ゲームエンジニアの年収は、Web開発と比べて本当に下がるのでしょうか?
実は、スキルと戦略次第で年収を維持どころかアップさせることも十分可能です。
UnityやC++の経験があるあなたなら、サーバーサイドやグラフィックス領域で即戦力として評価され、現年収350万円~600万円を下回らない転職が実現できます。
この記事では、ゲーム業界の平均給与相場、職種別・企業規模別の年収データ、さらに年収を落とさないための具体的な転職戦略まで徹底解説します。
求人票の読み解き方、ポートフォリオの作成ポイント、年収交渉のコツを知れば、憧れの有名タイトル開発に携わりながら収入も守れる道が見えてきます。
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ゲームエンジニアの年収相場は?

ゲーム業界への転職を考える際、ご自身の収入がどう変わるのかは最も気になる点ではないでしょうか。
- 平均年収とレンジの目安
- 年齢・経験年数別の年収推移
- 雇用形態別(正社員・契約・派遣)の比較
- 正社員とフリーランスの収入差
平均年収とレンジの目安
ゲームエンジニアの平均年収は、各種転職サイトのデータを総合すると約550万円前後と考えられます。
これは、国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査では、日本の給与所得者全体の平均年収である458万円を約100万円上回る水準であり、専門職としての価値が示されていると言えるでしょう。
ただし、この数字はあくまで中央値に近いものであり、実際の年収レンジは350万円程度から、高いスキルを持つエンジニアの場合は1,200万円以上と非常に幅広いのがこの業界の特徴です。
例えば、任天堂やソニーグループといった大手パブリッシャーでは、全職種の平均年収が900万円を超えるなど、企業規模が年収に大きく影響する傾向があります。
一方で、中小規模のゲームスタジオやスタートアップ企業では、企業の収益構造や個人の実績が年収に直結しやすく、実力次第では大手企業を上回る報酬を得られる可能性も秘めています。
求人情報を見る際は、提示されている年収額だけでなく、企業の規模や事業フェーズも考慮に入れることが、ご自身の市場価値を正しく判断する上で重要です。
年齢・経験年数別の年収推移
ゲームエンジニアの年収は、年齢や経験年数に応じて段階的に上昇していく傾向が明確です。
実務経験を通じて専門性を高めることが、収入アップに直結する世界です。
dodaの調査によると、年代別の平均年収は20代で430万円、30代で578万円、40代で674万円と、キャリアを重ねるごとに着実に増加しています。
この背景には、経験年数に応じた役割の変化があります。
例えば、新卒から3年目くらいまでのジュニアクラスのエンジニアは、先輩の指導のもとで基本的なプログラミングや機能実装を担当し、年収は350万円~500万円程度が一般的です。
その後、3年から5年程度の経験を積んだミドルクラスになると、特定の機能開発を任されたり、後輩の指導役を担ったりするようになります。
この段階で年収は500万円~700万円程度まで上昇することが多いです。
さらに5年以上の経験を持つシニアクラスやリードエンジニアになると、プロジェクトの技術選定やアーキテクチャ設計、チーム全体のマネジメントなど、より責任の大きな役割を担うことになります。
結果として年収も700万円を超え、中には1,000万円以上に達する人も少なくありません。
このように、ご自身のスキルと経験を積み重ねていくことで、将来的に高い収入を目指せるのがゲームエンジニアの魅力です。
※参照:求人ボックス給料ナビ、ゲームプログラマー、doda「ゲームプログラマーになるには?仕事内容や平均年収から、必要なスキル、目指す方法を解説」
雇用形態別(正社員・契約・派遣)の比較
ゲーム業界で働くエンジニアの収入は、正社員、契約社員、派遣社員といった雇用形態によっても大きく異なります。
それぞれの働き方にはメリットとデメリットがあり、ご自身のキャリアプランやライフスタイルに合わせて選択することが大切です。
| 雇用形態 | 平均年収の目安 | 収入の特徴 |
| 正社員 | 約523万円 | 月給制+賞与 |
| 契約社員 | 約400万円〜500万円 | 月給制(賞与なしが多い) |
| 派遣社員 | 約450万円〜720万円 | 時給制(時給2,500円〜4,000円) |
正社員は、月給に加えて年2回程度の賞与が支給されるため、年収の安定性が最も高い働き方です。
充実した福利厚生や退職金制度なども魅力であり、長期的なキャリア形成を考える上で有利な選択肢です。
契約社員は、特定のプロジェクト単位で契約を結ぶため、専門性を活かして働きたい場合に適しています。
ただし、賞与がないケースが多く、契約が更新されないリスクも考慮する必要があります。
派遣社員は時給制で、特に高いスキルを持つ場合は時給4,000円を超えることもあり、短期間で高い収入を得ることが可能です。
しかし、契約期間が比較的短く、常に次の案件を探す必要があるなど、不安定な側面も持ち合わせています。
これらの違いを理解し、ご自身が何を重視するのかを明確にすることが重要です。
正社員とフリーランスの収入差
近年、働き方の選択肢としてフリーランスを選ぶゲームエンジニアも増えています。
しかし、額面上の収入だけで判断するのではなく、それぞれの働き方が持つメリットとデメリットを正しく理解することが、後悔のない選択につながるでしょう。
フリーランスのゲームエンジニアは、月額80万円~150万円といった高い単価で案件を受注することも可能です。
年収に換算すると960万円~1,800万円にもなり、正社員の平均年収を大きく上回る可能性があります。
しかし、この金額がそのまま手元に残るわけではない点に注意が必要です。
フリーランスは社会保険料を全額自己負担し、所得税などの確定申告も自分で行わなくてはなりません。
例えば、月単価100万円で年間10ヶ月稼働して年収1,000万円を達成したとしても、各種支払いを差し引いた実際の手取り額は600万円~700万円程度になることも珍しくないのです。
一方で正社員は、安定した収入に加えて、フリーランスにはない多くの恩恵を受けられます。
| 比較項目 | 正社員 | フリーランス |
| 収入の安定性 | ◎ 毎月固定給+賞与 | △ 案件の有無に左右される |
| 賞与・退職金 | あり | なし |
| 福利厚生 | ◎ 住宅手当、研修制度など充実 | なし |
| 社会的信用 | ◎ ローン審査などで有利 | △ 収入の証明が複雑 |
| 業務範囲 | ◎ 開発業務に集中できる | △ 営業・契約・経理も自身で行う |
| スキルアップ | ◎ 会社の費用で研修や学習が可能 | ◯ 自己投資が必要 |
このように比較すると、正社員は目先の収入額だけでなく、将来を見据えた金銭的メリットや、開発に集中できる環境という大きな価値を持っていることがわかります。
案件が途切れるリスクや、営業活動、経理処理といった開発以外の業務に時間を割かれることなく、純粋に技術力を高めていけるのは正社員ならではの利点でしょう。
まずは正社員として安定した環境で実績と人脈を築き、十分な自己管理能力が身についてから独立を検討するのが、堅実なキャリアの進め方と考えられます。
年収の内訳はどう決まる?

