「このままでいいのか?」──多忙な日々の中で、ふと立ち止まり、自分のキャリアに漠然とした不安を感じた経験は、20代から30代のビジネスパーソンなら誰しも一度はあるのではないでしょうか。
今回お話を伺った飯田旬さん(31歳)も、かつて大手総合商社でトップクラスの営業成績を誇りながらも、心の中に「違和感」を抱えていた一人です。そんな彼が「人に寄り添った本質的な支援がしたい」という強い思いから独立するも、収入の不安定さに直面。
正社員への再就職も視野に入れつつも、自営業との両立という課題に頭を悩ませていました。
しかし、飯田さんは“ある選択”によって、この状況を打開します。それは、派遣という働き方でした。彼がどのようにして理想の働き方を見つけ、キャリアを前に進めていったのか。
その道のりを辿ることで、読者の皆さんが自身のキャリアを考えるきっかけや、派遣という働き方の新たな可能性に気づくヒントを見つけられるかもしれません。
目次
プロフィール紹介
お名前:飯田 旬(いいだ しゅん)さん
年齢:31歳
現在の職種:派遣社員として営業職/個人事業主としてコーチング講師
勤務先(派遣):都内ITベンチャー企業
勤務年数(派遣):8ヶ月
過去の職歴:新卒で大手総合商社に入社し、法人営業担当として7年間勤務
これまでと今
飯田さんのキャリアのスタートは、多くの人が憧れる大手総合商社でした。新卒で入社し、営業部門で7年間勤務。その間は「比較的営業成績も良かった」と振り返り、入社5年目からは主任クラスとして、後輩育成やチーム目標の達成にも貢献されていました。年収も高く、まさに順風満帆なキャリアだったように見えます。
しかし、そんな充実した日々の中でも、飯田さんの心には「成果は出していたけど、“このままでいいのか”という違和感があった」と、どこか虚しさを感じていたと言います。
数字を追いかける毎日の中で、人に寄り添った本質的な支援がしたいという思いが募り、「それが叶うのがコーチングだと思ったんです」と、29歳での退職、そしてコーチング講師としての独立へと繋がりました。
独立後はSNSや紹介で少しずつクライアントを増やしていったものの、収入は月によって差が大きく、不安定さは否めませんでした。
そんな状況を打破するため、正社員での再就職も視野に入れたものの、「副業可の企業を探し就職活動を行う手間や、そもそも、正社員としてフルタイムで働く場合の拘束時間が、自営業との両立が難しいと悩んでいた」と、新たな壁に直面していました。
働き始める前の状況と悩み
コーチング講師として独立した飯田さんが抱えていた最も大きな悩みは、やはり「毎月の収入差」でした。自営業としての活動は順調にクライアントを増やしつつあったものの、収入が不安定なため、事業が軌道に乗るまでの間、安定した収入源を確保する必要性を強く感じていたのです。
また、正社員として再就職することも選択肢の一つではありましたが、ここにも困難がありました。
一つは副業不可の企業も多く、自身のコーチング業との両立が難しいという点。もう一つは、たとえ副業が許可されている企業であっても、正社員としてフルタイムで働く場合の拘束時間が長く、コーチング業に割ける時間が限られてしまうというジレンマです。
自身のスキルを活かし、人に寄り添う仕事がしたいという思いと、現実的な収入の安定、そして時間的な自由。これらの間で深く悩んでいた時期でした。
転機と行動
不安定な収入と、正社員としての働き方とのミスマッチ。
そんな中で、飯田さんが最初にとった行動はシンプルでした。「まずは動こう、そう思って派遣に登録したんです」。自営業が軌道に乗るまでの収入を安定させるために、とりあえず派遣に登録したと言います。
登録後、最初は「短期単発で倉庫作業をしていた。(3か月程度)」と、まずは一定の収入を得ることを優先しました。しかし、飯田さんの中にあった、どうせなら人と関わる、自分のスキルになる仕事をしたいという強い思いが芽生え、コーディネーターに相談を持ちかけます。
そこで紹介されたのが、現在の「営業派遣」という仕事でした。
当初は週5日、フルタイム勤務が条件のお仕事でしたが、コーディネーターが派遣先に交渉をしてくれ、過去の営業経験が評価されたこともあり、週3日~4日の7時間勤務で承諾を貰え、まさに自営業との両立を叶えられる状況が生まれました。
飯田さんは、派遣という働き方について「もっと自由度が低いもの」だという先入観があったそうですが、「実際は一人ひとりの状況や希望に合った勤務スタイルを一緒に探してもらえた」と振り返ります。
この時、「こんなに理想の働き方が見つかると思っておらずびっくりした」と、その喜びを語っています。
現在の業務と働き方
