新卒で入社した2社を早期に退職した経験から、「また同じ失敗を繰り返すのではないか」という不安に苛まれていた大久保美波さん(25歳)。 働くこと自体が怖くなり、人間関係にも不信感を抱くなか、就職活動は停滞していました。しかし、SNSで偶然目にした「派遣」という働き方が、彼女のキャリアに大きな転機をもたらします。
「自分で納得してキャリアを選べている」と語る現在の彼女の姿は、過去の不安を乗り越え、ています自分らしい働き方を見つけた希望に満ち。この記事では、早期離職の悩みを抱え、「自分に合う働き方を見つけたい」と願う20代〜30代の読者に向けて、大久保さんがどのようにしてキャリアの不安を解消し、派遣という選択肢で自らの道を切り拓いたのか、そのストーリーをお届けします。
目次
プロフィール紹介
お名前:大久保 美波(おおくぼ みなみ) さん
年齢:25歳
現在の職種:営業事務
勤務先:メーカー企業(派遣)
勤務年数:派遣社員として約2年半
過去の職歴:新卒でパチンコ店へ正社員入社(3ヶ月)、その後ファミリーレストランの正社員(5ヶ月)
これまでと今
過去の職場を短期で離れてきた大久保さん。新卒での就職活動は「とにかく早く終わらせたかった」という思いから、最初に内定をもらった企業へ入社しました。しかし、飲食店のフランチャイズと聞いていたにもかかわらず、配属されたのは同じグループ経営のパチンコ店。給与も聞いていた額と異なり、「3ヶ月で退職することになりました」 と振り返ります。
次に入社したのは、大手ファミリーレストランの正社員でした。ところが、「店内の人間関係が悪化していて、板挟み状態になることが多く、精神的に耐えられなかった」と、ここも入社後5ヶ月で離職することに。
立て続けの早期離職は、彼女の心に大きな影を落としました。「次の就活もなかなかうまく行かず、面接をしても、また聞いていた話と違ったらどうしよう、人間関係が悪かったらどうしようと悩んでしまい、なかなか先に進めずにいました」と当時を語ります。
そんな深い不安を抱えていた大久保さんですが、現在は派遣スタッフとして営業事務のキャリアを築き、同じ職場で2年半勤務しています。「最初は未経験でスタートした営業事務ですが、だんだんと業務にも慣れ、一人でこなせるようになりました」と、着実に成長を実感しています。
さらに、スキルアップのために2社目の派遣先へ転籍し、より実務的・能動的な業務に携わることで、自身の可能性を広げています。
働き始める前の状況と悩み
新卒での就職活動は、「とにかく早く就活を終えたかった」という焦りが先行していました。その結果、最初に内定をもらった企業への入社を決めますが、配属先がパチンコ店だったこと、給与条件が聞いていたものと違ったことに直面し、わずか3ヶ月で退職。
次に正社員として入社したファミリーレストランでは、職場内の人間関係が悪化し、新人の大久保さんが「板挟み状態になることが多く、精神的に限界を感じた」といいます。結果、ここも5ヶ月で離職。
この連続する早期離職は、大久保さんの心に深い不安を刻み込みました。「また失敗するのではないか」「今度こそ条件が違ったらどうしよう」といった思いが膨らみ、次の就職活動にも「ブレーキがかかった」状態でした。面接に臨んでも、「また聞いていた話と違ったらどうしよう、人間関係が悪かったらどうしようと悩んでしまい、なかなか先に進めずにいました」と、当時の苦しい心境を明かします
正社員という働き方に対しては、「安定はしているけれど、融通が利かず、環境を選べない」という印象を抱いていました。一方で、派遣については「自由度が高いけど、不安定」という先入観もあり、なかなか新たな一歩を踏み出せずにいたといいます。
しかし「派遣という働き方がなければ、今も働くことが怖かったり、人間不信に陥っていたかもしれません」と、当時の状況がいかに切迫していたかを語る大久保さん。そんな状況を乗り越える転機が訪れます。
転機と行動
不安の渦中にいた大久保さんの「転機は、SNSで見かけた派遣会社の情報」でした。