提示された年収額が、どのような要素で構成されているかをご存知でしょうか。
この章では、求人票の数字だけでは見えにくい年収の内訳と、それが決まる仕組みについて詳しく解説します。
- 基本給・賞与・各種手当の内訳
- みなし残業・深夜手当の影響
- 評価制度と昇給サイクル
基本給・賞与・各種手当の内訳
ゲームエンジニアの年収は、主に「基本給」「賞与」「各種手当」の3つの要素で構成されています。
これらのバランスを正しく理解することが、入社後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。
一般的に、年収全体に占める割合は、基本給が60〜70%、賞与が15〜25%、各種手当が5〜15%程度となるのが標準的なモデルと考えられます。
この中で最も注目すべきは、月々の給与の土台となる基本給です。
なぜなら、多くの企業では賞与や退職金の金額は基本給を基準に算出するため、基本給が高いほど生涯にわたって受け取る総収入も多くなる傾向があるからです。
例えば、同じ「年収500万円」という提示でも、その内訳が異なると大きな差が生まれます。
| 項目 | A社(基本給重視型) | B社(手当・賞与重視型) |
| 基本給(月額) | 35万円 | 25万円 |
| 年間基本給 | 420万円 | 300万円 |
| 賞与 | 80万円(基本給の約2.3ヶ月分) | 100万円(基本給の4ヶ月分) |
| みなし残業手当 | 0円 | 100万円(月額約8.3万円) |
| 想定年収 | 500万円 | 500万円 |
この2社を比較すると、B社は賞与の月数が多いものの、基本給が低く設定されています。
将来の昇給や賞与額の変動、退職金の算定において、A社の方が有利になる可能性が高いと言えるでしょう。
面接の際には、想定年収の総額だけでなく、基本給の月額や賞与の算定方法について具体的に確認することが大切です。
みなし残業・深夜手当の影響
年収の内訳を考える上で、特に注意が必要なのが「みなし残業制度」と「深夜手当」の扱いです。
これらは毎月の収入に直接影響を与えるだけでなく、ご自身の働き方を左右する重要な要素となります。
みなし残業制度は、固定残業代制度とも呼ばれ、毎月一定時間分、例えば20時間〜45時間の残業代をあらかじめ給与に含んで支払う仕組みです。
この制度は、求人票の想定年収を高く見せる効果がありますが、注意点も存在します。
例えば、みなし残業40時間分が手当として含まれている場合、その分だけ基本給は低く設定されていることになります。
また、実際の残業時間がみなし時間を超えた場合に、超過分の残業代がきちんと支払われるのかどうかは、企業によって対応が異なるため、入社前に必ず確認すべきポイントです。
一方、深夜手当は、労働基準法で定められており、午後10時から翌朝午前5時までの勤務に対して、通常の賃金の25%以上が割増で支払われます。
ゲーム開発の現場では、リリースの締め切りが迫る「クランチ」と呼ばれる繁忙期に深夜労働が発生することもあり、その際には収入増の要因となります。
しかし、深夜手当の支給が多いということは、それだけ不規則な働き方が常態化している可能性も示唆しています。
提示された年収にこれらの手当がどの程度含まれているのかを把握することは、ご自身のワークライフバランスを考える上でも不可欠です。
評価制度と昇給サイクル
長期的なキャリアを考える上で、入社後の昇給や昇格の仕組みを理解しておくことは欠かせません。
どのような基準で評価され、それがどう収入に反映されるのかを知ることで、将来の年収アップを具体的にイメージできるでしょう。
ゲーム業界の評価制度は、年1回または年2回の定期評価が主流です。
評価のランクに応じて昇給率が決定され、一般的には年3%から高い評価を得た場合は15%程度の昇給が見込めます。
さらに、等級が上がる昇格を伴う場合は、一度に年収が50万円~150万円ほど大幅にアップすることも珍しくありません。
評価の基準となるのは、以下3つの軸です。
- 「技術力」
- 「プロジェクトへの貢献度」
- 「チーム内での協調性」
特にエンジニアの場合、担当した機能のパフォーマンスを改善した実績や、開発効率を向上させた具体的な成果など、定量的に示せる実績が高い評価に繋がりやすい傾向があります。
大手ゲーム会社では、ジュニア、ミドル、シニアといった等級ごとに役割定義と給与テーブルが明確に定められていることが多く、キャリアパスを描きやすいのが特徴です。
一方で、中小規模のスタジオでは、個人の成果が経営層に直接伝わりやすく、目覚ましい活躍をすれば等級にとらわれず大幅な昇給が実現できる可能性もあります。
応募先の企業がどのような評価制度と昇給サイクルを設けているのかを事前に確認することは、ご自身の努力が正当に報われる環境かどうかを見極めるための重要な判断材料となります。
どの職種・スキルが年収を押し上げる?

