システム開発プロジェクトで炎上はなぜ起こる？原因、対策を解説！

プロジェクトの炎上とは、スケジュール遅延・コミュニケーションの齟齬・クオリティ不足などなど、顧客との間で不具合が生じ、クレームなどのトラブルに発展することを指します。

プロジェクトの炎上はなぜ発生するのでしょうか？今回は、システム開発プロジェクトが炎上する原因と対策、予防方法について解説します。

プロジェクトが炎上する原因は？

まずは、プロジェクトが炎上する主な原因についてご紹介します。

納品までのスケジュールを甘く見積もっていた

プロジェクトのスケジュールを甘く見積もることは、プロジェクトが炎上する最も一般的な原因です。開発に必要な時間を過小評価することによって生じることがほとんどです。

実際には、「技術的な課題・チームメンバーの能力不足・外部パートナーとの連携不足」など、多くの予期せぬ遅延が発生する可能性があります。

発生しうるトラブルを想定してスケジューリングをしていないと、プロジェクトを期限内に完了できず、納期遅れやクオリティの低下につながります。

要件定義や必要な人員の見積が不十分だった

要件定義や必要な人員の見積が不十分であることも、プロジェクト炎上の原因になります。

曖昧な要件定義のままプロジェクトを進めてしまうと、想定したクオリティと顧客の求めるクオリティに差異が生じる可能性が高まります。

また、人員の見積が不十分だと、リソースが不十分になり、スケジュール遅延やクオリティの低下を招きます。さらに、担当者への負担が大きくなり、心身の健康を崩すことによる休職や退職につながるケースもあります。

必要なタスクを十分に把握できていなかった

プロジェクトの計画段階で必要なタスクを十分に把握できていない場合、「プロジェクトの範囲・スケジュール・リソースの割り当て」が不十分になります。

結果的に、計画されていない作業や追加タスクが発生し、プロジェクトの遅延やコストオーバーを招く可能性があります。プロジェクトマネージャーとチームがプロジェクトの全体像を正確に理解し、すべてのタスクを適切に計画することが重要です。

進捗状況を正確に把握ができていなかった

プロジェクトの進捗状況を正確に把握できていないと、遅延が発生しているにも関わらず、遅れに気づくことができなくなります。

また、リソースが不足している部分や、特定の作業に予想以上の時間がかかっていることがわかりにくくなることも。

プロジェクトの実際の状況と計画との乖離が拡大すると、最終的にスケジュールの大幅な遅延やクオリティの低下につながり、プロジェクトの成功が危ぶまれることになります。

メンバーのスキルを十分に把握できていなかった

プロジェクトメンバーのスキルと能力を正確に把握していないと、人材を適切に配置することができず、作業効率が低下したり、必要な専門知識がチーム内にないことが後から判明したりすることがあります。

また、スキル不足による作業遅れやクオリティの低下が発生し、プロジェクト全体の進行に悪影響を及ぼす可能性があります。

プロジェクトマネージャーは、メンバーのスキルセットを正確に理解し、それに基づいてタスクを割り当てる必要があります。

顧客とのコミュニケーションが不十分だった

顧客とのコミュニケーションが不十分だと、顧客の期待とプロジェクトの成果物との間にギャップが生じる原因となります。

また、顧客の要求が途中で変更されることもあれば、初期の要件定義が不完全だったことが後から判明することもあります。

このような問題は、追加の作業や設計の変更を必要とし、プロジェクトの遅延やコストオーバーを引き起こすことがあります。顧客と定期的にコミュニケーションを取り、進捗状況を共有することが重要です。

プロジェクトが炎上してしまったときの対策とは？

ここまでご紹介した内容が原因でプロジェクトが炎上してしまった場合、どのような対策が必要なのでしょうか？

プロジェクトが炎上した場合の対策について、ステップに分けて解説します。

1.状況を正確に把握する

最初に行うべきは、プロジェクトの現状を正確に把握することです。「進捗状況・未完成のタスク・発生している問題点・リソースの使用状況」など、プロジェクトの全体像を詳細に確認しましょう。

状況を明確にすることで、どのような問題が発生しているのか、どの程度の影響があるのかを理解することができます。

2.炎上した原因を特定する

状況を把握した後は、プロジェクトが炎上した具体的な原因を特定します。

「スケジュールの遅延・コミュニケーションの不足・要件の不明確さ・リソースの不足」など、考えられる原因のすべてを洗い出し、優先順位を付けて、順番に対策を立てていきます。

