今こそ見直すべき“面接対策”の基本とアップデート

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この記事でわかること

  • ITエンジニアの採用市場の変化
  • 面接で企業が見ているポイントと、押さえるべき3つの対策
  • 逆質問の重要性と具体例
編集者プロフィール
ウィルオブテック編集部

エンジニア転職に関するお役立ち情報を発信

ここ数年で、ITエンジニアの採用市場は大きく変化しました。 

かつてはITエンジニアの正社員人数を確保することに価値がありました。そのため、「とりあえず会う」「ポテンシャルを信じて採る」という空気もありましたが、今はもう違います。

  • 景気が不透明であること
  • 新規事業のクローズなど新規人員が不要に
  • 人材紹介フィーの高騰で採用コストが上がっていること
  • 生成AIの急成長に伴う開発戦力化

企業は「誰でもいいから採る」から「限られた予算で誰を採るべきか」へとシフトしています。

この変化は、面接のあり方にも大きな影響を与えています。 

「カジュアル面談だから、そこまで準備しなくても…」と思っていると、あっさり落ちてしまうことも珍しくありません。今やカジュアル面談も実質的には選考フェーズの一部。応募者側が本気で向き合わなければならない時代です。

この記事では、そんな“今の時代”に求められる面接対策の基本と、面接で差がつく具体的なアプローチについて紹介します。

久松さん

監修者プロフィール

合同会社エンジニアリングマネージメント 社長
久松 剛さん

慶應義塾大学大学院政策メディア研究科博士(政策・メディア)。2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。合同会社エンジニアリングマネージメント社長兼レンタルEM。ベンチャー企業3社にてIPOや組織改善コンサル、PjMなどを歴任後、2022年に合同会社を設立。
現在はスタートアップから日系大手企業まで企業規模を問わず、採用や組織改善コンサル、セミナー、執筆など幅広く活躍中。

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面接の“立ち位置”が変わった

面接風景

以前は、面接は「会ってから考える」ための場でした。経験が浅くても、熱意があればなんとかなる、ということもありました。企業も「伸びしろ重視」で、多少のアンマッチは目をつぶって採用に踏み切るケースも見られました。

しかし、現在は事情が大きく異なります。採用単価は上がり、母集団形成も難しくなっているため、企業は“面接1回1回に真剣”です。特に自社開発や受託系の企業では、SESのようにとりあえず人をアサインするというモデルではない以上、採用の失敗が直接的に事業リスクに直結します。

だからこそ、1回の面接で「この人と本当に一緒に働けるか」「カルチャー的に無理はないか」をじっくり見極めようとします。 

つまり、面接とは「あなたが企業を選ぶ場」であると同時に、「企業があなたを選ぶ最後の判断材料」でもあるのです。

今、企業が見ているポイント

では、そんな時代に企業が面接で見ているポイントは何でしょうか。

志望動機

まず最初に問われるのが、志望動機です。

かつては「エージェントに紹介されたから来ました」でも面接が成立していた時代もありましたが、今は違います。

企業は、カジュアル面談であっても候補者が「なぜこの会社に興味を持ったのか」を重視しています。自社に対してどんな魅力を感じているのか、自分のキャリアの中でどう位置づけているのか、それを説明できない人は「自身で考えて動くことができない人材」として早々に不採用となってしまいます。

キャリア観との整合性

次に見られているのが、「キャリア観との整合性」です。

たとえば、スタートアップで裁量権を持って働きたい人と、大企業的な安定性を重視する会社が出会っても、お互いに不幸になる可能性があります。

今の自分が目指す方向性と、会社が提供できる役割がズレていないか。企業はそこを鋭く見ています。

カルチャーフィット

カルチャーフィットも重要です。

職場の価値観や働き方への共感、チームに馴染めそうかといった観点も含まれます。これはリモートワーク環境では特に大きな意味を持ちます。

顔を合わせない中でどう信頼を築いていくのか、どんな姿勢で業務に向き合っているのか。そうした“態度や姿勢”が問われる時代になりました。

技術力があることはもちろん大前提ですが、それだけでは不十分なのが今の現実です。

面接対策で押さえるべき3つのポイント

面接官3名

こうした状況を踏まえ、今の面接で高評価を得るためのポイントを3つに絞って解説します。

  • 企業名ありきの志望動機
  • ストーリー性のあるキャリアの説明
  • 行動と思考の一貫性

その企業でなければならない“理由”を語る

1つ目は、「志望動機を“企業名ありき”で準備すること」です。

他社でも通用するようなテンプレ的な志望動機では意味がありません。「成長性に惹かれました」「チャレンジングな環境だと思いました」などの言葉は、言い換えればどこでも言える内容です。

