子育ても保育士としてのキャリアも両立したい。派遣という選択で広がった私の未来

一度はキャリアを中断せざるを得なかったシングルマザーの保育士、片山遥さん。正社員として充実した経験を積むも、出産・育児を経て社会復帰する際には大きな壁を感じていました。

そんな彼女が選んだのは、「派遣」という働き方。それは、不安定というイメージとは全く異なる、「自分らしいペース」でキャリアを再開するための選択肢でした。

今回は、片山さんのこれまでの道のり、派遣という働き方で見つけた新たな可能性についてお話を伺いました。

プロフィール紹介

お名前: 片山遥さん
年齢: 30歳
現在の職種: 保育士
勤務先: 東京都内の認可保育園
勤務年数: 1年3ヶ月(派遣スタッフとして)
これまでの職歴: 新卒から6年間、正社員保育士として勤務。出産・育児を機に一度離職し、その後ウィルオブワークを通じて派遣として現場復帰


これまでと今

新卒で保育士になってからの6年間は、正社員としてフルタイムで働いていました。朝7時から夜7時までの長時間勤務が当たり前で、土曜出勤や行事の前には持ち帰りの仕事も多くあったといいます。クラス担任として大きな責任を担う仕事は、確かにやりがいを感じていましたが、「心と体に余裕がなかったように思います」。

出産を機に一度現場を離れ、育児を経て再び働くことを考え始めた時、正社員時代の働き方に戻ることには大きな不安がありました。

そして、新しい働き方として選んだ派遣では、以前とは時間の使い方が大きく変わりました。勤務時間が明確に決まっており、基本的には残業もありません。これにより、子どもとの時間を大切にできるようになり、仕事とプライベートのオンオフの切り替えもしやすくなったと感じています。


働き始める前の状況と悩み

出産後、保育の現場に戻りたいという気持ちはありましたが、そこにはいくつかの現実的な壁が立ちはだかっていました。

最も不安だったのは、「子どもが急に熱を出したらどうするのか」「フルタイムの正社員に戻れるのか」といった、育児と仕事の両立に関する具体的な問題です。母としての責任を果たしながら働くこと、誰に頼れば良いのか分からず、社会に戻ること自体が大きな挑戦に思えていたそうです。 

また、シングルマザーとして「働かなければ生活が成り立たない」という現実的な経済状況もプレッシャーでした。貯金を取り崩しながらの生活は精神的にも辛く、早く仕事を見つけたい一方で、子どもを預けてまで働くことへの罪悪感も正直あったといいます。

長いブランクに対する漠然とした不安もありました。「また保育の現場に戻ったときに、ちゃんとやっていけるのか?」という懸念や、新しいやり方についていけるか、若い先生たちとうまくやっていけるかといった自信のなさも感じていたそうです。

正社員に対しては「安定しているけれど時間に縛られやすく、柔軟性がない」というイメージ、派遣に対しては「不安定」「責任が少ないぶん軽視されるのでは」という先入観がありました。

しかし、今思えばそれは情報不足からくるものだったと振り返ります。


転機と行動

そんな状況の中、働き方を知るきっかけとなったのは、偶然再会した学生時代の友人でした。友人が「今、派遣で保育の仕事をしているよ」と話してくれたのです。週3日勤務や時短勤務など、自分に合った働き方ができると聞き、「そんな選択肢があるんだ」と、まさに目が開かれるような思いだったといいます。

片山さんが最初に派遣での勤務を選んだ理由は、自分の生活と子どもを最優先にできる働き方だったからです。週4日、16時までの勤務という条件は、家庭との両立を考える上で理想的でした。いきなりフルタイムで戻る勇気はなかったため、段階的に職場復帰できる派遣という働き方は、大きな支えになったと感じています。

現在の派遣先を選んだ決め手は、自宅からの通勤時間(電車で30分圏内)と、1〜2歳児クラスの保育補助という仕事内容でした。時給も納得のいく水準で、担任のような大きな責任を持たずに始められる点が安心材料になったといいます。子育てと仕事を無理なく両立できる勤務形態であることが何より重要でした。

派遣への登録時は、「本当に自分を必要としてくれる園があるのか」という不安もありました。しかし、ウィルオブ・ワークの担当者が親身になって話を聞いてくれたことで、安心してスタートできたそうです。久々の職場復帰、ブランク、通勤など、様々な不安がありましたが、担当者のサポートがあったからこそ、一歩を踏み出せたことを実感しています。


現在の業務と働き方

現在、片山さんは東京都内の認可保育園で、1〜2歳児クラスの保育補助として勤務しています。担任の先生をサポートしながら、園児一人ひとりの生活や発達に寄り添う日々を送っています。

