アパレルショップの副店長が語る「派遣は“つなぎ”じゃない、人生を変えた選択だった」話

林愛さん(26歳)は、現在、有名ファッションブランドで副店長として活躍しています。

前職は、大学卒業後に正社員として就職したペットショップ。命を預かる責任や、「命を販売する」という現実に、やりがいや使命感を感じる一方で、どこかに拭いきれない違和感も抱えていました。

さらに、日々の清掃作業や動物の世話によって手肌は荒れ、 体力的な負担もじわじわと蓄積。「この働き方をこの先も続けていけるのだろうか?」という不安が、彼女の中で大きくなっていきました。

そんな彼女が「派遣」という働き方を選び、どのようにしてキャリアの転機を掴み、現在の充実した日々にたどり着いたのか。この記事では、林さんのリアルな経験を通じて、キャリアに悩む20代・30代の読者の皆様が、自分らしい働き方を見つけるヒントを探ります。

派遣が「つなぎ」ではなく、「選択肢」としてキャリアを広げる可能性を秘めていることを、彼女のストーリーから紐解きます。

プロフィール紹介

お名前: 林 愛(はやし あい)さん
年齢: 26歳
現在の職種: アパレルショップ 副店長
勤務先: 神奈川県内の有名ファッションブランド店舗
勤務年数: 2年6ヶ月(1年 派遣社員/6ヶ月 契約社員/1年 正社員)
これまでの職歴: 新卒から2年間、ペットショップの販売員として勤務


これまでと今

林さんは大学卒業後、正社員としてペットショップに2年間勤務し、接客を中心に動物の世話や店舗運営に従事していました。仕事にはやりがいも感じていた一方で、朝早くから夜遅くまで続く動物のケアや掃除、販売対応。

「命を扱う責任や、それでも販売しないといけないという現実にだんだんと疲弊していった気がします」と、当時の胸の内を明かしています。

さらに、職場において将来的なキャリアパスが見えにくかったことも、「このままでいいのか」という漠然とした不安を強める一因になっていたそうです。

しかし、現在、林さんは派遣を経て、アパレル業界で正社員として、しかも副店長という責任あるポジションで働いています。店舗運営やスタッフの育成にも携わり、大きなやりがいを感じているとのことです。

特に「アルバイトの子たちが『林さんに相談したい』って来てくれる瞬間が一番やりがいを感じます。人を支える仕事って楽しいんですよね」と語り、過去の不安な日々とは一変した充実感を滲ませています。


働き始める前の状況と悩み

ペットショップで働き始めて2年が経った頃、林さんはそろそろ転職を考え始めていました。

とはいえ、すぐにまた正社員として働くというよりは、「少しゆっくりしたペースで働きたい」という思いから、アルバイトでの勤務を希望していたと言います。

接客自体は好きだったため、学生時代に経験したアパレル販売に戻りたいという気持ちもありました。けれども、収入の減少に加えて、アパレル特有の“洋服の購入”が必要になる点や、社会保険から外れて自分で加入しなおす必要があることなど、現実的なデメリットに悩んでいたそうです。

派遣という働き方については、当初はまったく知識がなく、「アルバイトと何が違うのかも正直わからなかった」と振り返り、そもそも選択肢として考えたことすらなかったと言います。


転機と行動

そんな林さんに転機が訪れたのは、求人サイトで見つけた有名アパレルショップのオープニングスタッフ募集でした。

雇用形態には「派遣スタッフ」と記載されていましたが、当時はアルバイトとの違いも分からず、思わず調べてみたと言います。調べてみると魅力的だったのは、一つのブランドに縛られず、自分の希望条件に合った店舗を紹介してもらえることや、社会保険に加入できることでした。

派遣登録会の際は、「派遣で働くってどんな感じなんだろう……」という不安も大きかったそうですが、担当コーディネーターの丁寧なサポートや、事前に受けた研修のおかげで、不安は徐々に払拭されたと語ります。

「正社員と同じように社会保険にも加入できるし、どうしても合わないと感じたらブランドや店舗の異動もできるって教えてもらって。不安が一気に吹き飛んだのを覚えています。」

この一歩が、林さんのキャリアを大きく変えるきっかけとなりました。

派遣としてアパレルショップで働き始めて1年が経った頃、勤務していた店舗が派遣元企業の業務委託契約へと切り替わるタイミングで、派遣元企業の契約社員として登用されました。そしてさらに半年後には、副店長として正社員登用の試験を受け、見事合格し、現在に至っています。


