COBOLの将来性は? 特徴や今後エンジニアが身につけるべき知識を紹介

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この記事でわかること

  • COBOLの需要と今後の将来性
  • COBOLの特徴と活用されている業界
  • COBOLエンジニアが身につけるべき知識
編集者プロフィール
ウィルオブテック事業部
上松 大輝

過去に4年ほど、SEとしてシステム開発やネットワーク構築業務に従事。その後、エンジニアの転職を支援するウィルオブテックで求職者さまのキャリア支援を担当。過去のエンジニア経験を活かし、現場感に沿った具体的なキャリアの提案が得意。

COBOLは古くから使用されているプログラミング言語のひとつであり、現在でもさまざまな業界で用いられています。ただ、言語自体が古いこともあり、COBOLを扱うエンジニアのなかには将来性に不安を抱く方も少なくありません。

本記事では、COBOLの特徴や将来性、エンジニアが身につけるべき知識などを紹介します。

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TOPICS

COBOLとは

COBOLは、アメリカ発のプログラミング言語であり、1959年に開発されました。
もともと事務処理を目的に開発された言語で、60年以上の長い歴史がありながら、現在でも金融機関、官公庁、大手企業の基幹システムなど重要な業務分野で広く使用されています。

COBOLの特徴は、大量データの処理と高精度な計算処理に長けていることです。事務処理に特化した言語として開発された経緯があり、銀行の勘定系システム、保険会社の契約管理、官公庁の住民情報管理など、社会インフラを支える重要なシステムに用いられています。

1959年当時、すでにさまざまなプログラミング言語が存在していましたが、扱いには高度な知識や技術が必要でした。一方、COBOLの構文は英語に似通っており、読み取りやすく扱いやすいとプログラミング初心者から注目を集め始めました。この可読性の高さは、現在でもシステムの保守・運用において大きなメリットとなっています。

COBOLの将来性・需要

古い言語であり、ネガティブな評価を耳にすることも多いCOBOLゆえに、エンジニアのなかには将来性に不安を抱く方も少なくないでしょう。

ただ、既存システムをCOBOLで開発した企業や金融機関も多いため、保守開発を行えるCOBOLエンジニアには一定の需要があります

さらに、COBOLは時代の変化に応じて進化し続けています。たとえば、近年ではAWSでCOBOLの利用が可能となり、オープン系への対応も進んでいます。一概に「古い言語」と判断して切り捨てるのは時期尚早です。

そのほかにも、長年使用されていたCOBOLはエンジニアの高齢化が進んでおり、若手人材を育成するフェーズでもあります。エンジニアは総じて人材不足が顕著なので、需要がゼロになるとは考えにくいでしょう。

COBOLが完全にはなくならない理由

PC2台、モニター、男性

なぜCOBOLが今後も完全にはなくならないのかについて紹介します。COBOLが存続し続ける理由には主に以下の内容があります。

  • 膨大な既存COBOLシステムの存在と移行コストの高さ
  • COBOLエンジニアの希少性による需要の継続
  • 基幹業務での安定性と信頼性の重要性

既存のCOBOLシステムが多いから

世界中に存在するCOBOLシステムの規模は想像以上に大きく、これらすべてを短期間で置き換えることは現実的ではありません。多くの企業や組織では、1960年代から続く長い歴史の中で、膨大な量のCOBOLコードが蓄積されています。これらのシステムには、単純なプログラムコードを超えて、何十年にもわたって培われた業務知識やノウハウが組み込まれています。

例えば、銀行の勘定系システムや政府機関の給付金支払いシステムなどは、複雑な業務ルールや法的要件を満たすために、極めて高度で専門的なロジックが実装されています。

これらのシステムを他の言語で再構築するためには、単にコードを書き換えるだけでなく、長年蓄積された業務知識を理解し、新しいシステムに移植する必要があります。さらに、移行作業中のリスクやコスト、期間を考慮すると、多くの組織では既存システムの維持を選択するのが合理的な判断となっています。

COBOLエンジニアが少ないから

現在のIT業界では、COBOLエンジニアの数が大幅に不足しており、この状況は今後さらに深刻化すると予想されます。多くのCOBOLエンジニアは経験豊富なベテランが中心となっており、年齢層が高いという特徴があります。

