ITエンジニアにはさまざまな種類があり、業務内容もそれぞれ異なります。本記事では、ITエンジニアのひとつであるアプリケーションエンジニアの平均年収や仕事の内容、他のエンジニアとの相違点について解説します。正しい知識を得て、キャリアアップに役立てましょう。
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アプリケーションエンジニアの平均年収
IT化が進む社会において、アプリケーションエンジニアはニーズが下がらない職業のひとつです。個人差はありますが、現在のアプリケーションエンジニアの平均年収は560万円ほどで、月収は50万円前後です。
ちなみに厚生労働省の統計調査によると2021年時点の日本の平均年収は307万円であり、アプリケーションエンジニアの年収は高い傾向にあります。なお、個人の能力やスキル、地域や企業によって年収は大きく異なります。
参照元:求人ボックス「アプリエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
参照元:厚生労働省 「令和3年賃金構造基本統計調査」
【年齢別】アプリケーションエンジニアの平均年収
アプリケーションエンジニアの年収は、年齢によっても異なります。求人ボックスによると、年代別の平均年収は以下の通りです。
- 20~24歳 339万円
- 25~29歳 445万円
- 30~34歳 533万円
- 35~39歳 573万円
- 40~44歳 621万円
- 45~49歳 651万円
- 50~54歳 666万円
- 55~59歳 652万円
50代から60代までの年収が最も高額です。60代以降は定年を迎えるため、年収はピーク時よりも次第に低くなっていくでしょう。
参照元:求人ボックス「アプリエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
【企業別】アプリケーションエンジニアの平均年収
アプリケーションエンジニアの年収は、勤めている企業によっても左右されます。求人ボックスによると、企業の規模別の平均年収とボーナスは以下の通りです。
企業の規模 平均年収 ボーナス
- 10~99人 492万円 60.2万円
- 100~999人 529万円 95.6万円
- 1,000人以上 610万円 133.1万円
企業の規模が大きいほど年収は高くなる傾向であり、特にボーナス額は大きな差があります。大手企業は競争も激しいため、入社するには高い能力や、確かな実績が求められるでしょう。
参照元:求人ボックス「アプリエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
アプリケーションエンジニアの仕事内容
アプリケーションエンジニアは、その名の通りアプリを開発するエンジニアです。アプリにはスマホ向けのものやWeb系など、さまざまな種類があります。
アプリ開発の基本的な流れは、以下の通りです。
- 要件定義
- 設計
- 開発・実装
- テスト
- 運用・保守
ここからは、それぞれの仕事内容について解説します。
要件定義で開発するアプリの概要を決める
まず、要件定義によって開発するアプリの概要を決めます。要件定義とは、アプリに必要な機能を検討し、開発する内容を定める作業です。
クライアントの要望を聞きながらシステムの概要や目的、予算などをすり合わせ、互いの認識にギャップがなくなるまで打ち合わせをします。時には想定される課題点を明らかにし、実現が困難な要望には折り合いをつけることも必要です。
要件定義が不明確なまま進めてしまうと、開発自体が技術的に難しく、あとになって要件を満たせていないことが発覚するという問題が起きかねません。そのため担当するエンジニアは、のちのプロセスを見据え、クライアントと徹底的にイメージをすり合わせることが求められます。
さらに、今回のアプリでは実装しない機能やセキュリティ要件、運用の条件も決めなければなりません。この際、社内外向けに機能や条件の詳細を記載した要件定義書などの書類を作成する場合もあります。
設計
要件定義のあとは、どのようにシステムを組み立てるのかを決める設計を行います。
設計は外部設計と内部設計に大別されます。外部設計はアプリのインターフェースや操作方法を、内部設計はプログラミングの手順やデータ処理の詳細を決定します。
なお、クライアントとの打ち合わせ以外にも、チームで開発する場合は各部門との連携が必要です。そのため、要件定義から携わるアプリケーションエンジニアには、社内外を相手に円滑なヒアリングや連携を行えるコミュニケーション能力や、開発プロセス全体を見通せる技術的な知識が求められます。
アプリの開発
アプリの概要が決定したら、要件定義をもとにしてアプリを開発する段階へと進みます。開発はアプリを動かすために不可欠なプログラムの品質が決定する重要なプロセスです。要件定義や設計に従って選ばれたプログラミング言語を用いてシステムを構築します。
開発には、ウォーターフォール開発、アジャイル開発などの方法があります。ウォーターフォール開発は、要件定義から運用までのプロセスを順番に行うものであり、最終的に要件定義で定めた仕様が備われば完了です。この開発手法は、大規模なアプリや修正を必要としないシステムの開発に多く用いられています。
