将来のキャリアに、漠然とした不安を抱えている20代・30代の方も少なくないのではないでしょうか。正社員としてのキャリアを歩むことが「当たり前」と思われがちな中で、「派遣」という働き方に一歩踏み出すのは、勇気がいる選択かもしれません。
今回ご紹介するのは、26歳のときに「家業を継ぐ」という人生の大きな転機を迎えながらも、そのプレッシャーを前向きなエネルギーに変え、自らの意思でキャリアを切り拓いている大崎誠司さん(28歳)のストーリーです。
大崎さんが選んだのは、さまざまな現場で経験を積むことができる「派遣の施工管理」という働き方。「まだ都会で経験を積みたい」という素直な気持ちと、「将来のために実力をつけたい」という明確な目標。その両方を叶えるために、派遣という柔軟な働き方を選んだ彼の姿は、「自分らしいキャリアとは何か」を考えるヒントを私たちに届けてくれるはずです。
目次
プロフィール紹介
お名前:大崎 誠司(おおさき せいじ)さん
年齢:28歳
現在の職種:施工管理
勤務先:首都圏の大手建設会社(派遣配属先)
勤務年数:1年半(派遣スタッフ)
過去の職歴:大学卒業後、神奈川県の重機リース会社にて営業職として約4年間勤務
これまでと今
大学を卒業後、大崎誠司さんは神奈川県の重機リース会社で営業職として約4年間勤務。お客様との関係も良好で、仕事にもやりがいを感じていたといいます。
そんな中で転機が訪れたのは、26歳のとき。ご両親から「将来的に家業の工務店を兄と一緒に継いでほしい」と打ち明けられたのです。
兄はすでに家業で働いていたものの、「すぐに地元に戻る気持ちにはなれなかった」と、大崎さんは当時を振り返ります。
「正直、まだ都会にいたかったんですよね(笑)。でも、それだけじゃなくて、“建設の現場で実務経験を積んでからのほうが、家業にも活かせるんじゃないか”と思ったんです」
住宅の施工などを手がける工務店だからこそ、さまざまな現場を見ておきたい。そうした思いが、「継がなきゃ」というプレッシャーを前向きな視点へと変えていったといいます。
現在、大崎さんは派遣スタッフとして施工管理の仕事に就き、首都圏の複数の建設現場を経験中。以前は漠然とした不安だった家業の継承についても、今では「ここで得た経験をどう活かそうか」と前向きに考えられるようになったと話します。
「会社によって管理の仕方や現場の進め方が全然違うんです。そういう違いを知っていく中で、“この知識は将来、役に立つかもしれない”って思えるようになってきました」
「未来に対して、少しわくわくできている」。そう語る大崎さんの表情には、自らの選択に対する確かな手応えがにじんでいました。
働き始める前の状況と悩み
家業を継ぐ決意はしたものの、大崎さんにはすぐに地元へ戻るのではなく、30代で家業に入るまでに実務経験を積んでおきたいという明確な目標がありました。
そのために思い描いていたのが、「さまざまな建設現場での施工管理業務を経験すること」でした。1社にとらわれず、異なる規模や現場環境の中で、幅広いスキルを身につけたいと考えたのです。
しかし、その理想を実現するうえで、いくつかの壁にも直面しました。
「正社員として転職すると、基本的には1社で長く働くことが前提になる。そうなると、複数の現場で経験を積むのは難しいんじゃないかと感じました」
さらに、将来的に家業へ戻ることを正直に伝えるのも簡単ではなかったといいます。
「“数年後には辞めるかもしれない人”と思われてしまうと、採用してもらいにくいかもしれないと思って…」
「長期雇用が前提の正社員では、希望する経験が積みにくい」。
そんなジレンマが、大崎さんの次の一歩を悩ませていました。
転機と行動
悩みながらも次の一歩を模索していた大崎さんが出会ったのが、派遣で施工管理の仕事ができるという求人情報でした。
「派遣で施工管理?」と最初は意外に感じたそうですが、よく調べてみると「さまざまな建設会社の現場を経験できる」という点が、自分の理想とぴったり重なったといいます。
「正社員だと1社に固定されてしまう。でも派遣なら、複数の現場を通して幅広く学べる。自分にとってはむしろこっちのほうが合っているかもしれない、と思いました」
とはいえ、「派遣=不安定」というイメージが拭えなかったのも事実。登録面談では、その率直な不安を担当者に伝えたといいます。
「でも、“キャリアの方向性に合わせて現場を紹介します”と言ってもらえて、すごく安心できました。自分の思いをちゃんと受け止めてもらえた感覚がありましたね」
その言葉に背中を押され、「まずはやってみよう」と一歩を踏み出した大崎さん。振り返れば、派遣という選択肢が、自分のキャリアにとって大きな転機になったと感じているそうです。
「実際に働いてみて、派遣という働き方は自分にすごくフィットしていたなと実感しています」
現在の業務と働き方
現在、大崎さんは首都圏にある大手建設会社の現場で、派遣スタッフとして施工管理業務に携わっています。担当しているのは、工程管理や安全確認、品質チェック、職人や協力会社との調整など。現場全体がスムーズに進むよう、日々多岐にわたる業務をこなしています。
