エンジニア1年目は辛い?7つの理由と明日からのアクションを解説

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この記事でわかること

  • 1年目のエンジニアが辛いと感じる7つのポイント
  • 辛い状況を打破する4つの習慣
  • 辛い時期を乗り越えるコツと2年目以降の成長のコツ4選
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ウィルオブテック編集部

エンジニア転職に関するお役立ち情報を発信

「エンジニア1年目、辛い…」

理想と現実のギャップに戸惑い、周りとの技術差に焦り、簡単な質問もできず、日々のストレスとプレッシャーの中で、自分は向いていないのではと悩んでいませんか?

その辛い気持ちは、あなただけが抱えるものではありません。

この記事では、1年目特有の技術やコミュニケーションの壁を乗り越える具体的な方法、心の保ち方、そして将来のキャリアの描き方までを丁寧に解説します。

読み終える頃には、漠然とした不安が自信に変わり、明日へ踏み出す勇気が湧いてくるはずです。

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エンジニア1年目はなぜ辛い?

外、手すり、顔を手で覆うスーツの男性

エンジニアとして働き始めた1年目に多くの人が感じる「辛さ」。

それは決して一つの原因から来るものではなく、新しい技術の壁、慣れないコミュニケーション、そして見えないプレッシャーといった、複数の要因が複雑に絡み合って生まれます。

この章では、多くの新人が経験する7つの具体的な悩みの理由を一つひとつ丁寧に解き明かし、今あなたが抱えている苦しみが、決して特別なことではないとお伝えします。

  • 専門用語が分からず会話に追いつけない
  • 質問したくても先輩が忙しそうで聞けない
  • 単純なミスを繰り返してしまい落ち込む
  • 自分の成長が全く感じられない焦り
  • 周りの同期と自分を比較してしまう
  • 想像していた仕事内容とのギャップ
  • 技術以外の人間関係や会社文化の悩み

理由(1)専門用語が分からず会話に追いつけない

エンジニアの職場では、会議や日々のチャットで当たり前のように専門用語や略語が飛び交います。

研修で基本的な知識を学んだはずなのに、「プルリク」「マージ」「リベース」といった言葉が呪文のように聞こえ、会話の流れが全くつかめないという声を聞きます。

特にリモートワークが中心の環境では、先輩たちの表情や場の雰囲気といった非言語的な情報が少ないため、言葉の意味がわからないと、自分が完全に場違いな存在に感じてしまい、強い孤立感を抱いてしまうのも無理はありません。

IT業界は、技術用語だけでなく、ビジネス用語やその会社独自の言い回しも多く、新人が最初からすべてを理解するのは不可能です。

この「言葉の壁」は、エンジニア1年目が最初に直面する大きな試練の一つです。

会話についていけない自分を責める必要はありません。まずは分からない言葉を聞き流すのではなく、そっとメモを取る習慣から始めてみましょう。

理由(2)質問したくても先輩が忙しそうで聞けない

エンジニア1年目は、先輩が忙しそうで質問したくてもできない状況を特に辛いと感じます。

「こんな初歩的なことを聞いて呆れられたらどうしよう」という評価への不安と、「集中している先輩の時間を奪うのは申し訳ない」というチームへの罪悪感、この二つの感情に同時に苛まれるからです。エラーが出て1時間も画面とにらめっこしている時、頭の中では常にこの不安と罪悪感がせめぎ合っています。

特に、締め切りが近いプロジェクトに参加していると、職場の緊張感から「自分のせいで作業を遅らせてはいけない」というプレッシャーが加わり、質問するというごく自然な行為が、とてつもなく重いタスクに感じられてしまいます。

チャットで質問文を書いては消しを30分も繰り返したり、先輩がヘッドフォンを外すタイミングをずっとうかがったりする時間は、まさにこの精神的な葛藤そのものです。

さらに辛さを増幅させるのは、質問をためらった結果、問題を解決できずに時間を浪費してしまい、「チームの足を引っ張っている」という新たな罪悪感を抱いてしまうことです。

この「質問できない辛さ」と「解決できない辛さ」の負のループにはまり込んでしまうことが、1年目のエンジニアが自信を失う大きな原因の一つです。

理由(3)単純なミスを繰り返してしまい落ち込む

1年目が「単純なミス」を繰り返すことを特に辛いと感じるのは、それが「自分はエンジニアに全く向いていないのかもしれない」という適性そのものへの深刻な不安に直結し、自己肯定感を根こそぎ奪っていくからです。

