派遣スタッフには残業代が出ない?気になる内容を詳しく解説!

派遣スタッフという働き方は就業時間が契約で決まっているため、正社員のように残業ばかりにはならない就業形態と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際は業務が終わらずに残業で対応することが多い職場もあります。 
派遣スタッフとして働いているときに契約していた就業時間を過ぎて勤務した場合、すべての時間に対して残業支払われるのでしょうか? 経験してみないとわからないことも多い、派遣スタッフの残業代について解説します大きな収入のを生む要因にもなりますので、しっかり覚えておきましょう。 

派遣でも残業代は出るのが基本!

派遣スタッフの残業代について話す前にまずは派遣スタッフの働き方を接雇用と比較し、どのような部分が異なっているのか働き方の違いを理解することから始めましょう。接雇用はいわゆる正社員や契約社員・パート・アルバイトなどの雇用形態を指し、直接企業に雇用されています。しかし、派遣スタッフは就業先企業に雇用されているわけではなく、派遣元と呼ばれる派遣会社に雇用され、就業先に派遣という形で就業するという形式をとっているのです。 

つまり、雇用主は派遣元である派遣会社で、就業先は派遣先と呼ばれる企業となります。働いている先で業務の指示を受けて残業をするにも関わらず、お給料を払う・労働時間・休日・残業などの取り決めは派遣会社するわけすから、直接雇用よりも若干複雑になるの想定できるのではないでしょうか。 
とはいえ、派遣スタッフも他の雇用形態と変わらず、労働基準法に守られていますので、残業代は基本的に支払ってもらえます。残業代がもらえないと思い込まないためにも正しい知識を身につけておきましょう。 

残業代が出ない例外があることを知っておこう 

労働基準法で定められているのは18時間以上、及び週40時間以上」の労働に関しては残業代が支払われるということ。法律で決まっていることですので、派遣社員でも支払われるのは前章でもお伝えしました。しかし、法律には守られていても場合によって残業代が出ないケースもあることを紹介していきます 

36協定が結ばれていない場合 

1つ目は、派遣会社と派遣先企業の間で「36協定」が結ばれていない場合ですこれは、労働基準法の第36条の18時間以上、及び週40時間以上」の労働をするためには文で協定を結ばなければならないという取り決めの通称として知られています。あまりないことですが、まれに36協定が結ばれていない場合は残業をしても残業代が支払われません。 

サービス残業が断れない場合

2つ目はサービス残業を自分が断れない場合です。上記のように36協定を結んでいない派遣先やそこまで時間が長くないから「サービスで残業してくれないか」と依頼されて断れない場合は残業代が支払われません。契約で残業代についても明記されていますから、サービス残業を強要されるということは契約に違反していることとなります。しかし、派遣スタッフは「これを断ったら契約更新をしてもらえないのでは」と不安に思って断れないという場合もあるのです。このような事態に陥らないためにも、優良な派遣会社を選び、サービス残業を強要されるようなことがあった場合は、派遣元に相談しましょう。 

このように、労働基準法で定められていても昔の習慣でサービス残業を強要してくる企業もまったくないとはいえません。このような場合に巻き込まれても対策を打てるように、知識を身につけておくこと、そして契約内容を自分でよく把握しておくことが重要になってきます。

契約と労働基準法で違う労働時間の考え方 

ここまで、残業代は基本的に支払われることと、支払われない例外についてご紹介してきました。この章では残業代についていろいろ調べていくと出てくる、「所定労働時間」と「法定労働時間」の違いをご説明していきます。 

所定労働時間とは? 

所定労働時間とは、契約書や就業規則などに書かれている1日あたりの労働時間を指します。これは拘束時間ではなく実労働時間のことをいいますので間違えないように注意しましょう。通常は1日8時間などの契約が多いですが、派遣スタッフの場合、1日8時間・7時間・6時間・5.5時間など企業によって短時間の場合もあるのが特徴です。 

法定労働時間とは? 

法定労働時間は、残業代の基準になっている、「1日8時間、週40時間」のことを指します。36協定を結んでいない場合はこの時間を超えて労働させることがNGとされているのです。 

所定労働時間法定労働時間より短い場合は注意! 

