「毎日が刺激的でした」と語るのは、大手アパレル企業で10年間、販売職として全国を飛び回っていた酒井綾乃さん(35歳)です。華やかに見える世界の裏側では、長時間勤務や休日出勤が当たり前という環境の中で、心身に疲れが蓄積していったといいます。「何歳までこの働き方を続けられるのかな…」と、次第に漠然とした不安を抱くようになったそうです。
第一子の出産を機にいったん仕事から離れ、育児との両立を視野に入れた新たな働き方を模索するなかで、酒井さんは「派遣」という選択肢と出会いました。未経験からの挑戦ではありましたが、現在は医療系企業で事務職として活躍しています。
今回は、キャリアチェンジを経てたどり着いた「自分らしい働き方」、そして働くことへの意識の変化について、お話を伺いました。
目次
プロフィール紹介
お名前:酒井 綾乃(さかい あやの)さん
年齢:35歳
現在の職種:一般事務(派遣社員)
勤務先:葉県内の医療系企業・本社管理部門
勤務年数:3年
過去の職歴:大手アパレル企業の販売員
これまでと今
大学卒業後は、新卒で大手アパレル企業に入社し、正社員として10年間、販売職に携わってきました。全国転勤を経て首都圏の店舗に配属されてからは、新作商品の仕入れやシーズンごとの売り場レイアウトも任されるようになり、接客そのものにも楽しさややりがいを感じていたそうです。
しかし、業界特有の長時間勤務や休日出勤の多さに疲れが蓄積し、30歳を過ぎた頃には「いつまで続けられるかな」という不安が現実味を帯びてきたと言います。
「10年後もこの働き方をするのかな」。接客スキルは身についたものの、事務やPCスキルがなかったため、他の職種への転職イメージが湧かず、漠然とした不安を感じていた。特に、育児との両立を考えると、これまでの働き方を続けることは難しいと感じていたという。
現在は、医療系企業の本社管理部門で、派遣の一般事務として勤務しています。勤務年数は3年になり、「今は自信を持って業務に取り組めています」 と語ってくれました。
働き始める前の状況と悩み
アパレル企業で10年間、第一線で働いてきた酒井さんですが、30歳を過ぎたあたりから「キャリアの先行きに対する不安」が大きくなっていったと言います。
販売職のやりがいを感じつつも、身につくスキルが接客に偏り、他の職種で活かせる事務やPCのスキルが不足していると感じ、また、このままの働き方では、将来的に育児との両立が難しいだろうという懸念も抱いていたようです。
派遣という働き方に対しては、当初は「不安定」という印象を持っていたと言います。福利厚生が弱く、正社員よりも子育てとの両立は難しいのではないか、と考えていたそうです。しかし、今ではそれは「ただの先入観だった」 と酒井さんは振り返ります。
転機と行動
大きな転機となったのは、第一子の出産でした。育児休業が明けた後、前職に戻るという選択肢も検討しましたが、保育園の送迎や子どもの発熱など突発的な対応を考えると、アパレル業界での働き方を続けるのは現実的ではないと感じたそうです。
そんなとき、ママ友から「派遣っていいらしいよ」と言われたことがきっかけになりました。勤務日数や時間が相談でき、社会保険加入や有給休暇制度もあると聞き、初めて派遣という働き方を真剣に考えるようになったそうです。
いくつかの派遣会社に登録する中で、最終的にウィルオブ・ワークを選んだ理由は、「とにかく人が親身だったこと」だと話します。担当者が勤務開始まで丁寧にサポートしてくれたことに加え、業務前の研修も実施してくれ、事務職未経験や育児との両立に対する不安が大きく和らいだといいます。
初めての事務職への挑戦には、大きな勇気が必要でした。パソコン操作にも自信がなく、オフィスワークの経験もまったくなかったためです。それでも、ウィルオブ・ワークのオンライン講座やOJT制度を活用しながら、少しずつスキルを積み上げていきました。
特に苦手意識のあったExcelについては、派遣前の研修やeラーニングで基礎から学び直しました。「関数なんて呪文のように感じていました」と笑いながら当時を振り返りますが、今ではVLOOKUPやピボットテーブルも使いこなせるようになったそうです。最初は怖かったExcelでのデータ集計も、今では「楽しい」と感じるほどになったと話してくれました。
