未経験からエンジニア転職でよくある失敗5選とその回避法

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この記事でわかること

  • 未経験転職の失敗要因はスキル準備と企業リサーチの不足
  • 年収400万円超求人に応募するときは給与内訳を確認
  • 営業・事務など非IT職の経験を強みに変える視点
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未経験からエンジニアへの転職で失敗する人には、共通するパターンがあることをご存じですか?

「未経験歓迎」という求人に応募したのに、入社後に「思っていた仕事と違う」「成長できない」と後悔する人が後を絶ちません。

理想と現実のギャップに悩む声は、転職市場で今も多く聞かれます。

スキル準備が不足したまま応募する、ブラック求人を見抜けない、職種選びを誤る、面接対策が甘い、これらの失敗は、正しい知識と手順さえ知っていれば防げます。

この記事では、未経験からエンジニア転職で失敗する5つの原因と、ブラック企業を避けるチェックリスト、年齢別の戦略、評価されるポートフォリオの作り方、面接で確認すべき逆質問まで、転職活動の全手順を徹底解説します。

あなたが安心して次の一歩を踏み出せるよう、具体的な判断基準と成功の型をお伝えします。

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未経験からエンジニア転職で失敗するのはなぜか

PCの前で肘をついて悩む男性

未経験からのエンジニア転職がうまくいかない人には、実はいくつかの共通した原因があります。

準備不足や思い込みが、入社後のミスマッチや早期離職という残念な結果につながってしまうのです。

  • 事前のスキル準備が不足している
  • 企業研究と情報収集が甘い
  • キャリアプランが不明確
  • 選考対策が不十分
  • 条件への過度なこだわり

原因(1)事前のスキル準備が不足している

未経験からの転職で失敗する最大の原因は、実務で求められる技術レベルと、自身のスキルを証明するポートフォリオの準備不足にあります。

多くの求人には「未経験歓迎」と記載されていますが、これは決して「何も準備しなくてよい」という意味ではありません

企業側が本当に求めているのは、基礎的なプログラミング能力はもちろんのこと、自分で課題を見つけて調べ、解決する力を持つ人材です。

残念ながら、プログラミング学習サイトを一周したり、チュートリアル通りにアプリケーションを作ったりしただけでは、採用担当者に入社後の成長可能性を示すのは非常に困難でしょう。

例えば、GitHubに何も公開せずに応募したり、チュートリアルで作ったToDoアプリだけを提出して「なぜその技術を選んだのですか」という質問に答えられなかったりするのが、評価を下げてしまう典型的な例です。

企業はポートフォリオを通じて、応募者がどのような課題意識を持ち、どう技術を駆使して解決しようとしたのか、その思考プロセスを知りたいと考えています。

そのため、自分自身のアイデアで設計・実装したオリジナル作品を複数用意し、その開発背景や工夫した点を説明できるレベルにまで仕上げておくことが、失敗しないための最低条件となるのです。

学習範囲をむやみに広げるよりも、特定の領域で深い理解を示すことのほうが、採用担当者の評価につながりやすくなります。

原因(2)企業研究と情報収集が甘い

「未経験歓迎」という言葉だけを信じて応募先を選び、企業の実態や働き方を十分に調べずに入社してしまうことは、ミスマッチと早期離職を引き起こす大きな要因です。

未経験者を積極的に採用する企業の中には、注意深く実態を見極める必要がある会社も少なくありません。

例えば、実態としては客先常駐で働くSESという業態が中心であったり、名ばかりの研修を終えた直後に十分なサポートがない現場へ配属されたりするケースです。

求人票に「研修充実」と書かれていても、その内容はビジネスマナーが中心で、肝心の技術研修はごくわずかということも考えられます。

また、実際の業務内容や評価制度、配属先の環境が不透明なまま入社してしまうと、「思っていた仕事と全く違う」と感じ、エンゲージメントが低下して短期離職につながってしまいます。

自社サービス開発と聞いていたのに実態は受託開発が大半で、希望する技術に触れる機会がないという事例も後を絶ちません。

こうした失敗を避けるためには、求人票の言葉をうのみにせず、企業の公式サイトや技術ブログ、口コミサイトなど、あらゆる情報源を活用して多角的に企業を調査する姿勢が不可欠です。

入社後の働き方を具体的にイメージできるレベルまで情報収集を徹底することが、自分に合った環境を見つける上で重要です。

原因(3)キャリアプランが不明確

「とりあえずエンジニアになりたい」という漠然とした動機で転職活動を始めると、職種選びや志望動機に一貫性がなくなり、面接で評価されにくくなります。

エンジニアと一口に言っても、その働き方は非常に多様です。

  • 自社サービスを開発するWeb系企業
  • 顧客のシステムを開発するSIer
  • 社内のIT環境を支える社内SE
  • サーバーやネットワークを管理するインフラエンジニア