「勤務日数や時間、通勤時間や、職種の相談ができ、時給も高いことを知っていて」と、その自由度の高さに魅力を感じたといいます。さらに、「正社員だと早期離職がネガティブになるが、派遣だと合わなければ別の職場を紹介してもらえる」という点に、希望を見出しました。「一旦派遣で再スタートしてみようと思ったことがきっかけです」と、登録会へ参加するに至った経緯を語ります。
登録会で、大久保さんがキャリアアドバイザーに伝えた希望は明確でした。「人と関わる仕事で、残業が少なく、未経験でもチャレンジでき、できれば将来正社員にまた就職するときにスキルが身についていると嬉しい」という仕事内容に加え、「可能であれば人間関係が良いところ、就業条件が後から違ったというのがないようにしたい」という、過去の経験からくる切実な思いでした。
キャリアアドバイザーは、そうした大久保さんの不安に寄り添い、派遣の仕組みやメリットの説明や、求人票をもとに1社1社丁寧に条件を提示してくれたといいます。「とても安心したことを覚えています」「不安が大きく軽減された 」と、その丁寧な対応が、彼女の心理的なハードルを大きく下げたことを語ります。
その中で大久保さんが選んだのは、未経験OKの営業事務の仕事でした。大学時代にExcelやPowerPointをよく使っていたため、「資料作成が得意だったこと」を活かせると感じたそうです。また、「その派遣先には他にも3名、同じ派遣会社から出向している方がいて職場環境の情報も細かく把握できていること、未経験でもサポート体制がしっかりしていること」、「社会人経験がほとんどない私でも安心して働けるだろうとのことでした」という説明も大きな決め手となりました。
「私も先輩社員がいることや、営業のサポートもできることで将来の転職にも有利だと思い、職場見学をして、そこで働くことを決めました」。この選択が、大久保さんのキャリアを大きく変える第一歩となったのです。
現在の業務と働き方
大久保さんは現在、2社目の派遣先となるメーカー企業で、営業事務として勤務しています。最初の派遣先で営業事務として1年半勤務した後、もう少し転職活動を有利にできるように、派遣元に、さらにスキルが身に付く職場はないか相談し、現在の企業へ転籍しました。
同じ営業事務という職種でありながら、現在の職場では「顧客対応や企画、営業業務にも少し携われる」と、より幅広い業務にチャレンジしています。主な業務内容は、見積書・契約書の作成、営業資料の作成、営業のサポート業務に加え、営業商談の同席や顧客課題解決に向けた企画・提案などにも参加されています。
「前職と比較して、より実務的・能動的な業務を任されている」と感じており、最初の派遣先の方が、仕事は易しく、先輩方にも面倒を見てもらうことが多かった」と語る一方で、現在の職場では「新しい職場に来て1年、任せてもらうことも増え、自分で考え、かたちにする業務が増えました」と、自身の成長を実感しています。
9:00 出社・メールチェック
パソコンを立ち上げ、1日のスケジュールを確認。
顧客・社内営業担当からのメールを確認し、優先順位をつけてタスク整理
10:00 受発注処理・営業依頼対応
取引先からの注文書の確認・システム入力(受注処理) ・社内の調達部門・物流部門とのやり取り
営業担当からの資料準備依頼、データ集計依頼などにも対応
12:00 昼休憩
13:00 資料作成・見積書作成
顧客向け営業資料やプレゼン資料の作成
営業会議で使用する数値データや分析レポートの作成
16:00 クライアント対応・営業支援
顧客とのメールや電話対応
営業との同行商談(必要に応じて)や、提案に向けた準備会議へ参加し、顧客課題解決につながる資料・企画のサポート
18:00 退勤
日報の記録(タスク進捗・対応内容のまとめ)
翌日のタスク整理、ToDoリストの作成を済ませ退勤
大久保さんが現在の仕事で「やりがい」を感じるのは、「自分で考えて動けるようになったこと」だといいます。「今では業務の優先順位を自分で決めたり、改善提案を行う場面も増えた」と、能動的に仕事に取り組む姿勢が身につきました。
