20代後半から30代にかけて、結婚や出産といったライフイベントは、女性にとってキャリアを考える上で大きな分岐点となります。これまで積み重ねてきたキャリアを中断せざるを得ないのか、それとも新しい働き方を見つけられるのか──。そんな不安や迷いを抱える方も少なくないでしょう。
今回お話を伺った上野真希さん(32歳)も、出産を機に「この先キャリアを続けられるのだろうか」と悩んだ一人です。
しかし、彼女は“派遣”という選択肢と出会ったことで、介護職として新たなやりがいと自信を手にしました。現在は家庭と両立しながら、派遣スタッフのリーダーとして活躍する上野さん。その歩みを辿ることで、ライフステージに合わせた働き方の可能性を見つけられるかもしれません。
目次
プロフィール紹介
お名前:上野 真希(うえの まき)さん
年齢:32歳
現在の職種:介護職(デイサービス勤務)
勤務先:神奈川県内のデイサービス施設
勤務年数:2年
過去の職歴:エステティシャン(業務委託、約8年間勤務)
これまでと今
上野さんの20代は、エステティシャンとしてお客様一人ひとりに丁寧に向き合い、リラックスできる時間を提供することに情熱を注いでいました。「施術の後に『またお願いしたい』と笑顔をいただけることが大きなやりがいで、この仕事に誇りを持っていました」と当時を振り返ります。お客様に寄り添い、細やかな接客を大切にする姿勢は、まさに天職そのものだったといいます。
しかし、働き方は業務委託契約であり、産休や育休といった制度を利用できない現実がありました。
結婚し、子どもを持つことを考えるようになると、「出産したらどうなるのだろう」という不安が常につきまとったといいます。さらに、予約制のためお客様の都合に合わせて土日や夜遅くまで勤務する必要があり、「育児との両立は現実的に難しい」と感じていました。
こうした状況から、出産を機に現場を離れる決断をした上野さん。当時は「これでキャリアが途切れてしまうのでは」という焦りもあったそうです。
それでも現在は、デイサービスで介護職の派遣スタッフとして活躍し、チームのリーダーとして責任ある役割も担っています。
かつて抱えていた「出産したらキャリアが途切れるのでは」という不安を乗り越え、家庭と両立しながら現場で信頼を得ていることが「大きな自信」になり、「働くことそのものをポジティブに捉えられるようになった」と語ってくれました。
働き始める前の状況と悩み
出産を機に現場を離れた上野さん。エステティシャンとして仕事にやりがいを感じていた一方で、業務委託という働き方はライフイベントとの両立を難しくしていました。
予約制で「土日や夜遅くに勤務することが当たり前」という生活は、子育てと両立するには現実的ではなかったといいます。
出産から2年ほど経ち、復職を考えるようになった上野さんは、新たな道として「人の生活を支える仕事」に関心を持ちました。母が祖母を介護していた経験も影響し、介護の仕事に強い興味を抱いたのです。
しかし実際に求人を調べてみると、施設によっては夜勤が必須で、資格が必要なところも多く、「未経験の自分にできるのだろうか」「子育てと両立できるのか」と不安が募ったと振り返ります。
また、求人票だけでは夜勤の有無や資格要件、施設ごとの働き方の違いが分からず、情報の不足から困惑することも少なくありませんでした。将来を考えて一歩踏み出したい気持ちはありながらも、具体的な選択肢が見えずに立ち止まってしまう状況が続いていたのです。
転機と行動
そんな迷いの中で、上野さんが出会ったのが「派遣」という働き方でした。
勤務地や勤務時間を相談でき、自分の生活に合った職場を紹介してもらえると知り、「これなら挑戦できるかもしれない」と思えたといいます。
実際に登録へ踏み切り、子育てとの両立について相談した結果、未経験からでも始められる日勤中心のデイサービスを紹介されました。「条件をきちんと確認した上で、安心して働ける環境を提示してもらえたことが本当にありがたかった」と語ります。
派遣を利用したことで、自分一人では見つけにくかった職場と出会うことができ、登録してよかった、と強く感じているそうです。
もちろん、未経験の介護職に挑戦することへの不安はありました。しかし、それ以上に「また社会とつながれる」という期待感の方が大きく、「ようやく新しい一歩を踏み出せる」と感じられたことが、大きな転機になったといいます。
現在の業務と働き方
現在、上野さんはデイサービスで介護職として勤務し、利用者の入浴や食事のサポート、体操や歌などのレクリエーションの企画・運営を担当しています。日々の業務を通じて「誰かの生活を支える」ことを実感できる環境で働いています。
1日の流れ
8:30 出勤・利用者迎え入れ
利用者の送迎車を迎え入れ、健康状態をチェック。血圧や体温を測定し、体調に合わせてその日の過ごし方を調整します。
10:00 入浴介助・機能訓練サポート
順番に入浴の介助を行い、身の回りのお手伝いを実施。機能訓練スタッフの補助に入ることもあります。
12:00 昼食介助
