大学を卒業後、就職活動がうまくいかず、フリーター生活を続けた長谷川遼さん(27歳)。アルバイトを転々としながら、「これでいいのか?」という不安と、将来への焦りを募らせていました。
そんな長谷川さんがたどり着いたのが、ウィルオブ・ワークで見つけた工場勤務の派遣という働き方でした。人と関わるのが苦手だったという長谷川さんが、黙々と作業する精密部品工場で働き始めて3年4ヶ月。生活は安定し、仕事への意識も大きく変わったといいます。
過去の悩み、派遣という働き方を選んだきっかけ、そして働き始めたことでどんな変化があったのか。等身大の言葉で語ってくれた長谷川さんの経験は、自身のキャリアに悩む多くの読者にとって、きっと「自分にもできるかも」という希望の光となるはずです。
目次
プロフィール紹介
お名前:長谷川 遼(はせがわ りょう)さん
年齢:27歳
過去の職種:大学卒業後、アルバイトを転々。飲食・小売・コンビニなどを転々
現在の職種:製造オペレーター
勤務先:精密部品製造工場(埼玉県)
勤務年数:3年4ヶ月
これまでと今
大学を卒業したものの、コロナ禍の影響で就職活動は思うように進まず、ようやくもらえた地元企業の内定も、その企業の倒産により取り消しになってしまいました。卒業後は短期の派遣やアルバイトを続けながら就職活動を続けましたが、なかなかうまくいきませんでした。
もともと人と話すことや自分をアピールするのが苦手で、面接でもうまく話せず、自分にどんな仕事が向いているのかも分からず、ただ焦るばかりの日々でした。
高校や大学の同級生の頑張っている姿をSNSなどで見るたび、劣等感に苛まれ、「正社員にならなきゃ人生終わり」そんな世の中の空気に押されながらも、自分には遠く感じ、どうすればいいか分からず不安と葛藤の日々を送っていました。
そんな中で応募したのが、現在働いている精密部品製造工場の派遣の仕事でした。最初は「派遣なら社会保険に加入できるし、工場なら人とあまり話さなくて済みそう」という、正直かなり単純な理由でした。人間関係に疲れていたこともあり、「黙々と作業ができる環境なら自分にも続けられるかもしれない」と思ったのです。
はじめは「とりあえず働かなきゃ」という気持ちで始めた仕事でしたが、今では「自分も社会の一員として役に立てている」という実感が持てるようになったと語ります。
働き始める前の状況と悩み
「大学卒業後、コロナ禍の影響で就職活動が思うように進まず、内定をもらっていた地元企業も倒産してしまい、内定が取り消しになりました」。長谷川さんは当時をそう振り返ります。
卒業後も就職活動は続けていましたが、短期の派遣やアルバイトをしながらの生活で、うまくいかない日々が続きました。「もともと人と話すのが得意ではなく、自分をうまくアピールするのも苦手だったので、面接も怖くて…。どうしたらいいか全然分かりませんでした」と語ります。
経験したアルバイトはさまざまで、居酒屋、家電量販店、コンビニ、イベントスタッフなどを転々としましたが、どれも長続きせず、最長でも半年ほどでした。「仕事そのものよりも、人間関係や不規則なシフトが自分には合わなかったのかもしれません」と自己分析しています。
当時の生活は経済的にも厳しく、「家賃を払うのがギリギリで、食費を削る日もありました」。「自分だけ取り残されている気がして、劣等感ばかりが積もっていきました」。社会全体に流れる「正社員にならなきゃ人生終わり」という空気を感じながらも、自分にはその道があまりに遠く感じてしまっていました。
今思うと、何かうまくいかないことがあるたびに「もういいや」と諦めてしまう“逃げ癖”が付いていたのかもしれません、と語る長谷川さん。当時の長谷川さんには、踏み出すための自信がなかったのかもしれません。
転機と行動
そんな状況から抜け出すきっかけになったのは、SNSでたまたま目にした「派遣という働き方」についての情報でした。それまでは、「派遣=短期のアルバイト」のようなものだと思い込んでいて、長期で安定して働ける派遣があるなんて知りませんでした。
でも実際には、社会保険に加入できたり、有給休暇がちゃんと付与されたり、残業代もしっかり支給されるなど、思っていた以上に待遇が整っていることを知り、イメージが大きく変わったといいます。
その後、偶然見つけたのがウィルオブ・ワークの「工場勤務」の派遣求人でした。「未経験歓迎」「正社員登用制度あり」という言葉に惹かれて、興味を持ちました。もともと人と話すのが得意ではなかったこともあり、「工場でのもくもく作業なら、自分にもできるかもしれない」と思えたのです。
さらに、事前に工場見学ができて、「実際に見てから働くか決められる」と聞いたことで安心感もありました。「ここでなら自分にもできるかも」——そう思えたことが、長谷川さんにとって大きな一歩になりました。