一方で、新しくCOBOLを学習する若手エンジニアは非常に少なく、大学や専門学校でCOBOLを教えるカリキュラムも減少傾向にあります。この背景には、COBOLが古い技術というイメージを持たれがちで、若手エンジニアにとって魅力的に映らないという事情があります。

しかし、需要と供給のバランスから見ると、この状況はCOBOLエンジニアにとって有利に働いています。希少性の高い技術を持つエンジニアとして、高い報酬を得られる可能性があり、実際にフリーランスのCOBOLエンジニアの単価は他の言語と比較して高水準を維持しています。

このような需給バランスの不均衡は、COBOL将来性を考える上で重要な要素となっており、少なくとも中期的には安定した需要が見込まれます。

COBOLの特徴やメリット

COBOLの特徴
ここではCOBOLの特徴やメリットを紹介します。

COBOLが、現在でも一定の人気を獲得している理由として、保守のしやすさが挙げられます。また、構文が英語に近いため可読性が高い、事務処理に特化しているなどの特徴もあります。

  • 保守がしやすい
  • 可読性が高い
  • 事務処理に特化している
  • 膨大な既存COBOLシステムの存在と移行コストの高さ
  • COBOLエンジニアの希少性による需要の継続
  • 基幹業務での安定性と信頼性の重要性

保守がしやすい

COBOLには長年の実績があり、多くの企業系システムや金融システムで保守管理され続けてきました。統一された規格を用いてプログラミングされていることから、他言語に比べて保守しやすいメリットがあります。

保守作業には高度な専門知識が求められ、ときに膨大な手間と時間を要するケースも珍しくありません。一方、COBOLは統一された規格を用いて読みやすくわかりやすいプログラミングを行えるため、保守作業の手間を軽減できます。

また、誰がプログラミングしてもソースコードに大きな違いが生じず、解析しやすいため人的コストや時間コストの削減にもつながります。

可読性が高い

COBOLを用いた記述は英語に似ているため読み取りやすく、場合によってはそのままドキュメントとして使用できることもあります。

一般的なプログラミングで求められるソースコードの記述方法をあまり理解していなくても、COBOLであれば比較的スムーズに理解と習得が可能です。

一方、英語に近い文法でプログラミングするため、記述が冗長的になりがちです。記述が長くなりやすいと、その分タイピングのミスが発生しやすくなる場合があります。

長い記述が必要となるケースでは、1文字でも間違えてしまうとスペルミスの抽出、修正を行わなければならず、業務効率が低下してしまうかもしれません。

事務処理に特化している

もともと、COBOLは事務処理を目的に開発された言語です。そのため、事務処理に用いるシステムの開発に適しています。演算には2進化10進法を採用しているため、高度な計算処理をスピーディーに行えるのもメリットです。

高度な計算をハイスピードで実現できるだけでなく、正確性にも優れています。2進化10進法の演算方式により、常に正しい数値を素早く導き出せます。

また、帳票の作成や印刷、帳簿の出力などを行えるのも特徴です。これら事務作業に欠かせない各処理を簡単に行えることから、行政における文書作成や企業の事務処理に用いられてきました。

高い信頼性とデータ処理能力

COBOLが金融機関や基幹業務で長年使用され続けている最大の理由は、その圧倒的な信頼性とデータ処理能力にあります。

COBOLは商用計算処理に特化して設計されたプログラミング言語であり、特に小数点を含む金額計算において、他の言語では発生しがちな計算誤差を完全に防ぐ仕組みが組み込まれています。

60年以上にわたる運用実績により、予期しない動作やシステム障害が発生する可能性は極めて低く抑えられており、ミッションクリティカルなシステムにおいて安心して使用できる言語として評価されています。

また、大量データの一括処理において、COBOLは他の言語では実現困難な高速処理を実現しており、バッチ処理による効率的なデータ処理が可能です。

このような特徴から、銀行の勘定系システムや政府機関の給付金計算システムなど、絶対に間違いが許されない業務において、COBOLは今でも中心的な役割を果たしています。

