近年、IT系専門職として、データサイエンティストという職業が注目されています。
専門的なスキルが求められますが、年収は平均より高めです。また、AIが急速に普及し、データ分析の需要が高まる中、それを活用できる人材は少ないため 様々な業界で売り手市場だといえます。
本記事では、データサイエンティストの年収や、年収アップを図る上で必要なスキルについて、解説します。
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国内と国外でのデータサイエンティストの平均年収の差
近年、日本でもデータサイエンティストという職業が浸透しつつあります。データサイエンティストは、ITスキルと共にロジカルな思考力が求められる専門職です。需要と比べて、供給数が足りていないこともあり、他の職業と比べて比較的高年収が望めます。
日本では認知されて比較的日の浅い職業ですが、アメリカではデータ分析が重要視され、データサイエンティストの地位が確立されています。大学院などの学びの場も充実しており、3年連続でベスト・ジョブに選ばれました。社会的地位・給与共に高い職業だと言えます。
国内のデータサイエンティストの平均年収は?
まずは、日本国内でのデータサイエンティストの平均年収について、みていきましょう。
正社員の年収の平均がおよそ650万円、派遣社員の時給の平均が2600円という結果が出ています。
日本人の平均年収は、およそ440万円であるため、比較的高い給与水準です。
しかし、データサイエンティストという職業に焦点が当たりはじめたのが、ここ最近のことであり、スキルや業務内容も、企業や個人によって、バラツキが大きいと考えられます。学問として大学で体系的・専門的なカリキュラムで学べるようになったのも、5年程前からです。
ちなみに、データアナリストの平均年収はおよそ640万円、マーケッターの平均年収はおよそ570万円です。
参照元:求人ボックス「データサイエンティストの仕事の年収・時給・給料」
国外のデータサイエンティストの平均年収は?
次に国外のデータサイエンティストの年収は、どうなっているのでしょうか。
アメリカのデータサイエンティストの平均年収は、およそ1200万円(10万8000ドル)です。アメリカでは、企業の保有する膨大なデータであるビッグデータには、企業の存続がかかっているといっても過言ではない程、高い価値があると考えられています。
よって、それを扱う専門職であるデータサイエンティストの年収も自ずと高いのです。アメリカでは、年間4000人が統計学の修士号を取得し、専門職として活躍しています。
元来、アメリカには専門分野に秀でた人が好待遇を受ける文化があります。データサイエンティストは、アメリカでは2019年から3年連続で人気職業ランキング3位以内をキープしており、「もっとも稼げる職業」の称号を得ています。
参照元:ビジネス+IT「全米最高の職業は「データサイエンティスト」」
データサイエンティストの年収を上げるコツ
平均年収が高いとはいえ、まだ日本では伸びしろのあるデータサイエンティストですが、どうすれば年収を上げることができるのでしょうか。
データサイエンティストが年収を上げるためには、スキルアップをして担当できる業務の幅を拡げることが肝要です。
「プログラミングスキルを磨く」「プロジェクトマネージャーを経てプロジェクト全体の指揮経験を積む」「デジタルマーケティングに関する知識を身につける」などを心がけると、人的資本としての価値が高まります。
また、どの職種にも共通しますが、会話力、折衝能力、プレゼンスキルも、不可欠です。専門的な分野であるほど、わかりやすい説得力のある説明が求められます。
加えて、外国語を習得することによって、使えるデータが増えるだけでなく、活躍できるステージの幅が広がり、年収が上がる傾向にあります。また、思い切って転職や独立を検討してみるのも、ひとつの方法です。
こちらの「プロジェクトマネージャーに転職するには? 向いている人や将来性を解説」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
データサイエンティストの雇用形態別の年収は?