現在の業務と働き方
現在、長谷川さんが担当しているのは、精密部品を組み立てるラインでの作業です。具体的には、工具を使って部品を加工・取り付けし、最終的な検品までを担当しています。非常に細かく正確さが求められる作業ですが、「黙々と集中できるので、自分の性格には合っていると感じています」。
現在の1日の仕事の流れは以下の通りです。
8:00 出勤・朝礼
その日の作業内容や注意点を共有。持ち場の準備や道具の点検を行います。
8:30 組み立て作業
決められた手順に従って部品を加工・組み立て。
12:00 昼休憩
食堂で同僚と軽く話をしたり、スマホを見ながらリフレッシュ。外国人スタッフとカタコトで会話することも増えてきたそうです。
13:00 ラインチェック・不良品選別
完成品の外観チェックや測定器を使った検査など、品質に関わる重要な工程を担当します。
16:00 再調整・作業記録の入力
必要な箇所の調整や記録の入力を行い、当日の作業をまとめて終了。
17:00 退勤
このように、1日のリズムが決まっていることで生活も安定し、以前のような不規則なシフトに悩まされることはなくなりました。仕事が終わった後は、趣味のギターを弾いたり、YouTubeを見てゆっくり過ごせるようになったようです。
仕事のやりがいについて、長谷川さんは「同じラインで働いている外国人の同僚に日本語を教えて欲しいと言われ、“この言い方合ってる?”と聞いてくれたりするのが嬉しい」と語ります。最初は戸惑いもあったものの、今では仕事のあとに飲みに行ってお互いの国の文化を教え合うような関係にもなり、「人と話すのが苦手だったので、自分の意外な一面にびっくりしました」と話してくれました。
また、仕事面でも、「自分はこういう“もくもく作業”が得意だったんだ」と気づけたことで、以前より自信を持って働けるようになったそうです。
働き方の変化 Before / After

Before(大学卒業後、アルバイトを転々としていた時期)
働き方:アルバイトを転々とする生活。人間関係や不規則なシフトが合わず、どれも長続きせず、最長で半年。逃げ癖が付いていた。
収入:家賃を払うのがギリギリで、食費を削っての生活。
人間関係:人と話すことが苦手で、どの職場にも馴染めなかった。
気持ち:「働かなきゃ…」という義務感だけ。自分の将来像がまったく描けず、「これでいいのか?」という不安がどんどん大きくなっていたが、何をしたらいいか分からず焦るだけだった。
After(現在の工場勤務)
働き方:精密部品製造工場で3年4カ月製造オペレーターとして勤務。土日休みで勤務時間も固定されているので規則正しい生活が送れるように。
収入:アルバイト時代より時給が高く、勤務時間が固定されているため毎月一定の収入を確保できるように。
人間関係:仕事中はもくもく作業ができ、人間関係に悩むことはなくなった。同じラインの外国人の方と仲良くなることができ、プライベートでも交流するようになった。
気持ち:自分に合った働き方ってこんなに違うんだと実感、気持ちが楽になった。自分が携わった部品が医療や航空などの分野で使われていると知って、「役に立っている」と実感でき、やりがいに繋がっている。
これからの目標・展望
長谷川さんは、現在の職場で着実に経験を積み重ねています。そして今、次のステップへと進む具体的な話が進んでいます。
「今、職場から正社員登用のお話をいただいています」。長谷川さんは「そして30歳になる前に、もう一段ステップアップしたい」と前向きな気持ちを口にします。将来的には「品質管理や工程改善などにも関われたら嬉しい」と、キャリアの展望をしっかりと描いています。
そもそも派遣という働き方に対して、以前は「短期バイトのようなもの」というイメージしかなかったといいます。しかし社会保険や有給休暇、残業代などの待遇がきちんと整っていることを知り、ちゃんとした制度のもとで、長く働けることをもっとみんなに知ってもらいたいと言います。
これから大切にしたい働き方については、「無理せず、でも確実に前に進むこと」だと語ります。焦らず自分のペースを守りながらも、成長を実感できる環境を選んでいきたいという思いがあります。
「自分のようにキャリアに悩む方は、派遣も含めて、“自分にちょうどいい働き方”を選んで欲しいと思います」。
自身の経験から、長谷川さんは派遣という働き方が、キャリアに迷ったときや自分に合う環境を見つけたいときの、頼れる選択肢になり得ることを実感しています。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。