上記は、それぞれで求められるスキルセットやカルチャー、キャリアパスは大きく異なります。

それにもかかわらず、「Web系が人気だから」といった表面的な理由で職種を選んでしまうと、入社後に「自分のやりたいことと違った」と後悔する可能性が高まります。

例えば、自由な働き方を期待してWeb系を選んだものの、実際は納期に追われる受託開発で残業が常態化しているかもしれません。

あるいは、安定を求めてSIerに入社した結果、顧客先に常駐することになり、自社の同僚との接点がなく孤独を感じることもあり得ます。

このようなミスマッチを防ぐには、まず自己分析を通じて自分の価値観を深く理解することが必要です。

  • 新しい技術を追求したいのか、安定した環境で働きたいか
  • スピード感のある職場か、じっくり取り組む職場か

自分の価値観と各職種の特性を照らし合わせ、3年後、5年後に自分がどうなっていたいかというキャリアビジョンを具体化させましょう。

明確な目標を持つことで、志望動機に説得力が生まれ、選考を有利に進めることにつながるのです。

原因(4)選考対策が不十分

職務経歴書や面接での自己PRが弱く、これまでの非IT職での経験をエンジニアとして活かせる価値に変換できないまま選考に落ち続けることも、よくある失敗の一つです。

多くの未経験者は「自分にはITスキルがないからアピールできる強みがない」と思い込んでしまい、職務経歴書で過去の経験を十分に伝えきれていません。

しかし、企業が未経験者に求めているのは、以下のようなポータブルスキルです。

  • 成長意欲
  • 問題解決力
  • コミュニケーション能力

これらの能力は、前職での経験の中に必ず眠っています。

例えば、営業職として顧客の課題をヒアリングし、解決策を提案した経験は、ユーザーの要求を理解し、システム設計に活かす能力としてアピールできます。

事務職としてExcelマクロを組んで業務効率を改善した経験は、課題発見能力と解決への実行力を示す好例となるでしょう。

問題は、これらの経験をただ事実として記載するだけでは、採用担当者にその価値が伝わらない点です。

「営業をしていました」と書くだけでなく、どのような課題に対し、どう行動し、どのような結果を出したのかを具体的に示す必要があります。

非IT職での経験を棚卸しし、エンジニアという職種でどのように再現できるのかを、一貫したストーリーで語れるように準備しておくことが、選考を突破するための重要なポイントです。

原因(5)条件への過度なこだわり

初年度の給与や勤務地、リモートワークの可否といった条件面にこだわりすぎると、本当に大切な成長環境や長期的なキャリア形成の機会を逃してしまい、結果として転職失敗のリスクを高めます。

未経験からエンジニアへキャリアチェンジする場合、初年度は年収が下がったり、希望する条件の一部を妥協したりすることが避けられないのが現実です。

特に、未経験からいきなり高年収や完全リモートワークといった好条件をすべて満たす求人は、極めて少ないと考えられます。

そうした希少な求人のみを追い求めていると、応募できる企業が数社しか見つからず、転職活動が長期化してしまうでしょう。

また、仮にリモートワーク可の企業に入社できたとしても、教育体制が整っておらず、気軽に質問できる相手がいないまま孤立してしまい、スキルが全く伸びないというケースも少なくありません。

未経験からの転職で最も優先すべきは、目先の待遇ではなく、今後数年間で自分がどれだけ成長できるかという視点です。

  • コードレビューの文化はあるか
  • メンター制度は機能しているか
  • 新しい技術を学ぶ機会は豊富か
  • 配属先の情報は透明性があるか

こうした教育体制や技術的な成長機会を最優先に企業を選ぶことが、長い目で見たときに自身の市場価値を高めることにつながります。

条件の優先順位を明確にし、「長期的な成長」とのバランスを考えることが、後悔しない転職を実現させます。

「未経験歓迎」求人で何に注意すべきか

PC操作をする手元

「未経験歓迎」という言葉は魅力的ですが、その裏に隠れたリスクを見抜くことが失敗を回避するためには不可欠です。

ここでは、求人情報を見る際に特に注意すべき5つのパターンと、その実態を確認するためのポイントを解説します。

  • 高年収を強調する求人
  • 研修充実をうたう企業
  • 客先常駐SESの配属と評価制度
  • リモート可の条件と運用実態
  • 自社スクール併設企業の契約内容