例えば、開発環境の構築に失敗して半日を無駄にしてしまったり、ほんの数文字のタイポが原因でプログラムが動かなくなったりします。あるいは、Gitの操作を誤って必要なコードを消してしまい、頭が真っ白になることもあるでしょう。

一つひとつのミスは小さくても、それが続くと「またやってしまった…」という自己嫌悪に陥ります。

高度な技術的なミスならまだしも、こんな簡単なこともできないと自分を責め、「周りの先輩や同期に呆れられているのではないか」「貴重な時間を無駄にさせて申し訳ない」という罪悪感を感じます。

この単純なミスの繰り返しによって自信を失い、「自分だけが成長できていない」という孤立感と焦りが生まれるのです。

この負の連鎖こそが、1年目のエンジニアを「自分はもうダメだ」と深刻に落ち込ませる、非常に辛い原因です。

理由(4)自分の成長が全く感じられない焦り

自分の成長が全く感じられないという焦りが辛いのは、日々の業務に必死で食らいついている努力が、何一つ報われていないように感じてしまうからです。この努力の無力感が、心をすり減らしていきます。

周りの先輩たちは驚くべきスピードで課題を解決していくのに、自分はいつまで経っても一つのタスクに時間がかかり、できるようになったことよりも、まだできないことばかりが目につきます。

この辛さの根本的な原因は、無意識のうちに経験豊富な先輩を比較対象にしてしまい、昨日までできなかったことが今日できるようになった、というような日々の小さな進歩を完全に見過ごしてしまうからです。

その結果、「入社してから数ヶ月、自分は何をしていたのだろう」「このまま何もできないエンジニアになってしまうのではないか」という、出口の見えないトンネルにいるかのような強い焦りを感じてしまいます。

できたことリストを作るなど、自分の進歩を意識的に可視化することが大切です。比較する相手は他人ではなく、昨日までの自分自身です。

理由(5)周りの同期と自分を比較してしまう

周りの同期と自分を比較してしまうことが何よりも辛いのは、最も身近で対等なはずの存在が、自分の劣等性を証明する鏡のように感じられてしまうからです。

同じタイミングでキャリアをスタートさせたはずの同期が、社内のチャットで技術的な議論をリードしていたり、SNSで勉強会への参加を報告していたりします。

そうした姿を目にするたびに、「それに比べて自分は何もできていない」「自分だけが取り残されている」という、胸がえぐられるような焦りや劣等感に襲われます。

特にエンジニアという職種は、スキルの習得スピードに個人差が出やすいため、他者との比較が自己肯定感を下げる大きな要因です。

頭では「人は人、自分は自分」と分かっていても、同期の輝かしい活躍は「自分も本来ああなれたはずだ」という強烈な自己否定に繋がり、それが深い辛さの原因となるのです。

同期は競争相手であると同時に、同じ悩みを共有し、助け合える最も身近な「仲間」でもあります。他人というコントロールできない指標に一喜一憂するのではなく、自分のペースで、自分が立てた目標に向かって一歩ずつ進みましょう。

比較の矢印を他人ではなく「過去の自分」に向けることが、心の平穏を保ち、着実な成長を続けるための秘訣です。

理由(6)想像していた仕事内容とのギャップ

想像していた仕事内容とのギャップが辛いのは、こんなはずじゃなかったという失望感が、仕事へのモチベーションそのものを根本から揺るがしてしまうからです。

自分のアイデアを形にし、新しいサービスをどんどん開発していくという華やかなイメージを抱いてエンジニアになったのに、現実は全く違います。

コードを書く時間よりも、地味なテスト作業やExcelのテスト項目書とにらめっこする時間の方が長かったり、会議の議事録作成やデータ投入といった、誰にでもできそうな作業に追われたりします。

この理想と現実のギャップに、「本当にやりたかった仕事はこれだったのか」「このままではスキルも身につかず、思い描いていたキャリアからどんどん遠ざかってしまう」という強い失望と焦りを感じてしまいます。

