セキュリティエンジニアの年収は?給料を上げる資格や稼げるキャリアパスを紹介

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この記事でわかること

  • セキュリティエンジニアの平均年収
  • 年収が低いセキュリティエンジニアの特徴と原因
  • 転職時に役立つ企業選びチェックリストと面接で確認すべき質問
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ウィルオブテック編集部

エンジニア転職に関するお役立ち情報を発信

「セキュリティエンジニアへの転職で、本当に年収は上がるのか?」

「年収1000万、2000万という話を聞くが、どうすれば到達できるのか…」

そんな悩みを抱えていませんか?

この記事を読めば、ご自身の市場価値と、高年収を実現するための具体的なキャリアパスが明確になります。

国内企業の平均年収や年代別の推移はもちろん、大手IT企業のリアルな年収水準、そしてコンサルタントやマネージャーといったキャリアパスごとの収入の違いまでを徹底解説。

「最高年収」を目指すための、具体的なキャリアプランの描き方をお伝えします。

さあ、この記事で確かな情報に基づいたキャリアプランニングを始め、年収アップへの第一歩を踏み出しましょう。

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セキュリティエンジニアのリアルな年収は?

サボテン、電卓、PC

この章では、セキュリティエンジニアの実際の年収について、信頼できるデータを基に詳しく紹介します。

セキュリティエンジニアの年収には主に以下の要素が影響します。

  • 平均年収と中央値から見る実態
  • 年代別で見るリアルな年収推移
  • 会社員とフリーランスの年収差

平均年収と中央値から見る実態

セキュリティエンジニアの平均年収は約600万円です。

これは、日本の平均年収である約443万円や、IT業界全体の平均年収である約457万円と比較しても、非常に高い水準にあることがわかります。

年収の幅は300万円台から1,200万円以上と広く、まさにスキルと経験が収入に直結する専門職といえるでしょう。

この高い市場価値の背景には、社会全体のDXの加速があります。あらゆるサービスがオンライン化する一方で、サイバー攻撃は日々高度化・巧妙化しており、企業の事業継続を脅かす重大な経営課題となっています。

このため、事業の根幹を守るセキュリティ専門家への需要が急増し、その結果として高い報酬が設定されているのです。

出典:求人ボックス給料ナビ、セキュリティエンジニア

年代別で見るリアルな年収推移

セキュリティエンジニアの年収は、年齢と経験を重ねるごとに着実に上昇していく、安定した成長曲線を描くのが特徴です。

キャリアのスタート地点となる20代の平均年収は約413万円です。この時期は、実務を通じてセキュリティの基礎知識や技術を徹底的に習得する重要な期間となり、ここでの経験が30代以降の飛躍的な年収アップつながります。

実務経験を積み、チームの中核を担う30代になると、平均年収は約582万円へと大きく飛躍します。リーダーを任されたり、特定の分野での専門性を深めたりすることで年収が大きく伸びる、キャリアの「ゴールデンタイム」といえるでしょう。

40代では平均年収約706万円となり、マネージャーやセキュリティコンサルタントとして、より責任のある立場で活躍します。技術力に加え、プロジェクト管理能力や組織をまとめるリーダーシップが評価され、高い収入につながります。

そして、豊富な経験と実績を持つ50代以上では、平均年収は約782万円に達します。

部長職やCISO(最高情報セキュリティ責任者)として企業全体のセキュリティ戦略を統括し、経営層として最高水準の報酬が期待できるポジションです。

出典:求人ボックス給料ナビ、セキュリティエンジニア

雇用形態と企業規模による年収の違い

どのような環境で働くかによっても、得られる年収は大きく変わってきます。転職を考える上で、非常に重要な視点です。

まず正社員として働く場合、安定した雇用と充実した福利厚生のもとで、長期的なキャリアを築けるのが魅力です。平均年収は600万円前後ですが、所属する企業の規模によって差が生まれます。一般的に、セキュリティへの投資額が大きい大手企業の方が年収水準は高く、700万円以上の報酬も十分に目指せます。

次に、派遣社員という働き方もあります。平均時給は約3,200円と高く、年収換算すると600万円を超えるケースも少なくありません。様々な現場で経験を積みたい方や、柔軟な働き方を求める方に適しています。

比較対象としてフリーランスに触れると、平均年収は約984万円と非常に高額です。しかし、これは案件獲得の営業力や自己管理能力といった、技術以外のスキルも求められる結果です。

まずは企業で安定した経験を積むことが、将来的な高収入への確実な一歩となるでしょう。

年収が低いセキュリティエンジニアの特徴と原因

手で顔を覆う眼鏡の男性、PC

「自分は平均以下の年収かもしれない…」そんな不安を抱えていませんか?