現在の業務と働き方

現在、林さんは有名ファッションブランドの店舗で副店長として勤務しています。販売や店舗運営だけでなく、スタッフ育成や売上管理、商業施設とのやりとりなど、幅広い業務を担いながら、チームの中心として日々の業務に取り組んでいます。

1日の仕事の流れ 

9:30 出勤・朝礼準備
開店前の店内チェックやレジ立ち上げ、ディスプレイの最終確認などを行い、スタッフとの朝礼でその日の売上目標や連絡事項を共有します。 

10:00 開店・接客対応
お客様をお迎えしながら、接客やフィッティングのサポート、商品提案を行います。状況を見ながら在庫補充や売れ筋商品のチェックなどもこまめに対応。 

12:30 スタッフフォロー・シフト調整
アルバイトスタッフの接客の様子を見守り、必要に応じてアドバイスやフィードバック。急な欠勤や混雑状況に応じて柔軟にシフトを組み替えることもあります。 

14:00 昼休憩
店舗が入っている商業施設の休憩スペースでお弁当を食べたり、商業施設内の飲食店に行ったりして過ごしています。

15:00 売場づくり・ディスプレイ調整
季節やトレンドに合わせたディスプレイをスタッフと一緒に考案し、実施。売上分析を元に、どのアイテムを目立たせるかなどを検討します。

16:00 商業施設とのやりとり
商業施設の担当者と今後の販促企画やイベントの打ち合わせ。催事出店の相談など、外部との調整も副店長の大切な仕事です。
オープン当初はメディアの取材も多く、申請や打ち合わせなども行っていました。

17:00 スタッフ育成・面談
アルバイトスタッフとの1on1面談を行い、仕事上の悩みや相談に耳を傾けます。就活の話やプライベートの相談を受けることもあり、信頼関係を築く時間を大切にしています。 

18:30 退勤
夕方の報告書を作成。翌日に向けた売場や在庫の確認をし、締め作業や引継ぎ事項を他の社員に依頼し、退勤します。

林さんは特に「スタッフの育成」に大きなやりがいを感じているそうです。 

「アルバイトの子たちが『林さんに相談したい』って来てくれる瞬間が一番うれしいんです。人を支える仕事って、楽しいなって思います」

入店したばかりの新人スタッフが、林さんのアドバイスで少しずつ自信をつけて成長していく姿を見るたびに、心からこの仕事を選んでよかったと感じているとのこと。

「学生さんも多いので、恋愛相談を受けることもあるんです(笑)。毎日が本当に楽しいです」 


働き方の変化 Before / After

【Before】ペットショップ勤務時代

働き方:朝早くから動物の世話、体調の良くない動物がいると夜遅くまで面倒を見ることも

精神的状況:命の管理によるプレッシャーやストレスが大きかった

仕事への考え方・やりがい:やりがいは感じていたものの、命を預かる責任と、「命を販売する」という行為への葛藤があった

キャリア:「この仕事をずっと続けられるのか」という悩みが常にあった、転職を考えた際、正社員ではなく少しゆっくりしたペースで働きたいと思った

【After】アパレルショップ勤務(現在)

働き方:好きな接客を続けつつ、副店長として店舗全体を管理、運営。後輩に頼られる存在に。土日は学生アルバイトが多く入るため、土日休みが取れることも

精神的状況:スタッフから相談される存在となり、育成にも自然と力を注げるように

仕事への考え方・やりがい:「人を支えることが自分のやりがい」と認識できた

キャリア:合わなければ辞められると思い、派遣で勤務。結果、派遣での経験を経て正社員に登用、さらに副店長へと段階的にキャリアアップすることができた


これからの目標・展望 

林さんは今後の目標について、まずは現在の店舗運営に関する知識や経験をさらに深めていきたいと語ります。そして将来的には、「自分が支えてもらったように、今度は派遣元の企業で、法人窓口や採用担当として働く側を支える仕事にも挑戦してみたい」と、明確なキャリアビジョンを描いています。

派遣という働き方を経験したことで、林さんのキャリアに対する価値観は大きく変化しました。かつては「アルバイトと何が違うのか分からない」と感じていた派遣も、今では「社会保険に加入できるうえ、配属先の変更なども含めて、直接雇用にはない柔軟性を持った魅力的な働き方」と、前向きに捉えています。

最後に林さんはこう語ってくれました。 

「明確にやりたいことが見つからないときほど、自分らしい働き方を見つけるために、選択肢の多い環境に飛び込むことが大切だと思います」 

林さんのストーリーは、派遣という働き方が単なる“つなぎ”ではなく、自分らしいキャリアを築くための一つの有効な選択肢であることを、等身大の視点で教えてくれます。

※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。