このやりがいの喪失感が、日々の業務をただの「苦痛な作業」に変えてしまうのです。

一見、遠回りに思えるかもしれませんが、全ての仕事には必ず学びがあります。

この時期の経験が、数年後に大きな視野を持って開発に取り組むための、かけがえのない財産になるのです。

理由(7)技術以外の人間関係や会社文化の悩み

技術以外の人間関係や会社文化の悩みが辛いのは、プログラミングスキルとは無関係なため誰にも相談しにくく、「自分のコミュニケーション能力が低いせいだ」と一人で抱え込み、精神的に追い詰められてしまう点にあります。

特にリモートワークが中心だと、チャットでの業務連絡が全てになりがちです。

気軽に雑談できる雰囲気がなければ、チームにうまく溶け込めている実感が全く持てず、強い孤独感を感じてしまいます。

また、社会人経験が浅いため、上司への報告・連絡・相談の適切なタイミングが分からなかったり、評価を気にするあまり率直な意見が言えなかったりと、コミュニケーション自体に大きなストレスを感じることも少なくありません。

「飲み会が苦手で辛い」「1on1で何を話せばいいか分からない」といった悩みは技術的な悩み以上に共有しにくく、このように誰にも理解されないという孤立感が、1年目のエンジニアを精神的に疲弊させる大きな原因となるのです。

しかし、エンジニアも組織の一員としてチームで成果を出す仕事です。円滑な人間関係を築くスキルは、技術力と同じくらい重要になります。

まずは挨拶や感謝の言葉を丁寧に伝える、といった基本的な部分から意識するだけでも、あなたの印象や周りの対応は少しずつ変わっていくはずです。

辛い状況を抜け出す具体的な対処法は?

顎に手を当て悩む男性

エンジニア1年目が抱える「辛さ」の原因がわかっても、具体的にどう行動すれば良いのか分からず、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。

この章では、精神論だけでなく、明日からすぐに実践できる4つのアクションプランを提案します。

  • できない事を正直に上司や先輩へ伝える
  • 完璧を目指さず60点でもまず提出する
  • 毎日の小さな目標設定と振り返りの習慣
  • 社外の勉強会やコミュニティに参加する

対処法(1)できない事を正直に上司や先輩へ伝える

今、何が分からず、どの部分で業務が止まっているのかを正直に、そして具体的に上司や先輩へ伝えることこそ、辛い状況から抜け出すための最も効果的な近道です。

一人で抱え込むと、見当違いの方向に努力してしまったり、経験者なら一瞬で解決できる問題に何時間も費やしたりと、貴重な時間を浪費してしまいます。

上司や先輩にとって、新人の状況を正確に把握し、適切な支援を行うことは大切な仕事の一部です。

ただ「分かりません」と投げるのではなく、

「〇〇機能の実装で、APIからデータが取得できず1時間止まっています。ドキュメントを読み、△△と××の方法を試しましたが、同じエラーが出ます」

といった形で、目標と試したこと、現状をセットで報告しましょう。そうすれば、相手も的確なアドバイスがしやすくなります。

「できない」と伝えることは恥ではなく、問題を早期に解決しようとする責任感と成長意欲の表れです。

勇気を出して現状を共有する姿勢は、周囲からの信頼を獲得し、より多くの学習機会を得ることにつながります。

対処法(2)完璧を目指さず60点でもまず提出する

エンジニアとして働き始めたばかりの時期は、100点満点の完璧な成果を目指す必要はありません。

むしろ、60点の完成度でも良いので、できるだけ早い段階で一度アウトプットし、上司や先輩に提出してフィードバックをもらう習慣をつけましょう。

1年目の段階では、求められている「完璧」の基準が曖昧で、自分よがりな完璧さに陥ってしまいます。時間をかけて念入りに作ったコードが、実はプロジェクトの要件からずれていて、全てやり直しになるのは典型的な失敗ケースです。

早い段階でレビューしてもらうことで、進むべき方向のズレを早期に修正でき、結果的に手戻りが減って学習効率が最大化します。

例えば、「〇〇の機能について、ひとまず動くところまで実装しました。設計面で改善すべき点があればご指摘いただきたいです」のように、完成途上であることを伝えた上で助言を求めるのです。

