「このままでは体も心も壊れてしまうかもしれない」。そう感じながら、将来への漠然とした不安を抱えていた庄司花さん(32歳)。
新卒で入社した大手飲食チェーンでの経験は貴重だったものの、長時間労働と不規則な生活は限界を迎えていました。「私はこの先、どんな仕事で食べていくんだろう」と夜眠れなくなることもあったという彼女は、一歩踏み出し、ウィルオブ・ワークの支援を受けて未経験の営業職にチャレンジします。
派遣という働き方を選んだことで、彼女のキャリアはどう変化したのでしょうか。
現在、IT関連サービス企業でトップ営業として活躍する庄司さんに、これまでの道のりと、派遣で得た「自分らしい」働き方について伺いました。
目次
プロフィール紹介
お名前:庄司 花(しょうじ はな)さん
年齢:32歳
現在の職種:法人営業職
勤務先:IT関連サービス企業(派遣社員)
勤務年数:2年目
過去の職歴:大手飲食チェーンに新卒入社、副店長として勤務
これまでと今
新卒で入社したのは、憧れだった大手飲食チェーンでした。
店舗スタッフとして働き始め、その後副店長に昇格。接客・シフト管理・売上管理など幅広く経験し、お客様の笑顔に支えられるやりがいも感じていたそうです。
しかし、飲食業界では早番と遅番のシフト制が基本。終電まで働く日も多く、休日も少ない環境でした。「常に疲弊していました」と振り返るほど、体力的な限界を感じる日々。さらに、「このまま続けたら、体も心も壊れてしまうかもしれない」という不安に加え、「将来に繋がるスキルやキャリアが見えないこと」が最大の壁として立ちはだかりました。
収入も、残業が多い割にはみなし残業に含まれてしまい給与は上がらず、休日は寝て過ごすばかり。趣味や勉強に充てる余裕もなく、30代を目前に「この先もこの生活を続けるのか」という漠然とした不安に夜眠れなくなることもあったと言います。自身の市場価値すら分からない状況でした。
そんな状況から一転、現在はIT関連サービス企業で法人営業として活躍。「月間MVPを複数回獲得するトップ営業」として、充実した日々を送っています。
過去の疲弊した働き方とは異なり、現在は生活リズムが整い、「週末に旅行に行けるようにもなりました」と語ってくれました。
働き始める前の状況と悩み
飲食業界での仕事は、体力的に非常に厳しいものでした。
早朝から深夜まで働き、休日も少ない。一番の悩みは、目の前の忙しさに追われる中で、「将来に繋がるスキルやキャリアが見えないこと」でした。このまま働き続けて良いのだろうか、という不安が常にあったそうです。
30歳を目前にし、キャリアに対する漠然とした不安はピークに達しました。「自分の市場価値がどれくらいあるのかすら分からなかった」という焦燥感に駆られていたと言います。
派遣という働き方については、正直、最初は『派遣=腰掛け』『責任が少ない分、評価されにくい』というネガティブなイメージを持っていたそうです。
次も正社員として安定したいという思いももちろんありましたが、飲食店での経験しかない自分にとって、まずはどこでも通用する社会人スキルと営業スキルを身につけたいと思い、「ひとまず派遣で営業職に挑戦してみよう、合わなかったら辞めよう」という軽い気持ちで、応募をしました。
転機と行動
心身の不調を感じたため飲食業界を退職し、数ヶ月の休養を経て、転職活動を始めました。いくつかの転職サイトに登録する中で、ウィルオブ・ワークのキャリアアドバイザーから連絡があったことが、転機となります。
キャリアアドバイザーとの面談で、「派遣という働き方がどのようなものか」を紹介されたそうです。この時、派遣という働き方について具体的に知ったのは初めてでした。
「最初に派遣で働こうと思った理由は、正社員一本ではなく、“試してから選べる”という柔軟さに惹かれたから」だと庄司さんは言います。特に、未経験の業界へ挑戦しようと考えていたため、「まずは派遣で経験を積んで、自分に合っているか確かめたかった」という思いが強かったそうです。
現在の派遣先を選んだ理由は、仕事内容が飲食店向けのITサービスを提供する営業職だったからだそうです。「営業未経験の私でも、飲食店の経験がある私ならできるかもしれない」と惹かれたと言います。他にも、勤務時間が固定で土日休み、残業も少なく、未経験でも研修制度が整っていることが決め手になりました。
登録時の気持ちとしては、「営業って、ノルマがキツいんじゃないか」という不安もあったそうです。しかし、「『研修がある』『サポート体制がある』という言葉に背中を押されました」。
不安よりも、新しいことへの期待の方が勝っていましたと当時の心境を語ります。
現在の業務と働き方
