IT業界は人手不足が深刻化しており、より良い条件・環境・キャリアを目指した転職が活発化しています。
一般的には転職回数が多くなるにつれて企業側にはマイナスの印象を与えるといわれていますが、スキルフィットを重視するエンジニア職においては一概にはいえません。
今回はエンジニアの平均転職回数や、気になる転職回数ごとの賃金上昇者の割合のデータ、転職回数が多い・少ない場合の企業に与えるイメージをもとに、転職を成功させるコツを解説していきます。
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ITエンジニアの転職回数は4回以上が最多
2024年厚生労働省が行った5年以内にIT・デジタル職種に転職した方への調査によると、約30%が4回以上転職を経験していることが分かりました。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」
転職回数別にみた転職後の賃金上昇者の割合
同調査結果には、転職回数別の賃金上昇者の割合も報告されています。
賃金が上昇したと回答したのは、転職回数2回までの人が最多で約60%を占めていました。
しかし4回以上の方でも半数の50%以上が「賃金が増加した」と回答しています。
またスタート時に賃金が下がったとしてもスキル習得後上がっていくケースもあるため、何を求めて転職するかを重視したほうがいいと言えるでしょう。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」
年代別の転職理由
厚生労働省はほかにも年代別の転職理由も調査しています。
20~24歳は人間関係による転職が最も多く、25~29歳では仕事内容への不満と賃金の低さが主な理由であることがわかります。
同年代に多い転職理由を比較してみると、転職をするかどうかの判断材料になるかもしれません。
参照:厚生労働省「 性・年齢階級、自己都合による転職の理由別転職者割合」
転職回数が”多い”ことで企業に与えるイメージ
転職回数が多いことでどのようなイメージを企業に与えるのか、 ポジティブ・ネガティブ両方の観点でみていきましょう。
ポジティブイメージ
まずはポジティブイメージをご紹介します。
即戦力になるスキル・知見がある
転職回数が多い人は、各業界の特性や職種ごとの知識を幅広く持っていると期待されます。
こうした経験は、転職回数が多いエンジニアにとって最大の強みとなるでしょう。
新しい環境への適応能力が高い
複数の転職回数があるということは、新しい環境や人間関係を一から構築し適応してきた実績があることを示しています。
企業は組織内の調和を重んじるため、コミュニケーション能力や協調性が高いことは好印象を与えることができます。
自己成長意欲が高い
転職のたびに、新たな知見やスキルを習得して成長してきたことを企業にアピールできます。
特に「今の仕事や環境には満足しているが、自分の成長のためにチャレンジをしたい」という姿勢は前向きな評価を受けることが多いでしょう。
ネガティブイメージ
一方、転職回数が多いとどのようなネガティブイメージを持たれてしまうのでしょうか。
長く勤めてもらえないのではないか
採用には費用も育成コストもかかります。企業は採用した人材が長期的に活躍してくれることを期待しているため、またすぐに転職をしてしまうのではないかと不安に思われる可能性があります。
人間性に懸念があるのではないか
先ほど述べた通り企業は組織内の調和を重んじます。転職回数が多いことによって、人間関係やコミュニケーション能力に懸念を抱く企業も少なくありません。
年齢とキャリア・スキルが見合わない
転職を重ねるごとに、年齢に応じた責任のあるポジションを任された経験やスキルが身についていればよいのですが、転職回数の割に経験が少なかったり、同じような業務の会社ばかりに転職していたりする人は、成長意欲が乏しいというマイナスイメージをもたれる可能性があります。
転職回数が”少ない”ことで企業に与えるイメージ
転職回数が少ない場合は企業にどのようなイメージを与えるのかも解説していきます。
ネガティブイメージは少ないが気を付ける点もある
転職回数が少ない場合は、そこまでネガティブイメージをもたれることはありません。
あえて言うのであれば、転職回数が多い方のポジティブイメージと逆に考えると良いでしょう。
経験社数が少ないと、各業界の知見・職種ごとの専門知識を得られる機会も限られます。新しい環境へ飛び込んだ経験がないということは、適応能力の有無が判断できません。
市場価値が上がらない可能性がある
同じ企業に数年・数十年在籍するなかで、年齢に応じたキャリアを積めているかどうかは重要な観点です。
ずっと同じ業務を任されていたり、裁量の範囲が変わらなかったりする場合は、転職の際にネガティブイメージにつながる可能性があります。
