テックブログを書こう──アウトプットがエンジニアのキャリアを変える

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この記事でわかること

  • テックブログがエンジニアの成長につながる
  • テックブログを書くポイント
  • テックブログを継続させるコツ
編集者プロフィール
ウィルオブテック編集部

エンジニア転職に関するお役立ち情報を発信

エンジニアとして成長していくうえで、「学びを言語化して残すこと」はとても大きな意味を持ちます。実際、私自身もエンジニアリングマネジメントに関するnoteを書き始めて、気づけば320本を超えました。書くたびに自分の考えや知識が整理され、学びが深まり、仕事の幅やキャリアの可能性が大きく広がっていきました。

また、いくつかの企業ではテックブログの監修や、執筆体制づくりにも関わっています。その中で強く感じているのは、「アウトプットしているエンジニアは確実に成長する」ということです。ブログを書くことは特別なスキルや実績がある人だけのものではなく、むしろ学びの途中にいる人ほど価値ある記事を書けるようになります。

本記事では、まだテックブログ執筆を始めたい方や抵抗がある方に向けて、書くメリットや注意点、そしてキャリアにどう活かせるかについてまとめていきます。

久松さん

監修者プロフィール

合同会社エンジニアリングマネージメント 社長
久松 剛さん

慶應義塾大学大学院政策メディア研究科博士(政策・メディア)。2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。合同会社エンジニアリングマネージメント社長兼レンタルEM。ベンチャー企業3社にてIPOや組織改善コンサル、PjMなどを歴任後、2022年に合同会社を設立。
現在はスタートアップから日系大手企業まで企業規模を問わず、採用や組織改善コンサル、セミナー、執筆など幅広く活躍中。

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テックブログを書くメリット

テックブログを書くうえで最も大きなメリットは、自分の理解が飛躍的に深まることです。人に見られる前提で文章を書くと、自然と「本当にこの説明は正しいのか」「誤解なく伝えられているか」という視点が働きます。曖昧なままでは書けないので、関連資料を読み返したり、公式ドキュメントを確認したり、コードを再度動かして検証したりすることも出てきます。こうした一連のプロセスが理解の定着につながるのです。

また、ブログは自分の成長を振り返るログとしても機能します。半年後や一年後に見返すと、「このときはこんなことで悩んでいたのか」「この頃より成長できたな」と実感できる瞬間があり、自己肯定感にもつながります。学びを積み重ねていく過程が“見える化”されるので、成長の実感を得やすくなるのです。

テックブログは企業と個人、どちらにとってもブランディングにおいて非常に強力です。企業として発信すれば、技術スタックや取り組みが「採用候補者に伝わる資産」となります。求職者の多くは応募前に企業名を検索するため、技術ブログがしっかりしている企業は「技術的に魅力的」「エンジニアの活動に理解がある」という印象を与えやすく、採用への効果は大きくなります。

個人にとっても、テックブログは技術者としての名刺になります。自分の名前やアカウントと紐づけることで、「この人はこういう技術に興味があり、こういう学び方をしている」という輪郭が見えるようになります。技術ブログがきっかけでスカウトが届くこともありますし、面接官が事前に記事を読んで興味を持ってくれることも珍しくありません。

さらに、ブログを継続的に書いているだけで「自走して学べる人」という評価を受けやすくなります。実際、技術広報や採用広報に力を入れている企業ほど、「普段からアウトプットしているエンジニア」を高く評価する傾向があります。私自身も、継続してnoteを書いていたことがきっかけで内定につながった経験があります。ブログは、技術力だけでは測れない姿勢成長意欲の証明にもなります。

テックブログを書くときのポイント

自宅でノートパソコンを使う男性

テックブログを書くうえで、「専門的で難しいことを書かなければならない」「世の中にない新しい情報を提供しなければいけない」と思ってしまう人もいます。しかし、テックブログは論文ではありませんし、完璧な発見や研究成果を求められる場でもありません。実際、多くの読者が求めているのは、もっと身近で実践的な内容です。

たとえば、「◯◯をやってみた」「××というエラーにハマったので解決方法を共有したい」「このライブラリを使うと便利」という等身大の体験談は、それを必要としている読者にとって非常に価値ある情報です。特にエラー解消系の記事は検索流入も多く、初心者に限らず多くのエンジニアの助けになります。自分が過去につまずいたポイントを書くことは、誰かの未来の助けになる。それがテックブログという文化の面白いところです。