現在の仕事は、飲食店向けのモバイルオーダーやキャッシュレスサービスの提案営業。「新規開拓もあれば、既存顧客へのアップセルもあります」。業務内容は幅広く、「訪問・Web商談、資料作成、導入後のフォローまで一貫して担当」しています。
1日の仕事の流れは以下の通りです。
8:45 出社・メール確認・スケジュール確認
営業支援ツールで顧客管理を確認。
前日の商談記録を整理し、当日のアポ内容を準備。
9:30 テレアポ・問い合わせ対応
新規顧客へのアプローチや、既存顧客からの問い合わせ対応。
提案資料や見積もりを作成。
12:00 昼休憩
オフィスビル内のカフェで同僚とランチ。
取引顧客のお店にお伺いして食べることも。
13:00 商談・プレゼン
オンライン商談や訪問営業。
提案資料を使いながらプレゼン、相手の課題を引き出すことを意識。
15:30 社内ミーティング・案件共有
営業チームで進捗報告や課題共有。
ノウハウや成功事例を共有。
17:00 日報作成・明日の準備
日報やCRMへの入力を行い、翌日のアポイントの準備。
18:00 退社
現在の仕事の一番のやりがいは、「お客様の課題をヒアリングして、自分の提案で『助かりました』と感謝される」ことだと言います。「誰かの役に立っている実感がある仕事」として、大きな喜びを感じています。
仕事で大変なことや難しいと感じる点もあります。「商談中に相手のニーズをうまく引き出せないときは、悔しさもあります」。しかし、それを経験として次に活かせるように意識しているそうです。
職場の環境も庄司さんにとって良い変化をもたらしました。「派遣と社員の垣根がなく、フラットな職場」で、営業チームには「同期入社の派遣スタッフもいて、互いに励まし合える環境がありがたい」と感じているそうです。
庄司さんは、毎月行われる表彰制度で、新規契約受注数・継続利用率でともに全国トップとなり、これまでに二度も「月間MVP」を受賞しています。飲食店での経験が顧客の課題理解に繋がり、お客様から新しいお取引先のご紹介を受けることも多いとのこと。
「頑張りが認められるのは素直に嬉しいです」と笑顔で話してくれました。
働き方の変化 Before / After

Before(仕事を探していた時期)
- 働き方:飲食店の副店長としてシフト制、終電まで働く日が多く、休日も少なかった
- 気持ち:長時間労働と不規則な生活により体調を崩し、30代を目前に「この先もこの生活を続けるのか」という漠然とした不安に夜眠れなくなることも
- キャリア観:将来に繋がるスキルやキャリアが見えず、自分の市場価値がどれくらいあるのかすら分からなかった
- 仕事への考え方・やりがい:自分の時間がないことへの不満や体力の限界を感じる毎日だった
After(派遣社員(法人営業職)での働き方)
- 働き方:IT関連サービス企業での法人営業職、土日祝日休みで18時には退社することがほとんど。1日のスケジュールも自分で決められるため、自分で考えながら納得した働き方ができるように
- 気持ち:生活リズムが整い、毎日が充実。頑張りが認められる環境で、もっと挑戦したいと仕事に対して前向きになれた
- キャリア観:未経験から営業職にチャレンジし、現在は月間MVPを複数回獲得するトップ営業として活躍。営業スキルが身に付き、将来への安心感と自信につながった
- 仕事への考え方・やりがい:仕事を通して誰かの役に立っている実感を得られ、「仕事=自分を表現する場所」へと変化
これからの目標・展望
現在の職場で大きな成長とやりがいを感じている庄司さん。今後のキャリアについても、具体的な目標ができてきたと言います。
「まずは今の会社の正社員登用試験に合格すること、そしてチームリーダーのようなポジションを目指したいと考えており、営業としてだけでなく後輩の育成にも関わってみたいという思いがあります」。
将来的にやってみたいことは、「飲食以外の業界経験や、フランチャイズや大手企業に対する営業経験を身につけたい」とのこと。営業としてさらに成長し、どこへ行っても通用するスキルを身につけ、今後も楽しく働きたいと語ってくれました。
派遣という働き方に対する現在の印象は、当初の「つなぎとしての一時的な仕事」というイメージとは大きく変わりました。
「まずは挑戦してみたいという気持ちを後押ししてくれる働き方で、とても前向きな印象に変わりました。キャリアの可能性を広げる手段として、もっと多くの人に知ってもらいたいと願っています」
これからも大切にしたい働き方や価値観は、「“誰かに必要とされる実感”と、“自分自身が納得できる働き方”の両立」だと庄司さんは語ります。自身の経験を通じて、派遣という働き方がキャリアの新しい可能性を切り開く選択肢となり得ることを、等身大の言葉で示してくれました。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。