この章では、なぜ一部のセキュリティエンジニアが平均年収を下回ってしまうのか、その原因と特徴について詳しく紹介します。

年収が伸び悩む背景には、主に以下のような要因が関係しています。

  • スキル不足で評価されないケース
  • 下流工程ばかり担当させられている
  • 業界や企業規模による年収格差

スキル不足で評価されないケース

年収が伸び悩む最大の要因は、現在の市場が求めるスキルセットと自身のスキルにギャップが生じていることです。技術の進歩が速いセキュリティ分野では、常に知識をアップデートし続けなければ、市場価値は相対的に低下してしまいます。

例えば、情報処理安全確保支援士などの基本的な国家資格は、客観的な知識レベルを証明する上で重要な指標となります。

こうした資格がない場合、いくら実務経験があっても、転職市場ではスキルを正当に評価されにくい傾向があります。

また、技術的なトレンドへの対応も不可欠です。

近年では、オンプレミス環境の知識だけでなく、AWS、Azure、GCPといったクラウドプラットフォームのセキュリティスキルが強く求められています。クラウドに関する知見が不足していると、担当できる業務範囲が限定され、結果として年収が頭打ちになる一因となります。

さらに、インシデント発生時に根本原因を調査し、解決に導いた経験、いわゆる「インシデントレスポンス」の実績も、高度なスキルとして評価される重要なポイントです。

下流工程ばかり担当させられている

担当する業務内容が、キャリアの成長と年収に直接的な影響を及ぼすことも少なくありません。

特に、セキュリティの下流工程と呼ばれる業務に長期間従事している場合、年収は平均を下回る傾向があります。

下流工程とは、具体的にはSOCでのアラート監視や、脆弱性診断ツールを操作してスキャンを実行するだけの作業、あるいはファイアウォールの設定変更といった定型的な運用業務などです。

これらの業務は、マニュアル化されていることが多く、専門性を深く追求する機会が限られがちです。そのため、個人のスキルが向上しにくく、市場価値も上がりにくいという構造的な課題を抱えています。

一方で、セキュリティポリシーの策定やシステム設計といった「上流工程」は、企業のビジネス戦略に直結するため付加価値が高く、当然ながら報酬も高くなります

下流工程の業務に留まっていると、こうした高付加価値な業務を経験する機会を逃し続け、同世代のエンジニアと年収に大きな差が開いてしまうのです。

業界や企業規模による年収格差

個人のスキルや意欲が高くても、所属する「環境」によって年収が大きく左右されるという、構造的な問題も存在します。

例えば、セキュリティへの投資体力が乏しい中小企業では、専門職としてのポジションが確立されておらず、情報システム担当者が兼任しているケースも珍しくありません。

このような環境では、高度なセキュリティスキルを持っていても、報酬に反映させる仕組みが整っていないことが多いでしょう。

また、所属する業界も年収に大きく影響します。

金融や大手IT業界のように、情報資産の保護が事業の根幹に関わる業界では、セキュリティ人材への投資を惜しみません。

対照的に、一部の製造業や小売業などでは、セキュリティがコストとして認識され、エンジニアの待遇改善が後回しになる傾向があります。

さらに、客先常駐を主体とするSES企業に所属している場合、自社の評価制度よりも常駐先の契約単価に給与が依存しやすいため、スキルに見合った案件に巡り会えなければ、年収が伸び悩む一因です。