さまざまなOSへの対応

COBOLの大きな強みの一つは、異なるオペレーティングシステムやハードウェア環境での高い互換性です。

COBOLは国際標準として規格化されており、メインフレーム、UNIX、Linux、Windowsなど多様な環境で稼働実績があります。これにより、ハードウェアの世代交代やオペレーティングシステムの移行の際にも、既存のCOBOLプログラムを大幅な修正なしに新しい環境に移植することが可能です。

近年では、クラウド環境においてもCOBOLの実行環境が整備されており、従来のメインフレームからクラウドサーバーへの段階的な移行も実現されています。

この高いポータビリティは、企業にとって長期的なシステム投資を保護する重要な要素となっており、技術環境の変化に柔軟に対応しながらシステムを継続運用できる大きなメリットとなっています。

このような特徴により、COBOLシステムは時代の変化に対応しながら、企業の重要な資産として価値を維持し続けることができるのです。

COBOLのデメリット

コードとPC

この章では、COBOLが持つデメリットについて紹介します。COBOLのデメリットには主に以下の内容があります。

  • 新規開発案件が少ない
  • Webアプリや人工知能開発には使えない
  • 今主流のWebやアプリ開発に不向き

新規開発案件が少ない

システム開発でよく用いられる言語として、PythonやJava、C++などが挙げられます。近年は、汎用性の高さに定評があるPythonを用いるケースも増えており、COBOLを用いた新規開発案件はあまり多くありません。

そのため、基本的にCOBOLを扱う案件の多くは保守です。既存システムをCOBOLで構築しているクライアントから、保守作業を請け負うケースがほとんどでしょう。

また、現状では一定の需要があるものの、いつまでも今の状態が続くとは限りません。今後は、既存システムを廃止し、他言語で開発したシステムを導入する企業が増える可能性もあります。

Webアプリや人工知能開発には使えない

COBOLは、計算処理やデータの一括処理といったシステムの開発に適した言語です。そもそも、事務処理を目的に開発された経緯があり、Webアプリや人工知能開発には適していません

Webアプリや人工知能開発には、COBOL以上に適した言語があります。Webアプリであれば、あらゆるOSで実行できるJavaをはじめ、記述のしやすさに定評があるRuby、汎用性が高くデータ分析に強みもあるPythonなどが適しています。

一方、人工知能開発においては、PythonやR、Julia、JavaScriptなどが代表的な言語です。これからの時代に欠かせない、Webアプリや人工知能の開発に使えないのはCOBOLの難点です。

今主流のWebやアプリ開発に不向き

COBOLの最も大きなデメリットの一つは、現在主流となっているWebアプリケーションやモバイルアプリの開発に適していないことです。

COBOLは1959年に商用計算処理を目的として設計された言語であり、インターネットやスマートフォンが普及する以前の技術基盤で開発されています。そのため、HTML、CSS、JavaScript、REST API、JSONといった現代のWeb開発で必須となる技術要素に対応していません。

また、ユーザーインターフェースの作成やリアルタイム通信、レスポンシブデザインなど、現代的なWebサイトやアプリで求められる機能を実装することは技術的に困難です。例えば、ECサイトのショッピングカート機能やSNSアプリのリアルタイムチャット、スマートフォン向けのネイティブアプリ開発などは、COBOLでは実質的に不可能と言えるでしょう。

このため、COBOL エンジニアが現代的な開発プロジェクトに参加するためには、JavaScript、Python、Javaなどの他の言語を習得する必要があります。

COBOLエンジニアの主な仕事内容

女性エンジニア

この章では、COBOLエンジニアが実際に携わる主な仕事内容について紹介します。COBOLエンジニアの主な仕事内容には主に以下の内容があります。

  • 保守・運用案件
  • システム移行案件
  • 他システムとの連携業務
  • 障害対応・トラブル対応
  • 各種テスト・ユーザー支援

保守・運用案件

COBOLエンジニアの最も中心的な業務は、既存の基幹システムの保守・運用です。

多くの企業や組織で稼働しているCOBOLシステムは、数十年間蓄積された重要なビジネスロジックを含んでおり、日々の業務に欠かせない基幹システムとなっています。これらのシステムでは、法改正への対応、機能改修、性能最適化、セキュリティパッチの適用などが定期的に発生します。

