派遣社員として働いていた山田楓さんは、契約終了の可能性を機に正社員への転換を検討し始めました。さまざまな職種を調べたものの、なかなか考えがまとまらずにいた時、キャリアコンサルタントに相談にのってもらうことに。
元々介護業界での経験はあったものの、夜勤などの就業条件から一度は検討の対象外としていました。しかし、ご自身の希望を整理した結果、再び介護職への道を歩むことを決意されます。
今回は、そんな山田さんのキャリアチェンジのストーリーを伺いました。
目次
プロフィール紹介
- お名前:山田楓さん
- 年齢:24歳
- 前職:派遣でコールセンター勤務
- 現職:正社員で介護現場に復帰
- 現職の勤続年数:2年
これまでと今
「派遣先の事業規模縮小に伴って、今の案件が終わってしまうかもしれないという可能性が出てきたんです」と山田さんは語ります。これを機に、派遣社員という働き方から正社員へと働き方を変えたいと考え始めたそうです。
「色々な職種を調べてみたのですが、自分の中で考えがまとまらなくて。どうすればいいか分からず、誰かに相談してみようと思いました」。
当初、過去に経験のある介護業界は、夜勤などの就業条件が懸念となり、再挑戦は考えていなかったと言います。
働き始める前の状況と悩み
キャリアコンサルタントに相談したことで、自身のキャリアについて深く掘り下げて整理していきました。特に重点を置いたのは、「ライフイベント後のセカンドキャリアの準備」と「介護業界で働くとしたら、どこに拘りたい条件(就業時間や内容など)」の二点です。
「介護職であれば、ライフイベントがあった後でも復帰しやすいという点を教えていただき、将来的な安心感に繋がりました。また、自分が働く上で譲れない条件や、どんな仕事内容に興味があるのかを一緒に整理できたことで、介護職への見方が変わりました」。 この相談を経て、さんは介護職への再挑戦を決意します。
転機と行動
再挑戦を決めた山田さんは、転職活動を進めました。 「自分の考えを整理できたからこそ、最終的には自分自身が納得できる就業先から内定をいただくことができました」。
こうして、山田さんは再び介護の現場に戻ることになります。
現在の業務と働き方
介護職として復帰後、多くの良かった点を実感していると言います。 「以前に働いていたコールセンターと違って、お客さんと対面でお仕事ができるので、感情を読み取りやすいです。それがやりがいやモチベーションに大きく繋がっています」。
職場の人間関係も非常に良好とのことです。 「職場の先輩社員の方々は年上の方が多く、まるで親子のような距離感で、皆さん温かく迎え入れてくださいました。人間関係のストレスは全く無くなりましたね」。
また、ブランクに対する不安も杞憂に終わったそうです。 「最初はブランクを心配していましたが、介護技術は体が覚えていて、既に独りだちができています。これでひと安心しましたし、自分自身の自信にも繋がっています」。
■1日の流れ
8:15 出勤
職場に到着したら、まずはその日の利用者さんの体調や申し送り内容を確認。元コールセンターの癖で、情報の整理はメモでしっかり残すのが自分流です。
8:30 朝礼・準備
スタッフ全員で朝礼。チームワークが重要なので、今日のスケジュールや注意事項を共有します。その後は送迎車の出発準備をしたり、施設内の清掃やレクリエーションの用意をします。
9:00 利用者受け入れ開始
利用者さんが到着。笑顔でお出迎えし、健康チェックやトイレ誘導を行います。コミュニケーションスキルを活かして、少しでも安心してもらえるような声かけを心がけています。
10:00 入浴・個別対応
入浴介助が始まります。前職ではデスクワーク中心だったので、最初は体力に驚きましたが、今では利用者さんの「ありがとう」にやりがいを感じます。入浴しない方とは、折り紙や塗り絵など個別レクを楽しみます。
12:00 昼食介助
食事の見守りや配膳・下膳を行います。「この前のカレー、美味しかったよ」といった何気ない会話が、嬉しいひとときです。
13:00 昼休憩
休憩室でスタッフと軽くおしゃべりしながら、お弁当タイム。介護職になってから、栄養バランスを考えた食事を意識するようになりました。
14:00 レクリエーション
歌を歌ったり、簡単な体操をしたり。元コールセンター時代に身につけた「声の出し方」や「盛り上げ方」が意外と役立っています!
15:30 おやつ・片付け
おやつの配膳と片付け、その後は送迎準備や居室の整理整頓。合間にケア記録も記入します。
17:00 終業
終礼をして、1日の業務終了。仕事後は近くのスーパーで買い物して帰宅。立ち仕事が多いので、帰宅後のストレッチが欠かせません。
働き方の変化 Before/After

コールセンターで働いてた時と現在の介護現場に復帰したことで、山田さんのなかで大きな変化がありました。
Before(派遣社員・コールセンター勤務時代)
仕事へのスタンス: 一度は介護職から離れ、「視野を広げたい」と新しい業種に挑戦。しかし、どこかで「やりがい」や「本当にやりたいこと」に迷いがあった。
時間の使い方: デスクワーク中心でルーティン化した日々。体を動かすことが少なく、充実感には欠けていた。
休日: プライベートは確保できていたが、仕事との結びつきが薄く、物足りなさを感じることも。
収入・生活: 安定した収入はあったが、将来的なキャリアや雇用の不安が常につきまとう。契約終了への不安が転機に。
考え方: 「いつまでこの働き方を続けるんだろう」という漠然とした不安がつきまとい、自分の軸が見えにくかった。
対人関係: 一定の距離感がある職場環境。対話は多いが、温かさや人との繋がりは感じにくい部分もあった。
After(正社員・介護職復帰後)
仕事へのスタンス: 「やっぱり介護が好き」と再認識。誰かの役に立っている実感がやりがいに繋がり、心から納得できる選択に。
時間の使い方: 体を動かし、利用者さんと向き合う日々。1日の流れにメリハリがあり、充実感を得られている。
休日: しっかり休み、仕事に備える生活リズムが整う。疲れも達成感の一部として前向きに受け止められる。
収入・生活: 正社員としての安定を得たことで、将来への安心感が増した。生活も心も穏やかに。
考え方: 「ブランクがあっても大丈夫」「人に頼っていい」という思考に変化。自己肯定感が高まり、無理をしすぎなくなった。
対人関係: 年上の同僚たちが温かく迎えてくれ、まるで家族のような関係に。人間関係のストレスが激減し、「ここにいていい」と感じられる職場。
おわりに
福祉業界を一度離れ、別の仕事(コールセンター)を経験したことが、結果的に山田さんに確信をもたらしました。
「転職したばかりの頃は、福祉業界を離れて別のお仕事を経験したいという気持ちしかありませんでした。でも、一度離れて他の職種を経験できたからこそ、答えが出せたんだと思います」。
そして、最後にこう締めくくりました。 「改めて、自分が本当にやりたかった事は福祉業界の介護職だと確信できました。今はそのことを大変嬉しく思っています」。
一度別の職種で経験を積んだからこそ、介護職で働く楽しさを再発見できた山田さんのストーリーでした。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。