セキュリティエンジニアが年収1000万円を超えるための方法

バインダー、資料、ボールペン、説明

セキュリティエンジニアとしてキャリアの頂点を目指すなら、年収1000万円は決して非現実的な目標ではありません。

この章では、セキュリティエンジニアが年収1000万円以上の高収入を実現するための方法について紹介します。

年収1000万円超を目指すには以下の4つのキャリアパスが考えられます。

  • ITコンサルタントへのキャリア転身
  • マネジメント職でチームを率いる
  • 特定分野のスペシャリストを目指す
  • 高年収の外資系企業へ転職する

ITコンサルタントへのキャリア転身

技術的な知見を活かして、より上流から企業の課題解決に貢献したいと考えるなら、ITコンサルタントへの転身は年収1000万円を目指す上で非常に有力な選択肢です。

このキャリアパスでは、単なる技術者ではなく、企業の経営層と対話し、ビジネス課題をセキュリティの観点から解決する「戦略パートナー」としての役割が求められます。

コンサルタントは、最新の脅威動向や法規制に関する深い知識はもちろんのこと、クライアントの事業内容を理解し、最適なセキュリティ投資を提案する高度なコミュニケーション能力と論理的思考力が必要です。

そのため、大手コンサルティングファームや専門ファームでは、その高い付加価値に見合う報酬が設定されており、年収1000万円から1500万円という水準も決して珍しくありません。

技術力とビジネス感覚を両立させることで、市場価値の高いプロフェッショナルとして活躍できるでしょう。

マネジメント職でチームを率いる

技術の最前線で手を動かすだけでなく、チームや組織全体を率いて大きな成果を出すことにやりがいを感じる方には、マネジメント職が最適なキャリアパスです。

セキュリティチームのリーダーから始まり、部長職、そして最終的には企業のセキュリティ戦略全体を統括するCISOを目指すのが、代表的なキャリアパスです。

このポジションでは、個人の技術力以上に、チームメンバーの育成、プロジェクトの予算管理、そして経営陣への的確な報告といった組織運営能力が重要視されます。

企業の重要な情報資産を守る責任者としてその役割は極めて重要であり、年収は1200万円から1800万円、グローバル企業ではそれ以上となることもあります。

まずは小規模なチームのリーダーとして実績を積み、徐々にマネジメントスキルを磨いていくことが、この道への確実なステップとなります。

特定分野のスペシャリストを目指す

特定の技術分野を深く掘り下げ、誰にも負けない専門性を武器にしたいと考えるなら、スペシャリストの道が拓けています。

特に、クラウドセキュリティ、AIセキュリティ、IoTセキュリティといった成長著しい分野では、専門知識を持つ人材が圧倒的に不足しており、その希少価値は年々高まっています。

例えば、ペネトレーションテスターとしてシステムの脆弱性を発見するエキスパートや、クラウド環境に特化したセキュリティアーキテクトとして堅牢なシステムを設計する専門家などが挙げられます。

これらの専門職は、常に最新技術を追い続ける探求心と実践的なスキルが求められますが、その対価として年収1000万円以上の報酬を得ることが可能です。

一つの分野を極めることで、代替の効かない唯一無二の存在として市場で高く評価される未来が待っています。

高年収の外資系企業へ転職する

現在のスキルセットに自信があり、最も直接的に年収アップを実現したい場合、高待遇で知られる外資系企業への転職が極めて効果的な手段です。

外資系のIT企業や金融機関は、日系企業と比較して給与水準が根本的に高く、実力主義の評価制度が徹底されています。

外資系企業で成功するためには、技術力はもちろんのこと、ビジネスレベルの英語力が必須条件となります。

また、CISSPやCISMといった国際的に認知された資格を保有していることは、自身のスキルをグローバルな基準で証明する上で強力な武器になるでしょう。

成果に対して正当な報酬を求める文化があり、パフォーマンス次第では年収1500万円以上のオファーや、株式報酬を含めた高額な報酬パッケージを得ることも夢ではありません。

グローバルな環境で自身の価値を試したいという意欲のある方にとって、最もエキサイティングな選択肢です。

セキュリティエンジニアの年収2000万円超えは現実的か?