Web開発で培ったご自身のスキルが、ゲーム業界でどのように評価されるか気になりませんか。
この章では、ゲームエンジニアの職種別やスキル別の年収相場と評価基準について紹介します。
- クライアント/ゲームプレイの相場
- サーバー・ネットワークの相場
- グラフィックス・テクニカルアーティストの相場
- Unity/UE5スキルの評価ポイント
- C++/C#のレベル別評価軸
クライアント/ゲームプレイの相場
クライアントサイドエンジニアは、プレイヤーが直接触れる部分、つまりゲームそのものの面白さを作り上げる中心的な役割を担います。
UIの実装やキャラクターの動き、バトルシステムの構築など、ゲームの触り心地や手触り感を決定づける重要なポジションです。
この職種の年収相場は、ジュニアレベルで350万円~500万円、ミドルレベルで500万円~700万円、そしてシニアレベルになると700万円~1,000万円程度が目安となります。
プレイヤーの体験に直結する仕事であるため、フレームレートの最適化やメモリ管理といった技術的な実装力が、ユーザーの満足度を通じて自身の評価に反映されやすいのが特徴です。
Web開発でC#やC++の経験を持つ方であれば、Unityなどのエンジンを使い、個人で簡単なゲームを制作してみることをおすすめします。
その際に、単に完成させるだけでなく、FPSの計測結果やメモリ使用量の削減といったパフォーマンス改善の実績をポートフォリオに盛り込むことで、ゲーム開発への適性と即戦力としての能力を効果的にアピールできるでしょう。
サーバー・ネットワークの相場
サーバーサイドやネットワークを担当するエンジニアは、近年のオンラインゲーム市場の拡大に伴い、需要が急激に高まっている職種です。
Web開発経験者にとって、自身のスキルを最も直接的に活かし、かつ高い収入を目指せる領域です。
この職種の年収相場は、ジュニアレベルで約400万円~550万円、ミドルレベルで約550万円~800万円、シニアやリードクラスになると800万円~1,200万円以上と、クライアントサイドのエンジニアよりも高い水準になる傾向があります。
オンラインゲームの安定稼働は、事業の収益に直結するため、サーバーエンジニアの責任は非常に重大です。
大量の同時接続に耐えるための負荷分散設計や、リアルタイム通信における遅延の最小化、チート行為を防ぐセキュリティ対策など、Web開発で培ったインフラやデータベースの知識がそのまま通用する場面が数多くあります。
特に、AWSやGCPといったクラウドプラットフォーム上での大規模なインフラ構築・運用経験は、ゲーム業界でも極めて高く評価されます。
ご自身のサーバーサイド開発の経験は、ゲームサーバーエンジニアへの転職において、他の候補者との大きな差別化要因となるはずです。
グラフィックス・テクニカルアーティストの相場
ゲームのビジュアル品質を技術的に支えるグラフィックスエンジニアやテクニカルアーティスト(TA)は、その高い専門性と希少性から、ゲーム業界の中でも最高水準の報酬が期待できる職種です。
美しい3Dグラフィックスの描画処理や、リアルな光と影を表現するシェーダー開発、アーティストの制作環境を効率化するツール開発などを担当します。
この領域の年収相場は、ジュニアレベルで約400万円~550万円、ミドルレベルで約600万円~850万円、そしてシニアやリードクラスになると850万円~1,300万円以上と、非常に高額です。
コンシューマーゲームやPCゲームのクオリティ競争が激化する中で、最先端のグラフィックス技術を扱える人材は常に不足しています。
そのため、物理ベースレンダリングやリアルタイムレイトレーシングといった高度な知識を持つエンジニアは、市場で極めて高い価値を持ちます。
数学的な知識やコンピュータサイエンスの深い理解が求められるため、習得難易度は高いですが、ゲームの見た目に直接貢献できるやりがいと、それに見合った高い報酬を得られるのがこの職種の大きな魅力です。
Unity/UE5スキルの評価ポイント
ゲームエンジニアの市場価値を語る上で、UnityとUnreal Engine 5(UE5)という二大ゲームエンジンのスキルは欠かせません。
どちらのエンジンを、どのレベルまで深く使いこなせるかによって、ご自身の評価と年収は大きく変わってきます。
Unityは、モバイルゲームやインディーゲーム、VR/ARコンテンツまで幅広く採用されています。
また特徴としては、その汎用性にあります。
求人数も多く、Web開発者からのキャリアチェンジにおいても入り口となりやすいエンジンです。
ただし、単にUnityが使えるというだけでは十分なアピールにはなりません。
ScriptableObjectやAddressable Asset Systemといった機能を活用したデータ駆動型の設計や、DOTS(Data-Oriented Technology Stack)を用いたパフォーマンスの最適化など、より高度な実装経験が評価のポイントです。
一方、UE5は、ハイエンドなコンシューマーゲームやPCゲーム、さらには映像制作の分野で需要が急増しています。
特に、NaniteやLumenといった革新的な機能を使いこなし、フォトリアルなビジュアル表現を実現できるエンジニアは、現在非常に高く評価されます。
ご自身のキャリアプランに合わせて、どちらかのエンジンを深く掘り下げ、その成果をポートフォリオで示すことが年収アップにつながるでしょう。
