「どこでもやっていける自分に」大手企業の契約社員から介護職へ転身した28歳の挑戦

大学卒業後、大手企業の物流倉庫で契約社員として働いていた中村慎太郎さん(28歳)。
名前のある企業で働いている安心感はあったものの、契約社員という立場のままキャリアが積み重ならず、正社員登用のチャンスも見えない現実に「このままでいいのか」と悩んでいました。

そんな中村さんが選んだのは、派遣という働き方を通じての介護職への転身。
現在は特別養護老人ホームで働き、「あなたがいると安心する」と声をかけてもらえるまでになりました。

不安定な立場から一歩を踏み出し、自信とやりがいを手に入れた中村さん。
彼がどのようにして福祉の道に進み、「頼られる存在」へと変わっていったのかをご紹介します。

プロフィール紹介

お名前: 中村 慎太郎(なかむら しんたろう)さん

年齢: 28歳

現在の職種:介護職(派遣スタッフ)

勤務先: 千葉県内の特別養護老人ホーム

勤務年数: 約1年半

これまでの職歴: 大学卒業後、大手物流倉庫で契約社員として勤務(約5年間)


これまでと今

大学を卒業後、中村さんは大手物流倉庫で契約社員として働き始めました。

契約社員という立場ではあったものの、名のある企業だったため「大手で働いている」と友人から見られたいという気持ちもあり、この道を選んだといいます。
さらに、一部には本社勤務への配属転換の可能性があると聞き、それも挑戦を決めた理由のひとつでした。

しかし現実は、効率や数字をめぐる競争が激しく、職場の雰囲気はギスギスしたもの。
正社員登用の道は狭く、数値管理の専門知識や高度な改善提案ができる一部の人材に限られていました。

入社から5年、契約期間の満了が迫るなかで、本社勤務どころか正社員雇用のチャンスも得られず、「このままではキャリアが積み上がらない」という焦りが募っていったと振り返ります。

そんな中村さんは現在、千葉県内の特別養護老人ホームで介護職として勤務して1年半が経ちます。

「利用者の方から“あなたがいると安心する”と言っていただけたときは、胸が熱くなりました」と語る中村さん。かつては自信を持てなかった彼が、今では後輩スタッフの指導を任されるまでに成長し、現場で「信頼される存在」として歩んでいます。


働き始める前の状況と悩み

物流倉庫での5年間、中村さんの仕事は単純作業が中心でした。
契約期間の満了が近づくにつれ、「このままではキャリアが積み重ならない」という焦りが強まり、いざ転職活動をスタートさせようとしましたが、履歴書に書けるような強みが見つからず戸惑ったといいます。

「正直、誇れるスキルが少ないと感じていました。改善提案や管理業務を担っていた人は正社員登用の道がありましたが、私はそこに届いていなかったんです」と当時を振り返ります。

さらに、倉庫作業は夜勤が中心だったため収入水準も高めでした。
「転職すると今より収入が下がるのでは」という不安もあり、なかなか条件の合う求人が見つからない。

「どこに行っても通用しないのでは」という思いが強まり、将来に対する閉塞感に押しつぶされそうになっていたといいます。


転機と行動

転職活動に行き詰まり、不安ばかりが募っていた中村さん。

そんな時に目にしたのが、介護派遣の求人広告でした。そこには「未経験から始められる」「派遣でも長期で安定して働ける案件が多い」といった言葉が並んでおり、心に引っかかったといいます。

「夜勤がある分、収入水準も保てるし、今まで人と関わる仕事をしてこなかったからこそ、介護のように人と向き合う仕事に挑戦してみたいと思ったんです」と振り返ります。

さらに登録会では「資格を取得して経験を積めば、収入の大幅アップや、転職や転居の際も強みになる」という説明を受けたことで、「着実にキャリアを築ける道がここにある」と希望を持てるようになったそうです。

派遣への登録には最初は不安もありましたが、「担当の方が親身に相談に乗ってくれて安心できました」と語る中村さん。サポートを受けたことで「一歩を踏み出してみよう」と決意し、介護の世界へと進むことを選びました。