新人にとって完璧主義は成長を妨げる罠になり得ます。アウトプットのサイクルを速く回し、フィードバックを素早く取り入れる姿勢こそが、今のあなたに必要なスキルです。

対処法(3)毎日の小さな目標設定と振り返りの習慣

早く一人前になるという大きな目標だけでは、日々の進捗が見えにくく、成長を実感できずに息切れしてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、毎朝「今日はこれを一つできるようになる」というごく小さな目標を立て、終業前に「何ができて、何ができなかったか」を簡単に見直す習慣です。この小さな成功体験の積み重ねが、失いかけた自己肯定感を育て、自分は着実に前に進んでいるという感覚を取り戻させてくれます。

目標は「Gitの新しいコマンドを一つ覚えて使う」「昨日分からなかったエラーの原因を特定する」といった、具体的で達成可能なレベルで十分です。

そして一日の終わりに、手帳やメモアプリに「できたこと」「新しく分かったこと」「次に知りたいこと」を一行でも書き留めてみましょう。

この「目標設定→実践→振り返り」という小さなサイクルを日々回すことこそが、着実にスキルアップしていくための基礎となり、漠然とした不安を具体的な行動への意欲へと変えてくれるはずです。

対処法(4)社外の勉強会やコミュニティに参加する

日々の業務に行き詰まり、社内に相談できる相手もいないと感じたら、思い切って会社の外に目を向けてみましょう。技術勉強会やオンラインコミュニティへ参加することは、新しい知識の習得はもちろん、精神的な支えや新たな視点を得るための非常に有効な手段です。

会社という一つの環境だけでは、どうしても技術や考え方が偏ることがあります。社外の多様なエンジニアと交流することで、最新の技術トレンドや、自分の会社とは違う開発の進め方など、「生きた情報」に触れることができます。

また、同じように悩む同世代のエンジニアとつながることで、「辛いのは自分だけじゃなかった」と心から安心でき、モチベーションの回復になるでしょう。

connpassなどのサイトで初心者向けのオンライン勉強会を探し、まずは聞くだけでも良いので参加してみましょう。

会社というホームに加え、社外に精神的なセーフティーネットとなる第三の居場所を持つことは、あなたのエンジニアとしてのキャリアを、より豊かで強固なものにしてくれるでしょう。

リモートワーク下での質問のコツとタイミング

PC、スマホ、手帳、ペン、観葉植物

相手の様子が見えないリモートワーク環境では、「今、話しかけても大丈夫かな?」という不安から、対面以上に質問のハードルが高くなります。

この章では、相手への配慮と自己解決への努力を両立させ、お互いの生産性を高めるための具体的な質問のコツを解説します。

  • 質問する前に要点をまとめる準備術
  • 意図がしっかり伝わる質問テンプレート
  • 先輩の集中を邪魔しない質問タイミング

コツ(1)質問する前に要点をまとめる準備術

リモート環境で質問を投げかける前に、必ずやっておきたいのが「質問の要点をまとめておく」という準備です。具体的には、自分で調べたこと、試したこと、そして何に困っているのかをテキストにまとめておくのです。

準備不足のまま質問すると、何に困っているのかが相手にうまく伝わらず、状況把握だけで多くの時間を奪ってしまいます。

対面なら画面を指差して説明できますが、リモートではそれができません。だからこそ、事前に情報を整理し、テキストだけで状況が伝わるようにしておくことが、問題の早期解決につながります。

この準備の過程で思考が整理され、自己解決に至るケースも少なくありません。

例えば、以下の5点を書き出してみましょう。

  1. 最終的な目的
  2. 試したコード
  3. 発生したエラー
  4. 参考にした情報
  5. 質問の核

この準備は、単なる作業ではなく、エンジニアとしての問題解決能力を鍛える最高のトレーニングであり、学習の質を飛躍的に向上させてくれます。

コツ(2)意図がしっかり伝わる質問テンプレート

準備した要点は、誰が読んでも状況を再現できるような「質問テンプレート」に沿って記述することで、その価値が最大限に発揮されます。

テキストでのやり取りは、声のトーンや表情といった情報が抜け落ちるため、背景や文脈を丁寧に記述しないと意図が正しく伝わらないリスクが常に伴います。

構造化されたテンプレートは、質問者にとっては情報を漏れなく伝えるためのチェックリストになり、回答者にとっては状況把握の時間を短縮できるという、双方にとって大きなメリットがあります。