1日の流れ
8:00 出勤・朝礼参加
現場に到着後、全体朝礼に参加。作業ごとの安全確認や、工程の進捗状況を共有します。
9:00 現場巡回・打ち合わせ
現場内を巡回しながら、職人さんや協力業者との打ち合わせ。作業の確認や調整を行います。
10:30 写真撮影・記録業務
作業工程の進行状況を写真に記録し、品質や安全面の確認を行います。
12:00 昼休憩
13:00 書類作成・進捗管理
現場の記録や報告書の作成、翌日以降の準備などを進めます。資材の発注や日程調整を行うこともあります。
15:00 工程の確認・現場調整
天候や資材の搬入状況を見ながら、午後の作業の進行を管理。想定とズレがあれば調整を行います。
17:00 終礼・退勤
1日の進捗報告をまとめ、翌日の準備をして業務終了。基本的には定時での退勤が可能です。
施工管理の仕事の面白さは、「現場ごとにまったく違う学びがあること」だと大崎さんは語ります。
住宅、商業施設、公共工事など、案件の規模や内容が異なれば、必要とされる知識や進め方も大きく変わるため、「同じ“施工管理”でも、現場によってまったく違う力が求められる。奥が深い仕事だと感じています」
また、やりがいを強く感じるのは、協力会社や職人さんと信頼関係が築けたときだそうです。
「最初は若さもあって距離感が難しかったんですけど、真剣に向き合ううちに“任せても大丈夫”と思ってもらえるようになって。それがすごく嬉しかったですね」
一方で、大変さを感じるのは、予定通りに進まないとき。天候の影響や資材の遅れなど、現場ではイレギュラーがつきものだといいます。
「でも、そういうときこそ“誰とどう相談するか”が試されます。正直大変ですが、その経験が一番自分を成長させてくれていると思います」
働き方の変化 Before / After

Before(派遣という働き方を知る前)
働き方:営業職としてやりがいはあったが、家業を継ぐ話をきっかけに将来のキャリアに迷いが生まれた。建設業の経験はなく、「どう準備すべきか」が見えない状態だった。
キャリア観:正社員として転職すれば1社に縛られてしまい、さまざまな建設現場を経験するのは難しいのではという不安があった。
転職活動のしづらさ:数年後に家業に戻るつもりであることを面接で伝えづらく、キャリアの本音を話しにくかった。
収入・待遇面の印象:派遣=不安定・薄給というイメージが強く、選択肢として思い浮かばなかった。
気持ち・心の状態:「まだ地元に帰りたくない」という本音がありながらも、どう過ごせばいいか分からず、モヤモヤしていた。
After(派遣スタッフとして施工管理に就いた現在)
働き方:施工完了ごとに異なる現場を経験でき、業務内容も変化に富んでいる。日々新しい学びがあり、実践的にスキルを磨けている。
キャリア観:派遣というスタイルなら、施工完了ごとに現場を移れるため、広く建設業の知識と実績を積むことができている。
転職のしやすさ:契約期間があらかじめ決まっているため、期間限定で働きたいという希望も素直に伝えられるように。
収入・待遇:時給1800円、社会保険・有給休暇完備、残業も少なく、働きやすさと条件面の両立に驚いている。
気持ち・心の状態:今の経験が将来に確実につながるという実感があり、家業に戻ることに対しても前向きな気持ちで準備できている。
これからの目標・展望
今後の大崎さんは、あと2年ほど派遣として現場経験を重ねていく予定です。
その中で特に意識しているのは、原価管理や工程管理、施主対応など、将来的に家業を経営していくうえで欠かせない「経営に直結する力」を身につけること。
「30代になったら地元に戻って、兄と一緒に家業を継ぐつもりです。都会で得た経験や知識、人とのつながりを、地元に持ち帰りたいという思いもあります」
そう語る大崎さんですが、今の生活を心から楽しんでいる様子も印象的でした。
「正直、まだ都会にいたい気持ちは強いです(笑)。でも、この時間をちゃんとキャリアに変えてから帰ることが、自分なりの“けじめ”だと思っています」
派遣という働き方に対する印象も、大きく変わったといいます。
かつては不安定な働き方というイメージを持っていたものの、今では「むしろ柔軟にキャリアを築ける、チャンスの多い選択肢」だと感じているそうです。
そして最後に、こんな言葉を残してくれました。
「正社員か派遣かという“形式”よりも、自分の将来に必要な経験をどう積むか。そこを軸にして働き方を選べることが大切なんじゃないかと思います」
大崎さんの歩みは、「働き方は一つじゃない」という事実を、あらためて私たちに教えてくれます。
将来の目標から逆算し、“今どんな経験を積むべきか”を考えて働き方を選ぶ――そんな柔軟で主体的な姿勢こそ、これからのキャリアのヒントになるのかもしれません。
※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。