原因を特定する際には、いつ・どこで・何が問題でトラブルが発生したのか、できるだけ原因を詳細に理解することが大切です。

3.発生するタスク・必要な人員・スケジュールを設定する

問題の原因を特定したら、解決のために必要なタスクと優先順位を明確にし、それに必要な人員を割り当て、新しいスケジュールを設定します。

タスク・人員・スケジュールを設定する際には、最短時間でプロジェクトを軌道に戻すことを目標にプランニングしましょう。

4.原因・対応策を顧客に説明する

原因と対策が明確になったら、炎上の原因と今後の対応について顧客に説明し、合意を得るように働きかけます。

再設定したスケジュールをスムーズに進め、顧客の信頼を回復するためにも、また、さらなる炎上を起こさないためにも、顧客と密にコミュニケーションを取ることが大切です。

5.タスクを振り分けて実行する

再設定した計画に基づいて、タスクをチームメンバーに振り分け、実行に移します。

また、進捗状況のチェック方法やワークフローを見直し、トラブルが発生した場合に早期に対処できるように体制を整えることも重要です。

プロジェクトを炎上させないための予防方法は？

もっとも大切なのは、プロジェクトが炎上しないように予防することです。炎上を防ぐために、計画段階での慎重な準備と、プロジェクト実行中の適切な管理を行いましょう。

ここでは、炎上を防ぐための予防方法を紹介します。

スケジュールの設定には余裕をもたせる

プロジェクトのスケジュールを計画する際には、予期せぬ遅延に対応できるよう余裕をもたせることが重要です。

リスク管理の一環として、「技術的な問題・人員の能力不足、外部パートナーとの連携不足」など、何かしらのトラブルが発生する可能性を考慮に入れた上で、現実的なスケジュールを設定しましょう。

余裕を持たせることで、小さな問題が大きな遅延につながるのを防ぐことができます。

必要なタスクを丁寧に洗い出す

プロジェクトの初期段階で、必要なタスクを詳細に洗い出し、それぞれに対する時間とリソースの見積もりを正確に行いましょう。

タスクを丁寧に洗い出すことで、プロジェクトの範囲を明確にし、漏れがないようにプランニングができます。

また、すべてのタスクを洗い出すことで、計画の見落としや突発的なタスクの発生によるスケジュールの乱れを防ぐことができます。

プロジェクトに必要なスキルを見極めてメンバーを選定する

プロジェクトに必要なスキルと経験を正確に把握し、チームメンバーを選定することが大切です。

チームメンバーのスキルセットがプロジェクトの要件とマッチしていることを確認し、必要に応じて外部パートナーを追加することも検討します。

メンバー構成とプロジェクトの成功に必要なスキルのギャップを事前に特定して対応策を講じることで、進行中に発生する問題を最小限に抑えることができます。

合意形成を明確にする

プロジェクトの成功には、「目標・範囲・納期・費用・品質基準」など、あらゆる要素で関係者と合意を取ることが不可欠です。

合意形成を明確にするためには、プロジェクトの要件、期待される成果物、各関係者の役割と責任をテキスト化し、これらに関する合意を文書で取り交わすことが重要です。

合意形成を明確にすることで、認識の齟齬を最小限に抑え、プロジェクトの目標に対する共通理解を確保できます。

進捗の確認方法を見直す

プロジェクトの炎上を防ぐためには、進捗の確認方法を定期的に見直し、改善する必要があります。

「進捗をリアルタイムで追跡できるツールの使用・進捗報告会議の定期開催」など、状況に応じて必要な物事を精査し、必要に応じて導入を検討しましょう。

メンバー・顧客とのコミュニケーションの回数を増やす

プロジェクトメンバーや顧客とのコミュニケーションは、認識の齟齬を防ぎ、信頼関係を築く上で非常に重要です。

「ツールを活用したテキストベースのコミュニケーション・電話やテレビ電話での通話・対面でのミーティング」を通じて、プロジェクトの進捗状況や問題点、懸念事項についてオープンに議論し、適宜認識を合わせる努力をしましょう。

プロジェクトの炎上を防ぐ上で、メンバー・顧客とのコミュニケーションはもっとも重要なポイントです。

まとめ

システム開発プロジェクトは、スケジュールが長期になりやすいほか、開発メンバー・外部パートナー・顧客など複数人が関わりながら、完了までに複雑なタスクを完了させていく必要があります。

構成要素が多いため、トラブルが発生しやすく、プロジェクトが炎上してしまうことも珍しくありません。プロジェクトの炎上を防ぐためにも、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。