C++/C#のレベル別評価軸
プログラミング言語の習熟度は、ゲームエンジニアの年収を決定づける最も基本的な要素です。
特に、Web開発経験者の方が持つC#やC++のスキルは、ゲーム業界への転職において有利になります。
C#は、主にUnityでの開発に用いられる言語です。
Web開発でASP.NET Coreなどに触れてきた方であれば、オブジェクト指向の設計思想やLINQ、async/awaitによる非同期処理といった知識をそのまま活かすことができます。
ゲーム開発で特に重要視されるのは、パフォーマンスへの意識です。
C#のガベージコレクションが引き起こす処理落ちを理解し、それを避けるためのオブジェクトプーリングといったテクニックを使いこなせるかどうかが、ミドルクラスとシニアクラスを分ける評価軸の一つになります。
一方、C++は、UE5での開発や、PlayStation・Nintendo Switchといったコンシューマー機向けのハイエンドタイトル、さらにはゲームエンジン自体の開発で必須とされる言語です。
ポインタの操作やメモリ管理をエンジニア自身が厳密に行う必要があり、パフォーマンスを最大限に引き出すための深い知識が求められます。
Web開発のバックエンドなどでC++の使用経験がある方は、その希少性から非常に高く評価される可能性があります。
ご自身の言語スキルが、ゲーム開発特有のパフォーマンス要件に対してどのように貢献できるかを具体的に説明できることが、高い年収を得るためのポイントです。
プラットフォーム・タイトル規模で年収は変わる?

ご自身のスキルセットが同じでも、どのプラットフォームのゲームを開発するか、またプロジェクトや企業の規模によって年収は変動します。
この章では、開発プラットフォームやタイトル規模による年収の違いについて紹介します。
- コンソール・PC・モバイル・VRの違い
- 大型新規開発と運用型タイトルの差
- 大手スタジオと中堅スタジオの傾向
コンソール・PC・モバイル・VRの違い
開発を担当するプラットフォームは、求められる技術要件が異なるため、エンジニアの年収にも顕著な差となって現れます。
ご自身のスキルとキャリアプランに合ったプラットフォームを見極めることが、満足のいく転職を実現するポイントです。
| プラットフォーム | 年収相場の目安 | 技術的な特徴と要件 |
| コンソール・PC | 約500万円〜1,200万円 | 高解像度グラフィックス、60FPS維持など、高いパフォーマンスが必須。 C++やUE5の深い知識が求められる。 |
| モバイル | 約400万円〜900万円 | 多様な端末スペックへの対応、メモリやバッテリーの最適化、タッチ操作へのUI対応などが求められる。 UnityとC#が主流。 |
| VR | 約450万円〜1,000万円 | VR酔いを防ぐための高フレームレート維持、3D空間における独自のUI/UX設計など、特殊な専門知識が必要とされる。 |
PlayStationやNintendo Switchといった家庭用ゲーム機やPC向けのタイトル開発は、技術的なハードルが最も高い領域です。
最新のグラフィックス技術を駆使し、ハードウェアの性能を最大限に引き出すための高度な最適化スキルが求められるため、エンジニアへの報酬も高額になる傾向です。
一方、モバイルゲーム開発は、市場規模が非常に大きく求人数も豊富です。
技術的な難易度はコンソール開発に比べるとやや低い側面もありますが、無数のデバイスに対応するための知識や継続的なアップデートを行う運用スキルが重要視されます。
VR開発は比較的新しい分野であり、専門的なスキルを持つ人材が不足しているため、高い専門性を持つエンジニアは高く評価されるでしょう。
大型新規開発と運用型タイトルの差
プロジェクトのフェーズ、つまり「これから世に出る全く新しいゲームを作るのか」それとも「すでにリリースされているゲームを運営するのか」によっても、働き方と年収は大きく異なります。
どちらが良いというわけではなく、ご自身の志向性に合わせて選ぶことが重要です。
AAAタイトルに代表されるような大型の新規開発プロジェクトは、最先端の技術に触れ、世の中に大きなインパクトを与えるやりがいのある仕事です。
年収レンジも約550万円~1,200万円と高く、プロジェクトが成功すれば業界内での評価も格段に上がり、さらなるキャリアアップに繋がるでしょう。
ただし、開発の最終局面では「クランチ」と呼ばれる高負荷な時期が発生しやすく、一時的にワークライフバランスが崩れる可能性があることは理解しておく必要があります。
一方、すでにサービスが開始されている運用型のタイトル、いわゆるライブサービスに携わる場合は、年収レンジは約450万円~850万円程度となります。
こちらの魅力は、安定した開発サイクルの中で計画的に働きやすい点です。
ユーザーの反応やデータを分析しながら、イベントの実装や機能改善を繰り返していくため、サービスを成長させる実用的なスキルが身につきます。
技術的な挑戦よりも安定した環境で着実にスキルを伸ばしたいと考える方には、運用型のタイトルが適しているでしょう。
大手スタジオと中堅スタジオの傾向
所属する企業の規模も、ゲームエンジニアの年収やキャリアパスに大きな影響を与えます。