例えば、以下のようなテンプレートを意識するだけで、質問の質は劇的に向上します。

項目記述内容の例
背景・目的〇〇機能を作成中です。
試したこと(ここに試したコードや手順を具体的に記述します)
発生している問題(ここにエラーメッセージの全文や、問題が分かるスクリーンショットを貼ります)
仮説・質問△△が原因かと推測していますが、特定に至りません。調査すべき点についてアドバイスを頂けますか。

このテンプレートを自分なりにアレンジしていつでも使えるようにしておけば、あなた自身の評価を高め、先輩からも「教えがいのある新人だ」と認識されるきっかけになるでしょう。

コツ(3)先輩の集中を邪魔しない質問タイミング

エンジニアの仕事は、深い集中を必要とする時間が多く、一度その流れが中断されると、元に戻るまでに大きな労力を要します。

相手の状況が見えないリモートワークだからこそ、いきなり通話をかけたりせず、相手の集中を尊重する工夫が、良好な人間関係を築く上で非常に重要になります。緊急でなければ、まずはチャットで質問の要点を送り、相手の都合の良いタイミングで返信してもらうのが基本です。

あるいは、チームの朝会や夕会の最後に設けられる質問タイムを活用したり、「#質問部屋」のような専用チャネルに投稿したりするのも良い方法です。

バーチャルオフィスツールを導入しているなら、相手のステータスが「雑談OK」になっている時を狙うのも賢いやり方です。

もしチームに明確なルールがなければ、一度「推奨される質問の方法やタイミングはありますか?」と上司や先輩に聞いてみるのが最も確実です。

こうした相手への配慮は、技術的なスキル以上に、チームの一員として信頼されるエンジニアになるための重要な要素なのです。

辛い時期を乗り越えるメンタルケアは?

コーヒー、時計、ノート、ペン、マウス、PC、手

エンジニアとして辛い時期を乗り越えるためには、技術を磨くだけでなく、適切なメンタルケアで自分自身の心を健やかに保つことが不可欠です。

この章では、つらい時期を乗り越えるためのメンタルケアで心がけることを4つ紹介します。

  • 人と比べず過去の自分と比べる意識
  • 一年目で出来なくて当たり前と割り切る
  • 休日は仕事から離れてリフレッシュする
  • 信頼できる人に悩みを打ち明けてみる

心がけ(1)人と比べず過去の自分と比べる意識

同期や先輩との比較をやめ、過去の自分とだけ比べる意識を心がけましょう。

頭で分かっていても、つい他人と比べてしまうのが人間です。そこから抜け出すには、意識的に自分の成長を記録し、見返す仕組みを作りましょう。

例えば、「できたことログ」をつけるのが効果的です。手帳やメモアプリに、どんなに小さなことでも構いません。

「昨日分からなかったエラーの原因が特定できた」「新しいショートカットキーを覚えた」など、1日1つでも「できたこと」を書き留めます。月末に見返せば、自分の確かな進歩が見えてくるはずです。

また、3ヶ月前や半年前の自分が書いたコードを見返す習慣もおすすめです。

当時は意味も分からず書いていた部分が、今ならその意図を説明できるかもしれません。その差こそが、誰にも否定できないあなたの成長の証です。

他人というコントロールできない指標ではなく、このように可視化された自分の成長に目を向けることが、心の平穏を取り戻すための具体的な方法です。

心がけ(2)一年目で出来なくて当たり前と割り切る

「1年目はできなくて当たり前。今は失敗しながら学ぶことが仕事なのだ」と、良い意味で割り切る勇気を持ちましょう。自分自身への期待値を現実的なレベルまで引き下げることが、過度なプレッシャーから心を守る上で非常に効果的です。

そもそも、企業が新人に本当に求めているのは、入社直後からの完璧な成果ではありません。それよりも、分からないことを素直に認め、失敗を恐れずに挑戦し、そこから貪欲に学んでいく姿勢を評価しています。

あなたを苦しめているのは、自分自身で無意識に設定した高すぎる理想と、未熟な現実とのギャップです。それは不必要に自分を追い詰めているに過ぎません。

仕事でミスをした時に自分を責めるのではなく、「なるほど、このケースではこういう問題が起きるのか。良い学習データが得られた」と、一つの経験として客観的に捉え直してみましょう。