注意点(1)高年収を強調する求人

未経験者向けの求人でありながら、相場よりも極端に高い年収を提示している場合は、その内訳を慎重に確認する必要があります。

未経験からエンジニアに転職する場合、初年度の年収相場は首都圏で250万円から350万円程度が一般的です。

この相場から大きく外れた「年収400万円以上」といった求人には、何らかの理由が隠されていると考えられます。

例えば、求人票に表示されている年収が、基本給に加えて数カ月分の賞与や固定残業代(みなし残業代)を上限まで含んだ理論上の最大値であるケースは少なくありません。

この場合、基本給自体は非常に低く設定されており、業績によっては賞与が支給されず、結果的に想定年収を大幅に下回る可能性があります。

また、経験者と未経験者を同じ枠で募集しており、表示されている年収レンジは経験者向けで、未経験者は最低額からのスタートになるというパターンも非常に多いです。

給与の内訳を確認せずに応募すると、入社後に待遇のギャップに苦しむことになります。

求人票を見る際は、基本給がいくらか、固定残業代が含まれている場合は何時間分か、賞与の支給実績はどうか、といった点を必ずチェックしましょう。

もし情報が不十分であれば、面接の場で正直に質問することが、入社後の金銭的なミスマッチを防ぐ上で極めて重要です。

注意点(2)研修充実をうたう企業

「研修充実」や「未経験でも安心の教育体制」といった言葉を掲げる企業でも、その実態が伴っていないケースがあるため注意が求められます。

未経験者にとって研修制度は企業選びの重要な要素ですが、その言葉の響きだけで判断するのは危険です。

例えば、求人票に「3ヶ月の充実した研修」と記載されていても、実際には最初の2週間が座学研修で、残りは具体的なフォローがないまま現場に配属されるOJTという名の実務、というケースは珍しくありません。

さらに、研修内容がプログラミング技術ではなく、ビジネスマナーや社内ルールの説明に大半の時間が割かれてしまうこともあり得ます。

これでは、実務で必要となるスキルを十分に身につけることはできないでしょう。

また、研修終了後のフォロー体制が整っていない企業も問題です。

配属先で質問できる先輩社員がいない、コードレビューの文化がない、メンター制度が形骸化しているといった環境では、スキルアップの速度は著しく低下してしまいます。

このような事態を避けるためには、面接の場で研修の具体的なカリキュラムと期間を詳細に確認することが大切です。

技術研修が占める割合や、研修後の配属先がどのように決まるのか、現場でのサポート体制はどのようになっているのかを具体的に質問しましょう。

過去に未経験で入社した社員の成長事例などを聞くことも、その企業の教育体制の実態を知るための有効な手段となります。

注意点(3)客先常駐SESの配属と評価制度

未経験者を多く採用する企業の中には、SESと呼ばれる客先常駐を主な事業とする会社があります。

このビジネスモデル自体に問題はありませんが、未経験者にとっては配属先や評価制度の仕組みがキャリア形成に大きく影響するため、その実態を深く理解しておくことが重要です。

SESとは、自社のエンジニアを顧客企業に派遣し、その顧客のオフィスでシステム開発や運用業務を行う働き方を指します。

この場合、入社した会社ではなく、顧客のプロジェクトチームの一員として働くことになります。

未経験者にとってのリスクは、どのようなプロジェクトに配属されるかを自分で選べないケースが多い点です。

場合によっては、希望する技術とは全く異なるレガシーなシステムの保守運用や、開発工程にほとんど関われないテスト業務ばかりを長期間担当させられる可能性もあります。

また、評価制度の不透明性も課題の一つです。

自社の評価者が現場にいないため、どのような基準で自身の働きが評価され、給与や昇進に反映されるのかが分かりにくいことがあります。

顧客からの評価が良くても、それが自社の評価に直結しないという問題も起こり得ます。

こうした環境では、技術的な成長を実感しにくく、キャリアパスも描きにくくなるため、モチベーションの維持が難しくなるかもしれません。

入社後の働き方がSES中心であるかどうか、配属先はどのように決定されるのか、自社からの評価はどのような仕組みで行われるのかを、事前に必ず確認しましょう。

注意点(4)リモート可の条件と運用実態

「リモートワーク可」や「在宅勤務OK」という記載は非常に魅力的ですが、未経験者の場合はその条件が適用されるまでのハードルが高かったり、実質的に利用できなかったりするケースが多いため、運用実態の確認が必須です。

多くの企業がリモートワークを導入していますが、それはあくまで自律的に業務を遂行できる経験者向けの制度であることが少なくありません。

未経験者に対しては、業務の進め方や社内文化に慣れるまでの最初の数ヶ月から1年間は、原則としてオフィスへの出社を義務付けている企業が一般的です。

求人票には単に「リモート可」としか書かれておらず、こうした詳細な条件が明記されていないことが多いため、入社後に「こんなはずではなかった」というギャップが生まれやすくなります。