とくに、マネジメントスキルや最新の言語を扱うスキルなど、特定のスキルを求める企業には転職しづらくなるでしょう。往々にしてそういったスキルを必要とするポジションのほうが、 年収が上がるケースが多いのも事実です。
▼こちらの記事もおすすめ
「エンジニアがスキルアップすべき理由は?」もあわせてご覧ください。
エンジニア転職の需要が高いのは30代前半まで
エンジニアの転職市場も他職種と同様30代前半までの需要が高い傾向です。
もちろん30代後半でも、技術力・マネジメント経験があれば若手世代に差をつけることはできます。
もし今の職場で将来的にそれらの経験や新しいスキルを得るチャンスが見込めないのであれば、なるべく早く転職に踏み切った方がいいでしょう。
▼すぐに動きたいけど何から動いたらいいかわからない、まずは転職のプロに相談する
転職を重ねることで得られるメリットとデメリット
転職することで転職者が得られるメリットとデメリットもまとめて解説します。
得られるメリット
転職を重ねることで得られる主なメリットは以下の2つです。
待遇・福利厚生・働き方が良くなる可能性がある
この記事の冒頭にも書いたように、転職することで50%以上の方が賃金アップに成功しています。
またスキルを生かすことで、希望の働き方がかなう企業を選択しやすくなるでしょう。
市場価値が上がる
業界知識、任されてきた裁量が多いほど企業からは引く手あまたになるでしょう。
例えばAI関連の知見や実務経験など、各分野に特化した最新技術に関する知識は重宝される傾向にあります。 転職によってそれらを習得すると、次の転職の際に有利になる可能性が高まります。
切り離せないデメリット
一方で転職を重ねることで生じるデメリットもあります。
スキルの習得に時間がかかる
同じエンジニアでも、使っているツール・システムが違えば再学習の必要があります。 新しいスキルを習得するには時間も労力もかかるでしょう。
待遇が良くなるとは限らない
事実、転職することで約20%の方は賃金が減少したと回答しています。転職する目的が明確な場合は、ステップアップのためと割り切り望んで年収を下げるケースもあります。
大切なのは、自身が転職を通して未来にどうなっていたいかです。
転職活動だけでは見えない部分もある
社風や文化は見えづらいものなので、入社してから違和感を覚えるケースも少なくありません。
メリット・デメリットの整理や、詳細の企業情報は調べるだけでは分からない部分もあるでしょう。
▼転職のプロに相談することで、詳しい情報を得ることができる
転職回数が多くても成功するコツ
最後に、転職回数が多くても転職に成功できるコツを解説します。
採用担当者の目線に立つ
中途採用において企業が転職者に求める優先順位は
1.経験を生かして即戦力になるから
2.専門知識・能力があるから
3.離職者の補充のため
4.職場への適応力があるから
となっています。転職回数が多いということは、その分知識・経験があり、適応力があるということが企業とその採用担当から期待されています。
参照:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
転職回数の多さをポジティブに変換する
企業・採用担当者が求める目線に沿い、今までの経歴をポジティブに変換しましょう。
例えば、転職回数が多い=新しい環境への適応能力が高いといえます。
ほかにも、転職を通してどんな成長をしたかったのか、その結果どうなったのか、次の転職では…という成長軸も前向きな意志が伝わるでしょう。
とはいえエンジニアはスキルフィットが最重視される職種です。自身がどんなスキルを習得済みなのか、どんな業界知識を持っているのかが一番重要なので、事前にまとめておくと良いでしょう。また、嘘をつくこと は絶対にしてはいけません。
▼エンジニア面接のより詳しい情報
「エンジニアの面接でチェックされているポイント」もあわせてご覧ください。
大切なのは未来どうなりたいか
過去は変えられません。
過去は素直に受け入れ、過去の経験をもとに未来にどうなりたいかを言語化することが一番重要といえるでしょう。
誰かに相談する
自分だけで未来を言語化するのは難しい場合もあります。
自身の友人や家族、信頼している方に相談したり、転職のプロに無料で相談できるサービスを利用したりすると新たな気付きにつながります。
▼「弱みを強みに変換すること」「未来を考えること」はひとりでは難しいから、プロに相談
まとめ
転職回数が多くなるほど企業へネガティブイメージを与えてしまう可能性があるため、企業の採用担当目線に立ってポジティブに変換することを意識すると良いでしょう。
特にエンジニア職はスキルフィットが重要なため、今までどのようなスキルを習得済みなのか、業界知識を持っているのか、また未来はどうなりたいのかを考えてみることもおすすめです。
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