現在の業務と働き方
現在、酒井さんは東京都内にある医療系企業の本社管理部門で、派遣スタッフとしてアシスタント業務に携わっています。担当している業務は、請求書の処理やデータ入力、顧客からの問い合わせ対応、電話・来客対応など多岐にわたり、日々幅広い業務をこなしています。
1日の仕事の流れは以下の通りです。
9:00 出社・メールチェック
出勤後はまずメールを確認し、優先順位をつけてタスクを整理します。その日の会議予定や依頼業務などを把握し、スケジュールを調整します。
10:00 書類整理・請求書処理
前日分の書類や伝票のチェック・ファイリングを行いながら、月末に向けての請求書処理も対応。金額や宛先のミスがないよう、丁寧さとスピードのバランスを意識しているそうです。
12:00 昼休憩
会社の休憩スペースで昼食をとることが多く、同じ部署の方と雑談を楽しむこともあるそうです。子育て中の社員も多いため、自然と育児の話題で盛り上がることもあるといいます。
13:00 資料作成・社内対応
午後は、社内会議で使用する資料作成やデータ整理に集中。部署間の調整業務や問い合わせ対応など、人とのやり取りも増える時間帯です。
16:00 電話対応・明日の準備
顧客からの問い合わせや依頼事項を対応します。
終業前には、翌日のタスクに備えて準備を整えます。
18:00 退勤
業務を終えて、保育園のお迎えへ向かいます。
職場の雰囲気についても、「とても穏やかで働きやすい環境」だと感じているそうです。子育て中の社員も多く、日頃からお互いにフォローし合う文化が根づいており、子どもが急に体調を崩したときも、「お互い様だから」と言ってもらえる環境に、心から感謝していると話していました。
働き方の変化 Before / After

Before(アパレル販売員(正社員)時代)
- 働き方:やりがいはあり毎日楽しく働けていたが、長時間勤務、休日出勤が当たり前で、疲れがたまる日々だった
- 気持ち:キャリアへの漠然とした焦り、特に将来的な育児との両立への懸念があった
- キャリア観:事務やPCスキル不足で他の職種に転職できるイメージが湧かなかった
- 仕事への考え方・やりがい:接客は好きで、任される業務も増えやりがいは感じていたが、「いつまで続けられるかな」という不安は常にあった
After(派遣事務として現在)
- 働き方:残業はほとんどなく、土日は確実に休めるように
- 気持ち:毎日決まった時間にお迎えに行くことができ、子どもとの時間を大切にできることで心の余裕にもつながっている
- キャリア観:スキルが向上し「私にもできることがある」と自信を持つことができた。育児と両立しながら長く働き続けたい
- 仕事への考え方・やりがい:育児と両立ができることで仕事へのモチベーションも上がるきっかけになっている
これからの目標・展望
今後のキャリアについては、まずは現在の派遣先で信頼を積み重ねていくことを第一に考えているそうです。そして、もう少し子供が大きくなったら、派遣先での直接雇用や契約社員として働くことができたら、という展望も抱いています。
さらに将来的には、事務だけでなく営業部や企画部署など違う職種にもチャレンジしてみたいと言います。
「働くとは何か」という問いに対しては、「自分を大切にする手段ですね」と答えてくれました。かつては「頑張ることが正解」だと思っていたそうですが、今は「人生長いので、無理をせず、長く続けられる環境を整えること」が大切だと感じているとのことです。
また、派遣という働き方の可能性については、「選べる自由があると思います」と話してくれました。ライフステージや価値観に合わせて働き方を柔軟に調整できることこそが、これからの時代に必要な要素だと実感しているそうです。
自身の経験を通じて、ライフイベントにも柔軟に対応しながら、長く働ける環境を整えることの大切さを実感した酒井さん。派遣という働き方は、その選択肢のひとつになり得ることを、等身大の言葉で伝えてくれました。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。