派遣でコールセンター勤務を始めて3年。
“どうせまた続かない”と思っていた彼女が、今「働くのって、ここまでラクでいいんだ」と語れるようになるまで。
「そろそろ“ちゃんと働かなきゃ”って思ってるけど、何をしたいかは分からない」そんな気持ちで立ち止まっている20〜30代の方へ。
今回は、派遣という働き方を“つなぎ”ではなく“選択肢”として見つけ直した、26歳・初田 美咲さんのストーリーをご紹介します。
プロフィール紹介
初田 美咲さん(26歳)。大学卒業後、アルバイトを中心に複数の職種を経験。
現在は派遣スタッフとして、都内のコールセンターで勤務して3年目を迎えている。
これまでと今
かつては、仕事が長く続かず、数ヶ月で辞めてしまうことが当たり前になっていたという。
働くことへの自信が持てず、「また辞めるかもしれない」と思いながら職場を転々とする日々が続いていた。
そんな初田さんが今、同じ職場で3年目を迎えている。
勤務日数は週5日、業務はコールセンターの電話対応。特別なスキルがあったわけではないが、働き方や職場との相性を見直すことで、働くことそのものへの見方が変わっていった。
働き始める前の状況と悩み
大学を卒業した後、いわゆる“フリーター”という形で、アルバイトを中心に働いていた時期が続いていた。
カフェや販売、事務の補助業務など、いくつかの仕事に就いてきたが、長くても半年ほどで離職することが多かったそうだ。
「仕事が合わない」という感覚が強かったわけではないものの、業務や人間関係にうまくなじめないまま、「なんとなく続けられない」という状況が繰り返されていたという。
収入は安定せず、生活も流動的だった。正社員という選択肢も視野にはあったが、責任の重さや働き方の自由度を考えると、踏み出すことができなかったという。
「生活はギリギリでもできていたけど、ずっと“仮の人生”を送ってる感じでした。転職サイトを見ても、正社員ってだけで怖く感じてしまって」
あるとき、コンビニの面接で「電話対応できますか?」と聞かれ、思わず「できる気がしません」と答えたことが強く記憶に残っているといいます。
「社会に出るって、無理して自分を変えないといけないことだと思ってたんです」
転機と行動
ある日SNSで目にした求人広告に、「未経験OK」「時給1500円」「座り仕事」といった条件が並んでいた。
普段ならスルーしていた内容だったが、そのときはなぜか気になり、詳細を確認してみたという。
「電話苦手なのに?って思ったんですけど、“苦手を克服できたら強くなれるかも”という変な好奇心で、派遣登録してみました」
このときの決断が、今に繋がってるなと実感するという。
「ほんと、あの時ちょっとでも勇気出してなかったら、今も“どうせ続かないし…”って思いながら、次のバイトを探してたかも。今は、“自分にも続けられる仕事があるんだ”って思えてるので、あの応募ボタンを押したのは私にとって大きな分岐点だったなって思います」
紹介されたのは、大手企業のカスタマーサポート。研修は2週間あり、対応はマニュアル化されていたため、未経験でも安心して始められる仕組みでした。
「“とりあえずやってみよう”と思ってスタートしたら、思ったよりも“自分が働ける場所”っぽくて。バイトより断然丁寧に教えてくれるし、困ったときに“誰かが代わってくれる”のが本当にありがたかったです」
現在の業務と働き方の変化
現在、初田さんはその職場で3年目を迎えています。
クレジットカードの契約内容や明細に関する電話対応が中心。1日20〜30件の問い合わせに対応しています。
「最初は毎日ぐったりでしたけど、回数を重ねるうちに“電話ってこういうものか”ってつかめてきて。最近は“声が聞きやすい”って褒めてもらえたり、新人さんから質問されるようにもなってきました」
働き方に対するイメージも大きく変わりました。
働き方の変化 Before / After

「生活が整うって、こういうことなんだなって初めて実感しました」
「“社会人ってしんどい”という思い込みが、派遣を通じてちょっとずつ外れていった気がします」
働き始めてから、自分の中で「ちょっと変わったかも」と感じたのは、「“自分のペースで働く”って選んでもいいんだ」と気づけた瞬間。
「前は、“正社員じゃなきゃだめ”って思い込んでて。でも、今の働き方を続けるうちに、“ちゃんと生活できて、気持ちにも余裕がある”って、すごく大事だなって思えるようになって。自分に合う働き方を選ぶことも、“ちゃんと働く”ことなんだって思えたのは大きかったです」
これからの目標・展望
「今は“キャリアを積まなきゃ”というより、“今の働き方を土台にしながら次のステップを考えたい”という感じです」
正社員かどうかにとらわれすぎることなく、“自分が働けるリズム”を大切にする。
その上で、業務の中で後輩のフォローや簡単なマニュアル作成に関わるなど、少しずつ役割が広がっているのを実感しているそうです。
「“キャリアを積んでる”というより、“自分のことが少しわかってきた”って感じかもしれません。
派遣を選んだからこそ、無理なくここまで来れた気がします」
今の生活の中で「めっちゃ好き」って思える瞬間は、意外と日常の中にあるという初田さん。
「仕事終わりに、混んでない時間にスーパー行って、ゆっくりごはんの材料選んでる時間とか。あと、たまに平日にカフェ行けたりすると、“今の働き方っていいなぁ”ってふと思ったりします。小さなことだけど、こういう日常があると、“ちゃんと生きてるな~”って思えるんですよね」
正社員を目指すかどうかは今の時点では決めていないが、派遣という形だからこそ、無理のないペースでここまで続けてこられたという実感があるという。
これからも、自分に合ったリズムを大切にしながら、働き方を見つけていきたいと話してくれた。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。