例えば、銀行システムでの金利計算ロジックの法改正対応や、保険会社の契約管理システムでの保険料率変更への対応、政府機関の給付金システムでの制度変更に伴う計算式修正などがあります。

また、システムの安定稼働を維持するため、日常的な監視、バックアップ管理、障害予防などの運用業務も重要な職務となっています。

保守・運用業務では、既存コードの深い理解とドキュメント作成能力が重要であり、システムの全体像を把握しながら影響範囲を慎重に分析するスキルが求められます。

システム移行案件

レガシーシステムのモダナイゼーションやプラットフォーム移行は、COBOLエンジニアの専門性が最も発揮される高付加価値な業務です。

多くの企業がDXを推進する中で、古いメインフレーム環境からオープンシステムやクラウド環境への移行ニーズが高まっています。これらの移行作業には既存COBOLシステムの深い理解と、移行先環境での技術知識の両方が必要となり、高度な専門性が求められます。

具体的には、メインフレームからLinuxサーバーへのCOBOLシステム移行、オンプレミス環境からAWSやAzureなどクラウドへの移行、COBOLからJavaやC#への段階的なリライト支援、データベースのマイグレーション、レガシーシステムとモダンシステム間のデータ連携基盤構築などがあります。

システム移行案件は技術的難易度が高く、COBOLエンジニアの市場価値を大きく高める重要なキャリア形成機会となっており、COBOL将来性を考える上でも注目すべき分野です。

他システムとの連携業務

COBOLシステムと他の現代的なシステムとの連携開発は、企業のシステム統合において不可欠な業務となっています。

企業では複数の異なる技術で構築されたシステムが混在しており、COBOLで構築された基幹システムと、Java、.NET、Webシステムなどとの間でデータ連携や機能連携が必要となる場面が多くあります。

具体的な業務としては、COBOLバッチ処理結果をWebシステムで表示するためのデータ連携、基幹系COBOLシステムとCRM・ERPパッケージとの統合、COBOLシステムの機能をREST APIとして外部公開、外部決済システムとCOBOL会計システムとのリアルタイム連携、BI・分析システムへのCOBOLデータ提供基盤の構築などがあります。

現代のマイクロサービス化やAPI化の流れの中で、COBOLシステムを他システムから利用可能にする技術的橋渡しも重要な役割となっており、COBOL エンジニアにとって技術の幅を広げる重要な業務領域です。

障害対応・トラブル対応

COBOLシステムの障害対応は、業務継続性に直結する緊急性の高い重要業務です。

COBOLで構築された基幹システムは企業の中核業務を支えているため、システム障害が発生すると業務全体に大きな影響を与える可能性があります。そのため、迅速な原因特定と復旧作業が求められ、システムの構造やデータフローを深く理解している専門家の対応が不可欠となります。

具体的な業務としては、月次バッチ処理での異常終了原因の特定と修正、データ不整合による計算結果エラーの調査と復旧、性能劣化によるシステムレスポンス低下の改善、外部システム連携エラーの原因特定と修正、障害発生時の緊急時対応とシステム復旧作業などがあります。

また、障害の根本原因分析と再発防止策の策定も重要な職務となっており、システムの安定性向上に貢献する役割を担っています。

障害対応では、システムログの解析能力、データベースの知識、ネットワークの基礎知識など幅広い技術力と、冷静な判断力・コミュニケーション能力が重要となります。

各種テスト・ユーザー支援

システムの品質保証とユーザー支援は、COBOLエンジニアがシステムの価値を最大化するために重要な業務です。

COBOLシステムの修正や機能追加を行った際には、既存機能への影響がないかを確認するための包括的なテストが必要となります。

具体的には、機能修正後の単体テスト・結合テスト・システムテストの実施、本番環境でのリリース作業とリリース後の動作確認などがあります。また、システムを利用するエンドユーザーへの操作説明、トレーニング、問い合わせ対応なども重要な職務となっています。

ユーザー部門への新機能説明とトレーニング実施、システム操作マニュアルの作成と更新、ユーザーからの問い合わせ対応と操作支援などを通じて、システムの効果的な活用をサポートします。

特に、長年使用されているシステムでは、ユーザーとの密接なコミュニケーションにより業務効率を向上させる提案なども求められ、技術的なスキルに加えて、業務知識の理解とコミュニケーション能力が重要となります。