ウォーターフォール開発のメリットは、進捗状況やスケジュールの管理がしやすく、品質が安定しやすい点です。ただしウォーターフォール開発では、前のプロセスが完全に終了してから次のプロセスに移るため、途中でミスや変更が生じた場合、問題によっては修正が困難な場合があります。
一方アジャイル開発は、要件定義からテストまでを何度も繰り返すことで完成形に近づけていくスタイルです。従来はウォーターフォール開発がよく使われていましたが、近年ではアジャイル開発も広く用いられるようになりました。この手法は最初から完璧を目指すことは想定しておらず、小規模なアプリ開発や修正を前提として開発する場合に有効です。
メリットとしては、アプリの開発スピードが速いことや、修正や変更が容易なことが挙げられます。デメリットは、機能が追加された場合は費用がかかることや、開発内容によっては適用が困難な点です。開発するアプリの特徴や納期などを考慮し、適した開発方法を採用しましょう。
また開発は個人だけではなく、チームで進める方法が一般的です。そのため、開発に携わるアプリケーションエンジニアには、用いる言語の知識があり品質の高いシステムを組めることはもちろん、チーム内の意見調整やスケジュール管理ができ、確実に納期内で完成させられる能力が求められます。
開発したアプリをテストする
開発の最終段階として、アプリが設計した通りに動くか、不具合がないかをテストする必要があります。バグや不具合が生じた場合は、解消されるまで修正・検証を繰り返さなければなりません。
テストは単体テスト、結合テスト、受け入れテストの段階ごとに実施します。単体テストは、プログラムを構成する単位が正常に機能しているかを確認するテストです。基本的に開発の早い段階で行われる単体テストは、早期に問題を発見できれば修正が簡単なので、コストの削減を期待できます。
続いて結合テストは、単体テストで検証済みのプログラムを結合させ、複数のプログラムが同時に正常に動作するかを検証します。最後に受入テストでは、実際の使用状況・環境をシミュレーションして実施します。
正常に稼働するかどうかだけでなく、クライアントの希望に沿った品質か、操作性に優れているかなどの点もチェック対象です。状況によってはクライアントの意見を聞き、反映させる必要があるでしょう。
アプリの運用や保守
クライアントへアプリを納品したあとは、アプリの環境や使用状況の変化に対応するために運用や保守を行う必要があります。トラブルや不具合が生じた場合は、早急に復旧や修正作業を行わなければなりません。
運用はアプリの安定的かつ正常な稼働のために欠かせません。主な業務内容はシステムの監視・管理や、アプリの起動・停止などです。一方保守の役割は、アップデートやバグの修正といったシステムの改善です。
システム障害への対応、原因調査や予防などの業務も保守に含まれます。修正だけでなく、クライアントからの新たな要望を実装するための追加依頼でアプリをアップデートする場合もあります。
近年のアプリはリリース後にもユーザーの要望に応え、更新を繰り返して完成度を高めることを前提とするものが多く、運用・保守の重要性は高まっています。
アプリケーションエンジニアと他のエンジニアの違い
アプリケーションエンジニアには、どのような特徴があるのでしょうか。他のエンジニアとの違いについて解説します。
アプリケーションエンジニアとシステムエンジニアの違い
アプリケーションエンジニアとSE(システムエンジニア)の違いのひとつは、業務内容です。SE(システムエンジニア)は情報システム全般の開発に携わり、広義ではアプリケーションエンジニアを含むエンジニア全般を指す場合もあります。それに対し、アプリケーションエンジニアはアプリに特化したエンジニアです。
アプリケーションエンジニアが開発するアプリの種類は、スマホアプリやWebアプリ、業務システムで使われる業務系アプリ、特定の機能を有した組み込み系アプリなど多岐に渡りますが、業務範囲はあくまでアプリに限定されています。
一方SE(システムエンジニア)はアプリ以外の幅広い領域の業務を担うため、アプリケーションエンジニアの方がより限定的・専門的な知識や能力が求められるでしょう。
こちらの「SE(システムエンジニア)の平均年収は?1000万円を目指す方法を解説」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
アプリケーションエンジニアとプログラマーの違い
プログラマーは、プログラミング言語を駆使してプログラムやシステムを作ったり、テストしたりすることに特化した仕事です。対象とするシステムにはWeb系、アプリ系、ゲーム系、組み込み系、オープン系など、さまざまな種類があります。
一般的にプログラマーはクライアントとかかわることや、要件定義、設計の仕事をすることは多くありません。アプリケーションエンジニアがアプリに関する幅広い知識を必要とするのに対し、プログラマーは限られた領域において専門的な知識や技能を求められます。
アプリケーションエンジニアとして年収を上げる方法
