大学を中退し、なんとなく始めた家電量販店でのアルバイト。スマホコーナーに立ちながらも、やりがいを感じることはなく、ただ時間が流れるのを待つような毎日。
「このままでいいのかな」 与野智子さん(26歳)は、目標も見えずに立ち止まっていました。
そんな彼女が、ある人との出会いを通して、未経験から確かなキャリアと自信を築くまでには、どのような道のりがあったのでしょうか。彼女のリアルな経験から、自分らしい働き方を見つけるヒントを探ります。
目次
プロフィール紹介
お名前:与野 智子(よの ともこ)さん
年齢:26歳
現在の職種:スマホ販売の委託統括
勤務先:都内派遣会社オフィス
勤務年数:派遣社員として1年半/契約社員として2年/正社員として6か月
過去の職歴:大学中退後、自宅近くの家電量販店でアルバイト
これまでと今
大学を中退してから、与野智子さんは将来の目標を見出せず、なんとなく始めた自宅近くの家電量販店でのアルバイトを続けていました。担当していたのはスマホ販売のコーナー。お客様も少なく、忙しさもない店舗で、仕事にやりがいを感じることもなく、ただ時間を埋めるように日々を過ごしていたといいます。
「このままでいいのかな」と思いながらも、何を目指せばいいのか、自分がどこに向かいたいのかが分からず、社会人としての自信も持てずにいました。
そんな与野さんの毎日に変化をもたらしたのは、派遣会社・ウィルオブ・ワークの社員、秋山さんとの出会いでした。店舗に巡回で訪れていた秋山さんは、いつも明るく声をかけてくれて、誰よりも楽しそうに仕事をしていたといいます。
「私もこんなふうに働けたらいいな」
そう思った矢先、秋山さんから「うちで一緒に働いてみない?」と声をかけられたことが、与野さんの転機となりました。
そんな与野さんも現在では正社員として30名規模のスタッフを率いています。
「目標もなかった私が、今では誰かの育成を任されているなんて。あの頃の自分には想像もつかなかったです」
働き始める前の状況と悩み
家電量販店でスマホ販売のアルバイトをしていた頃の与野智子さん(26歳)は、日々、淡々と時間をこなすように働いていました。
「特に大きな不満があったわけではないけれど、やりがいや目標はなくて。ただ毎日、お店で過ごしていただけという感じでした」と語ります。
仕事はスマホコーナーを担当していましたが、お客様もそれほど多くなく、業務に熱意を持てるわけでもなく、毎日はどこか空虚に流れていったといいます。
「正社員にならなきゃ」といった焦りやプレッシャーを強く感じていたわけではありませんでしたが、一方で、「このまま何も決めずに年齢だけ重ねてしまうのかな」という、漠然とした不安は心のどこかにありました。
「自分にできることって、なんだろう」「このまま、ただ働いてるだけでいいのかな」
そんなふうに自問しながらも、答えが出ないまま、気づけば同じ日々を繰り返していたと言います。
転機と行動
そんな与野さんの毎日に変化をもたらしたのが、ウィルオブ・ワークの社員・秋山さんとの出会いでした。秋山さんは定期的に店舗を巡回しており、スマホ売場に立っていた与野さんとも、業務上のやり取りをする機会が多くありました。
「いつも明るくて、楽しそうに仕事をしている人だな、と思っていました。私はただ立っているだけだったのに、秋山さんはお客様にもスタッフにも気持ちのいい対応をされていて、印象的でした」
そんな秋山さんから、ある日突然「よかったら、うちで一緒に働かない?」と声をかけられました。最初は驚きましたが、声をかけてもらえたことが嬉しくて、「この人と一緒に働きたい」と思ったといいます。
与野さんは思い切って、ウィルオブ・ワークに登録し、派遣社員として大規模家電量販店でスマホ販売の仕事を始めることを決意しました。
「秋山さんみたいになりたい」。
その想いを胸に、まずは明るく挨拶をすること、元気に接客することを意識して働き始めました。最初は慣れないことばかりで戸惑いもありましたが、お客様との会話の中で少しずつ手応えを感じるようになり、仕事に対する姿勢が変わっていったといいます。
「ただ立っていただけの私が、人に関わって、必要とされて、評価されるようになった。その経験が、私の“仕事”への意識を変えてくれたんです」
そしてこの一歩が、与野さんのキャリアを大きく動かしていくきっかけとなったのです。
やがて顧客満足度の高さが評価され、契約社員へと登用。その後、スーパーバイザーとしてチームをまとめる立場に昇格し、現在、与野さんは正社員として、大規模家電量販店を中心に約30名のスタッフをマネジメントする立場にいます。
「昔の自分のように、“ただ立ってるだけ”に見えるスタッフもいるんですよね。でも、声をかけてみると意外と頑張っていたり、不安を抱えていたりして。その気持ち、すごく分かるからこそ寄り添いたいと思えるんです」
自分が秋山さんに声をかけてもらったように、今は後輩たちにとっての“きっかけを与えられる存在”になることが、与野さんのやりがいにつながっています。
