組むことができます。
チームのコミュニケーション不足が課題なら『Team Geek』や『ピープルウェア』の心理的安全性構築手法を重点的に学習し、プロジェクトの炎上が頻発するなら『プロジェクトのトラブル解決大全』の早期対処法を実践します。
メンバーのモチベーション低下が問題なら『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の1on1手法を活用するなど、課題に応じて書籍を選択的に読むことで効率的なスキルアップが可能です。
『エンジニアリングマネジャー入門』でも推奨されているこの課題解決型のアプローチにより、書籍の内容を自分の状況に当てはめて理解し、即座に実践可能な知識として習得できるでしょう。
- 『Team Geek』『エンジニアリングマネジャー入門』は「スキル(1)心理的安全性を高めるチーム内対話術」で紹介しています。
- 『ピープルウェア 第3版』『プロジェクトのトラブル解決大全』は「理由(2)チーム開発の生産性が向上する」で紹介しています。
- 『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は「理由(3)技術力以外の市場価値が身につく」で紹介しています。
方法(2)読書会を開催して共通理解を深める
一人で読むだけでなく、仲間と一緒に読むことで、学びは何倍にも深まります。チームメンバーや他のマネージャーを巻き込んで読書会を開いてみましょう。一つの本でも、立場や経験が違えば、全く異なる視点からの発見があるはずです。
エンジニアは技術的な議論に慣れているため、マネジメント手法についても議論形式で学習すると理解が深まりやすく、複数の視点から書籍の内容を解釈することでより実践的な応用方法が見えてきます。
月1回、『ピープルウェア』や『エンジニアリングマネジャー入門』の1章ずつを読んで議論し、各自の経験と照らし合わせて書籍の手法が自分のチームでどう活用できるかを共有するだけでも非常に効果的です。
他の部署のマネージャーも巻き込めば、異なる組織での実践例から、さらに幅広い応用方法を習得できるかもしれません。
メンバー自身に参加してもらうことで、マネジメント手法への理解と協力が得やすくなります。
『失敗の科学』で強調されているように、多様な視点での議論は「学習する組織」を作るための理想的な環境といえるでしょう。
- 『ピープルウェア 第3版』は「理由(2)チーム開発の生産性が向上する」で紹介しています。
- 『失敗の科学』『エンジニアリングマネジャー入門』は「スキル(1)心理的安全性を高めるチーム内対話術」で紹介しています。
方法(3)学んだ内容を一つずつ実務で試す
書籍で学んだマネジメント手法を一度にすべて実践しようとせず、一つずつ小さく試してPDCAサイクルを回すことで確実にスキルアップにつながります。
エンジニアは完璧主義的な傾向があり、学んだことをすべて一度に実践しようとして失敗しがちですが、マネジメントスキルは技術スキルと異なり人間関係や組織文化に大きく左右されるため、段階的な実践が必要です。
例えば、1on1なら「まず月1回30分から」、心理的安全性向上なら「ミーティングでの質問技術から」というように、具体的なアクションを小さく始めるのが効果的です。
『エレガントパズル』で推奨されている漸進的改善アプローチと『管理職1年目の教科書』の小さな成功の積み重ねにより、メンバーの信頼を得ながら継続的な改善を通じて確実にマネジメント能力を向上させることができるでしょう。
- 『エレガントパズル』は「理由(3)技術力以外の市場価値が身につく」で紹介しています。
- 『管理職1年目の教科書』は「1on1実践:メンバーを育成するための対話方法が学べる本」で紹介しています。
本以外でマネジメントスキルを高めるには?