前述の通り、アプリケーションエンジニアの収入は企業規模や年齢などによって大きく異なります。年齢が上がるにつれて収入は増える傾向はあるものの、早い段階でより多くの収入を得るには、どうすればよいのでしょうか。具体的な方法を一つひとつ確認しましょう。
資格を習得する
資格の習得は、年収を上げる近道です。アプリケーションエンジニアになるために資格は必要ありませんが、専門的な知識や技能が必要とされる分野であることは確かです。
アプリケーションエンジニアにとって有利な資格としては、以下が挙げられます。
- 基本情報処理技術者試験
- アプリケーション技術者認定試験
- Java™プログラミング能力認定試験
- C言語プログラミング能力認定試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
上記に挙げた資格習得の難易度は、多種多様です。難易度が高い資格を習得したいなら、スクールへの通学を視野に入れるとよいでしょう。また空き時間を利用して、インターネットや書籍で学ぶ方法もおすすめです。
企業によっては資格手当や業務中の講習参加など、社員の資格習得を支援する制度もあります。難度の高い資格を取得できれば、転職や独立をする場合にも有利に働くでしょう。
もちろん、資格の習得がゴールではありません。年収を上げるには、習得した資格を業務に活かしながら、キャリアを重ねていくことが大切です。
スキルを身につける
年収を上げるためには、さまざまなスキルを身につけることが有効です。
例えば、複数のプログラミング言語を習得していると、任される仕事の幅を広げられます。またアプリケーションエンジニアにとって、情報収集し、処理・伝達するITスキルも欠かせません。
他にも、仕事をするうえで円滑な人間関係を築いたり、スムーズな意見交換をしたりする場面もあります。コミュニケーションスキルやヒアリングスキル、管理に役立つマネジメントスキルなどのビジネススキルも磨きましょう。
どのスキルを身につけるか悩んだら、現在携わっている業務に役立てられるスキルを優先して習得することをおすすめします。スキルを身につけることで自信もつき、キャリアアップへの挑戦につながります。
年収が高い職場へ転職する
資格の取得やスキルの習得以外にも、年収が高い職場への転職も検討してみましょう。例えば実力を重視する外資系企業や、大手企業に転職すれば年収アップを期待できます。
IT業界において有能な人材は常に求められており、転職は決して珍しいことではありません。自身の適正を考え、異なる分野への転職も視野に入れてみるとよいでしょう。
ただし、年収が高い職場には相応のスキルや資格、実績が必要とされます。どのようなスキルや実績が求められているのか、転職先の情報を徹底的に集めることも忘れずに行ってください。
こちらの「アプリケーションエンジニアの転職事情は? 将来性や転職成功のコツを解説」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
独立する
独立してフリーランスになることも、年収の増額が期待できます。一方で、独立して仕事が軌道に乗るまでは収入が安定しない点に注意が必要です。転職の場合と同様に、資格やスキルに加えて、一定のキャリアやノウハウを得てから独立を考えましょう。仕事を得られるまでの準備期間に備え、十分な貯蓄があると安心できます。
なお安定して仕事を得るためには、エンジニアとしての実力だけでなく、自身を売り込む営業的なスキルが求められます。また経理や事務などノンコア業務の処理を組織に頼れないため、それを自分で行える知識や、専門家に委託するといった経営スキルも必要とします。
まとめ
アプリケーションエンジニアの年収は比較的高い傾向にあり、企業の規模や年齢により変動します。仕事内容は要件定義や設計、開発やテスト、運用・保守などです。
年収を上げるには資格やスキルを得ること、独立や転職といった方法があります。まず転職エージェントの利用がおすすめです。特にウィルオブテックでは、希少性の高い非公開求人の紹介を期待できるだけでなく、専任のアドバイザーが情報収集から面接対策までサポートしてくれます。少しでも興味が湧いたら、ぜひ無料のキャリア相談に申し込んでみてください。
転職を考えているのならば、客観的に自分の「強み」や「市場価値」を知ることが重要です。キャリアアドバイザーとともにスキルや今後についての整理をしてみませんか?ウィルオブ・テックは専属2名体制で今後についてお悩みのあなたをサポートし、キャリアアップへ導きます。
まずはキャリア相談を申し込むよくある質問
アプリケーションエンジニアの平均年収はいくらでしょうか?
個人差はありますが、現在のアプリケーションエンジニアの平均年収は560万円ほど、月収は50万円前後と言われています。詳細は「アプリケーションエンジニアの平均年収」で説明しているので確認ください。
アプリケーションエンジニアが年収を上げる方法はありますか?
はい。方法として「資格を取得する」「スキルを身につける」「年収が高い職場へ転職する」「独立する」などがあげられます。詳細は「アプリケーションエンジニアとして年収を上げる方法」で説明しているので確認ください。