派遣の雇用契約書とは?派遣会社から雇用契約書は必ずもらおう!

派遣スタッフとしての就業が決まると、入社日前には必ず派遣会社と雇用契約を結ぶよう法律で決まっています。ここでは雇用契約についての基礎知識を知っていただき、雇用契約にまつわるトラブルを未然に防ぐ方法をお伝えします。

派遣の雇用契約書とは?

派遣スタッフとして働く場合、雇用契約はどのように結ぶかご存知ですか? アルバイトや正社員などの直接雇用の場合は、直接雇用先と契約を結びます。しかし、派遣スタッフは派遣会社の社員として雇用先に勤務するため、派遣会社と雇用契約を結びます。実際の業務内容の指示は雇用先の現場の上司から受けますが、給与の振込や保険などは派遣会社を通して行われるからです。また、雇用先でトラブルがあった際も雇用先に直接相談するのではなく、派遣会社の営業スタッフに相談し、対応してもらいます。雇用契約書の締結が発生するタイミングは、仕事を紹介された時ではなく、面接が進み採用が決まった後です。急に「明日から勤務してほしい」などと言われない限りは、入社前までには締結が完了していることが望ましいでしょう。

契約の更新の期間が3ヶ月であれば3ヶ月ごとに契約書を交わします。同じ派遣会社を通して雇用先を変更する時は、新しく契約書を交わします。そして、派遣スタッフとしての勤務が終了した時に契約の締結も終了します。

雇用契約書の内容にはどのような項目がある?

雇用契約書の内容は、法律の「労働基準法第十五条(労働条件の明示)」に基づいています。その内容はどのようなものか見てみましょう。

労働基準法第十五条(労働条件の明示)には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項、その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」とあります。

雇用契約書は口頭でも有効とされていますが、派遣会社と雇用契約を結ぶ際、下記の事項についてはきちんと書面で触れられていなければなりません。

・労働契約の期間

・就業の場所、従事すべき業務

・始業・終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換

・賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締め切り・支払の時期、昇給

・退職(解雇の事由を含む

雇用契約書をもらえない場合のリスク

雇用契約を結ばないとどうなるのでしょうか。まず、雇用締結を結ばないことのリスクは大きいと考えてください。直接雇用の場合はその企業の人事担当者が契約書についてきちんと説明し締結するでしょう。派遣スタッフの場合、ケースとしては稀ですが、派遣会社と雇用契約を結ばなければいけないのに、雇用契約書が送られて来ないこともあるようです。そのような対応をされた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

雇用契約書を送ってこないのは派遣会社の違反行為

派遣スタッフとして働くことが初めての場合、雇用契約書を就業前にもらっておかなければいけないという意識は薄いかもしれません。「派遣会社がきちんと対応してくれているだろう」と思ってしまいがちです。また、大変だった就職活動をやっと終え、肩の荷をおろし、新しい就職先への期待や緊張で、契約書が届いていなくても気に留める余裕がないかもしれません。ですが、入社日を過ぎても雇用契約書が送られて来ない、何の説明もない、催促しても対応してもらえない、という場合、条文の違反ともなっている可能性があり、その派遣会社は労働基準法第120条の罰金30万円以下の刑事罰の対象になることも考えられます。

後のトラブルにつながる可能性がある

労働契約は口頭でも一応は成立すると先述しましたが、書面に残しておかないと後々に、「言った、言わない」の問題を引き起こしてしまうかもしれません。契約期間、賃金、仕事内容について曖昧にされることもないとは言えません。最悪の事態が起こった時にも対処できるように、必ず契約書をもらっておく必要があります。

いつ雇用契約書を締結するべきか?

雇用先が決まってすぐに送付してくれる派遣会社もあります。早ければ早いに越したことはありませんが、通常では入社日の数日前に送付されるか、就業日当日になることもあるようです。

派遣会社に雇用契約書を送ってもらえない場合の対処方法

まず、就業日数日前になっても雇用契約書が送られて来ない、何の説明ももらっていない場合、営業担当者に確認してください。その後、何度か言っても送られて来ない、入社日を過ぎても対応してもらえない場合は、派遣会社の人事・労務担当に直接連絡をしてください。それでも応じてくれない場合には、公的機関である労基署や労働局などに相談しましょう。

人事部に連絡しても対応してもらえない、公的機関に相談するレベルになると、その派遣会社自体が怪しいと考えた方がよいかもしれません。そのような対応をする派遣会社で働いていると、今後雇用先で困った時にもきちんと対応してもらえないリスクがあります。

せっかく苦労して決まった就職先の場合、このような事態は避けたいものですよね。そのためには派遣会社を選ぶ最初の段階でこのような不誠実な対応をする派遣会社への登録を避けることが重要です。会社の規模が全てとは言い切れませんが、やはり大手派遣会社ではこのような書類などの受け渡しをきちんとしてくれるでしょう。また、厚生労働省から優良派遣事業者認定を受けている派遣会社は信頼できるといえますので、そのようなところに絞って登録することをおすすめします。

まとめ

の職場で勤務するための準備が忙しく、雇用契約書のことまで注意が届かず、送られて来なくても気に留めない可能性があります。入社日数日前になっても派遣会社の営業担当から何の音沙汰もなければ、連絡してみてください。また、雇用契約書を受け取ったら、どのような契約内容になっているか、まずじっくりと読み込んでおくことも大事です。

雇用契約書は、もらわなければ派遣社員として働く際に守ってもらえなくなる、ということを頭の隅に置いておきましょう。

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