一般的に、大手ゲームスタジオと中堅スタジオでは、給与体系や福利厚生、評価制度にそれぞれ異なる特徴が見られます。
任天堂、ソニー、カプコンといった大手ゲームスタジオは、平均年収が700万円~1,100万円以上と非常に高い水準です。
その背景には、安定した収益基盤に基づいた明確な給与テーブルと、手厚い福利厚生制度があります。
住宅手当や退職金、充実した研修制度などが整っており、長期的に安定したキャリアを築きたいと考える方にとっては非常に魅力的な環境です。
評価制度も厳格に定められており、着実に実績を積むことで昇給・昇格を目指せるでしょう。
一方で、従業員数が数十名から数百名規模の中堅スタジオの年収レンジは、約450万円~800万円程度です。
大手ほどの安定性はないかもしれませんが、個人の成果が経営層の目に留まりやすく、実力次第では短期間で大幅な昇給を実現できる可能性があります。
また、一人ひとりの裁量が大きく、若いうちから責任のある仕事を任される機会も多いのが特徴です。
現年収が350万円~600万円の方で、転職後の年収ダウンを絶対に避けたいという場合は、給与水準や福利厚生が安定している大手スタジオがより確実な選択肢の一つになると考えられます。
転職で年収を維持・向上させるメリット

Web開発からゲーム業界への転職は、年収が下がるリスクを伴うと思われがちですが、実際にはスキルと企業選び次第で収入を維持、向上させることも十分に可能です。
この章では、ゲーム業界への転職を通じて年収を維持や向上させる具体的なメリットについて紹介します。
- 等級・役割の見直しによるベースアップ
- スキル適合で即戦力評価を獲得
- 働き方・福利厚生の改善
等級・役割の見直しによるベースアップ
転職は、現在の職場で固定化された評価や給与体系を一度リセットし、ご自身の市場価値に基づいて新たな条件でスタートできる絶好の機会です。
現職の評価制度では正当に評価されていないと感じるスキルや経験も、転職市場では高く評価され、結果として大幅なベースアップに繋がるケースが少なくありません。
特に、年功序列の風土が残る企業に勤めている場合、実力があっても昇格に時間がかかることがあります。
しかし、ゲーム業界のように技術的専門性を重視する文化を持つ業界への転職では、純粋なスキルと実績が評価の軸となります。
例えば、Web開発で培った大規模システムの設計能力やパフォーマンス改善の実績は、ゲーム業界でも即戦力として高く評価されるでしょう。
その結果、現職ではジュニアクラスだった方がミドルクラスへ、ミドルクラスだった方がシニアクラスへと、1段階から2段階上の等級で採用されることも珍しくありません。
等級が上がることで基本給が月に3万円~10万円アップし、年収換算で50万円~150万円もの収入増を実現できる可能性も十分にあります。
スキル適合で即戦力評価を獲得
Web開発やアプリ開発で培ったスキルは、ゲーム業界、特にサーバーサイドやツール開発の領域で即戦力として高く評価されます。
「ゲーム開発経験が必須」というイメージは根強いですが、実際にはソフトウェア開発の基礎力こそが最も重要視されるのです。
ご自身が持つC#やC++での実装経験、データベースの設計・運用知識、AWSなどのクラウドインフラ経験は、そのままオンラインゲームのサーバー開発に活かすことができます。
例えば、RESTful APIの設計や非同期処理、マイクロサービスアーキテクチャといった知識は、分野を問わず通用する貴重なスキルセットです。
そのため、これらの経験を持つエンジニアは、完全な業界未経験者とは一線を画す「即戦力候補」として扱われます。
その結果、一般的な業界未経験者向けの求人よりも年収で50万円~200万円高いオファーを得られるでしょう。
さらに、個人プロジェクトとしてUnityやUE5で簡単なゲームやツールを制作し、ポートフォリオとして提示できれば、ゲーム開発への適応能力も証明できます。
これにより、年収ダウンのリスクを最小限に抑え、むしろ年収アップを実現する転職が現実的な目標となるでしょう。
働き方・福利厚生の改善
転職によるメリットは、年収という直接的な金額だけではありません。
働き方の柔軟性や福利厚生の充実といった、総合的な待遇の向上も期待でき、生活の質そのものを高めることにつながります。
近年、優秀なエンジニアを獲得・維持するために、働きやすい環境づくりに力を入れるゲーム会社が増えています。
多くの企業でフレックスタイム制やリモートワークが導入されており、通勤時間の削減やプライベートとの両立がしやすくなっているのが現状です。
また、成果さえ出せば働く時間や場所を自由に調整できる裁量労働制を採用している企業も少なくありません。
さらに、エンジニアの成長を支援する福利厚生が充実している点も大きな魅力です。
| 福利厚生の例 | 内容と効果 |
| 住宅手当・家賃補助 | 月に2万円~5万円程度が支給されるケースが多く、可処分所得が実質的に増加します。 年間では24万円~60万円の収入アップに相当します。 |
| 技術書購入補助 | 業務に必要な書籍の購入費用を会社が負担する制度で、自己投資を積極的に行えます。 |
| カンファレンス参加支援 | CEDECやGDCといった国内外の技術カンファレンスへの参加費用や渡航費を会社が支援し、最先端の知識を吸収する機会が得られます。 |
これらの制度を活用することで、表面的な年収額が同じでも、実質的な収入や得られる経験価値は大きく向上します。