また、ブログを書き始めた直後にページビューが伸びないのは自然なことです。最初の数本はアクセス数が一桁や二桁なのはよくあることです。すぐに結果が出なくても気にしなくて大丈夫ですし、過度に意識して出し控える必要はありません。

炎上を懸念して筆が止まる人もいますが、技術的に正しく、守秘義務に反しない範囲で書いていれば問題になることはまずありません。最近は生成AIによる文章校正やファクトチェックも非常に優秀なので、記事を書いたあと「この説明に間違いはないか?」とAIに確認しておくと安心感が増します。QiitaやZennのように技術コミュニティが育っているプラットフォームを使えば、読者の目も優しく、改善点を指摘してもらえることもあります。

会社として書く場合

会社としてブログを書く場合は「社外に公開して良い内容か」という点を慎重に判断する必要があります。技術選定理由やアーキテクチャの詳細、顧客名、案件内容、数値情報などは取り扱いを誤るとトラブルの原因になります。そのため、上長や広報、法務などに相談しながら進めるのが安全です。実際、企業として情報発信した記事が「勝手に書かれた内容だった」と問題になるケースは現場でも見られます。事前の確認とすり合わせが非常に重要です。

個人として書く場合

個人で書く場合も守秘義務の意識は必須です。クライアントワークではプロジェクトの詳細を書けないことも多く、コードの公開も契約上NGになる場合があります。しかし、その場合でも技術的なTIPS、ドキュメントを読んで得た気づき、同じ問題に悩んだ人が喜びそうな知見など、書けることはいくらでもあります。具体的な成果ではなくそこに至る考え方を書くほうが安全であり、結果的に読者に喜ばれることも多いのです。

テックブログをキャリアに活かす

パソコンのモニタを見る若い男女

テックブログをキャリアに活かす最も簡単な方法は、職務経歴書やスカウトプロフィールにリンクを貼ることです。ただし、ブログのトップページを貼るのはあまりおすすめしません。更新が止まっている場合、採用担当者に「最近は学んでいないのかな?」という誤解を与えてしまうことがあるためです。

最適なのは、自信のある記事や反響の良かった記事の個別URLを紹介する方法です。採用担当者は数分で候補者を判断することが多いため、「この1本を読めば自分の良さが伝わる」という記事を提示することがとても効果的です。

さらに、スカウトサービスにもブログ記事を掲載しておくと、スカウト率が上がります。企業は応募者の技術力だけではなく、学習スタンスやアウトプット習慣を重視するためです。「継続して学んでいる人」という印象が強まり、転職市場での競争力が上がります。

面接の場でも、テックブログは非常に役に立ちます。「普段どのように学んでいますか?」「新しい技術へのキャッチアップ方法を教えてください」といった質問に対し、「学んだことをブログにまとめています」と答えられると説得力が増します。文章化することで思考が整理されていることが伝わり、コミュニケーション力の評価にもつながることがあります。

テックブログを続けるコツ

テックブログを継続するうえで大切なのは、完璧を求めないことです。「良い記事を書かなければいけない」というプレッシャーを感じると筆が止まってしまいます。最初は500字程度でも構いませんし、スライド数枚を軽く説明するような記事でも十分です。

AIを活用して文章構成を整えたり、誤字脱字をチェックしてもらったりすると心理的負荷が少なくなります。ネタは細かく分けると書きやすく、「この部分だけ書いてみる」という小さなスコープに区切ると続けやすくなります。また、SNSで「書きました」と宣言しておくと、適度な緊張感が生まれ、継続のモチベーションにもつながります。

まとめ──まずは1本、書いてみよう

テックブログは、技術力を高めるだけでなく、自分のキャリアの幅を広げる強力な武器になります。12月はアドベントカレンダーが盛り上がる季節で、初めてブログを書く人が非常に多い時期です。このタイミングに合わせて、ぜひ最初の1本を書いてみてください。

小さな記事から始めても大丈夫です。 

その1本が、あなた自身の技術者としての物語を描き始める最初の一歩になります。

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