特に印象的だったエピソードとして、「商談に同席させていただいた企業への提案内容を営業の方と一緒に考え、プレゼン資料を作成、無事に契約につながった時のこと」を挙げ、「自分の力が成果に繋がった瞬間だった」と、その喜びを語ってくれました。
派遣で働くようになってから、彼女の「働き方に対するイメージ」も大きく変わりました。最も大きな変化は、以前は常に人間関係や条件への不信感から「働くこと自体が怖かった」という状態から、「自分で納得して選べる」安心感が生まれ、「心に余裕が生まれた」ことだといいます。
そして何より、「無理に正社員を目指さず、自分のペースでキャリアを積める自信」を持てるようになったことが、大久保さんの精神的な安定に繋がっています。「派遣元のサポートも心強く、困ったことがあればすぐに相談できる体制があるのも安心材料」だと、派遣という働き方全体のメリットを語ってくれました。
働き方の変化 Before / After

【Before】正社員で働いていたとき(パチンコ店・ファミリーレストラン)
働き方:配属先や業務内容が聞いていた話と異なり、ミスマッチを感じた。短期離職が続き、職場を転々としていた。
精神的状況:連続する早期離職で働くこと自体が怖くなってしまい、「また失敗するかも」と就活にもブレーキがかかっていた。
収入・条件:給与条件が聞いていた額と違ったり、就業条件が当初と違ったりして不信感を覚えていた。
仕事への考え方・やりがい:やりがいや楽しさを感じる前に退職に至ってしまい、自分に何ができるのかも分からなかった。
【After】派遣社員として働いている現在(営業事務)
働き方:ミスマッチのない仕事紹介を通して、納得する働き方を選ぶことができた。自分に合う職場を柔軟に選べることが、安心感につながった。
精神的状況:キャリアアドバイザーの丁寧なサポートや、派遣元のフォロー体制が心の支えとなり、「働くことが怖い」といった不安から解放され、自分らしく働けるようになった。
収入・条件:就業前に職場環境や条件をしっかり確認できたため、入社後のギャップもなく、給与面も、事前に納得した条件で働けており、着実に経験を積みながらスキルアップも実現している。
仕事への考え方・やりがい:「指示を待つだけ」ではなく、「自分で考え、動ける」ようになったことで、仕事への主体性が芽生え、やりがいを感じている。
これからの目標・展望
大久保さんの今後の目標は、営業事務として「あと1年くらい今の職場で頑張ったら営業事務として3年間の経験になるので、正社員としての就職活動を再開しようと思っています」と語ります。現在の派遣先にも正社員登用制度があるため、「今お世話になっている企業の正社員登用も受けてみたい」と、そのチャレンジも視野に入れています。
派遣という働き方に対する大久保さんの認識も大きく変わりました。「派遣は最終地点ではなく、キャリアの第一歩として有効な手段」 だと感じているそうです。「自分の希望や価値観を軸にして働ける、選択肢の一つ」であり、「自分で選べる自由がある派遣という働き方はもっとみなさんに知ってもらいたい」と力強く語ります。
「思っていたのと違った、聞いていた話と違った、ではなく自分で納得してキャリアを選べている」と語る彼女の言葉には、これまでの苦悩を乗り越え、自らの手で未来を切り拓いてきた自信がにじみ出ています。
「あの時不安でいっぱいだった私に、とっても丁寧に条件の説明や、職場の説明をしてくれた派遣会社のキャリアアドバイザーさんに出会えてよかったと思います。それがなければ、今も働くことが怖く、人間不信に陥っていたかもしれません」と、転機となった出会いへの感謝を述べます。
派遣という働き方を通じて、キャリアの不安から解放され、自分らしいペースで成長を続ける彼女の姿は、「自分にもできるかもしれない」という希望を与えてくれるのではないでしょうか。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。