書籍から学ぶことは非常に多いですが、マネジメントは生身の人間を相手にする、極めて実践的なスキルです。
この章では、本以外でマネジメントスキルを高める方法について紹介します。
本以外でマネジメントスキルを高める方法は以下の3つです。
- 他社マネージャーとの情報交換
- 社内の優れたマネージャーのスキルを観察する
- マネジメント研修や講座への参加
方法(1)他社マネージャーとの情報交換
他社のエンジニアリングマネージャーとの定期的な情報交換は、書籍では得られない実践的なノウハウと最新のマネジメント手法を学ぶ最も効果的な方法の一つです。
エンジニア業界は技術の変化が激しく、マネジメント手法も常に進化しているため、現場のマネージャーとの直接対話から実際の成功事例や失敗事例を学ぶことが重要です。
技術系の勉強会やカンファレンス、LinkedInなどのSNSでエンジニアリングマネージャーのコミュニティに参加し、1on1の進め方、採用手法、チーム拡大時の課題など具体的なトピックについて情報交換を行うことができます。
月1回のマネージャー同士のランチミーティングや業界横断的なマネジメント勉強会への参加も効果的で、オンラインではSlackコミュニティやDiscordサーバーでリアルタイムに相談できる環境を構築することで日々の課題を即座に解決できます。
同じエンジニア出身のマネージャーから技術者特有の課題に対する具体的な解決策を学び、異なる組織文化での実践例を知ることで自分の環境に適したマネジメント手法を見つけられるでしょう。
方法(2)社内の優れたマネージャーのスキルを観察する
社内で成果を上げている優れたマネージャーの行動パターンや手法を体系的に観察・分析することで、自分の組織に適したマネジメントスキルを効率的に習得できます。
同じ組織内のマネージャーは同じ企業文化、システム、制約の中で成果を出しているため、学んだ手法をそのまま自分の環境に適用しやすいという大きなメリットがあります。
尊敬する上司や他部署のマネージャーのミーティング進行方法、メンバーとの1on1の進め方、プロジェクト計画の立て方、問題発生時の対応手順などを具体的に観察することが重要です。
可能であれば同席させてもらったり、どのような考えでその判断をしたのかを直接質問したりすることで思考プロセスも含めて学習できます。
また、成功しているチームの文化や雰囲気、メンバーのモチベーションレベルなども観察し、どのような働きかけがその環境を作り出しているのかを分析することで、優れたマネージャーがどのようなコミュニケーションスタイルを取り、どのタイミングで判断を下すかというマネジメントの型を体得できるでしょう。
方法(3)マネジメント研修や講座への参加
体系的なマネジメント研修や専門講座への参加は、基礎理論の習得とスキルの実践練習を同時に行える最も効率的な学習方法の一つです。
研修や講座では書籍で学んだ理論を実際に演習形式で練習できるため、知識を実践的なスキルに変換しやすくなります。
企業内研修、外部のマネジメント講座、オンライン学習プラットフォームでのマネジメントコース、業界団体が主催するエンジニアリングマネジメント研修などが活用できます。
特に以下のように具体的なスキルに特化した研修が効果的です。
- リーダーシップ研修
- 1on1コーチング講座
- プロジェクトマネジメント認定研修
- 心理的安全性ワークショップ
ロールプレイングやケーススタディを通じて安全な環境でマネジメント手法を試すことができ、失敗から学ぶ機会も提供されます。
同じ立場の参加者との議論は、多様な視点や解決策に触れる良い機会です。継続的に学び合える仲間が見つかるかもしれません。
講師からの専門的なフィードバックは、自分の強みや改善点を客観的に把握する助けとなります。
年間2〜3回、異なるテーマの研修に参加することで、継続的なスキル向上が期待できるでしょう。
まとめ
エンジニアからマネージャーへの転向は大きな挑戦ですが、正しい知識が道しるべとなります。
本記事では、新任マネージャーが陥りがちな失敗の対策から必須スキル、そしてあなたの課題に合わせた最適なエンジニア向けマネジメント本を厳選してご紹介しました。
技術的な専門性を活かしながら、開発チームとのコミュニケーションを重視することが重要です。
大切なのは、本で得た学びを現場で試すことです。
まずは気になる一冊を手に取り、実践することが、自信を持ってチームを導くマネージャーへの確かな第一歩となるでしょう。
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