食事をスムーズに楽しめるようにサポート。飲み込みの様子や食欲を確認しながら、一人ひとりの状態に合わせた対応を心がけています。
13:00 レクリエーション活動
体操、歌、手芸、ゲームなどのレクリエーションを企画・運営。利用者と一緒に体を動かし、笑顔を引き出す時間です。
15:00 記録・談話サポート
午前・午後の活動内容や利用者の体調を記録。利用者と一緒にお茶をしながら談笑し、安心して過ごせる雰囲気づくりも大切な役割です。
16:00 帰宅準備・送迎サポート
利用者の荷物をまとめ、送迎車までの移動をサポート。安全に帰宅できるよう見送ります。
17:00 シフト調整・新人サポート
派遣スタッフのリーダーとして、シフト調整や新人へのフォローも担当。業務全体を見渡しながらチームを支える役割を担っています。
この仕事でやりがいを感じる瞬間は数多くありますが、特に嬉しいのは「デイサービスに来るのを毎週楽しみにしている」と利用者に言っていただける時だそうです。
「自分が関わることで、誰かの生活に喜びや安心をプラスできているのは大きな励みになります」と、笑顔で話してくれました。
もちろん、大変なこともあります。利用者の体調や気分は日によって異なり、予定通りに進まないこともあります。それでも「臨機応変に対応し、チーム全体で支え合える環境があるからこそ続けられています」と、職場の良好な人間関係に支えられているといいます。
エステティシャン時代に培った「相手に寄り添う」姿勢、そして子育てを通じて得た経験は、介護の現場でも大いに活かされています。利用者はもちろん、同僚からの信頼も厚く、今では派遣スタッフのリーダーとしてシフト調整や新人サポートも任されるようになりました。
「以前よりも責任ある立場で仕事に向き合っています」と、自身の成長を実感しています。
働き方の変化 Before / After

【Before】エステティシャン時代(業務委託)
働き方:予約制のため、土日や夜遅くまで働くのが当たり前だった。業務委託契約のため、産休や育休といった制度も利用できず、働き方に制約が多かった。
育児との両立:お客様の都合に合わせた不規則な勤務スタイルでは、子育てと両立することは現実的に不可能に近いと感じていた。将来子どもを持つことを考えると、キャリア継続への不安が強まった。
キャリア観:エステの仕事自体には誇りがあったが、「出産したらキャリアが途切れてしまうのでは」という焦りや不安が常につきまとい、安心して将来を思い描けなかった。
社会とのつながり:出産を機に現場を離れることになり、仕事を通じた社会との接点が一時的に途切れてしまった。大きなやりがいを失った喪失感も大きかった。
【After】派遣社員として介護職に就いた現在
働き方:日勤中心で夕方には帰宅できるため、生活リズムを整えやすくなった。勤務地や勤務時間も相談でき、家庭と両立できる柔軟な働き方が実現している。
育児との両立:保育園の送迎と両立でき、子どもとの時間を大切にできるようになった。家庭を犠牲にせずに働けることで、仕事にも前向きに取り組める余裕が生まれている。
キャリア観:介護の仕事は経験があれば全国どこでも続けられると知り、将来への安心感が生まれた。資格取得や正社員登用といった新たな目標も見え、自分のキャリアを長期的に考えられるようになった。
社会とのつながり:再び現場に立ち、派遣スタッフのリーダーとして責任ある役割も担うようになった。社会と再びつながることで、自分の存在意義を再確認し、仕事を通じて周囲から必要とされていることを強く感じている。
これからの目標・展望
派遣という働き方を通じて新たなキャリアを築き、自信を取り戻した上野さん。これからの目標も明確です。まずは介護の資格を取得し、専門性を高めること。そして、子育てが落ち着いた段階で正社員勤務にも挑戦したいと考えています。
介護の仕事は経験があれば全国どこでも続けられるため、「もし夫の転勤があっても安心して働ける」と感じているそうです。この「手に職がある」という実感は、上野さんにとって大きな安心感につながっています。
また、派遣に対するイメージも大きく変わりました。
以前は「自分一人で仕事を探さなければならない」と悩んでいた上野さんですが、派遣を利用し担当者に相談できたことで、自分のライフステージに合った働き方を一緒に考えてもらえ、ぴったりの仕事に出会うことができました。その心強いサポートによって、安心して新しいキャリアに踏み出せたといいます。
「家族との時間を大切にしながら、自分らしいキャリアを築いていきたい」という言葉には、家庭と仕事の両立に対する強い意志と、未来への希望が込められていました。
上野さんの経験は、キャリアに悩む多くの20代〜30代の読者にとっても示唆に富むはずです。派遣は単なる「つなぎ」ではなく、ライフステージごとに柔軟にキャリアを継続・発展させるための有効な選択肢であることを、彼女の歩みが力強く物語っています。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。