現在、飯田さんは都内のITベンチャー企業で、法人向けSaaS(クラウド管理ツール)の営業として活躍しています。具体的な業務内容は、既存顧客へのリテンション営業(契約更新・アップセル)と、見込み顧客へのヒアリングや初回提案(オンライン商談)が主軸です。
1日の流れ
9:00 業務開始・朝会
営業チームとの共有ミーティングに参加し、当日の商談予定や営業活動の進捗を確認。
必要な資料や連絡事項を整理し、1日の業務準備を行う。
10:00 オンライン商談・電話フォロー
既存顧客へのリテンション営業(契約更新・アップセル提案)を実施。
見込み顧客へのヒアリングや初回提案も担当し、信頼関係構築を重視。
12:00 昼休憩
13:00 資料作成・顧客対応
午前の商談内容を踏まえた提案資料や見積書を作成。
既存顧客へのフォローアップメールや、問い合わせへの対応も並行して行う。
15:00 オンライン商談(追加対応)
午後にも見込み顧客や既存顧客とのオンラインミーティングを実施。
顧客課題に応じたソリューション提案を行う。
16:30 活動レポート作成・チーム共有
当日の営業活動内容をまとめ、社内システムへ記録。
成果や課題をチームに共有し、翌日のアクションにつなげる。
17:00 退勤
翌日の商談準備やタスク整理を行い、業務終了。
この働き方について、飯田さんは「営業スキルを活かせるし、人との対話の場数も踏める。自営業にも役立つ実感がありますね」と語ります。
特にやりがいを感じるのは、クライアントとの信頼関係が築けて「〇〇さんだから契約しました」と言われた瞬間だそうで、派遣でありながらも営業としてきちんと評価されていることに喜びを感じていると言います。職場の環境についても、社員・派遣関係なくフラットな社風で、チームでのサポート体制も整っており、質問や相談がしやすく、孤独感はないとのことです。
働き方の変化 Before / After

【Before】大手総合商社の営業職(正社員)とコーチング講師(自営業)
働き方:大手総合商社で営業(約7年間)、数字に追われる毎日にどこかむなしさを感じていた。人を支える仕事がしたいと独立するが、平日の遅い時間や土日が主な就業時間だったため、平日の日中を有効的に活用したかった。
収入:コーチング講師としての収入は月によって差が大きく、不安定さがあった。コーチング講師だけで生活することはまだ難しいと感じ、安定した収入が必要だった。
心境: 総合商社時代は、数字に追われ、このままでいいのかという違和感を抱えていた。独立後、収入の不安定さは否めず、正社員への再就職も視野に入れつつも、自営業との両立に難しさを感じていた。
キャリアへの認識: キャリアの選択肢は正社員かアルバイトの二択で捉えがちだった。派遣は「自由度が低いもの」という先入観があった。
【After】SaaS系企業の営業職(派遣)
働き方:都内ITベンチャー企業での営業職(派遣社員)、自身の得意な営業スキルを活かすことができ、理想としていた自営業と両立できる働き方を叶えることができている。
収入:コーチング講師としての収入に加え、派遣からの安定した収入が毎月入ることで、精神的な安心感が生まれた。
心境:派遣会社の交渉によって、理想としていた週3〜4日の勤務が実現し、自営業と両立できる環境に非常に満足している。収入が安定したことで安心感が生まれ、自営業を軌道に乗せるまで頑張ろうという意欲にもつながっている。
キャリアへの認識: 派遣は「一時的な選択肢」ではなく、「キャリアの柔軟性を高める戦略的な手段」と認識が変化した。
これからの目標・展望
飯田さんの将来の夢は、「自営業一本で生活できるようになること」。そして、「将来的には一般企業の専属講師を務めたい」という具体的な目標も掲げています。
現在は、企業のメンタルヘルス支援や人材育成に携わる専属コーチング講師として活躍することを目指し、その実現に向けて、実務を通じた人間理解や現場感覚の向上に努めています。
派遣での働き方は、この目標達成のための「土台づくり」と位置付けています。派遣を活用しつつ、自営業を着実に拡大し、3年以内には講師業に専念できる状態を目指しているとのことです。
飯田さんにとって、派遣は一時的な選択肢ではなく、「キャリアの柔軟性を高める戦略的手段」へと意識が変わりました。 また派遣の「時間的自由度の高さ」や、「スキルや経験を活かせる職場に出会いやすい点」、「自分の価値を見失わずに働ける点」は、大きな魅力だと感じているそうです。
理想を諦めず、柔軟な発想でフェーズごとに最適な選択をすることの重要性を、飯田さんの経験は示しています。その言葉は、キャリア選択に迷う多くの人に、新しい視点と希望を与えてくれるのではないでしょうか。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。