転職を検討する際は、年収額だけでなく、こうした働き方や福利厚生の側面にも目を向けることが、より満足度の高いキャリア選択につながるでしょう。
ゲームエンジニアへ転職する際のデメリット・リスク

転職はキャリアアップの大きなチャンスですが、良い面ばかりに目を向けていると、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。
この章では、ゲーム業界への転職に伴うデメリットやリスクについて紹介します。
- 試用期間・評価未確定による下振れ
- 想定年収の幅と残業込み表記の落とし穴
- カルチャーフィット不一致による生産性低下
試用期間・評価未確定による下振れ
内定時に提示された年収が、必ずしも入社後すぐに保証されるわけではない点に注意が必要です。
特に「試用期間」と「入社後の初回評価」は、想定していた収入が下振れする可能性を秘めた最初の関門となります。
ゲーム業界の多くの企業では、入社後3ヶ月から6ヶ月程度の試用期間を設けています。
この期間中は、本採用時よりも月に1万円~3万円低い給与が設定されていたり、賞与の算定期間に含まれなかったりするケースが少なくありません。
さらに重要なのが、入社後の初回評価のタイミングです。
半年から1年後に行われるこの評価の結果次第では、オファー面談で提示された「想定年収500万円~700万円」といったレンジの下限である500万円に給与が固定されてしまうリスクがあります。
企業側が候補者の実力やチームへの適性を慎重に見極めるのは当然のことですが、評価基準が曖昧なまま入社してしまうと、このような不本意な結果を招きかねません。
こうしたリスクを避けるためには、オファー面談の場で以下の点を確認することが不可欠です。
| 確認すべき項目 | 質問の意図 |
| 試用期間中の給与と本採用後の給与の差額 | 入社直後の収入を正確に把握する。 |
| 試用期間が終了し、本採用となるための具体的な基準 | 自身がクリアすべき目標を明確にする。 |
| 初回評価のタイミングと、想定年収の上限を目指すための評価基準 | 入社後のキャリアパスと年収アップの道筋を具体化する。 |
これらの点を事前に明確にしておくことが、入社後のギャップを防ぐための重要な自己防衛策です。
想定年収の幅と残業込み表記の落とし穴
求人票に記載されている「想定年収」の数字は、転職者にとって最も魅力的に映る部分ですが、その表記には慎重な読み解きが必要です。
特に、以下の2つの表記には、見落とすと後悔に繋がる可能性のある落とし穴が存在します。
- 「幅広い年収レンジ」
- 「みなし残業込み」
「想定年収400万円~800万円」のような幅の広い表記は、一見すると夢が広がりますが、実際には特別な成果を出さない限り下限付近の金額で着地することがほとんどです。
上限額である800万円は、多くの場合、「全社でトップクラスの最高評価を得て、かつ毎月40時間以上の残業と深夜勤務をこなした場合」といった、極めて限定的な条件下での理論値に過ぎません。
また、年収を高く見せるためによく使われるのが「みなし残業(固定残業代)込み」の表記です。
これは、月々の給与に一定時間分の残業代が含まれていることを意味しますが、その分だけ基本給が低く設定されているという側面を持ちます。
基本給は賞与や退職金の算定基準となるため、みなし残業代の割合が高い給与体系は、長期的に見ると不利になる可能性があります。
求人票を見る際は、魅力的な総額だけに目を奪われるのではなく、必ずその内訳を確認する姿勢が重要です。
面接やオファー面談では、基本給の月額、賞与の算定基準、みなし残業の時間数とそれを超えた場合の追加支給の有無を具体的に質問し、ご自身が納得できる条件であるかを慎重に見極めましょう。
カルチャーフィット不一致による生産性低下
年収や待遇といった条件面が希望通りであっても、企業の文化や開発スタイルがご自身に合わなければ、入社後に苦労する可能性があります。
このカルチャーフィットのミスマッチは、単に働きにくさを感じるだけでなく、生産性の低下や評価の伸び悩み、ひいては年収の停滞といった実質的なデメリットにつながるかもしれません。
ゲーム業界と一括りに言っても、その文化は企業によって様々です。
厳格な開発プロセスで品質を管理する大手企業もあれば、スピード感を重視してトライ&エラーを繰り返すスタートアップ企業もあります。
特に、Web開発の分野から転職する方が注意すべきなのは、開発サイクルの違いです。
数週間単位のスプリントで迅速にリリースを重ねるアジャイル開発が主流のWeb業界に対し、ゲーム開発は一つのタイトルに数年を費やすことも珍しくありません。
この長期的な開発スパンや、仕様変更の多さ、品質を極限まで高めるためのこだわりといったゲーム開発特有の文化に適応できないと、本来の実力を発揮できずに評価が上がらないという事態に陥る可能性があります。
このようなミスマッチを防ぐためには、選考過程で企業の文化を徹底的にリサーチすることが重要です。
面接の場では、具体的な開発プロセスやチーム内での意思決定の方法、技術的な議論が活発に行われているかなどを質問しましょう。
可能であれば、カジュアル面談や現場のエンジニアとの面談の機会を設けてもらい、実際の職場の雰囲気を肌で感じることが、後悔のない企業選びのための最も確実な方法です。
年収を上げるスキル戦略は?

