高校卒業後、地元で始めた仕事に打ち込む中で芽生えた「物足りなさ」。
「大好きなものを応援したい」という強い気持ちが彼女を突き動かし、未経験の地・東京へ向かわせました。しかし、上京後の働き方には大きな壁が立ちはだかります。
正社員では「推し活」に時間を割けず、フリーターでは収入が不安定。
そんな二者択一の悩みを抱えていた野田亜香里さん(22歳)は、やがて「派遣」という働き方に出会います。彼女がどのようにしてこの働き方を見つけ、キャリアと趣味の両立を実現し、自分らしい輝きを手に入れたのか。その歩みを深掘りします。
目次
プロフィール紹介
お名前:野田 亜香里(のだ あかり)さん
年齢:22歳
現在の職種:携帯ショップの販売スタッフ
勤務先:都内の大手携帯キャリアショップ(派遣社員)
勤務年数:1年
過去の職歴:地元のホテル勤務(契約社員・3年間)
これまでと今
野田さんは高校卒業後、両親の勧めもあり、ひとまず地元で就職することにしました。契約社員として地元のホテルで3年間、フロントやレストランでの配膳業務に従事していました。
しかし、当時の日々を振り返り、「どこか物足りなさを感じていました」と語ります。友人たちは大学に進学し、SNSでは都会で楽しそうに過ごしている姿をよく目にしており、羨ましくも感じていました。
そんなときに出会ったのが、あるアイドルグループでした。「この人たちをもっと近くで応援したい」という強い気持ちが芽生え、それがきっかけとなり東京への引っ越しを決意しました。
「自分でも勢いで行動したなと思います」と、野田さんは苦笑いを浮かべます。
上京後はすぐにでも働き始めたいと考えていました。現在は都内の大手携帯キャリアショップで販売スタッフとして派遣勤務をしており、約1年が経過しました。以前は想像もしなかった働き方ですが、今では「推し活」とキャリアの両立に成功し、「楽しく働けています」と充実した表情で話しています。
働き始める前の状況と悩み
東京での新生活に胸を躍らせる一方で、野田さんには大きな不安がありました。新しい環境での仕事とお金の工面、そして何よりも「推し活」との両立です。
彼女は当時、「正社員でがっちり働いたら推し活できなくなるし、かといってフリーターだと収入が不安定で生活が成り立たない。どうすれば“両立”できるのかが分からなかったんです」と語っています。
当時の野田さんは、「派遣」という働き方についての知識もなく、それが柔軟な働き方を可能にする手段であることも知りませんでした。しかし、全力で「推し活」を楽しむための働き方を模索する中で、派遣という働き方が野田さんにとって最良の選択であると知ります。
転機と行動
「どうせなら時給が高くて、好きなことも我慢しなくていい働き方を」と情報収集を始めた野田さん。その中で見つけたのが、派遣という働き方でした。
勤務日数や勤務時間の相談ができ、時給も高い。有給休暇もあると知って、早速登録会に応募しました。
派遣会社への登録時の面談が、彼女にとっての大きな転機となります。
面談では、「“推し活も全力で楽しみながら働きたい”って正直に話せたんです(笑)」と、自身の希望や趣味の時間を大切にしたい気持ちをありのままに伝えられたことで、「安心できた」と言います。
担当者からも「“全然OKですよ”って言ってくれて」と肯定的な反応が得られたことで、不安が少しずつ解消されていったのです。
勤務地や時給、シフトの柔軟性が考慮され、紹介されたのが現在の携帯ショップの販売職でした。ホテル勤務で培った接客スキルを活かせる点も、 彼女にとって魅力的だったそうです。
現在の業務と働き方
現在、野田さんは携帯ショップでスマートフォンや関連商品の販売、料金プランの案内、契約業務などを担当しています。
新機種の説明やアフターサポートも行い、覚えることは多いものの、「お客さまにアンケートでいい評価をもらえると嬉しいです」と仕事のやりがいを語ります。
1日の流れ
9:30 出勤・開店準備
掃除やパンフレットの整頓、端末の動作確認などを行い、スムーズな営業に備えます。
9:45 朝礼
月間目標に対する進捗や施策の共有、お客様アンケートの結果報告などが行われます。
10:00 開店・接客開始
料金プランのご相談や機種変更、アクセサリー選びなど、来店されたお客様のご要望に丁寧に対応します。
13:00 休憩
1時間の休憩で昼食をとってリフレッシュ。バックヤードの休憩室で、同僚とお菓子を食べながら談笑することもあります。