志望動機は、その企業の何に関心を持ったのか、どの情報から魅力を感じたのかを具体的に話せるようにしておきましょう。公式サイトや採用ページだけでなく、社員インタビュー記事や登壇資料、SNSでの発信など、企業が出している一次情報に触れた上で、「自分なりの解釈」を持って話すのが理想です。

キャリアの“流れ”を一本のストーリーにする

2つ目は、「キャリアの説明を“ストーリー”として構造化すること」です。

どんなにスキルがあっても、転職歴がバラバラに見える人は不利になりがちです。面接では、自分のこれまでのキャリアの“つながり”を語ることが求められます。「なぜ前職に入社したのか」「なぜ転職したのか」「なぜ今この会社に興味があるのか」。この流れが一本の線としてつながっていれば、面接官は納得感を持ちやすくなります。

「どう動いたか」より「なぜそう動いたか」を語る

3つ目は、「自分の行動に“思考”と“価値観”を乗せて語ること」です。

単に「〇〇を担当していました」「〇〇を改善しました」だけでは不十分です。「なぜそのやり方を選んだのか」「どんな判断軸で動いたのか」「何を学び、次にどう活かしたのか」といった要素を加えることで、再現性や成長意欲が伝わります。

こうした語り方は、経験年数に関係なく訴求力があります。未経験者であっても、アルバイト経験や学習エピソードに“思考”が伴っていれば、それは立派な評価対象になります。

逆質問で差をつけるには?

面接の終盤によくある「何か質問はありますか?」という時間。ここを軽く流すのはもったいないです。

実は逆質問は、あなたの志望度やリサーチ量、思考力を測る重要なポイントになっています。「特にありません」は準備不足・熱意不足と見なされてしまう可能性が高く、採用側からすると非常に残念な印象になります。

よくあるNGパターンが、「リモートワーク比率はどれくらいですか?」という質問を真っ先にしてしまうことです。もちろん働き方は気になる要素ですが、それを面接の最初の逆質問として持ち出すと、「自分の都合を優先している」「環境にこだわりすぎている」と見られてしまいます。

いきなり条件交渉から入る印象を与えてしまい、せっかくのアピールが台無しになってしまうのです。

逆質問の具体例

良い逆質問の例としては、以下のようなものがあります。

  • 「御社の〇〇という技術選定に興味がありますが、導入にあたって苦労された点はありますか?」 
  • 「このポジションの方が成果を出す上で、大事にされているスタンスやマインドは何ですか?」 
  • 「1年目で活躍されている方には、どんな特徴がありますか?」

これらの質問は、事前に企業について調べた上で、その中から自分が興味を持ったポイントをさらに深掘りする形になっています。単なる“情報収集”ではなく、「貢献意欲」「理解を深めたい気持ち」が伝わるため、非常に好印象です。

また、自分が入社した後のイメージを前提にした質問は、志望度の高さを示すことにもつながります。逆質問は、面接官との関係性を深める最後のチャンスです。活用しない手はありません。

まとめ

面接は、単なる質疑応答の場ではなく、「お互いを理解し合う対話の場」です。ただし、対話である以上、土台となる準備ができていなければ成立しません。

企業は今、「誰でも採る」時代ではなくなっています。その中で、自分を選んでもらうためには、「なぜ自分か」「なぜこの会社か」をセットで語れることが必要です。

自分の言葉で、経験と価値観を伝える。そして、企業の魅力を調べ、逆質問を通して“対話”を深める。 

そんな面接対策こそが、これからの時代に求められるスタンダードです。

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