例えば、「リモートワークが可能なのは入社1年後から」「許可されるのは週に1回まで」といった内規が存在するかもしれません。

また、リモートワークが許可されたとしても、未経験者にとってはコミュニケーションの難易度が格段に上がります。

オフィスにいれば気軽にできたような小さな質問が、チャットやビデオ通話では聞きにくく、結果として問題解決が遅れて孤立感を深めてしまう可能性があります。

教育体制が十分に整っていない企業でのリモートワークは、成長の機会を大きく損なうことになりかねません。

未経験からの転職は、リモートワークの可否よりも、まずは出社してでも質問しやすい環境や、手厚い教育体制が整っていることを優先しましょう。

注意点(5)自社スクール併設企業の契約内容

プログラミングスクールを併設し、「受講料無料」「卒業後の就職を保証」といった魅力的な条件を提示して受講生を募集する企業には、契約内容を特に注意深く確認する必要があります。

このビジネスモデルは、スクールで育てた人材を自社で雇用するか、提携している顧客企業へエンジニアとして派遣することで収益を上げています。

一見すると、無料でスキルを学べて就職もできるため、未経験者にとっては非常に魅力的に映るでしょう。

しかし、その裏には厳しい制約が隠されているケースが少なくありません。

最も注意すべきは、途中退職した場合の違約金に関する条項です。

例えば、契約書に「入社後2年以内に退職した場合は、スクール受講料として数十万円を全額返済しなければならない」といった内容が含まれていることがあります。

これにより、たとえ入社後にミスマッチを感じたとしても、金銭的な負担を恐れて簡単に退職できなくなってしまいます。

また、就職先の選択肢が極端に限られていることも問題です。

「就職先は自社または提携企業に限定する」と定められており、その提携企業が本人の希望とは関係ないSES企業ばかりという可能性も否定できません。

契約を結ぶ前には、必ず契約書を隅々まで読み込み、途中退職時の返済義務の有無やその金額、紹介される就職先の具体的な企業名や業態について、徹底的に質問・確認しましょう。

少しでも納得できない点があれば、その場で契約を見送る勇気を持つことが、将来の自分を守るために重要です。

入社後に後悔しないために避けたいミスマッチは何か

キーボードで文字を打つ手元

無事に入社できたとしても、「こんなはずではなかった」と後悔するミスマッチは、残念ながら後を絶ちません。

入社後のギャップを最小限に抑えるため、特に注意すべき5つの失敗パターンを具体的に紹介します。

  • スキルと業務難易度のギャップ
  • 企業文化・価値観の不一致
  • 労働環境・残業の想定外
  • 年収・待遇の期待値ズレ
  • 成長機会やレビュー体制の不足

ミスマッチ(1)スキルと業務難易度のギャップ

未経験からの転職で最も頻繁に起こるミスマッチが、自身のスキルレベルと入社後に求められる業務難易度との間に生じる大きなギャップです。

「未経験歓迎」という言葉から、手厚い研修を経て簡単な業務から始められると期待していたにもかかわらず、配属直後から想定以上の技術レベルを要求されるケースは少なくありません。

企業側は未経験者を採用する際、即戦力としての活躍を期待しているわけではありませんが、既存のコードを読み解く力や、エラーに直面した際に自力で解決しようと試みる姿勢は最低限求められます。

例えば、HTMLやCSS、JavaScriptの基礎を学んだだけで入社したところ、いきなりReactやTypeScriptを用いた複雑なフロントエンド開発のチームに配属され、コードが全く理解できずに苦しんでしまうかもしれません。

あるいは、チュートリアルレベルのポートフォリオで採用されたものの、入社後すぐにAPIの設計やデータベースの正規化といった、より深い知識が求められるタスクを任され、対応できずに自信を失ってしまうことも考えられます。

このようなスキルと業務内容のギャップは、日々の業務で過度なプレッシャーを生み、学習意欲の低下や早期離職の原因となります。

自分の現在のスキルレベルを客観的に把握し、面接の場で入社後の具体的な業務内容を確認することが、このミスマッチを避けるための重要なポイントです。

ミスマッチ(2)企業文化・価値観の不一致

企業の文化や価値観が、自身の働き方やキャリアに対する考え方と合わない場合、技術的な成長以前に、日々の業務で大きなストレスを感じることになります。

転職活動では、どうしても使用技術や給与といった条件面に目が行きがちですが、長期的にやりがいを持って働き続けられるかどうかは、企業文化との相性が大きく影響します。

例えば、自分自身は積極的に新しい技術に挑戦してスキルアップしたいと考えているのに、会社全体としては安定性を重視し、レガシーな技術の保守運用が中心であるかもしれません。