大きいモニター、グラフ、PC抱えた男性

セキュリティエンジニアとしてキャリアの頂点を見据えたとき、「年収2000万円」という数字は一つの大きな目標となります。

この章では、セキュリティエンジニアにとって年収2000万円以上の超高収入が実際に達成可能なのか、その現実性について詳しく紹介します。

年収2000万円超えには主に以下の3つのルートが存在します。

  • アメリカでは驚くほどの高年収
  • Amazonなどトップ企業の年収水準
  • 企業の最高情報セキュリティ責任者になれたら2000万越え

アメリカでは驚くほどの高年収

年収2000万円の頂きを目指す上で、海外、特にアメリカの市場に目を向けることは極めて有効な選択肢です。

アメリカにおけるサイバーセキュリティ専門家の給与水準は、日本のそれを遥かに凌駕しており、経験豊富なエンジニアであれば年収2000万円以上は決して特別な数字ではありません。

特に、IT産業の中心地であるシリコンバレーや、金融機関が集中するニューヨークといった主要都市では、需要と生活費の高さから報酬も高騰しています。

これらの地域では、シニアクラスのセキュリティエンジニアが年収3000万円以上を得ることも珍しくないのです。

アメリカの報酬体系で特筆すべきは、基本給に加えて株式報酬(RSU)やボーナスの割合が大きい点です。

企業の業績や個人のパフォーマンスに応じて、総報酬額が大きく跳ね上がる仕組みが、この驚異的な年収水準を実現する要因となっています。

もちろん、この舞台で活躍するには、高度な専門スキルに加え、ビジネスレベルの英語力と就労ビザの取得という高いハードルが存在します。

Amazonなどトップ企業の年収水準

海外に渡らずとも、日本国内で年収2000万円を超える道は存在します。

その最も確実なルートが、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftに代表されるグローバルテック企業への転職です。

これらの企業は、世界最高レベルの人材を確保するために、国籍を問わず世界基準の報酬パッケージを提示しています。

これらの企業が扱うデータは、数億人規模の個人情報や国家レベルの機密情報に匹敵するため、その防衛を担うセキュリティエンジニアには、文字通り桁違いの投資が行われます。

シニアレベルのセキュリティアーキテクトや、特定の分野に特化したプリンシパルエンジニアといった上級職では、基本給に加えて多額の株式報酬が与えられるため、総報酬額は容易に年収2000万円を超え、時には3000万円、4000万円に達するでしょう。

もちろん、その門は極めて狭く、世界中のトップタレントとの熾烈な競争を勝ち抜かなければなりません。

コーディング能力、システム設計能力、そしてセキュリティに関する深い洞察力が、最高レベルで問われることになります。

企業の最高情報セキュリティ責任者になれたら2000万越え

技術のプロフェッショナルとしてだけでなく、経営者の一員としてキャリアを築くことで、年収2000万円の壁を超える道もあります。

それが、CISOへの就任です。

CISOは、企業のセキュリティ戦略の全てに責任を持ち、経営陣に対してその責務を全うする、極めて重要なポジションです。

現代の企業経営において、大規模なサイバー攻撃による被害は、時に数百億円規模の損失と、回復不可能な信用の失墜をもたらします。

このような重大なリスクから企業を守るCISOの市場価値は計り知れず、その報酬も責任の重さに比例します。

特に、グローバルに事業を展開する大企業や、規制の厳しい金融機関のCISOとなれば、その年収は2000万円から3000万円以上となるのが一般的です。

この地位に到達するには、最低でも15年以上の実務経験、複数の国際資格、そして技術だけでなく、法務、財務、広報といった多岐にわたるビジネス知識と、卓越したリーダーシップが求められます。

まさに、セキュリティキャリアの最終到達点の一つといえるでしょう。

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年収アップに直結する資格5選

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自身のスキルを客観的に証明する「資格」は、年収交渉や転職を有利に進める上で非常に重要な要素です。

この章では、セキュリティエンジニアの年収アップに最も効果的な5つの資格について紹介します。

  • 国家資格「情報処理安全確保支援士」
  • マネジメント向け資格「CISM」
  • 国際的評価が高い「CISSP」
  • 実践的なスキルを証明する「OSCP」
  • ネットワーク分野の最高峰「CCIE」