ゲーム業界への転職を成功させた後、さらに上の年収を目指すためには、どのようなスキルを磨いていけば良いのでしょうか。
この章では、ゲームエンジニアとして年収を上げるための具体的なスキル戦略について紹介します。
- 高年収に直結する技術領域(描画・オンライン)
- マルチプラットフォームと性能最適化の実績化
- マネジメント・テックリードへの展開
高年収に直結する技術領域(描画・オンライン)
ゲームエンジニアとして高年収を実現するためには、市場での需要と希少性が高い専門技術を身につけることが最も確実な道です。
現在のゲーム業界において、特にその傾向が顕著なのが「グラフィックス(描画)」と「オンライン/サーバー」という二つの技術領域です。
グラフィックスエンジニアは、ゲームのビジュアルクオリティを根幹から支える役割を担います。
リアルタイムレンダリングやシェーダー開発といった領域は、数学やコンピュータサイエンスの深い知識が求められるため習得難易度が高く、扱える人材が常に不足しています。
そのため、この分野の専門家は極めて高く評価され、年収は800万円~1,300万円以上に達することも珍しくありません。
同様に、オンラインマルチプレイゲームのサーバー開発やクラウドインフラの構築・運用を担うサーバーエンジニアも、市場価値が非常に高い職種です。
数百万人が同時にアクセスするような大規模サービスの安定稼働を実現するには、高度な分散システム設計やセキュリティ対策の知識が不可欠であり、その専門性に対して高い報酬が支払われます。
現在350万円~600万円の年収レンジにいらっしゃる方が、将来的に800万円以上の高年収を目指すのであれば、これら二つの専門領域のどちらかに狙いを定め、集中的にスキルを磨いていくことが有効なキャリアプランです。
マルチプラットフォームと性能最適化の実績化
特定の専門領域を深めることと並行して、エンジニアとしての市場価値を底上げするスキルがあります。
それが、「マルチプラットフォーム対応能力」と、その成果を数値で示す「性能最適化の実績化」です。
今日のゲーム開発では、一つのタイトルをPC、PlayStation、Nintendo Switch、スマートフォンなど、複数のプラットフォームで同時に展開することが主流となっています。
そのため、各プラットフォームのCPUやメモリの制約、あるいは独自の仕様を深く理解し、それぞれの環境で最適なパフォーマンスを発揮できるよう実装を調整できるエンジニアは、あらゆるプロジェクトで重宝されます。
そして、その価値を客観的に証明するために不可欠なのが、性能最適化の実績を具体的な数値で示すことです。
「処理を高速化した」という曖昧な表現ではなく、以下のように示しましょう。
- 「特定のシーンにおけるFPSを45から60に安定させた」
- 「メモリ使用量を500MBから350MBに削減した」
- 「ゲーム起動時のロード時間を8秒から3秒に短縮した」
定量的なデータは、ご自身の技術力を示す上で何よりの説得力を持ちます。
日頃からパフォーマンス計測を習慣づけ、改善前と改善後の数値を記録しておくことは、将来の年収交渉において非常に強力な材料となるはずです。
マネジメント・テックリードへの展開
一人のエンジニアとして技術力を磨き、シニアクラスに到達した後、年収1,000万円の壁を超えてさらに上を目指すには、個人としての貢献範囲を組織全体へと広げていくキャリアパスが視野に入ってきます。
その代表的な選択肢が、「マネジメント」と「テックリード」という2つです。
| キャリアパス | 主な役割 | 年収レンジの目安 |
| マネジメント | チームメンバーの採用・育成・評価、プロジェクトの進捗管理、予算管理など、組織の成果を最大化する。 | 900万円〜1,500万円以上 |
| テックリード | プロジェクトの技術選定、アーキテクチャ設計、難易度の高い技術的課題の解決を主導し、技術面でチームを牽引する。 | 800万円〜1,300万円以上 |
マネジメントの道は、エンジニアリングマネージャーやプロジェクトマネージャーとして、チームや組織全体の生産性向上に責任を持ちます。
人を育て、事業を成功に導くことにやりがいを感じる方に適したキャリアです。
一方、テックリードは自身もコードを書き続けながら、その高い技術力でプロジェクト全体を技術的にリードする役割を担います。
技術の最前線に立ち続け、自身の専門性で組織に貢献したいと考えるスペシャリスト志向の方に向いています。
ご自身の技術力がシニアレベルに達したと感じた時、どちらの道に進むのが自分の適性や価値観に合っているのかを考えることが、さらなる年収アップとキャリアの充実を実現する上で重要なポイントとなるでしょう。
年収を落とさない転職の進め方は?