また、ある程度の裁量を持って自律的に仕事を進めたいと望んでいるにもかかわらず、上司が細かく進捗を管理するマイクロマネジメント気質である可能性もあります。

ワークライフバランスを大切にしたいと思って入社した会社が、実は長時間労働を美徳とする文化であった、というのもよく聞く話です。

こうした価値観のギャップは、日々の小さなストレスの積み重ねとなり、やがては仕事へのモチベーションを大きく削いでしまいます。

「モダンな技術を使える」と聞いていたのに、実際は古い技術スタックから抜け出せず、スキルが陳腐化していくことへの焦りを感じるかもしれません。

失敗を恐れずに挑戦したいと思っていても、減点評価が基本の文化では、挑戦する意欲そのものが失われてしまうでしょう。

技術的な条件だけでなく、その企業が何を大切にしているのか、どのような働き方を推奨しているのかを事前にリサーチすることが、この種のミスマッチを防ぐためには不可欠です。

ミスマッチ(3)労働環境・残業の想定外

入社前に想定していた労働環境、特に残業時間と実態が大きく異なっていると、心身のバランスを崩し、早期離職につながる可能性があります。

求人票に「平均残業時間は月20時間程度」や「ワークライフバランスを重視」と記載されていても、それが必ずしも実態を正確に反映しているとは限りません。

例えば、通常期の残業は少ないものの、プロジェクトの納期前やシステム障害の発生時には、月60時間を超えるような長時間の残業が常態化しているケースがあります。

特に顧客の都合に左右されやすい受託開発やSIerといった業態では、突発的な仕様変更や厳しい納期によって、休日出勤を余儀なくされることも少なくないでしょう。

「土日祝休み」と聞いていたのに、実際にはリリース作業や障害対応で月に数回の休日出勤があり、代休も取得しにくい雰囲気だった、というのも典型的なパターンです。

このような環境では、プライベートの時間を確保することが難しくなり、学習に充てるべき自己投資の時間も削られてしまいます。

仕事の疲れが抜けずに心身の健康を損なったり、スキルアップができずにキャリアが停滞してしまったりする危険性があります。

求人票の表面的な情報だけを信じるのではなく、面接の場で繁忙期の具体的な残業時間や、休日出勤の頻度と代休の取得ルールについて、踏み込んで確認することが重要です。

企業の口コミサイトなどで、元社員や現役社員のリアルな声を参照することも、実態を把握する上で非常に有効な手段となります。

ミスマッチ(4)年収・待遇の期待値ズレ

求人票や面接で提示された年収額と、実際に入社後に受け取る給与の間に大きな隔たりがあり、生活設計が狂ってしまうのも、後悔につながるパターンです。

特に、年収の内訳に関する認識のズレが、この問題の主な原因となります。

例えば、提示された年収額に、毎月のみなし残業代が相当額含まれているケースです。

基本給自体は低く抑えられているため、月々の手取り額が想定よりもかなり少なくなってしまう可能性があります。

また、「賞与年2回」と記載されていても、その支給額は会社の業績に大きく連動するものであり、初年度は寸志程度か、全く支給されないということもあり得ます。

これを年収に含めて計算していると、年間の収入が数十万円単位で想定を下回る事態になりかねません。

さらに、求人票の年収額に交通費や住宅手当といった各種手当が含まれて計算されている場合も注意が必要です。

これらの手当は、個人の状況によって支給額が変わるため、必ずしも全員が満額を受け取れるわけではありません。

こうした期待値とのズレは、日々の生活に直接影響を与えるため、仕事へのモチベーションを著しく低下させる要因となります。

入社後に「生活が苦しい」と感じて副業を探し始めたり、早々に再度の転職活動を検討したりする事態に陥らないよう、内定承諾前には、年収の内訳を必ず書面で確認しましょう。

基本給、賞与の算定基準と過去の実績、各種手当の支給条件などを明確にすることが、待遇面でのミスマッチを未然に防ぎます。

ミスマッチ(5)成長機会やレビュー体制の不足

未経験からエンジニアになる最大の目的は、実務経験を通じてスキルを習得し、自身の市場価値を高めることです。

しかし、入社した企業に技術的な成長をサポートする文化や体制が欠けていると、その目的を達成することができず、キャリアが停滞してしまいます。

例えば、書いたコードに対して先輩エンジニアからのフィードバックが全く行われない環境では、自分のコードの良い点や改善点が分からず、自己流の癖がついたまま成長が止まってしまいます。

また、困ったときに気軽に質問できるメンターや先輩がいない、あるいはいても多忙で相談しにくい雰囲気がある場合、一つの問題解決に膨大な時間を費やしてしまい、効率的な学習ができません。