あなた自身に、「完璧でなくても良い」と許可を与えてあげてください。エンジニア1年目は、将来のためにたくさん失敗し、学ぶための大切な準備期間なのです。

心がけ(3)休日は仕事から離れてリフレッシュする

平日にどれだけ仕事が辛くても、休日だけは意識的にPCを閉じ、仕事やプログラミングの学習から完全に離れる時間を作ることが、心と体を守り、長期的なパフォーマンスを維持するためには不可欠です。

休日も勉強しないと遅れをとってしまうという焦りから常に仕事のことを考えていると、脳が休まらず、ストレスが蓄積していきます。

これが続くと、ある日突然無気力になる「燃え尽き症候群」に陥るリスクがあります。そうなる前に、意識的に休息を取りましょう。

例えば、「土曜の午後はPCに触らない」といったルールを決めるのが効果的です。

その時間で、好きな映画を観たり、近所を散歩したり、友人と仕事と全く関係のない話をしたりと、自分が「楽しい」と心から思える活動に没頭するのです。

心と体の健康がなければ、良い仕事は決してできません。休むことも仕事のうちと割り切り、自分なりの最高のリフレッシュ方法を見つけることが、結果的にあなたのエンジニアとしてのキャリアを長く、豊かなものにしてくれます。

心がけ(4)信頼できる人に悩みを打ち明けてみる

「辛い」「苦しい」といった気持ちを、一人で抱え込まないでください。

信頼できる社内のメンターや先輩、あるいは同期や学生時代の友人、家族に、勇気を出して話してみることが、心の重荷を軽くする上で非常に有効です。自分の悩みを言葉にして誰かに話すプロセスは、それ自体が自分の思考を整理し、気持ちを落ち着かせる効果を持っています。

また、自分一人では堂々巡りになってしまう悩みも、他者からの客観的なアドバイスや「自分も昔はそうだったよ」という共感の言葉によって、新たな視点や解決の糸口が見つかることは少なくありません。

まずは、年齢の近い先輩をランチに誘い、「今、こんなことで悩んでいて…」と少しだけ打ち明けてみてはどうでしょうか。

もし社内の人に話しにくい場合は、会社の産業医やカウンセラーといった専門家を頼る選択肢も忘れないでください。助けを求めることは、決して弱さではなく、自分の問題を解決しようと主体的に行動する「強さ」の証なのです。

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2年目以降に活躍するための成長のコツ

バインダー、男性2名、スーツ、オフィスビルの中

エンジニアとして辛い1年目を乗り越えた先には、本当の意味での成長期が待っています。

この章では、守りの姿勢から一歩踏み出し、2年目以降に活躍するエンジニアになるための4つの成長のコツを紹介します。

  • 基礎的なIT知識を体系的に学び直す
  • 学んだ事をブログ等でアウトプットする
  • 目の前の仕事の全体像を意識する
  • 自分のキャリアプランを上司に相談する

コツ(1)基礎的なIT知識を体系的に学び直す

日々の業務を通じて断片的に得た知識を、資格取得の勉強などを通じて、改めて体系的に学び直すことが、応用の効く強固な技術的土台を築き、2年目以降の成長を加速させるコツです。

OJTで学ぶ知識は、どうしても担当業務の範囲に偏りがちで、知識に抜け漏れが生まれやすくなります。体系的な学習は、それらの点と点だった知識を線で結びつけ、「なぜこの技術はこう動くのか」という根本的な原理原則への理解を深めてくれます。

この土台があって初めて、未知の技術にも臆せず対応できる応用力が身につくのです。

例えば、情報処理推進機構が実施する「基本情報技術者試験」や、クラウドサービスの認定資格の勉強を始めてみるのがよいでしょう。

また、自分が使う言語やフレームワークの公式ドキュメントを通読することも効果的です。1年間の実務経験を積んだ今だからこそ、基礎知識の重要性がより深く理解できるはずです。

この2年目の学び直しが、今後のあなたの成長スピードを大きく左右することを覚えておきましょう。

コツ(2)学んだ事をブログ等でアウトプットする

仕事や自己学習で得た知識や経験を、技術ブログや社内勉強会といった形で積極的にアウトプアウトする習慣を持つことは、知識を本当の意味で自分のものにし、エンジニアとしての市場価値を高める上で最も効果的な学習法の一つです。