国家資格「情報処理安全確保支援士」

セキュリティエンジニアとしてのキャリアをスタートする、あるいは基盤を固める上で最もコストパフォーマンスに優れた資格が、情報処理安全確保支援士(RISS)です。

これは情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格であり、日本国内での信頼性は絶大です。

この資格は、サイバーセキュリティに関する体系的な知識を保有していることの公的な証明となります。

そのため、多くの企業で月額1万円から3万円程度の資格手当の対象となっており、取得するだけで年収が数十万円アップする直接的な効果が期待できるのです。

特に、信頼性が重視される官公庁の案件や大手企業のプロジェクトでは、保有が有利に働く場面も少なくありません。

まずはこの資格を取得し、自身の知識レベルを客観的に証明することが、より高度な国際資格へ挑戦するための第一歩となるでしょう。

マネジメント向け資格「CISM」

技術の現場から一歩進み、チームや組織を率いるマネジメント層を目指すのであれば、CISM(公認情報セキュリティマネージャー)の取得が極めて有効です。

この資格は、技術的なスキルよりも、セキュリティガバナンス、リスク管理、インシデント管理といったマネジメント能力を証明することに特化しています。

CISMを保有していることは、あなたが単なる技術者ではなく、ビジネスの視点からセキュリティを統括できる人材であることを示す何よりの証拠です。

そのため、セキュリティマネージャーや部長職への昇進において強力な後押しとなり、年収800万円から1200万円といった高収入のポジションへの道が拓けます。

特に、経営層とのコミュニケーションが重要となるポジションでは、この資格が持つ意味は非常に大きく、キャリアのステージを一段階引き上げてくれるでしょう。

国際的評価が高い「CISSP」

セキュリティ分野でグローバルに活躍することを目指すなら、CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は避けて通れない、最も権威ある国際資格の一つです。

世界中の企業や組織で認知されており、「セキュリティのプロフェッショナル」としての国際的なパスポートと言っても過言ではありません。

CISSPは、8つのドメインにわたる広範な知識を要求され、さらに5年以上の実務経験がなければ認定されないため、その希少価値は非常に高いです。

外資系企業や海外展開を進める日系企業への転職においては、この資格の有無が採用の可否や提示される年収に直接的な影響を与えます

保有者は非保有者と比較して年収が大幅にアップする傾向にあり、年収1000万円超えを目指す上での必須要件と考えるべき資格です。

実践的なスキルを証明する「OSCP」

理論や知識だけでなく、「実際に攻撃者の視点からシステムを守れる」という実践的なスキルを証明したいなら、OSCP(Offensive Security Certified Professional)が最適です。

この資格は、ペネトレーションテストの能力を測ることに特化しており、試験は24時間以内に仮想環境内の複数のサーバーへ侵入するという、極めて実践的な内容で構成されています。

OSCP保有者は、いわゆる「ホワイトハッカー」としての高い技術力を持つことの証明であり、企業のセキュリティ診断や脆弱性分析といった専門職で引く手あまたの存在です。

特に、サイバー攻撃の最前線でインシデント対応を行うような高度なポジションでは、その価値が最大限に発揮されます。

専門性を武器に高収入を目指す技術志向のエンジニアにとって、キャリアを大きく飛躍させるでしょう。

ネットワーク分野の最高峰「CCIE」

ネットワークインフラとセキュリティ技術の両方を極めたいと考えるエンジニアにとって、その頂点に位置するのがCCIE Securityです。

これは、ネットワーク機器の最大手であるシスコシステムズ社が認定する資格の中で、最も難易度が高いエキスパートレベルの資格です。

CCIE Securityは、複雑なネットワーク環境における高度なセキュリティ設計、実装、そしてトラブルシューティング能力を証明します。

この資格を取得できるエンジニアは世界でも限られており、その希少性から市場価値は極めて高く評価されます。

大手インテグレーターや通信キャリア、外資系IT企業などでは、年収1200万円以上のエキスパートとして迎え入れられることも珍しくありません。

取得には数年にわたる集中的な学習が必要ですが、その努力に見合うだけの最高峰のキャリアと報酬が約束される資格です。

セキュリティエンジニアが高年収を狙える業界と企業の特徴

手を広げたスーツの男性

あなたのスキルと経験を最大限に評価してくれるのは、どのような場所でしょうか。

この章では、セキュリティエンジニアが高年収を実現しやすい業界と企業の特徴について紹介します。

高収入を目指す上で、特に注目すべき場所は以下の4つです。

  • 戦略を担うコンサルティング業界
  • 高待遇な外資系・大手IT企業
  • セキュリティ投資が活発な金融業界
  • 成長著しいWebサービス業界

戦略を担うコンサルティング業界

技術的な専門知識を、企業の経営課題解決に直結させたいと考えるなら、コンサルティング業界が最適な場所となるでしょう。

この業界では、セキュリティエンジニアは単なる技術提供者ではなく、クライアントの事業戦略を深く理解し、セキュリティの観点からビジネスの成長を支援する「戦略家」としての役割を担います。