担当する業務内容も重要です。

単純なテスト作業や、既存システムの軽微な修正といった定型的な業務ばかりを任され、新しい技術を用いた開発や、システムの設計といった上流工程に携わる機会が全く与えられないかもしれません。

このような環境では、たとえ1年間在籍して「実務経験1年」という経歴を得たとしても、市場で評価されるレベルのスキルは身についていない可能性があります。

次のキャリアステップに進もうとしても、スキル不足で選択肢が限られてしまうという事態に陥りかねません。

企業を選ぶ際には、コードレビューやペアプログラミングの文化、メンター制度の有無、社内勉強会の活動状況など、エンジニアの成長を後押しする具体的な仕組みが整っているかを確認することが極めて重要です。

年齢・学歴ごとに取るべき戦略は何か

PCの前で書類を確認する男性

未経験からのエンジニア転職では、年齢やこれまでの社会人経験によって、企業側が評価するポイントが大きく異なります。

この章では、年齢・学歴ごとに取るべき戦略について紹介します。

  • 20代前半・第二新卒でやるべきこと
  • 20代後半〜30代前半の攻め方
  • 30代後半以上のキャリアチェンジ術

戦略(1)20代前半・第二新卒でやるべきこと

20代前半や第二新卒の方は、ポテンシャル採用が最も期待できる最大のチャンス期にいます。

この年代では、完成されたスキルよりも、むしろ学習意欲の高さや、失敗を恐れずに成長しようとする姿勢が何よりも高く評価されるでしょう。

企業側は、長期的な視点で自社に貢献してくれる人材を育成したいと考えているため、現時点での技術力以上に、将来性を重視する傾向が強いです。

学習期間の目安としては、3ヶ月から6ヶ月程度でプログラミングの基礎を固め、早期に転職活動を開始することが有効です。

ポートフォリオを作成する際も、完成度の高さを追求しすぎる必要はありません。

それよりも、どのような課題意識からその作品を作ろうと思ったのか、開発中にどのような壁にぶつかり、どうやってそれを乗り越えたのかといった「学習の過程」を明確に示すことが重要です。

GitHubのコミットログを丁寧に残したり、学習記録をブログなどで発信したりすることも、継続的に学ぶ姿勢をアピールする上で効果的です。

面接では、前職の退職理由をネガティブに語るのではなく、以下の3つの問いに対する自分なりの答えを、一貫したストーリーとして語れるように準備しましょう。

  • 「なぜエンジニアになりたいのか」
  • 「なぜ今挑戦するのか」
  • 「なぜこの会社なのか」

若さと柔軟性を最大限に活かし、意欲を前面に出してアピールすることが、内定獲得への最短ルートとなります。

戦略(2)20代後半〜30代前半の攻め方

20代後半から30代前半の方は、20代前半のようなポテンシャルに加えて、これまでの社会人経験で培ったビジネススキルをアピールすることが求められます。

この年代になると、企業側は単なる将来性だけでなく、一定の自走力や問題解決能力を期待するようになります。

特に30代に差し掛かると、「なぜこのタイミングでキャリアチェンジするのか」という点について、より説得力のある説明が必要となるでしょう。

ここで大きな差別化要因となるのが、前職の業界知識、すなわちドメイン知識です。

例えば、販売職の経験があるならECサイトを運営する企業、製造業に携わっていたなら生産管理システムを開発する企業、金融業界出身ならフィンテック系の企業というように、自身の経験が直接活かせる領域の求人を探すのが極めて有効です。

専門知識を持つエンジニアは市場価値が高く、企業側も即戦力に近い活躍を期待できるため、採用の可能性が格段に上がります。

学習期間は6ヶ月から12ヶ月を目安とし、チュートリアルレベルを卒業した、より実務に近い複雑な機能を持つポートフォリオを作成することが望ましいです。

初年度の年収ダウンは受け入れる覚悟を持ち、それ以上に、2〜3年後に市場価値の高いエンジニアへと成長できる環境かどうかを優先して企業を選びましょう。

戦略(3)30代後半以上のキャリアチェンジ術

30代後半以上で未経験からエンジニアを目指す場合、ポテンシャル採用を期待するのは難しくなるため、これまでのキャリアで培った経験を最大限に活かすアプローチが必須です。

