新卒で入社した会社で、体調を崩すほどの激務を経験。キャリアへの迷いや疲れを感じながらも、次の働き方を見つけたいと模索していた青木未来さん。
当初はネガティブなイメージもあったという「派遣」という働き方を選んだことで、彼女の仕事観や生活は劇的に変化しました。競争から離れ、「地に足をつけて働く」心地よさを手に入れた彼女が語る、自分らしい働き方の見つけ方、そして派遣という選択肢の可能性について伺いました。
目次
プロフィール紹介
お名前: 青木 未来(あおき みく)さん
年齢: 25歳
現在の職種: 営業アシスタント事務(派遣)
勤務先: IT関連機器メーカー(東京・港区)
勤務年数: 10ヶ月
過去の職歴: 新卒で営業代行会社に入社、法人営業として2年間勤務
これまでと今
新卒で青木さんが入社したのは、「若いうちに成長できる環境」に惹かれたという営業代行の会社でした。
法人営業として配属され、「日々目標数字に追われる毎日」を送っていたといいます。気がつけば、月の残業時間は80時間を超え、夜中まで資料作成に追われ、休日も顧客対応が必要な生活。「生活は完全に仕事中心でした」と当時を振り返ります。
このような働き方の中で、確かに達成感はあったものの、その裏には「睡眠不足と常に胃が痛い日々」があったそうです。体調を崩して病院に行った際、「このまま続けると危険です」と告げられたことが、青木さんが自身の「限界」に気付く転機となりました。
そして現在、青木さんはIT関連機器メーカーで営業アシスタント事務として派遣社員で働いています。現在の勤務先を選んだのは、自宅から近く、在宅勤務も一部可能で、何よりも「残業ゼロ」という条件が決め手だったと言います。
仕事内容も、前職の営業経験で身につけたExcelスキルやスケジュール管理の力を活かせるものでした。「これなら私でも大丈夫かもしれない」と思えたことが、今の働き方を選んだ理由になったそうです。
働き始める前の状況と悩み
新卒で入社した会社での働き方は、青木さんにとって成長の機会ではあったものの、その裏では心身をすり減らすような日々でもありました。
毎日数字のプレッシャーに晒され、長時間労働と休日出勤によって体調を崩し、医師から危険性を指摘されたことで、「このままじゃ心身がもたない」という強い危機感を抱くようになったのです。
次にどんな働き方をしようかと考えたとき、正直なところ、当初は派遣に対してあまり良い印象を持っていなかったと言います。しかし、知人から「派遣で事務をしていて、今すごく働きやすい」という話を聞き、興味を持つようになりました。
そこから派遣という働き方について調べ始めました。
転機と行動
知人の話がきっかけで、Webサイトで派遣の求人情報を詳しく見てみた青木さん。そこで、勤務地、勤務時間、平均残業時間などが明確に記載されていることに、「こんなに条件がはっきりしてるんだ」と驚いたと言います。
登録面談では、アドバイザーが丁寧に話を聞いてくれたことで、“働くこと”のハードルが少し下がったように感じたと言います。
自分一人で悩まず、誰かに相談できたことが、次に進むための大きな一歩となったようです。
現在の勤務先を選ぶ決め手となったのは、やはりその就業条件でした。自宅からの近さ、一部可能な在宅勤務、そして「残業ゼロ」という環境。
加えて、過去の営業経験で培ったスキルを活かせる業務内容だったことも、「これなら私でも大丈夫かもしれない」という確信につながりました。体調を崩すまで働いた経験から、「働くこと」が「自分をすり減らすこと」にならないようにしたい、という思いが強くなっていた青木さんにとって、これらの条件は非常に重要だったようです。
現在の業務と働き方
現在、青木さんは営業アシスタントとして、多岐にわたる業務を担当しています。主な業務内容は、受発注管理、見積書作成、顧客情報の入力、営業資料のサポート作成などです。前職で数字やスケジュール管理に追われていた経験が、今の仕事でも活きていると感じているそうです。
現在の働き方について、1日の流れを教えてくれました。
9:00 出社・メール確認
社内外から届いたメールを確認し、営業担当からの依頼や急ぎの案件をチェック。その日のスケジュールとタスクを整理する。
9:30 電話応対・来客対応
取引先からの電話や問い合わせ対応。営業担当への取り次ぎや、簡単な内容であれば自ら対応。
10:00 データ入力や報告書の作成
売上データや顧客情報を専用システムに入力。Excelや社内フォーマットを使って営業日報や月次報告書を作成し、確認・提出準備を行う。
12:00 ランチ、職場の方と近くの美味しいお店でランチ
オフィス近くの飲食店で同僚とランチ。業務外の会話でリフレッシュし、午後への切り替えに。
13:00 会議資料の準備や営業担当とのやり取り
営業会議やクライアント訪問に使用する資料をPowerPointやExcelで作成。内容のすり合わせや修正を営業担当とこまめにやり取りしながら進める。
15:00 商談同席や会議参加
必要に応じてオンライン・対面の商談に同席し、議事録の作成や資料説明の補助を行う。社内会議では情報共有や進捗確認の補佐役を担う。
17:00 翌日の準備、タスク整理、備品手配
翌日の会議スケジュールを確認し、必要な資料や備品の手配を行う。ToDoリストを見直し、やり残しがないかチェック。共有フォルダの整理なども行う。
17:30 退社
デスク周りを整え、最終のメールチェックを行って業務終了。
定時で退社できるようになったことで、生活は大きく変わりました。
「帰りにカフェに寄って読書をしたり、散歩をしたり。生活に“余白”があるって、こんなに豊かなんだと感じています」
仕事のやりがいについては、営業担当を支える立場で「ありがとう、助かった」と感謝されることに喜びを感じています。一方で、正社員に比べて裁量が限られていることには難しさも感じると言います。しかし、その限られた範囲の中で「どう工夫するかを楽しめるようになってきました」と、前向きに捉えています。
働き方の変化 Before / After

Before(前職・正社員 営業)
- 働き方: 月80時間超の残業、休日出勤あり、生活が仕事中心
- 体調: 睡眠不足、常に胃が痛い、体調を崩して医師から危険を指摘される
- 精神状態: 日々目標数字に追われる、常に緊張、気分の浮き沈みがある
- 仕事観: 成果を出すことが全て、競争、ずっと走り続けなければならないという「呪縛」
- 自己認識: 他人と比較する癖があり、自分をすり減らしている感覚
After(現職・派遣 営業アシスタント事務)
- 働き方: 残業ゼロ、在宅勤務一部可、定時退社、生活に「余白」が生まれた
- 体調: 体調が安定した、朝食をきちんと食べられるようになった
- 精神状態: 地に足をつけて働く感覚が心地いい、気分の浮き沈みが減った、人に優しく接する余裕ができた、成果主義の「呪縛」から解放された
- 仕事観: 競争ではなく協力、支えることのやりがい、工夫を楽しむ
- 自己認識: 他人と比較することが減った、自分のペースで物事に向き合える、小さなことでも「これができた」と思える、毎日を丁寧に過ごすことが成長と感じる
これからの目標・展望
今後のキャリアについて、青木さんは「焦らず、でも一歩一歩進んでいきたい」と言います。
「今の会社で経験を積み、もし直接雇用のチャンスがあればチャレンジしたいという意欲もあります。また、将来的には広報や採用など、人との関わりを深められる仕事にも興味があります」と、今後の目標についても話してくれました。
派遣という働き方に対する印象も、大きく変わったと言います。
「以前は一時しのぎのようなイメージを持っていたそうですが、今はちゃんとキャリアを作れる場所だと感じています」。
柔軟な働き方ができるからこそ、自分自身と向き合う時間や、次に進むための準備ができること。青木さんにとって派遣は、決して「妥協」ではなく、「自分を守る戦略」としての選択肢になったのです。彼女は、派遣という働き方が「選択肢の一つとして、もっと認知されてほしい」と語ってくれました。
おわりに
働く上で、青木さんが最も大切にしたいこと。
それは、“働くこと”が、“自分をすり減らすこと”にならないようにするということです。
心身の健康を一番の軸に据え、それに加えて「ちょっとした喜びや達成感」を感じられる働き方を、これからも選び続けたい。
青木さんの経験は、「キャリアに疲れた」と感じている人が、立ち止まって自分自身の働き方を見つめ直し、自分を大切にしながらキャリアを築いていくことの可能性を教えてくれました。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。