コンサルティングファームでは、最新のサイバー攻撃動向、国内外の法規制、そして業界特有のリスクを総合的に分析し、クライアントに対して最適なセキュリティ投資や組織体制を提案する能力が求められます。

そのため、技術的な知見に加え、高い論理的思考力とコミュニケーション能力が不可欠です。

こうした高付加価値な業務内容が評価され、大手ファームでは年収1000万円から1500万円という高い報酬水準が設定されています。

多様な業界の課題に触れることで、自身の市場価値を継続的に高めていける点も、この業界の大きな魅力です。

高待遇な外資系・大手IT企業

純粋に自身の技術力を試し、最高の報酬を得たいと考えるのであれば、外資系企業や国内の大手IT企業が最も有力な選択肢となります。

これらの企業は、世界中からトップクラスの人材を集めるため、国籍や年齢に関わらず、実力に基づいた世界基準の報酬体系を用意しています。

特にGAFAMに代表されるようなグローバルテック企業は、その事業規模の大きさから、セキュリティを経営の最重要課題の一つと位置づけています。

そのため、優秀なセキュリティ人材の獲得には惜しみなく投資を行い、年収1500万円以上のオファーや、高額な株式報酬を含む報酬パッケージが提示されることも少なくありません。

成果主義が徹底されているため、常に高いパフォーマンスが求められますが、自身のスキルに絶対的な自信を持つエンジニアにとっては、最もエキサイティングでやりがいのある環境といえるでしょう。

セキュリティ投資が活発な金融業界

安定した環境で、着実に高収入キャリアを築きたいと考える方には、金融業界が非常に適しています

銀行、証券、保険といった金融機関は、顧客の膨大な資産情報を扱っており、その保護は事業継続の生命線です。

そのため、セキュリティに対する投資予算は他の業界と比較して潤沢であり、専門人材の待遇も非常に良い傾向にあります。

この業界では、サイバー攻撃対策はもちろんのこと、金融庁の定めるガイドラインや国内外の厳しい規制要件への準拠が常に求められます。

このような厳格な環境で働くことは、セキュリティエンジニアとしてのスキルを磨き、専門性を高める絶好の機会となるでしょう。

大手金融機関であれば、充実した福利厚生のもとで年収800万円から1200万円を目指すことができ、CISOクラスになればそれ以上の高額報酬も期待できる、安定性と専門性を両立できる場所です。

成長著しいWebサービス業界

最新の技術トレンドの最前線で、自身のスキルを試しながら高収入を目指したいなら、成長著しいWebサービス業界が魅力的な選択肢となります。

SaaS、Eコマース、フィンテックなど、新しいサービスが次々と生まれるこの業界では、事業の成長を支えるセキュリティの重要性が日に日に増しています。

特に、事業のインフラとしてクラウドを全面的に採用している企業が多く、AWSやGCP、Azureといったクラウド環境に特化したセキュリティスキルを持つエンジニアは、極めて高い需要があります。