企業側が最も懸念するのは、「なぜ今から全く新しい分野に挑戦するのか」「若手社員と円滑な人間関係を築けるか」といった点です。

この懸念を払拭し、年齢を強みに変えるためには、前職でのマネジメント経験や、特定の業界に関する深い専門知識をエンジニアリングと掛け合わせる視点が不可欠となります。

例えば、プロジェクトリーダーや管理職の経験がある方は、純粋なプログラマーとしてだけでなく、将来のプロジェクトマネージャー候補として自分を売り込めます。

顧客折衝や要件定義の経験は、エンジニアリングの上流工程で大いに役立つスキルです。

学習期間は12ヶ月以上かける覚悟を持ち、単にコードが書けるだけでなく、システム設計やテスト設計といった、より上流の工程に関する知識も習得しておくと、他の候補者との強力な差別化になります。

応募先としては、自身のドメイン知識が直接活かせる業界の企業に絞り込むのが最も現実的でしょう。

また、Web開発のような人気の職種だけに固執せず、社内SEや品質保証を担うQAエンジニア、顧客の技術的な課題解決を支援するカスタマーサクセスエンジニアなど、これまでの経験を活かせる周辺職種も幅広く検討することで、転職成功の可能性は大きく広がります。

失敗を避ける転職活動の手順は何か

片手でPCで文字を打ち、反対の手でペンで文字を書いている手元

では、具体的にどのような順序で転職活動を進めれば、これまで述べてきたような失敗を避けられるのでしょうか。

この章では、学習の開始から内定の獲得まで、後悔しないための具体的な5つの手順を解説します。

  • 目指す職種と必要スキルの明確化
  • ポートフォリオと実績づくり
  • 優良企業の見極めチェックリスト
  • 面接で確認すべき逆質問リスト
  • 転職エージェントの効果的な活用

手順(1)目指す職種と必要スキルの明確化

未経験からのエンジニア転職で失敗しないためには、学習を始める前に、まず「自分がどの職種のエンジニアになりたいか」を明確にすることが最優先です。

この最初の工程を怠ると、学習の方向性が定まらず、結果的に何もかもが中途半端な状態になってしまいます。

「とりあえずプログラミングを学ぼう」という漠然とした目標では、どの言語をどのレベルまで習得すればよいのかが分からず、時間と労力を無駄にしてしまいかねません。

企業側も、応募者が「何を目指していて、何ができるのか」を具体的に知りたがっています。

まずは自己分析を行い、自分の価値観や興味の方向性を明らかにしましょう。

例えば、以下のように問いに答えていくことで、目指すべき職種の輪郭が見えてきます。

  • 「新しい技術を積極的に学び続けたいか、それとも安定した技術をじっくり使いたいか」
  • 「スピード感のある開発環境と、腰を据えて取り組む環境のどちらが自分に合っているか」

Web系のフロントエンドエンジニア、SIerのシステムエンジニア、社内SEなど、職種によって求められる技術スタックや働き方は全く異なります。

目指す職種を一つに絞り込むことで、学ぶべき技術の優先順位が明確になり、限られた時間の中で効率的に専門性を高めていくことが可能になるのです。

手順(2)ポートフォリオと実績づくり

目指す職種が定まったら、次はその職種で評価されるポートフォリオ、つまり自身のスキルを証明する成果物を作成します。

未経験者にとって、ポートフォリオは職務経歴書以上に重要なアピール材料となります。

採用担当者は、チュートリアルをなぞっただけのものではなく、あなた自身のアイデアで設計・実装したオリジナルの作品を通して、技術力や問題解決能力、学習意欲を判断します。

質の高いポートフォリオを最低でも2つから3つは用意することが望ましいでしょう。

評価されるポートフォリオには、いくつかの共通した要件があります。

まず、作品がWeb上で実際に動作するように、VercelやHerokuといったサービスを利用してデプロイされていることが大前提です。

ソースコードはGitHubで公開し、他の人が見てもプロジェクトの概要や使い方が理解できるように、READMEという説明書を充実させる必要があります。

READMEには、開発背景、使用した技術とその選定理由、実装で工夫した点、そして今後の改善予定などを詳しく記載しましょう。

また、単に動くだけでなく、品質を意識していることを示すためにテストコードを記述したり、開発の過程が分かるようにIssueやコミットの履歴を丁寧に残したりすることも、評価を高める上で非常に有効です。