人に教えることを前提に情報を整理すると、自分の曖昧な理解がどこだったのかが明確になり、知識が深く記憶に定着します。

また、情報を発信すると、それが誰かの役に立つという貢献感を得られます。

さらに、外部からフィードバックをもらえたり、新たな人脈が生まれたりするなど、次の学びの機会につながる良い循環が生まれます。

業務で直面したエラーとその解決策を、QiitaやZennといった情報共有サービスに記事としてまとめてみましょう。どんなに小さな発見でも構いません。アウトプットは「すごいエンジニア」の専売特許ではなく、成長過程のエンジニアにとってこそ価値は絶大です。

インプットとアウトプットのサイクルを回すことが、成長への最短ルートです。

コツ(3)目の前の仕事の全体像を意識する

自分が今担当しているタスクが、プロジェクト全体のどの部分を担い、ビジネス的にどのような価値を生み出すのかという全体像を常に意識すれば、自ら考えてより良い提案ができるエンジニアへと成長できます。

全体像が見えていないと、「指示されたことを、指示された通りにこなす」という受け身の姿勢に陥ります。

しかし、自分の仕事の目的や他の機能との関連性を理解することで、より良い実装方法を自ら提案したり、潜在的なリスクを予見して事前に手を打ったりと、付加価値の高い仕事ができるようになります。

新しいタスクを依頼された際に、「この機能は、どのようなユーザーが、どういった状況で使うことを想定していますか?」といった一歩踏み込んだ質問をしてみましょう。

また、設計書や議事録も、自分の担当箇所だけでなく全体に目を通す習慣をつけることが大切です。目の前のコードという「木」を見るだけでなく、プロジェクトやビジネスという「森」も見る視点を持ちましょう。

この一つ高い視点を持つことこそが、数年後、技術的な壁にぶつかったあなたを必ず助けてくれるはずです。

コツ(4)自分のキャリアプランを上司に相談する

自分のキャリアプランについて、定期的な1on1ミーティングなどを活用して上司に相談・共有してみましょう。そうすることで、自分の希望に沿った仕事や成長の機会を得やすくなります

自分のキャリア志向を上司が認識していなければ、当然ながら、それに沿った仕事が回ってくる可能性は低くなります。自分の意欲や興味を伝えておくことで、関連する新規プロジェクトや研修への参加、挑戦的なタスクの割り当てといった機会を得やすくなります。

1on1の場で、「将来的には、〇〇の分野の専門性を高めたいのですが、今後どのような業務に挑戦すると良いでしょうか?」といった形で、具体的に相談してみましょう。

キャリアは与えられるものではなく、自ら主体的に築いていくものです。

上司を評価者としてだけでなく、キャリア形成を支援してくれるメンターとして活用していく意識が大切です。

1年目で転職を考えるのはアリ?

人差し指を立てた、スーツ、水玉ネクタイ、男性

「もうこの会社を辞めたい」という気持ちが日に日に強くなる一方で、1年で転職するのは逃げになるのでは、という罪悪感との間で、ジレンマを抱えていませんか。

この章では、そんなあなたのために、1年目での転職という選択肢を冷静に検討するための4つのポイントを解説します。

  • 第二新卒としての転職市場での価値
  • 転職する前に現職で試すべきこと
  • 本当に辞めるべき会社の危険なサイン
  • 未経験歓迎の求人探しと注意点

ポイント(1)第二新卒としての転職市場での価値

社会人経験が1年程度でも、新卒にはないビジネスの基礎とエンジニアとしての実務経験を持つ「第二新卒」として、転職市場では一定の価値と需要があります。

企業側から見ると、第二新卒はビジネスマナーや基本的なIT業界の常識を身につけているため、全くの未経験者よりも教育コストが低いことがメリットです。

また、若手ならではのポテンシャルや学習意欲に期待し、自社の文化に染まっていない段階で採用して、長期的に育てたいというニーズも根強く存在します。

第二新卒向けの求人では、特定の高度な技術スキルよりも、コミュニケーション能力や問題解決能力、そして何より「これから成長したい」という強い意欲が重視される傾向です。