クラウドネイティブな環境でのセキュリティ設計や、DevSecOpsの推進といった先進的な業務に携わる機会も豊富です。

急成長中のスタートアップでは、ストックオプションを含めた魅力的な報酬が提示されることもあり、年収900万円から1300万円といった高待遇も実現可能です。

変化の速い環境で、自身の成長と事業の成長をリンクさせたいと考える方に最適な業界です。

転職で後悔しないための企業選びチェックリスト

電卓を見つめてバインダーに何かを書く男性

素晴らしいキャリアプランを描いても、それを実現する「場所」を間違えてしまっては意味がありません。

この章では、セキュリティエンジニアが転職先を選ぶ際に確認すべき重要なポイントについて紹介します。

転職で後悔しないために、面接などの場で必ず確認しておきたいのは、以下の3つのポイントです。

  • セキュリティ部門の社内での位置付けを確認する
  • 資格取得や研修制度の充実度
  • 担当業務の範囲とキャリアパスの明確さ

セキュリティ部門の社内での位置付けを確認する

あなたの年収とキャリアの成長速度は、入社する企業のセキュリティ部門が、社内でどのような立ち位置にあるかで大きく左右されます。

単に「コストを消費する部門」として扱われているのか、それとも「事業価値を生み出す重要な部門」として認識されているのか、その違いは待遇や権限に如実に表れるのです。

この本質を見極めるために、面接の場では以下のような質問を投げかけてみましょう。

「セキュリティ部門の年間予算は、会社全体の売上に対してどのくらいの割合を占めていますか?」という問いは、企業の投資意欲を測る直接的な指標となります。

また、「CISOは、役員会のメンバーでしょうか?また、どの役職にレポートする体制ですか?」と尋ねることで、経営層との距離感や意思決定のスピードを推し量ることが可能です。

さらに踏み込んで、「過去に発生したインシデントから学んだ教訓として、組織や予算にどのような改善がなされましたか?」と質問すれば、その企業がセキュリティを本気で経営課題として捉えているか、その真摯な姿勢までみえてくるでしょう。

資格取得や研修制度の充実度

セキュリティ分野の技術は日進月歩であり、継続的な学習なくして市場価値を維持することはできません。

そのため、エンジニアの成長を支援する制度が、単なる福利厚生ではなく企業戦略として機能しているかを見極めることが非常に重要です。

求人票に「資格取得支援制度あり」と書かれているだけで満足してはいけません。その制度が本当に価値あるものか、その「質」と「実態」を確かめる必要があります。

例えば、「支援の範囲は受験料のみですか?それとも、高額な外部トレーニングや関連書籍の購入費用も含まれますか?」と確認すれば、企業の支援の本気度がわかります。

最も効果的なのは、「この制度を利用して、直近1年間でCISSPやCISMといった高度な資格を取得された方は何名いらっしゃいますか?」と実績を尋ねることです。

もし誰も利用していなければ、その制度は形骸化しているのかもしれません。

社員の成長に具体的に投資している企業こそが、あなたのキャリアと年収を長期的に引き上げてくれる環境といえるでしょう。

担当業務の範囲とキャリアパスの明確さ

入社後のミスマッチを防ぎ、長期的な年収アップを実現するためには、担当する業務の範囲と、その先に広がるキャリアパスの解像度を最大限に高めておくことが求められます。

面接では、求人票に書かれている抽象的な業務内容から一歩踏み込み、「入社後に私が最初に担当するプロジェクトの具体的な内容と、チーム内での役割について教えていただけますか?」と質問しましょう。

これにより、入社直後の業務が自身のスキルや志向と合っているかを確認できます。

さらに重要なのが、将来のキャリアの見通しです。

「御社で活躍されているセキュリティエンジニアの方は、5年後、10年後にどのようなキャリアを歩まれているのでしょうか。具体的な事例をいくつかお伺いできますか?」と尋ねることで、その企業で描けるキャリアパスの現実味を確かめることができます。

スペシャリストとしての道と、マネジメントとしての道のそれぞれに、明確な評価制度と昇進ルートが用意されているか。

自分の目指す将来像と、企業が提示する道筋が合致しているかを見極めることが、後悔のない転職につながります。

まとめ

本記事では、セキュリティエンジニアの平均年収や中央値といった実態から、年収1000万円、2000万円といった高年収を実現するための具体的なキャリアプランの描き方までを解説しました。

年収アップは、自身の適性を見極め、戦略的なキャリアを選択することです。

ITコンサルタントやマネジメント職、特定分野のスペシャリスト、あるいは高待遇な外資系企業への転職など、道は多岐にわたります。

CISMやCISSPなどの市場価値の高い資格は、キャリアアップを力強く後押ししてくれるでしょう。

需要が高まり続けるセキュリティ分野で、計画的にスキルを磨き、最適なキャリア選択に迷った際は、専門のエージェントに相談することも視野に入れ、あなたの市場価値を最大化してください。

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