現在の業務と働き方

中村さんが現在従事しているのは、千葉県内の特別養護老人ホームでの介護業務です。夜勤中心で、週に2〜3回の勤務、利用者さんの生活を夜間から朝にかけて支える役割を担っています。主な仕事は就寝中の見守り、排泄介助、体位交換に加え、早朝には起床介助や朝食のサポートも行います。

1日の流れ

16:30 出勤・申し送り
日勤スタッフから利用者さんの体調や注意点を引き継ぐ。夜勤中のポイントを確認。

17:00 夕食介助・就寝準備
食事の配膳・介助、服薬確認を行い、着替えや就寝のサポートを行う。

19:00 小休憩(30分)

20:00 巡回・排泄介助
居室を巡回し、必要に応じて排泄介助や体位交換を行う。

22:00 消灯・深夜の見守り
ナースコール対応や巡回。利用者さんが安心して休めるよう見守る。

0:00 仮眠(2時間程度)
交代で仮眠休憩

2:00 巡回・体位交換
仮眠から戻り、利用者さんの体調や安全を確認。必要に応じて介助を行う。

4:00 小休憩(30分)

5:00 早朝のケア・起床介助
早起きの利用者さんをサポート。着替えや洗面を手伝う。

7:00 朝食介助
配膳や食事介助、服薬確認を行い、1日の始まりを支える。

9:00 申し送り・退勤
夜勤中の出来事や利用者さんの様子を日勤スタッフに引き継ぎ、退勤。

仕事のやりがいについて、「利用者の方から“あなたがいると安心する”と言っていただけたときは、胸が熱くなりました」と中村さん。

最初は戸惑うことも多かったそうですが、利用者の方とのやりとりやさまざまな業務を通して、「自分はこの仕事に向いているかもしれない」と感じられるようになったそうです。

大変だと感じることは、やはり体力面だといいます。しかし、「チームで分担して乗り越えられるので、一人で抱え込むことはありません」と語り、チームワークの大切さも実感しているようです


働き方の変化 Before/After

Before(物流倉庫勤務)

職場環境:作業効率や数字をめぐる競争が激しく、ギスギスした雰囲気の中で働いていた。

仕事への意識:契約社員として単純作業を繰り返す毎日で、「この先にキャリアがつながらない」と感じていた。

精神状態:契約満了を前に正社員登用の道も見えず、「自分には強みがないのでは」と不安に押しつぶされそうだった。

自己肯定感:成果や改善提案を求められる環境で活躍できず、評価される機会が少なかった。

After(介護職:派遣スタッフ/夜勤中心)

職場環境:チームで分担しながら支える体制があり、困ったときはすぐ相談できる雰囲気になった。

仕事への意識:利用者さんの安全や安心を支える仕事にやりがいを感じ、「どうすれば喜んでもらえるか」を考えるようになった。

精神状態:経験やスキルが身に付き、利用者さんから「あなたがいてくれて安心する」と声をかけてもらい、自信を持てるようになった。

自己肯定感:後輩の指導も任されるようになり、「頼られる存在」へと成長した実感がある。


これからの目標・展望

今後のキャリアについて中村さんが描いているのは、「どこでも通用する力を身につけたい」という思いです。

物流倉庫での経験から「スキルがないと転職が難しい」と感じたこともあり、「自分のスキルを持っておきたい」という気持ちが強いといいます。

「資格と経験を積めば、いざというときにどこでもやっていけるし、“あなたに来てほしい”と言ってもらえる人材になれると思うんです」と語る中村さん。
そのために今は、介護福祉士の資格取得に向けた勉強と、現場での実務経験を重ねています。

派遣という働き方についても、「自分に合った環境で経験を積み重ねられるのがいい」と話します。

「未経験から挑戦できただけでなく、自分の強みや課題に気づけたのも派遣だったからこそ。今後も一歩ずつ経験を積んで、どこでも必要とされる存在を目指したいです」と前向きに語ってくれました。

※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。