これまでの情報を踏まえ、実際に年収ダウンを回避し、満足のいく転職を実現するためには、どのように活動を進めれば良いのでしょうか。
この章では、ゲーム業界への転職で年収を落とさないための具体的な進め方について紹介します。
- 求人票の読み解きチェックリスト
- ポートフォリオの作り方と評価指標
- 年収交渉の進め方と質問例
求人票の読み解きチェックリスト
転職活動の第一歩は、求人票に記載された情報を正しく読み解くことから始まります。
表面的な年収額だけでなく、その内訳や労働条件を多角的にチェックすることが、入社後のミスマッチを防ぐための鍵となります。
気になる求人を見つけたら、以下のチェックリストを参考に、面接で確認すべき点を整理しておきましょう。
| チェック項目 | 確認する意図とポイント |
| 1. 年収の内訳 | 想定年収に占める基本給、賞与、各種手当の具体的な割合はどうか。 基本給が極端に低くないかを確認します。 |
| 2. 賞与の算定基準 | 賞与は基本給の何ヶ月分か。 過去数年間の支給実績はどうか。 業績連動の場合、その計算方法も確認できると理想的です。 |
| 3. みなし残業 (固定残業代) | 給与に含まれるみなし残業の時間数は何時間か。 その時間を超えた場合の残業代は別途支給されるか。 この点は極めて重要です。 |
| 4. 評価と昇給の仕組み | 評価の頻度は年何回か。 どのような基準で評価され、昇給率はどの程度か。 具体的な給与テーブルの有無も確認します。 |
| 5. 福利厚生 | 住宅手当や家賃補助の有無と金額。 その他、技術書購入補助やカンファレンス参加支援など、エンジニア向けの制度が充実しているかを確認します。 |
これらの項目は、ご自身の働き方と生涯賃金に直結する非常に重要な情報です。
もし面接で聞きにくいと感じる場合は、転職エージェントを介して事前に確認してもらうのも有効な手段です。
ポートフォリオの作り方と評価指標
ゲーム業界の選考、特にエンジニア職においては、職務経歴書以上にポートフォリオ、つまりご自身が作成した制作物が重視される傾向が強いです。
ご自身の技術力と実績を「見える化」して提示することが、希望する年収での転職を勝ち取るための最も有効な手段となります。
特に、Web開発からキャリアチェンジを目指す方にとって、ポートフォリオは「ゲーム開発経験がない」というハンデを覆すために必要です。
個人プロジェクトとしてUnityやUE5を使い、小規模でも良いので最後まで完成させたゲームやツールを準備しましょう。
その上で、採用担当者から高く評価されるポートフォリオには、以下の表に示すような要素が含まれていることが重要です。
| 評価される要素 | 具体的なアピール方法 |
| 技術的な挑戦 | チュートリアルレベルに留まらず、ネットワーク同期やカスタムシェーダー、AI実装など、技術的に難易度の高いテーマに挑戦した実績を示します。 |
| パフォーマンス改善の実績 | 「FPSを45から60に改善」「ロード時間を8秒から3秒に短縮」など、改善前後の具体的な数値を提示し、ボトルネックの特定と解決能力をアピールします。 |
| コードの品質 | GitHubなどでソースコードを公開します。 誰が読んでも理解しやすい変数名やコメント、保守性を考慮したクラス設計などを通じて、チーム開発への適性を示します。 |
| ドキュメント | 制作物の概要や技術的な工夫、操作方法などをまとめたREADMEファイルを用意します。 設計思想や課題解決のプロセスを言語化する能力をアピールします。 |
完成度の高さよりも、どのような課題意識を持ち、技術的にどう解決したのかというプロセスを示すことが、ご自身のポテンシャルを伝える上で大切になります。
年収交渉の進め方と質問例
オファー面談は、ご自身の年収を決定する転職活動の最終かつ最重要局面です。
適切な準備と交渉を行うことで、当初の提示額から年収を50万円~150万円程度引き上げられる可能性も十分にあります。
感情的にならず、客観的なデータに基づいて論理的に交渉することが成功のポイントです。
年収交渉を成功させるためには、まず以下の表に示す事前準備を徹底しましょう。
| 事前準備の項目 | 具体的なアクション |
| 1. 希望年収と根拠の明確化 | ご自身のスキル、実績、現職年収、市場相場を基に、希望する年収額とその理由を論理的に説明できるように準備します。 |
| 2. 実績の数値化 | 「担当した機能改善で、継続率が〇%向上した」「開発ツールを導入し、チームの作業時間を週〇時間削減した」など、貢献度を具体的な数値で示せるように整理します。 |
| 3. 交渉材料の確保 | 可能であれば複数の企業から内定を得ておくことで、客観的な市場価値を示しやすくなり、交渉を有利に進めるための材料となります。 |
これらの準備を整えた上でオファー面談に臨み、一方的に希望を伝えるのではなく、対話を通じて条件をすり合わせていくことが重要です。
例えば、以下のような質問を投げかけることで、企業側の評価基準を確認しつつ、ご自身の希望を伝えるきっかけを作ることができます。
- 「今回ご提示いただいた年収額について、その背景にある私のスキルや経験への評価をお聞かせいただけますでしょうか?」
- 「承知いたしました。現職では〇〇という実績に対し△△円の評価をいただいており、また他社様からは□□円のご提示をいただいております。これらの市場価値も踏まえ、貴社でもう少しご検討いただくことは可能でしょうか?」
- 「入社後にどのような成果を上げれば、1年後、3年後にどの程度の昇給や昇格が見込めるか、具体的なキャリアパスの例をお伺いできますか?」
交渉は、単に要求を伝えるだけの場ではありません。
企業側の評価とご自身の希望をすり合わせ、双方が納得できる着地点を見つけるための対話です。
もし直接交渉することに不安がある場合は、転職エージェントに間に入ってもらい、交渉を代行してもらうことも非常に有効な手段です。
まとめ
ゲームエンジニアの年収は、スキルと領域によって変わります。
Web・業務系からの転職者が現年収350万円〜600万円より上を目指すには、戦略が不可欠です。
C#やC++の経験は、サーバーサイドやツール開発で高く評価されます。
特に高年収を狙うなら、グラフィックス(UE5)、ネットワーク、パフォーマンス最適化のスキルを磨きましょう。
求人票の内訳を精査し、ポートフォリオで技術力を証明し、エージェントを活用して年収交渉に臨むことで、年収を維持・向上させる転職は十分に可能です。
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