「昔の私は、何も考えずに働いていました。でも、今は誰かの背中を押せる立場にいられる。それがすごく嬉しいです」そう語る表情は、自信と誇りに満ちていました。
現在の業務と働き方
現在、与野智子さんは正社員として、家電量販店でのスマートフォン販売業務を担う30名規模のチームを統括しています。主な業務はスタッフの管理・育成、売上などの数字管理、現場運営の改善、顧客(企業)との商談・報告対応です。
普段は本社オフィスを拠点にしつつ、週に数回は家電量販店への巡回や、クライアント企業との打ち合わせのための外出・訪問対応も行っています。
新人スタッフへの育成計画の設計や、OJT担当との連携も業務の一部です。また、店舗ごとの課題を把握し、販売促進施策の立案や改善提案を行うなど、現場の声と数字をつなぐ存在としても活躍しています。
10:00 出勤・チーム状況確認
オフィスに出勤後、メールとチャットツールで全店舗の売上・出勤状況・連絡事項を確認。必要があればスタッフや店舗責任者に指示出し。
10:30 クライアント企業との打ち合わせ(訪問またはオンライン)
業績報告や課題の共有、販売促進施策の提案などを行う。今後の人員計画や施策展開の方向性をすり合わせる大切な時間。
11:30 資料作成・数字管理
前日の売上実績を集計し、社内向け報告資料や改善施策のたたきを作成。人材配置や目標達成状況の分析も行う。
13:00 昼休憩
社内の休憩スペースや近くのカフェでランチ。
14:00 店舗巡回・スタッフ面談
担当する家電量販店へ移動し、売場の様子やスタッフの接客をチェック。必要に応じて個別面談やその場でのアドバイスも実施。
17:00 教育・育成サポート
新人スタッフの育成進捗を確認し、OJT担当と連携して今後の育成計画を調整。ロールプレイの設計やマニュアル改善提案も担当。
18:30 帰社・日報・チームフォロー
巡回の所感や課題を記録し、マネジメントメンバーと共有。スタッフからの相談にも対応しながら、翌日の準備を整える。
19:00 退勤
業務を終えたら退勤。店舗から直帰になる際はメンバーとごはんに行くことも。
残業は少なく、自分の時間やプライベートの予定も大切にできる働き方。
現在の仕事のやりがいについて、与野さんはこう語ります。「自分が販売していた頃もやりがいはありましたが、今は“チーム全体で成果をつくっていく”ことに一番の達成感を感じています」
与野さんにとって今の仕事の魅力は“自分ひとりの数字”ではなく、“人を育て、現場を動かすことで結果が出る”というチームマネジメントならではの喜びがあるといいます。
かつてはなんとなく働いていたと話す与野さんが、今では多くのスタッフを支える存在に。 「もし今の自分が、かつての私にとっての秋山さんのように、誰かにとっての“憧れ”や“きっかけ”になれていたら嬉しいです」 笑顔で語ってくれました。
働き方の変化 Before / After

【Before】 家電量販店でアルバイトをしていた頃
働き方: 忙しいわけでもなく、目的も見出せず、ただ時間を過ごすような働き方。業務はこなしていたが、やる気や充実感は感じられなかった
精神的状況: 特にプレッシャーはなかったが、何も目指せていないことへの漠然とした不安があった
キャリア・スキル: 将来のビジョンが描けず、「このままずっとアルバイトなのかも」と感じていた
仕事への考え方・やりがい: 「仕事=とりあえずやるもの」だった
【After】 正社員としてチームをマネジメントする今
働き方:家電量販店でのスマホ販売業務を担う30名規模のチームを統括、スケジュールを自分で組み立てられ、働き方に裁量と安定がある
精神的状況:「自分の仕事が誰かの成長につながっている」と実感できるようになり、やりがいを感じている
キャリア・スキル:派遣社員として携帯販売に挑戦 → 顧客満足度の高さが評価され契約社員に → スーパーバイザーに昇格 → 現在は正社員。 「秋山さんのようになりたい」と始めた仕事で、今は自分が誰かのロールモデルになれる存在に
仕事への考え方・やりがい:誰かにとっての“憧れ”や“きっかけ”になれていたら嬉しい。現場を支える存在としてチームの成果に関われることが何よりの喜び
これからの目標・展望
「今は、30名規模のチームをまとめる立場として日々学ぶことばかりですが、まだまだ自分は“途中”だと思っています」 そう話す与野さんは、自身のキャリアにようやく手応えを感じられるようになった今、次のステップを見据え始めています。
「まずは、今いるメンバー一人ひとりが安心して働けるような環境をもっと整えていきたいです」
将来的には、現場だけでなく、人材育成や組織づくりにもっと深く関われるようになりたいという目標もあるそうです。
「かつての私のように、将来が見えなくて立ち止まっている人に、『大丈夫、変われるよ』って伝えられるような存在になれたら嬉しいですね」
そう語る与野さんの目には、かつて想像もできなかった未来への希望が、しっかりと映っていました。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。