所定労働時間が1日4時間で週5日勤務の場合、残業を4時間ずつしても法定労働時間を超えない計算になります。つまり、残業代を支払わなくても問題がないということです。これを勘違いして残業代で換算して給与計算をしていると、思っていた給与と違う! ということになりかねませんので注意してください。所定労働時間は企業が法定労働時間を超えなければ自由に設定できるようになっているため、このようなことが起こるのです。 

時給が割増になるケースについて 

所定労働時間と法定労働時間の違いや注意点がわかったところで、法定労働時間を超えた勤務によって残業代が割増になる場合や、残業以外でも時給が割増になるいくつかのケースについてご紹介していきます。 

時間外手当 

「1日8時間、週40時間」を超えた場合に発生するいわゆる残業代です。割増される率は25%のため時給を25%アップした金額×残業時間分を受け取ることができます。所定労働時間を過ぎたらこの金額という意味ではないため勘違いしないように注意してください。また、月に60時間を超える時間外労働の場合は50%の割増になります。 

深夜・早朝の割増 

残業でなくても深夜・早朝の22時~翌5時の勤務をする場合も、時間外と同じく25%アップの時給をもらうことができます。24時間稼働している工場やコンビニなどで勤務する場合は高めの時給を得ることが可能です。さらに「1日8時間、週40時間」以上の勤務の場合は時間外の25%がプラスされるため、1.5倍の時給を得ることができるのです。繁忙期などの場合は1.5倍の時給を払っても普段勤務してくださっている方を選びたいと感じる企業も多いため、依頼されることもあるでしょう。 

休日の割増 

休日出勤の場合は、割増を35%とすることが義務づけられています。法律では週1日の休日で問題ないとされていますので、週休2日の場合でも、土日のどちらかに勤務ということであれば時間外手当の扱いとなります。すべてが休日の割増をもらえると勘違いしがちですので注意しましょう。休日出勤で休日の深夜・早朝勤務の場合は深夜手当分も割増となりますので、35%+25%で60%増の時給で働くことができます。 

残業に関しての注意点 

残業に関して、忘れがちな注意点を4つまとめてご紹介します。ぜひ覚えておいて、もしものときに対応できるようにしておきましょう。 

時間外労働には上限がある 

時間外の労働をすればそれだけ残業代がもらえるから、収入を増やせると考えている場合は注意が必要です。時間外労働には期間によって上限が決められているため、もしもの場合に備えてよく把握しておきましょう。1週間=15時間、2週間=27時間、4週間=43時間、1カ月=45時間、2カ月=81時間、3カ月120時間、1年で360時間となっています。派遣の場合は残業代が高いためここまで残業させられることはありませんが、知識として知っておきたいものです。 

許しを得てから残業する 

契約の内容や36協定を結んでいるかどうかを確認した上で、残業をするときには必ず派遣先からの指示をもらって残業しましょう。勝手に残業している場合は指示をしていないため、残業が認められない場合もあります。また、派遣先企業の人件費を圧迫することになりますので、注意しましょう。派遣先に悪い印象を持たれてしまった場合、更新が期待できない場合も考えられます。 

社会保険料が上がる456月に注意! 

4・5・6月に入ってくる収入が高い場合は社会保険料の算出基準となるため、3・4・5月などに残業が多いと、社会保険料が高くなり、手取りが減る可能性もあります。10月になって振り込まれた金額が先月より減っていると気がついた場合は社会保険料の等級が上がっている可能性もありますので、注意深く見ておきましょう。 

時間外や割増など自分で記入しておく 

時間外や割増対象の勤務時間などはもちろん派遣会社が管理してくれているのですが、自分自身でも把握しておくことが大切です。派遣の場合、派遣先で働いた実態を派遣会社が把握する形になりますので、直接雇用とは違って把握する工程が多いです。そのため、何かの問題があったときにデータがそれ以外にないという状態になると、損をする可能性もありますし、間違いがあった場合も指摘ができません。自分の収入を守るためにも、勤務時間を把握し、手帳などに記入しておきましょう。 

まとめ 

派遣スタッフが就業時間を超えて労働した場合、残業代が支払われるのかどうか気になる方のために、派遣スタッフとして働くなら知っておきたい原則と例外をご紹介しました。しっかり契約内容を確認しておくことで、「残業代が入ってくると思ったのに」という事態を防ぐことができます。ぜひ収入を把握するためにも正しく覚えておきましょう。 

参考サイト: