25歳で結婚・出産を経験し、専業主婦の道を選んだ山田理沙さん。しかし、お子さんが4歳になる直前、28歳の時に離婚という転機が訪れます。
離婚を経て再スタートを切ることになった山田さんが、仕事に対して抱いた不安、そして派遣という働き方を選び、どのように人生を立て直していったのか。そのリアルな経験を伺いました。
目次
プロフィール紹介
お名前: 山田 理沙さん
年齢: 30歳
これまでの経歴:大学卒業後、アパレル企業で販売職に2年勤務。結婚・出産を経て専業主婦に
現在の職種:一般事務(営業アシスタント)
現職の勤続年数:2年半
これまでと今
大学卒業後、アパレル企業で販売職として2年間働いた山田さん。25歳で結婚・出産を機に退職し、専業主婦としての生活を選択しました。当時は夫の収入で生活が成り立ち、「子育てに集中したい」という思いがあったと言います。
しかし、息子さんが4歳になる直前、28歳で離婚。予期せぬ形で再スタートを切ることになりました。そこから直面したのが、働き方の壁でした。
「一番は『子育てをしながらできる仕事なんてあるのかな?』という不安でした。販売職の経験しかないし、Excelだって使えるか怪しいレベル。でも、息子を育てるには安定した収入が必要。実家に頼ることも難しかったので、仕事を探しながら『どうしたらいいんだろう』って毎晩泣いていました」
働き始める前の状況と悩み
離婚という状況で、シングルマザーとして子を育てる責任を負いながらの仕事探し。山田さんの不安は大きかったと言います。
「正社員になれたら一番いいとは思っていました。でも、正社員の求人って『経験者のみ』とか『子育て中の方はご遠慮ください』みたいな空気を感じることが多くて…。かといってパートだと生活が成り立たない。どっちにしても、詰んでる…って思っていましたね」
ブランクがあること、アパレル販売以外の職種経験がないこと、事務職に必須と思われるパソコンスキルへの自信のなさ。それらの壁が、再就職への道を一層困難に感じさせていたようです。
転機と行動
そんな出口の見えない状況の中、山田さんはインターネットで仕事を探し始めます。
「ネットで『未経験 シングルマザー 仕事』と検索していたら、派遣の求人が出てきたんです。最初は『派遣って不安定そうだな…』と思ったんですけど、『未経験OK』『ブランクOK』と大きく書いてあって、『私にも門を開いてくれてるんだ』って思えて」。
派遣という働き方に最初は不安を感じつつも、「未経験OK」「ブランクOK」という言葉に希望を見出し、登録を決意。派遣という選択肢に踏み切れた背景には、担当者との出会いがありました。
「担当の方が、ただ仕事を紹介するんじゃなくて、私のこれまでの経験や育児のことまで親身にヒアリングしてくれたんです。『山田さんにはこういうお仕事が合いそう』と言ってくれたことが、すごく救いになりました」。
登録時の気持ちを聞くと、「正直、怖かったです。ブランクもあるし、パソコン操作も不安。でも『今動かなきゃ、何も変わらない』と思って、勇気を出しました。面談の帰り道、泣きそうになったのを覚えています。緊張と、不思議な安心感と、いろんな気持ちが混ざっていました」と語りました。
現在の派遣先を選んだ理由としては、息子さんの保育園への送り迎えなどを考慮し、勤務地が自宅から30分以内で、かつ残業がほぼないこと。加えて、時給が1,400円以上と高めだったことも魅力だったと言います。仕事内容は一般事務で、「電話応対や書類整理が中心だから、販売経験がある方なら大丈夫ですよ」と言われたことで、事務未経験への不安が少し和らいだそうです。
現在の業務と働き方
現在、山田さんは都内の物流関連企業で営業アシスタントとして働いています。主な業務内容は、見積書の作成や受発注データの入力、電話応対など。1日の大半はパソコン作業ですが、チームミーティングや納期確認の電話なども多く、「結構バタバタです」と話します。
仕事のやりがいを感じる瞬間は、チームの営業担当者から「山田さんがいると助かる」と言ってもらえたとき。「本当に泣きそうになりました。自分の仕事が誰かの役に立っていると感じられるのが、やりがいです」。
職場の人間関係にも恵まれていると言います。「女性の先輩が多くて、とても働きやすいです。私が子どもの体調不良で急に休んだときも、『大丈夫!こっちで対応するから!』って言ってもらえて。そんな環境、あるんだなって驚きました」
印象に残っているエピソードとして、初めて一人で任された月次報告の資料作成を挙げました。「何度も確認して、自分の中では“仕事復帰して初めての大きな挑戦”だったので、ミスなく納品できたときは本当に嬉しかったです。上司から『完璧だったよ』と言ってもらえた瞬間は、心の中でガッツポーズしました」
■1日の流れ
9:00 出社・メールチェック・朝礼
出社後はメールチェックとタスク整理から始まります。派遣の頃から行っていたルーティンで、急な依頼や当日の変更がないかを確認。9時半には営業部門のチーム朝礼があり、当日の出荷スケジュールや重要案件の共有を行います。
10:00 受発注業務・資料作成・電話応対
午前中は出荷依頼の処理や見積書の作成が中心業務。営業担当からの指示を受け、必要な数量や納期を確認して発注処理を行います。お客様からの電話応対もあり、「営業アシスタント」という立場ながら、会社の“窓口”として丁寧な対応が求められます。
12:00 ランチタイム(社内カフェスペースで)
お弁当を持参し、社内のカフェスペースで同期の事務スタッフと談笑。ときには営業メンバーと一緒にランチをしながら、現場の最新情報をキャッチアップすることも。
13:00 請求処理・在庫確認・進捗管理
午後は事務作業が中心。取引先への請求書作成、納品後のフォローアップ、倉庫在庫との突き合わせなど、正確さとスピードが求められる業務が続きます。営業担当との連携が必要なので、チャットツールでのやりとりも頻繁。
15:30 トラブル対応・急ぎ案件のフォロー
突発的なトラブル――例えば「発注ミス」「出荷漏れ」「納期の遅延」などがあれば、すぐに対応にあたります。物流業界特有のスピード感と変動性がある中、冷静な対処が求められます。
16:30 翌日準備・報告・退勤
日報や進捗状況をチームに報告。翌日の出荷・納品の資料をまとめ、書類やデータを整理して、17時には退勤。
働き方の変化 Before/After

Before(仕事を探していた時期)
生活状況:離婚後は息子を育てるために安定した収入が必要だったが、実家に頼ることも難しかった。
仕事に対する考え・不安:「自分にできる仕事なんてあるのかな?」という不安が一番大きかった。販売職の経験しかなく、正社員は「経験者のみ」「子育て中の方はご遠慮ください」という雰囲気を感じた。パートでは生活が成り立たないと感じており、「詰んでる…」と思っていた。
精神面:仕事探しをしながら「どうしたらいいんだろう」と毎晩泣いていたほど、精神的に不安定な時期。
苦手だったこと:電話対応の苦手意識が強く、本当に自分ができるのか?と入社直前まで不安だった。
After(営業アシスタントとして働き始めてから)
生活状況:収入が増えたことももちろん大きいが、「毎日社会とつながっている」という実感が、自己肯定感を回復させてくれた。
働き方:現在は都内の物流関連企業で、営業アシスタントとして事務の仕事をしている。勤務地は自宅から30分以内で、残業はほぼない環境で時給も1,400円以上と高め。仕事内容は見積書作成、受発注データ入力、電話応対などが中心。
精神面・やりがい:チームの営業さんから「山田さんがいると助かる」と言ってもらえたときにやりがいを感じた。
スキル・自己成長:以前は怪しいレベルだったExcelも、仕事を通して関数などを覚え、家計簿作りにも活かせるようになった。事務職の専門性を高め、MOSや簿記などの資格取得にもチャレンジしたいと考えるように。
人間関係:職場の人間関係は良好で、女性の先輩が多く、とても働きやすい。子どもの体調不良で急に休んだ際も、「大丈夫!こっちで対応するから!」と温かい言葉をかけてもらえる。
苦手だったことの克服:以前苦手だった電話対応も、今では一日10本以上の電話に対応できるほど成長。毎日続けるうちに自然と慣れていった。
働き方・将来への考え:派遣という働き方について、今では「人生を変えてくれた選択肢」だと考えている。不安もあったけれど、一歩踏み出せば世界が変わった。
将来的には「働くママを応援する仕事」がしたいという目標ができ、「母である前に、一人の人間として幸せでいたい」という価値観を持つようになりました。子どもに「お母さん、楽しそうに仕事してるね」と言ってもらえるのが何よりの励みだそうです。
このように、山田さんは派遣で働き始めたことで、経済的な安定だけでなく、精神面の回復、自己肯定感の向上、スキルの習得、人間関係の再構築、そして将来への前向きな展望を持つことができるようになりました。
これからの目標・展望
派遣という働き方で、新たなキャリアと安定した生活を手に入れた山田さん。これからの目標についても語ってくれました。
「今の会社で、事務職の専門性をもっと高めたいです。資格取得にもチャレンジしてみたいですね。MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)とか、簿記にも興味があります」。
将来的な夢は、「いつか『働くママを応援する仕事』ができたら嬉しいです。私自身が支えられてきたから、今度は私が誰かの背中を押せる存在になりたい。派遣でも、正社員でも、自分らしく働ける環境を増やしていきたいですね」
自身の経験を活かし、同じように悩む女性をサポートしたいという温かい思いが伝わってきました。
おわりに
派遣という働き方に対する印象は、出会う前と今では大きく変わったと言います。
「今では『人生を変えてくれた選択肢』だと思っています。不安もあったけど、一歩踏み出せば世界は変わる。派遣という働き方には、再スタートしたい人への優しさがあります」
過去の不安を乗り越え、仕事を通して自己肯定感と自信を取り戻し、イキイキと働く山田さん。「派遣」という選択肢が、彼女の人生に確かな光をもたらしたことが伺えました。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。