14:00 新人のサポート業務
新人スタッフの接客をサポートしながら、実践を通じてレクチャー。接客後には、良かった点や改善点をフィードバックします。
17:30 資格試験の勉強
スマホキャリア独自の資格試験に向けて、動画研修を視聴しながら学習をします。
18:30 引継ぎ・日報記入・退勤
端末や在庫の確認、日報の記入を行い、必要に応じてお客様情報などをチームで共有。業務を引き継いで退勤します。
職場の雰囲気は、野田さんが「楽しく働けている」と感じる大きな要因です。
職場の同僚は彼女の「推し活」を理解してくれており、イベントがある日はシフトの調整にも快く応じてくれるそうです。
一方で、イベントがない週末には、他のスタッフが休めるように率先して出勤したり、残業を引き受けたりと、 お互いに助け合う関係が築かれています。
野田さんは「信頼してもらっているからこそ、お互いに助け合える関係ができていると思います」と、笑顔で話してくれました。
最近では、新人スタッフの教育係を任されるようになり、「やりがいを感じています」と語ります。
後輩から「相談しやすい」「野田さんが担当でよかった」といった声をもらえることが、大きな励みになっているそうです。
携帯電話会社独自のスキル資格認定試験にも合格し、時給がアップ。「頑張った分をきちんと評価してくれる環境に満足しています」と前向きな言葉を聞かせてくれました。
働き方の変化 Before / After

Before(ホテル勤務時代)
働き方:契約社員として地元のホテルで勤務。配膳やフロントなどを担当しながらも、勤務時間やシフトに柔軟性はなく、生活の自由度は高くなかった。
気持ち:「このままでいいのかな」といった物足りなさや焦りを感じる日々。SNSで見る友人たちの生活と比べて、心のどこかで羨ましさや置いていかれるような感覚。
キャリア観:好きなことと仕事を両立するための、自分に合う働き方が分からなかった。アルバイト=不安定、正社員=両立ができないと思っていた。
仕事への考え方・やりがい:やりがいというよりも、「決められたと通りにこなす」という意識が強く、与えられた仕事を淡々とこなす毎日だった。
After(現在:携帯ショップでの派遣勤務)
働き方:勤務日数やシフトの調整がしやすく、希望に合わせて働ける環境で、「推し活」との両立が可能に。
気持ち:「希望を受け入れてくれる環境があるだけで、こんなに気持ちが楽になるんだ」と実感。信頼されながら働ける喜びや、仲間と助け合える職場に安心感を持てるようになった。
キャリア観:携帯キャリア独自の資格を取得し時給もアップ。新人教育も任されるようになり、「もっとスキルを伸ばしていきたい」という前向きな意欲が生まれています。
仕事への考え方・やりがい:「教えること」にも挑戦し、後輩からの感謝の声が励みに。自分から率先して行動するようになった。
これからの目標・展望
野田さんは、今の職場でさらにスキルアップしていきたいという明確な目標を持っています。
まずは「リーダー的な役割をもっとこなしていきたい」と考えており、接客スキルや商品知識もさらに磨いていきたいとのことです。将来的には、スキル資格をさらに取得し、この分野で長く働けるようにスキルを積んでいく予定です。
派遣という働き方に対する認識も、当初とは全く違うものになったと話します。以前は「派遣=アルバイトと同じ」というイメージを抱いていましたが、今は「“派遣=柔軟で選べる”が本当の姿」だと実感しているそうです。
そして、「私みたいに“やりたいこと”がある人には、すごく向いている働き方だと思います」と、自身の経験から派遣の可能性を語ります。
最後に、「“推しのために働く”って言うと笑われることもあるけど、それが私にとっては一番のモチベーションです」と、彼女の働く原動力を明かしてくれました。
イベントに快く送り出してくれる職場環境だからこそ、もっとお店の仲間の為にがんばろうと思えています。
派遣という選択肢があったからこそ、「私らしく働けていると心から思います」と、充実した表情で語ってくれました。
野田さんのように、自分の価値観を大切にしながら、キャリアを築いていく道は、多様な働き方がある現代において、多くの人の希望となるでしょう。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。