COBOLが活用されている業界

古くは政府機関の文書作成にも用いられてきた経緯があり、現在でも行政における大量のデータ処理で活用されています。また、計算処理に優れることから、金融業界においても用いられています。

高度な計算処理が求められる金融業界

優れた演算方式を採用しているCOBOLは、高度な計算処理を高速で行える強みがあります。さまざまな帳票の作成や出力にも対応できるため、長年にわたって金融業界の業務システムで活用されています

銀行や信用金庫など、金融機関において計算は日常的な業務です。お金を扱うため、日々大量の数値データを計算処理しており、スピードも求められます。しかも、わずかな計算ミスも許されないため、高速かつ正確な処理を行えるCOBOLを用いたシステムが適しています。

もちろん、Javaなど他言語による計算処理のシステム構築も可能ですが、正確性に課題があります。COBOLが採用している演算方式は、わずかな計算の誤差も生じさせないため、いまだに金融業界で採用され続けています。

大量なデータ処理が必要な行政

事務処理に用いるシステムの開発言語として誕生したCOBOLは、現在でも行政システムに採用されています。大量のデータを一括処理するのにも適しているため、古くから政府機関でも活用されてきました。

行政機関では、日々大量のデータを扱います。扱うデータの量が膨大になるほど、マンパワーだけでは対応できません。大量のデータを素早く確実に処理していくのに、COBOLは適した言語です。

行政機関におけるデータ処理の遅延は、その地域で暮らす人々の生活にも影響を及ぼすおそれがあります。COBOLであれば正確性とスピードを両立できるため、今後も活用されると予測できるでしょう。

COBOLエンジニアの年収相場

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COBOLエンジニアの平均年収は約509~550万円となっており、他のプログラミング言語と比較して高水準にあります。

この背景には、COBOLエンジニアの希少価値の高さが大きく影響しています。COBOLを扱える若手エンジニアが少ない一方で、既存システムの保守・運用において一定の需要が継続しているため、対応できるエンジニアが重宝されているのが現状です。

日経クロステックの調査によると、Javaエンジニアの平均年収が740.4万円、Pythonエンジニアが671万円と高い水準にありますが、COBOLエンジニアも安定した年収が期待できる職種といえるでしょう。

特にフリーランス市場では、2024年時点の調査でCOBOLエンジニアの月額単価相場が月60~70万円と報告されており、年収換算で600~840万円程度の収入が見込めます。

COBOLエンジニアの求人例

COBOLエンジニアとしての就職や転職を検討している方にとって、求人の有無や内容は気になるところです。

求人情報誌や求人サイトによって案件数は異なりますが、COBOLエンジニアを募集している企業は数多く存在します。特に金融機関、官公庁関連のSIer、大手メーカーの情報システム部門などで継続的な採用ニーズがあります。

業務内容としては、Web開発や社内システム開発、汎用機メインフレーム開発、運用、システム保守開発などが多く見受けられます。より具体的な例は以下のような業務になります。

  • 既存COBOLシステムの保守・運用業務
  • 法制度変更(消費税率変更、改元対応など)に伴うシステム改修
  • COBOLシステムのJavaやPythonへのマイグレーション支援
  • 基幹システムのクラウド移行プロジェクト
  • 要件定義から設計まで上流工程を含む開発業務

JASDAQや東証一部上場など、大手企業からスタートアップまで、さまざまな企業がCOBOLエンジニアを募集しています。年収面では、経験年数や上流工程への参画度合いによって400万円から700万円程度の幅があり、マネジメント経験がある場合は550万円以上の高待遇案件も多く見られます。

ただ、PythonやJavaなど、メジャーな他言語に比べるとそこまで求人は多くありません。また、COBOLだけでなく、他言語も併せて扱える人材を募集している企業も目立ちます。これは、システムのモダナイゼーションやマイグレーション業務において、COBOLと移行先言語の両方を理解できる人材が重宝されるためです。

求人によって条件や待遇に差があるため、求人を探す際は募集要項を慎重に確認して進めましょう。

▼COBOLエンジニアの転職については
こちらのCOBOLエンジニアに転職するには? 必要なスキルや平均年収を解説でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。