1日の仕事の流れ

7:50 出勤・申し送り
担任や前日勤務の職員から申し送りを受け、その日の流れや子どもの体調を把握、朝の受け入れ準備。

8:00 登園受け入れ
保護者と挨拶し昨日の様子などを確認。お子さんの体調観察をしつつ登園の受け入れ対応。

9:00 自由遊び・朝の会
子どもたちの遊びを見守り、安全の確保。歌や手遊びで今日の活動へ導入。

10:00 戸外活動・お散歩
公園へ散歩。遊具使用時は安全に注意しながら活動。

11:30 給食介助
食事を介助しつつ、スプーンの持ち方や姿勢を確認。食事量などを記録。

12:30 午睡準備・寝かしつけ
トイレへの誘導と着替えを行い、寝かしつけ。

13:00 保育記録・環境整備
子どもの様子を記録。日誌や連絡帳記入。おもちゃの消毒や掃除など、衛生管理業務を行う。

14:30 午睡明け・着替え
目覚めた子から着替えサポート、水分補給を行う。

15:00 おやつ・帰りの準備
おやつ配膳。帰りの準備。

16:00 申し送り・退勤
担任に子どもの様子を申し送り。日誌最終確認後、退勤。

派遣で働き始めてから、時間の使い方が大きく変わったことを実感しています。勤務時間が決まっていて残業が少ないため、子どもとの時間を大切にできるようになったと感じます。以前は仕事中心で、帰宅後も保育のことを考えがちでしたが、今はオンとオフの切り替えがしやすくなりました。

収入面でも、働いた分がしっかり反映されるため、自分の生活スタイルに合った稼ぎ方ができています。休日も増え、心にもゆとりが持てるようになったと感じているそうです。

仕事への考え方にも変化がありました。

以前は「責任の重さ=仕事の価値」と感じていましたが、今は「続けられる働き方」「自分らしく働ける環境」が何より大切だと気づいたといいます。プレッシャーに押し潰されるよりも、笑顔でいることが母として、保育士として大切だと考えるようになりました。

また、以前は周りを頼るのが苦手で何でも一人で抱え込むタイプでしたが、今は周囲に相談したり助け合ったりすることの大切さを実感しています。こうした変化を通して、自身の成長も感じているとのことでした。


働き方の変化 Before / After

勤務時間・残業
◦Before(正社員):7時〜19時の長時間勤務。土曜出勤、持ち帰り仕事多数。
◦After(派遣):勤務時間が決まっている(週4日、16時まで)。残業は基本的にない。

時間の使い方
◦Before:仕事中心。帰宅後も保育のことを考えがち。
◦After:子どもとの時間を大切にできる。オンとオフの切り替えがしやすい。

心の余裕
◦Before:心と体に余裕がなかった。
◦After:休日が増え、心にゆとりが持てるようになった。

収入
◦Before:貯金を取り崩しながら生活。
◦After:働いた分がしっかり反映される。生活スタイルに合った稼ぎ方ができる。

仕事への考え方
◦Before:「責任の重さ=仕事の価値」
◦After:「続けられる働き方」「自分らしく働ける環境」が大切。笑顔でいることが大切。

人間関係
◦Before:周りに頼るのが苦手。一人で抱え込む。
◦After:周囲に相談し、助け合うことの大切さを実感。


これからの目標・展望

今後は、まず今の派遣という働き方を続けながら、家庭と仕事のバランスを大切にしていきたいと考えています。その上で、子どもがもう少し大きくなったら、保育士の育成や子育て支援に関わる仕事にも挑戦したいという目標があります。

具体的には、保育士向けの研修サポートや、子育て中の親御さんの相談窓口のような立場で、自身の経験を活かせたら嬉しいと語ります。

派遣という働き方に対する認識も変化しました。以前は「不安定」というイメージがありましたが、今では「柔軟で自分らしくいられる選択肢」だと感じています。

特に、片山さんのように子育てをしながら働く人にとっては、大きな味方になる働き方だと実感しているそうです。

これからも、「家庭も、仕事も、どちらも大事にする」ことを前提に、無理をせず、自分に合った働き方を見つけ続けたいと片山さんは話します。何よりも、「笑顔でいられる自分でいたい」という言葉が印象的でした。


おわりに

片山さんの経験は、キャリアとライフイベントの両立に悩む多くの人々にとって、派遣という働き方が「つなぎ」ではなく、自分らしい生き方を実現するための有力な「選択肢」となりうることを伝えています。

自身の状況に合わせて柔軟な働き方を選ぶことが、心にゆとりを持ち、仕事への価値観を広げるきっかけになるのかもしれません。 

※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。