専門職であるデータサイエンティストですが、雇用形態によってどのように年収が変わってくるのか、検証してみましょう。
正社員の年収
正社員は、収入面で有利です。
平均的には年収は500万円〜600万円が目安ですが、大手企業や外資系企業では年収が1000万円を超えることも珍しくはありません。
福利厚生面として、住居手当・役職手当・退職金など、手厚いサポートがあります。
また、長期的に会社と運命を共にする人材であると考えられているため、しっかりとした教育を受けられるケースが多いです。他方で、要求される仕事のハードルが高いのがデメリットです。専門的かつ責任のある仕事を任される傾向にあります。
他の雇用形態と比べて、自分の技術を底上げするためには、日々研鑽しなくてはなりません。
派遣社員の年収
派遣社員は、時給2,000円〜3,000円程度の求人がボリュームゾーンです。月収に換算すると、ひと月40万円を超えるケースも珍しくはありません。
データ収集やレポートの作成などの仕事が中心で、主に正社員の指示を受け、サポートする役回りとなることが多いです。
補助的なポジションであるため、経験やスキルを重ねづらく、また、雇用が安定していません。
アルバイトの年収
アルバイトの年収は、能力や地域に左右されることも多いですが、時給1,000円〜2000円の求人が大半です。
正社員の指示に従って、データ収集やレポートの作成などをする業務が中心です。派遣社員よりも働き方に融通が利きやすく、採用されるための知識やスキルのハードルも低めなことから、将来的にデータサイエンティストを目指す人にとっては、勉強しながら経験が積める点で良い選択肢となり得ます。
フリーランスの年収
フリーランスのデータサイエンティストの収入は、人によってさまざまです。どういった工程を担当するかによっても、変わってきます。
比較的易しいデータの収集や整理業務といった、下流工程は収入が低く、データを分析してビジネスの課題を解決するという「上流工程」では単価がかなり高いです。また、マネジメントまでを引き受けることができれば、さらにランクアップできるでしょう。
能力によっては、ひと月の単価が100万円に及ぶ案件を受注することができます。実力さえあれば、正社員以上の報酬を得ることも可能です。その反面、フリーランスの世界は実力主義であるため、受注できなければ収入がアルバイト以下になってしまうリスクもあります。
参照元:求人ボックス「データサイエンティストの仕事の年収・時給・給料」
データサイエンティストの業務内容とは?
データサイエンティストの、具体的な業務内容と過程について、紐解いていきましょう。
企業が抱えている問題点を洗い出す
データサイエンティストの業務は、まず企業が抱えている課題を浮き彫りにするところから始まります。そして、解決する手段として、どのようなデータが適しているのかを検討します。
これは、システムエンジニアが行う要件定義と近い作業です。企業や顧客の求めるアナログな状態の要求に対して、ITを用いてどう応えるのかを落とし込む作業です。
データを収集して分析する
データの収集と分析は、この職種の要となる作業です。
データの分析にあたっては、R Pytho等のプログラミング言語や、AI・機械学習・ディープランニングなどの周辺知識が必要になる場合もあります。
よって、データを組み合わせて解析し、統計学に有意なデータを特定するため、「大量のデータ群から意味のある項目を見つけ出す作業」だと定義でき、データサイエンティストのセンスの見せどころでもあります。ここで、ビジネス上の意思決定につながるような知見を見つけ出さなければなりません。
データを加工してAIの精度を上げる
データの加工とは、データに含まれる不必要・不適切な情報を下処理する作業です。明らかに異常なデータを削除したり、空欄になっている箇所を0で埋めたりすることで、AIの精度を上げるなど、地味ながらなくてはならない作業です。
問題解決につながる情報を見つけ出す
収集したデータ群の中から、問題解決につながる「意味のある情報」をピックアップする作業です。レポート作成の準備段階であるともいえます。企業の課題と情報を結びつけるためには、経験やスキルが必要不可欠です。
レポートを作成してプレゼンする
分析結果が出たら、内容をレポートにまとめ、ビジネスとして生かす方法を考えます。ここで、わかりやすくプレゼンテーションを行うことが必要です。
単に結果を伝達するだけに留まらず、そこから得られる知見から問題解決の方向性及び対策を提案していかねばなりません。
最終的な課題解決につなげる
最終的な課題解決は、データサイエンティストの仕事の着地点です。分析結果から見えてきた予測および知見を、ただデータとして現状分析して報告するだけではなく、企業が次に行うべき方向についても示唆・アドバイスすることが求められます。
ビッグデータを分析・解析するということに焦点が当てられがちですが、あくまでも現場判断に従ってビジネスへ貢献することが、データサイエンティストの喫緊の課題です。ここが、データアナリストとデータサイエンティストの違いでもあります。
データサイエンティストは将来どうなっているのか
一部では、AIに代替され縮小するのではと危惧されるデータサイエンティストの仕事ですが、データサイエンティストの将来はどうなっていくのでしょうか。
結論として、データサイエンティストは将来も安定した需要の見込める職業であると考えられます。