前職の業界知識を活かした題材や、自身の身の回りの課題を解決するようなアプリケーションは、独自性をアピールしやすく、面接での話題にもつながります。

手順(3)優良企業の見極めチェックリスト

質の高いポートフォリオが準備できたら、次はいよいよ応募する企業を探す段階に入ります。

ここで重要になるのが、求人票の言葉をうのみにせず、多角的な情報収集によって、本当に成長できる優良企業を見極めることです。

ブラック企業や、入社後に成長が見込めない環境を避けるため、以下のチェックリストを活用して企業を厳しく評価しましょう。

これらの情報を組み合わせて確認することがポイントです。

チェック項目確認する観点
求人票の情報配属先や業務内容が具体的に記載されているか。給与の内訳(基本給、固定残業代など)が明記されているか。研修の期間や具体的な内容が記載されているか。使用する技術スタックが明記されているか。
企業の公式サイトエンジニアの技術ブログが定期的に更新されているか。社内勉強会や技術カンファレンスへの登壇実績が公開されているか。企業のGitHubアカウントでオープンソース活動などが公開されているか。
第三者の口コミサイト研修や教育制度に関するポジティブな評価があるか。実際の残業時間や有給休暇の取得率が許容範囲内か。評価制度が明確で、社員の納得感が高いか。

これらの項目を一つひとつ確認することで、求人票だけでは見えてこない企業の実態を把握し、入社後のミスマッチを大幅に減らせます。

手順(4)面接で確認すべき逆質問リスト

書類選考を通過し、面接に進んだら、「逆質問」の時間を最大限に活用して、入社後のギャップをなくすための最終確認を行いましょう。

逆質問は、単に疑問を解消する場ではなく、自身の成長意欲や企業への理解度を示す絶好の機会でもあります。

「残業はどれくらいですか」といった待遇面の質問だけに終始すると、「条件だけで会社を選んでいる」という印象を与えかねません。

良い逆質問とは、「企業の実態を深く知る」ことと「自身の学習意欲をアピールする」ことの両方を同時に実現するものです。

特に、未経験者が優先して確認すべきなのは、入社後の教育体制や成長環境に関する情報です。

以下の質問リストを参考に、自分なりの言葉で質問を準備しておきましょう。

確認すべきテーマ逆質問の具体例
教育・研修制度未経験で入社した方は、具体的にどのような研修をどのくらいの期間受けられますか。研修終了後、最初に担当する業務内容について具体的に教えていただけますか。
成長を支える文化コードレビューやペアプログラミングの文化はありますか。ある場合、どのような頻度や形式で行われますか。メンター制度はありますか。ある場合、メンターとはどのような頻度で何を話しますか。
キャリアパス過去に未経験で入社された方は、その後どのようなプロジェクトに配属され、現在どのようなキャリアを歩んでいますか。
配属と業務私が配属される可能性のあるチームの構成や、使用している技術スタックについて教えてください。

これらの質問を通じて得られた回答は、その企業が本当に未経験者を育てる文化を持っているかを見極めるための重要な判断材料となります。

手順(5)転職エージェントの効果的な活用

自分一人での転職活動に不安を感じる場合は、転職エージェントを戦略的に活用することも有効な手段です。

転職エージェントは、非公開求人の紹介や、職務経歴書の添削、面接対策のサポートなど、多くのメリットを提供してくれます。

特に、業界の動向や企業の内情に詳しいため、求人票だけでは分からないリアルな情報を得られるのは大きな利点です。

しかし、エージェントを利用する際には注意すべき点もあります。

エージェントによっては、自社の利益を優先し、応募者の希望とは合わない企業や、特定の業態の企業ばかりを強く勧めてくるケースも存在します。

大切なのは、転職エージェントに「依存する」のではなく、あくまで主体的に「活用する」という意識を持つことです。

そのためには、初回面談の際に、自分が目指す職種、譲れない条件、そしてこれまでの学習状況やポートフォリオについて明確に伝え、エージェントとの間で目的意識を共有しておく必要があります。

また、エージェントから紹介された求人であっても、必ず自分自身で企業研究を行いましょう。

本記事で紹介したチェックリストを使い、企業の公式サイトや口コミサイトを調べ、「自分で納得した上で」応募の判断を下すことが重要です。

複数のエージェントに登録して、それぞれの視点からアドバイスをもらうことも、より客観的な判断を下すために役立ちます。

まとめ

未経験からエンジニア転職で失敗する主な原因は、スキル準備の不足と企業研究の甘さです。

特に「未経験歓迎」「研修充実」といった求人には注意が必要です。

高年収や安易なリモート可をうたう裏で、実態はサポート体制が乏しい客先常駐や、望まない配属になるケースも少なくありません。

こうした企業とのミスマッチは、転職後の早期離職につながります。

失敗を避けるには、まず目指す職種を明確にし、評価されるポートフォリオを準備すること。

そして、求人票の言葉だけでなく、面接での逆質問を通じて、研修内容、配属先、評価制度の実態を徹底的に確認しましょう。

転職エージェントを活用すれば、企業の内部情報や選考対策のサポートも得られます。

本記事で解説した手順とチェックリストを活用し、入社後に「こんなはずではなかった」と後悔しない、長期的に成長できる企業を選び抜いてください。

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