COBOLエンジニアが身につけるべき知識やスキル

COBOLエンジニアの市場価値を高め、長期的なキャリアを築くためには、従来の技術スキルに加えて幅広い知識とスキルの習得が不可欠です。

既存システムの保守・運用が中心となるCOBOL業界において、単純なプログラミング能力だけでは差別化が困難になっており、より高次元のスキルが求められるようになっています。また、COBOLシステムのモダナイゼーションやマイグレーション需要の増加により、新旧技術の橋渡し役としての役割も期待されています。

今後、COBOLエンジニアとして活躍し続けたいのであれば、マネジメントスキルや業界に関する深い知識、他言語の習得が求められます。

予算や納期などを設定するマネジメントスキル

マネジメントスキルの高いエンジニアは、重宝されがちです。基本的に、エンジニアは単独で業務を遂行するケースは少なく、プロジェクト単位でチームメンバーと協力しながら取り組みます。

予算や納期などを管理するマネジメントスキルが高ければ、重要なプロジェクトを任せてもらえるかもしれません。成果を積み重ねていけば評価につながり、プロジェクトマネージャーへの道も開けます

マネジメントスキルを伸ばすには、マネジメントに関する書籍で勉強するのもひとつの手です。また、適切にマネジメントを行うにはコミュニケーションスキルも求められるため、併せて意識しましょう。

各業界に関する深い知識

COBOLが用いられる代表的な業界は、金融や保険などの専門領域です。新規開発と保守開発、いずれにしてもこれらの業界に関する深い知識がないと、システムへの落としこみが困難です。

一方で事業や業務についてしっかりと理解していれば、クライアントが納得するものをシステムに反映できます

実際にインターネットや書籍などを利用すれば、金融や保険業界の仕組み、業務内容などを理解でき、システムに求められるものも把握できるでしょう。

基本的に、COBOLは金融や保険業界に需要が偏っているため、COBOLエンジニアとして働く前に実務経験を積む方法もおすすめです。実際にその業界で働き、深い知識を得られれば、今後より条件のよい企業へ転職も夢ではありません。

他のプログラミング言語のスキル

近年におけるプログラミング言語のトレンドは、PythonやJavaScript、Java、C、C++、PHPなどです。COBOLだけでなく、他言語のスキルを身につけておけば、活躍できる場が広がります

一方でCOBOLしか扱えないとなると、どうしても活躍の場は狭まります。現在はCOBOLを用いたシステムを採用している企業も、今後の動向はわかりません。他言語のスキルも身につけておけば、自身の可能性も広げられます。

すでにエンジニアとして活躍しているのであれば、独学で他言語を学んでみてはいかがでしょうか。現在は、オンラインでプログラミングを学べるサービスもあるため、エンジニアとして働きつつ他言語の学習が可能です。

また短期間でスキルを身につけたいのなら、プログラミングスクールに通って学ぶ方法もあります。費用はかかりますが、講師のもとで学べるため、効率的に他言語のスキルを身につけられるでしょう。昨今ではオンライン講座もあるため、自宅にいながら簡単に受講できます。

▼言語「Java」については
こちらのJavaの将来性は今でも高い?Javaエンジニアに必要なスキルも紹介でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「PHP」については
こちらのPHPの将来性はある?現在のPHPエンジニアのニーズを詳しく解説!でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「Python」については
こちらのPythonの将来性は高い?メリットやできることも合わせて解説!でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。

要件定義・基本設計スキル

COBOLエンジニアにとって要件定義・基本設計スキルは、キャリアアップと年収向上に直結する最重要な評価ポイントとなります。COBOLの案件では、既存システムのマイグレーションや機能改修が主流であり、これらのプロジェクトでは既存機能を深く理解した上で新たな要件を定義する必要があるためです。

そのため、COBOLエンジニアは要件定義の段階から参画するケースが多く、ユーザーのニーズを正確に把握し、それを技術的な仕様に落とし込むスキルが強く求められます。

具体的な案件例では、現行システムの業務課題やシステム課題を改善しながら、機能の共通化やAPI化を行い、クラウド基盤への移行を担当するプロジェクトなどがあります。

このような上流工程から参画できるスキルを持つエンジニアは市場価値が高く、想定年収550~700万円の案件では、要件定義・基本設計に加えてマネジメント経験も期待されています。