現状、さまざまな業界において、ビッグデータの活用が顕著になってきています。有名な企業では、楽天・ZOZO・アマゾン・セブンイレブンなどが挙げられます。さらに、ビックデータの活用に関して、日本は世界的に遅れをとっており、これからますます需要が高まっていくと予測されています。
また、経済産業省の発表した報告書によると、IT需要が拡大し続けていくと予測されるなか、少子高齢化の影響などもあって日本の労働人口、特に若年人口は減少が見込まれ、今後IT人材の需要と供給の差は大きくなり、2030年には最大で約79万人に拡大する可能性があると試算されています。
とりわけ、「AIやビッグデータを使いこなし、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化等により生産性向上等に寄与できるIT人材」の確保がキーポイントとなる見込みです。
データサイエンティストになるためのキャリアプラン
専門職で、将来性も見込めるデータサイエンティスト。しかし、まだ認知度が高くないため、情報が少ないのも事実です。そこで、どうすればデータサイエンティストになれるのか、解説します。
専門分野が学べる大学を卒業し就職する
文部科学省の方針で、2017年あたりから国公立大学にデータサイエンス系に特化した専門の学部が開設されるようになりました。若い方であれば、こうした理系の学部で体系的に学び、新卒採用されるのが正攻法です。データサイエンティスト、もしくはまずはそれに近いエンジニアとなってから、配置を希望するのが良いでしょう。
エンジニアから転職する
エンジニアから転身するのも、方法のひとつです。
データベースエンジニア、データマイニングエンジニア、Web系エンジニアなどを経てデータサイエンティストに転職する方法もあります。エンジニアは、日常的に大量のデータを扱う機会が多いため、データサイエンティストとの距離が近い職種といえます。
ただし、「ビジネス力」、「データサイエンス力」といった別の分野にも習熟しなければならないため、この分野を補強すべく学習し、スキルを取得することが不可欠です。
マーケッターやアナリストから転職する
エンジニアからの転職と同じ理論で、仕事内容が部分的に交錯するため、マーケッターやアナリストから転職することも可能です。マーケッターとはマーケティング理論や調査に専門的な知識を持つマーケティング戦略立案者のことを指します。
アナリストは、金融機関や投資会社に所属し、企業の経営状態から国際市場の全体動向まで、幅広いデータを使って分析する専門家です。
ただし、これらの分野から転職する際には、プログラミング言語やエンジニア知識も学んでおく必要があります。
こちらの「PHPの将来性はある?現在のPHPエンジニアのニーズを詳しく解説!」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「Python」については
こちらの「Pythonの将来性は高い?メリットやできることも合わせて解説!」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「Java」については
こちらの「Javaの将来性は今でも高い?Javaエンジニアに必要なスキルも紹介」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「COBOL」については
こちらの「COBOLの将来性は? 特徴や今後エンジニアが身につけるべき知識を紹介」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
社内養成や公募を活用してキャリアチェンジする
企業によっては、社内でキャリアチェンジプログラムを用意し、データサイエンティストの育成を図るところもあります。とはいえ、データサイエンティストは相当な自己研鑽を積んでいかない限り、未経験から即戦力になるのは困難です。
こういった企業では、データサイエンティストとしての取り組みが黎明期であるため、教育方針や業務内容が定まっていない可能性があります。自ら道を切り開いていくことができる、チャンスかもしれません。
まとめ
ここまで、最近注目されつつあるデータサイエンティストの業務内容やチャレンジの仕方、年収や待遇などについて、深堀りしてきました。
データサイエンティストは、将来性も見込め、きちんと学んで自己研鑽していけば、需要があり年収も高い専門職です。本記事を読んで気になった方は、まずはエンジニアからでも、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
年収を上げるコツはありますか?
はい。どの職種にも共通しますが、会話力、折衝能力、プレゼンスキルも、不可欠です。専門的な分野であるほど、わかりやすい説得力のある説明が求められます。詳細は「データサイエンティストの年収を上げるコツ」で説明しているので確認ください。
データサイエンティストは将来性ありますか?
結論として、データサイエンティストは将来も安定した需要の見込める職業であると考えられます。
現状、さまざまな業界において、ビッグデータの活用が顕著になってきています。有名な企業では、楽天・ZOZO・アマゾン・セブンイレブンなどが挙げられます。さらに、ビックデータの活用に関して、日本は世界的に遅れをとっており、これからますます需要が高まっていくと予測されています。詳細は「データサイエンティストの将来性」で説明しているので確認ください。