長時間労働で体調を崩し退職。元営業職が保育士に転身して見つけた、自分を大切にする働き方 

大学卒業後、大手メーカーで営業職としてキャリアをスタートさせた嶋田陽太さん(26歳)。安定した収入を得る一方で、長時間労働と休日出勤が続く日々に心身のバランスを崩してしまいました。正社員としてのキャリアを諦めることに葛藤しながらも、退職を決意。その後、派遣という働き方を通じて保育士という新たな道を選び、自分らしいペースと、子どもたちの笑顔に囲まれた充実した日々を見つけました。

プロフィール紹介

お名前: 嶋田 陽太さん

年齢: 26歳

現在の職種:保育士

勤務先:私立保育園

勤務年数: 2年

これまでと今

嶋田さんは大学卒業後、誰もが知るような大手メーカーで正社員として営業職に就いていました。入社当初は仕事にやりがいも感じていたものの、繁忙期には「朝7時に出社して終電で帰る日が続き、休日も取れない状況」に陥っていたと言います。心身ともに疲弊し、「疲れ切って笑えなくなってしまい、不安が募っていきました」と当時を振り返ります。収入は安定していたものの、体調を崩して退職を決意。「正社員として長く働くのが当たり前と思っていたので、辞めたときは”これからどうしよう”という不安しかなかった」と語ります。 

現在、嶋田さんは私立保育園で保育士として3年目を迎え、以前とは全く異なる働き方と生活を送っています。勤務時間が安定し、プライベートの時間も確保できるようになり、心身ともに健康的な毎日を送れています。


働き始める前の状況と悩み 

大学を卒業し、世間的に有名で安定しているとされる大手メーカーに正社員として入社した嶋田さん。その生活は、当初のやりがいとは裏腹に、徐々に彼を追い詰めていきました。多忙を極める時期は、文字通り仕事漬けの毎日。常に時間に追われ、心にも余裕がなく、将来の具体的なビジョンを描くことはできなかったと言います。心身のバランスを崩し、「笑えなくなってしまった」ほどの状況は、彼にとって大きな苦痛でした。 

退職を決意したときも、その決断は容易なものではありませんでした。「正社員として長く働くのが当たり前」という社会の価値観の中で、そのレールから外れることへの不安が大きかったそうです。先の見えない状況に、彼は深い悩みを抱えていました。


転機と行動  

そんな嶋田さんに転機が訪れたのは、保育士として働く友人との会話でした。「友人から”子どもたちと過ごす毎日が楽しい”と聞いて興味が湧きました」と語ります。男性保育士が増えているという情報も知り、「思い切って保育士資格を取ることにしたんです」と、未知の分野への挑戦を決意しました。 

資格取得後、彼はまず派遣として保育園勤務をスタート。派遣という働き方を選択した理由は「未経験から挑戦できる案件があったことと、担当者が園の雰囲気まで詳しく教えてくれたこと」だったそうです。未経験の職種だったので不安もあったそうですが、「最初の園では先輩方が丁寧にフォローしてくれて、安心して働き始められました」と、温かいサポートがあったことを語っています。 


現在の業務と働き方  

現在、嶋田さんは3歳から5歳児のクラスを担当し、園児の生活全般をサポートしています。

1日の流れ

8:00 出勤、園児の受け入れ
保護者からの連絡事項を確認し、子どもたちを迎える。

9:30 朝の会(歌・体操)
元気よく挨拶し、園児の気持ちを活動モードへ切り替える。

10:00 活動時間
園庭での外遊び、制作や工作などを担当。安全を見守りつつ子どもたちをサポート。

11:30 給食の準備と配膳
苦手な食材を頑張る子どもに声かけをして、食事を楽しく進める。

13:00 午睡の見守り
子どもたちが寝ている間に連絡帳の記入や事務作業も行う。

15:00 おやつの配膳、自由遊びの見守り
保護者への引き継ぎに備え、子どもたちの一日の様子を整理。

16:30 保護者対応
お迎え時に子どもの様子を伝え、掃除や片付け。

17:00 退勤
持ち帰り仕事はなく、プライベートの時間を確保できる。


働き方の変化 Before / After 

嶋田さんの以前の働き方(時代)と、現在の働き方をまとめました。

Before (営業職時代)

  • 働き方:朝から終電までの長時間労働、休日出勤も多く休めなかった
  • やりがい・モチベーション:ノルマ達成に追われ、自分らしさを発揮しにくかった
  • キャリアの見通し:先が見えず、「このまま続けられるのか」と不安があった
  • 自己肯定感:「正社員で続けられなかった」という後ろめたさを抱えていた

After (保育士として働いてから)

  • 働き方:定時で退勤でき、休日も確保。生活リズムが安定した
  • やりがい・モチベーション:子どもの成長を日々感じ、保護者や同僚からの信頼もやりがいにつながった
  • キャリアの見通し:保育士として経験を積み、行事企画や後輩育成などステップアップを見据えられる
  • 自己肯定感:仕事を通じて子どもや保護者から信頼を得られるようになり、自信がついた

これからの目標・展望  

嶋田さんは今後のキャリアについて、「まずは保育士としての経験をもっと積んで、将来的には行事の企画や後輩育成にも関わっていきたい」と明確な目標を持っています。派遣という働き方を選んだからこそ得られたメリットについて、「自分に合った環境を選べるので、無理なく成長していけるのが魅力だと思います」と語り、自身の経験からくる確信が感じられます。 

彼は、働き方を変えることには勇気がいると自身の経験を通して感じています。しかし、その上で「自分を大事にできる環境を見つければ、仕事も生活ももっと前向きになる」という実感を語っています。

 ※本記事に登場するスタッフのお名前は仮名、写真はAIによるイメージ画像です。実際の取材内容に基づき構成しています。