面接では、「現職の1年間で何を学び、その経験を次にどう活かして貢献したいか」を前向きに語れると評価が上がります。かつて言われた「最低でも3年」という考え方に縛られる必要はありません。

しかし、それはあくまでポテンシャル採用であり、自身の1年間の経験を客観的に棚卸しし、市場価値を冷静に見極めることが大切です。

ポイント(2)転職する前に現職で試すべきこと

感情的に辞めると決断する前に、これまでこの記事で紹介してきたような現職の環境でできる対処法を全て試したか、冷静に見極めることが後悔のない選択をするために必要です。

今の辛さの原因が、職場環境だけに起因するのではなく、自分自身のスキル不足やマインドセットにある場合、仮に転職しても新しい職場で同じ壁にぶつかる可能性が高いからです。

現職を自分を成長させるための場と捉え、やれることをやり切る経験は、自身の課題を明確にし、次のステップへ進む上で必ず役立ちます。

転職活動を始める前に、「上司にキャリアや業務の悩みを具体的に相談したか?」「質問の仕方を工夫したか?」「社外のコミュニティに参加してみたか?」と自問自答してみましょう。

もし、まだ試していないことがあるなら、それを実行することが先決です。

たとえ転職するとしても、「現職でこれだけの努力をしたが、〇〇という環境的な要因により成長が見込めないと判断した」という明確な転職理由を持つことが、面接での説得力を格段に高めます

ポイント(3)本当に辞めるべき会社の危険なサイン

個人の努力や心がけだけでは到底改善できない、心身の健康や将来のキャリアを著しく損なう危険なサインが見られる会社からは、たとえ1年目であっても、自分を守るために転職を真剣に検討しましょう

危険な環境に身を置き続けることは、回復が難しいほどの精神的ダメージを受けたり、エンジニアとして成長する貴重な時間を奪われたりするからです。

危険なサインには、以下が挙げられます。

  • 月80時間を超えるような長時間残業が常態化し、改善の見込みがない
  • 質問やミスに対して、人格を否定するようなパワハラが横行している
  • 約束されていた開発業務が全くなく、単純作業しかやらせてもらえない
  • 明らかに違法、または倫理的に問題のある業務を強要される

これらのサインは、もはや個人の辛さというレベルを超えた、会社の構造的な問題です。

もし一つでも当てはまるなら、それはあなたが弱いからではありません。自分の心と将来を守るために、撤退することも必要かつ正当な判断なのです。

ポイント(4)未経験歓迎の求人探しと注意点

「未経験歓迎」や「第二新卒歓迎」を謳う求人を探す際には、その魅力的な言葉の裏に隠された教育体制の充実度や入社後のリアルな業務内容を、慎重に見極めることが転職の失敗を避ける上で最も重要です。

残念ながら、「未経験歓迎」の求人の中には、十分な研修制度もないまま現場に放り込み、エンジニアを使い捨ての駒のように扱う、いわゆるブラック企業が紛れている可能性があります。求人票の充実した研修制度という言葉を鵜呑みにせず、その具体的な期間やカリキュラムを確認しましょう。

企業の口コミサイトで元社員の評価を調べたり、信頼できる転職エージェントから内部情報を得たりすることも有効です。

面接の場では受け身にならず、「入社後の1ヶ月間、どのような研修を受けられますか?」「配属後のチームでは、新人はどのようなタスクから担当しますか?」といった具体的な質問をしましょう。

転職はゴールではなく、新たなキャリアのスタートです。

次の環境で同じ「辛さ」を繰り返さないためにも、自分がその会社で着実に成長できるかという長期的な視点で企業を選ぶことが何よりも大切です。

まとめ

本記事では、エンジニア1年目が技術や知識の壁にぶつかり、辛いと感じる原因と、その壁を乗り越えるための具体的な対処法を解説しました。

大切なのは、一人で抱え込まず、完璧を目指さずに小さな行動を積み重ねることです。できないことは正直に伝え、日々の成長を可視化し、時には社外に目を向けることも有効です。

紹介した対処法や質問のコツ、メンタルケアを参考に、焦らず自分のペースで実践してみてください。もし環境が合わないと感じたら、転職エージェントに相談するのも一つの選択肢です。

辛い時期を乗り越えた先には、必ず成長したあなたの姿があるはずです。

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