COBOLエンジニアとして将来性を高めたいなら、要件定義・基本設計スキルの習得を最優先に取り組むことが効果的です。

保守・運用のスキル

保守・運用スキルは、COBOLエンジニアにとって安定した需要が期待できる必須スキルです。

COBOLで開発されたシステムの多くは長期間にわたって稼働しており、これらのシステムが存在する限り運用保守の需要は継続するためです。COBOL案件の大部分は既存システムの保守開発であり、日常的な維持管理や機能追加に加えて、消費税率変更や改元といった法制度変更への対応も重要な業務となります。

特にCOBOLシステムは開発時期が古いものが多く、頻繁なメンテナンスが必要なため、既存プログラムの読解力と複雑な構成を理解する能力が求められます。

障害対応においては、システム利用を継続させるための対応方法の検討、障害原因の究明、根本的な対策の実行が主な業務内容となります。また、設計書やソースコードが不備な古いシステムでの作業も多く、このような状況下での運用保守や他システムとの連携作業は高い技術力を要求されます。

保守・運用スキルを体系的に身につけるには、ITサービスマネージャ試験の受験が推奨されており、これによりシステム運用・保守のマネジメント知識を効率的に習得できます。

COBOLエンジニアが抱える問題と対策

女性の後ろ姿、男性、会議室

この章では、COBOLエンジニアが抱える問題と対策について紹介します。COBOLエンジニアが抱える問題と対策には主に以下の内容があります。

  • 高齢化する人材層と世代交代の必要性
  • 既存システムの依存度と新規開発の減少
  • 他言語スキルの習得とキャリアシフト

高齢化する人材層と世代交代の必要性

COBOLエンジニアの業界において最も深刻な問題の一つが、人材の高齢化による深刻な人材不足です。

現在COBOLで開発ができるエンジニアの大部分が50歳以上となっており、10年後には確実にエンジニアが不足する状況が予測されています。この背景には、企業でのCOBOLニーズの減少や「COBOLはなくなる」という長年の認識があり、ベテラン技術者が若手人材の育成に積極的でなかったことが挙げられます。

同時に、若い技術者もCOBOLから自身のキャリアを始めることを避ける傾向にあります。実際の調査では、COBOLの短所として「エンジニアの確保が難しい」を挙げる回答者が約半数に達しており、人材確保の困難さが現場の実態として表れています。

さらに、10年後には汎用機系エンジニアの大部分が60代となり、実質的に現役で活躍できる期間を考慮すると、人材不足は更に深刻化することが予想されます。

この問題は経済産業省が提起する「2025年の崖」問題とも密接に関連しており、企業は若手人材の育成と知識継承を急務として取り組む必要があります。

既存システムの依存度と新規開発の減少

COBOLエンジニアが直面するもう一つの重要な問題は、新規開発案件の激減と既存システムへの過度な依存です。

時代の進化とともに新しいプログラミング言語が次々と開発される中、COBOLでの新規案件開発はほぼ皆無となっています。

COBOLは可読性が高く学びやすいという特徴を持ちながらも、WebアプリケーションやAI技術などの現代的なアプリケーションとの統合において問題が生じやすく、新規開発では最新の開発言語が選択される傾向が強まっています。

一方で、COBOLから新しい技術への移行には多くの課題が伴います。既存のCOBOLアプリケーションが持つ独特なビジネスロジックを新システムで再現するためには、広範囲にわたるテストと細かな調整が必要となり、移行プロジェクト自体が複雑化しています。

このような状況下で、COBOLエンジニアは既存システムの保守・運用に特化したスペシャリストとしての価値を高めることが求められています。

他言語スキルの習得とキャリアシフト

COBOLエンジニアの将来性を考える上で不可欠なのが、他のプログラミング言語スキルの習得とキャリアシフトへの準備です。

長期的な視点で見ると、COBOLプログラマーは今のうちに他の技術スキルを身につけることが極めて重要となります。特に、COBOLエンジニアはシステムのリプレイス業務に関わる機会が多く、既存システムの移行作業では必然的にCOBOL以外の言語を扱うスキルが求められるためです。

移行先として選ばれることが多いのは、Javaを筆頭として、Python、Goなどの現代的なプログラミング言語です。

これらの言語は現在も非常に高い需要があり、COBOLからの移行言語としてJavaが選ばれるケースが特に多いことから、技術の幅を広げるために習得する価値は十分にあります。さらに、プロジェクトマネジメントスキルの習得も重要な要素となります。COBOLプログラマーが新旧技術の橋渡し役を担うことで、その稀有なスキルはさらに価値を増すことになります。

したがって、COBOLの深い知識を活かしながら段階的に他言語スキルを習得し、最終的にはマイグレーションプロジェクトのリーダーを目指すことが、持続可能なキャリア戦略となるでしょう。

COBOLからのキャリアパスは?

リクルートスーツ 女性

この章では、COBOLからのキャリアパスについて紹介します。COBOLからのキャリアパスには主に以下の内容があります。

  • コンサルタントやプロジェクトリーダーへの転向
  • フリーランスとしての可能性

コンサルタントやプロジェクトリーダーへの転向

COBOLエンジニアとして豊富な現場経験を積んだ後の魅力的なキャリアパスの一つが、コンサルタントやプロジェクトリーダーへの転向です。

特に、COBOLを含むレガシーシステムの運用やクラウド化を求めるプロジェクトは今後も継続的な需要が見込まれており、この分野での専門性を活かしたキャリア展開が期待できます。プロジェクトリーダーとして成功するためには、従来のシステム開発・運用スキルに加えて、マネジメント能力やコミュニケーション力の向上が不可欠です。

一方、コンサルタントへの転向では、COBOLシステムの深い専門知識を基盤として、企業のIT戦略立案やシステムリプレイス計画の支援といった、より戦略的な役割を担うことになります。実際に、プロジェクトマネージャーとして多くのステークホルダーと関わった経験は、企業の課題発見や解決スキルの向上につながり、ITコンサルタントへの自然な橋渡しとなります。

想定年収550~700万円の案件では、要件定義や基本設計に加えてマネジメント経験が強く求められており、技術力と管理能力を併せ持つ人材への評価が高まっています。

フリーランスとしての可能性

COBOLエンジニアにとってフリーランスという働き方は、収入面で大きなメリットをもたらす可能性があります。

フリーランスのCOBOLエンジニアの平均単価は約60万円となっており、年収換算すると約720万円に達します。

これは会社員の平均月収約40万円と比較して約20万円高い水準であり、フリーランスの年収幅は正社員よりもはるかに広範囲にわたります。

この背景には、COBOLエンジニアの慢性的な不足があり、様々な現場経験を持つフリーランスエンジニアの意見や提案は現場責任者にとって非常に貴重な存在となっています。

単価相場を見ると、50万円台の案件が最も多く、次いで60万円台、70万円台と続き、特に優秀なエンジニアであれば月収90万円以上の高単価案件を獲得することも可能で、年収1000万円を目指すことも現実的な選択肢となります。

また、COBOL案件の特徴として年齢不問の案件が多く存在することも注目すべき点です。フリーランスとして成功するためには、まず正社員として多様な現場で経験を積み、プログラマーからシステムエンジニアへとステップアップしながら、豊富な実務経験と確固たる実績を構築することが重要な戦略となります。

まとめ

COBOLエンジニアには一定の需要があり、今すぐに仕事がなくなることは考えられません。ただ、今後のキャリアアップを見据えて、マネジメントスキルや業界の深い知識、他言語のスキルなどを身につけて備えておきましょう。

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よくある質問

COBOLの将来性について教えてください。

古い言語ではありますが、COBOLが現役で活躍している言語なのは事実であり、既存システムの保守を必要とする企業も多いため、需要がゼロになることは考えにくいです。詳細は「COBOLの将来性・需要」で説明しているので確認ください。

COBOLエンジニアが身につけるべき知識はありますか?

はい。COBOLエンジニアとして活躍し続けるためには、マネジメントスキルや業界に関する深い知識、他言語の習得が求められます。詳細は「COBOLエンジニアが身につけるべき知識」で説明しているので確認ください。

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