未経験・無資格から介護士になりたいと考えている方の中には、どうやったら介護士になれるのか分からない方もいます。
もちろん、介護の仕事を始めるときは経験や資格がなくてもできますが、長く続けることを視野に入れている方は介護福祉士の資格取得がおすすめです。
しかし、介護士になるために必要な資格がどんなものか、どうやったら取得できるのか、どのくらいの時間を要するかがわからない方もいます。
この記事では、介護士の資格取得を目指すための方法や資格取得の流れなどを解説してくので、介護の仕事に挑戦したい方はぜひご覧ください。
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目次
介護士(介護福祉士)とは?
介護士とは介護に携わっている人の総称で、正式な呼び方ではないものの介護職員、介護スタッフを指す言葉として広く使われています。
介護士とよく混同される言葉として介護福祉士がありますが、厳密にはこの2つは意味が違います。
護士は無資格・有資格にかかわらず介護関係のスタッフ全員を指すのに対し、介護福祉士は国家試験を受験し介護福祉士資格を取得した人のみを指します。
介護福祉士は介護職の中で唯一の国家資格で、介護の専門知識と技術を持ち合わせていることを公的に証明するものです。
食事、着替え、服薬、入浴、排泄といった介助やご家族の方のメンタル面のサポートまで、幅広い技術と知識が必要となる資格になっています。
介護福祉士を取得することで転職やキャリアアップにつながり、管理者やケアマネージャーなどのさまざまな上位職に挑戦できます。
介護福祉士になるための3つのルート
介護福祉士になるためのルートは、主に3つあります。
各ルートに取得までの過程や年数といった特徴があるので、状況に応じて適したルートを選びましょう。
実務経験ルート
実務経験ルートは介護未経験の方や社会人、学歴、年齢を問わずに介護福祉士の資格を取得できるルートです。
このルートの場合、受験資格を得るには実務経験が3年以上(実働540時間以上)と介護福祉士実務者研修を受講することが要件になります。
介護福祉士実務者研修では450時間のカリキュラムが組まれており、勤務しながら受講する場合には6か月以上の時間がかかります。
また、一般的に実務経験ルートは初任者研修、実務者研修、介護福祉士と段階的に資格を取得していくことが多いです。
そのため、実務経験ルートで資格取得を目指す場合には、試験時期や研修の受講時期などの長期的なスケジュールを組むのが大切なポイントといえます。
この方法の大きなメリットは、実際に介護の現場で働きながら学んでいくので、効率的かつ実践的に学習できる、費用面を抑えられるなどの部分です。
養成施設ルート
養成施設ルートは一般的に高校生に適したルートですが、時間とお金に余裕がある場合は社会人の方も選択肢のひとつになってきます。
ほかの方法に比べると資格取得までの時間が少なく、条件次第では最短1年で介護福祉士になることができます。
条件 | 受験資格を得るまでの年数 |
---|---|
福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設のいずれかを卒業 | 介護福祉士養成施設に1年以上通学し、筆記試験を受験 |
普通科の高校を卒業 | 介護福祉士養成施設に2年以上通学する、筆記試験を受験 |
介護福祉士養成施設とは、国が指定する4年制大学や専門学校のことで、養成施設で1~2年以上学ぶと介護福祉士の受験資格を得ることが可能です。
資格取得までの年数は最短ですが、養成施設に入学するための試験勉強や入学費用に100~150万円ほどかかってしまう点に気を付けましょう。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートは一般的に中学生におすすめのルートで、福祉系高校もしくは福祉系特例高校を卒業し受験資格を得るものです。
福祉系高校の場合、卒業後に介護福祉士国家試験の筆記試験を受験し、合格すれば資格取得となります。
福祉系特例高校の場合、卒業後に9か月以上(従事日数135日以上)の実務経験を積んだのち、筆記試験と実技試験の両方を受験して合格すれば資格取得となります。
年齢や条件は厳しいですが、高校卒業後すぐに介護福祉士になれる大きなメリットがあります。
また、現状で福祉系高校は定員数に対して入学者数が少ないので、福祉系高校に入学することは比較的難しくない傾向です。
社会人の方は実務経験ルートがおすすめ
現在別の職種で働いている方で、これから介護福祉士を目指したい場合は実務経験ルートでの取得がおすすめです。
介護福祉士の資格取得まで時間はかかりますが、年齢の縛りや金銭面での負担が少なく、仕事に活かせる技術を身に付けながら着実に資格取得を目指せます。
実務経験ルートでは初任者研修からスタートし、実務者研修を経て介護福祉士取得という流れになります。
資格取得支援制度のある事業所で働きながらこれらの研修を受けていくのも、社会人の方には適しています。
無資格・未経験からの挑戦でも初任者研修の受講は可能ですので、まずは初任者研修の受講や資格取得支援制度のある事業所の求人を探してみましょう。
未経験から介護福祉士を目指す流れ
ここでは、無資格・未経験から実務経験ルートで介護福祉士の資格を取得するまでの具体的な流れを解説していきます。
一般的に介護職では、実務経験の年数によって初任者研修、実務者研修、介護福祉士とステップアップしていきます。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は厚生労働省が認定している資格で、介護の基礎知識を身に付けていることを証明するものです。
無資格・未経験の人が最初に取得を目指す介護資格で、取得することによって身体介護が可能になり、業務の範囲が広がります。
介護の知識が全くなくても理解できる内容の座学と、介護を実践する実技演習を行い、技術を習得していきます。
初任者研修に受講条件はなく、指定されている養成機関で130時間の研修を受け、修了試験に合格することで取得が可能です。
介護福祉士実務者研修
実務者研修は、厚生労働省が認定している資格で、初任者研修の上位資格です。
初任者研修の内容よりさらにステップアップした介護に関する知識と技術を身に付けることができます。
介護福祉士資格の受験資格を得るためには実務者研修の修了が要件となっているので、介護福祉士を目指す方は必ず受講しなくてはなりません。
座学と実技演習あわせて450時間の研修を受けることで取得が可能ですが、初任者研修を取得していれば130時間の研修が免除されます。
実務者研修には応募資格はありませんが、スクールによっては初任者研修の取得を応募資格としている場合もあるので、事前に確認してから検討しましょう。
介護福祉士
介護福祉士は介護職で唯一の国家資格です。
介護における専門的知識があるという証明になり、給与面や就職の際にも有利になってきます。
その分、受験資格を手に入れるための条件が他の資格と比べて厳しく、実務者研修の修了と実務経験が3年以上あることが要件です。
令和5年度の介護福祉士資格試験について
介護福祉士資格試験は年1回の実施であるため、試験時期の把握や研修時期の調整が重要です。
例年受験申し込みが8月中旬から9月中旬、1月の最後の日曜日に筆記試験、3月の第1日曜日に実技試験が行われます。
ここで紹介している内容は、公益財団法人「社会福祉振興・試験センター」を参考にしているので、くわしくは公式サイトをご覧ください。
【第36回試験(令和5年度・予定)】
受験申込期間 | 令和5年8月上旬~9月上旬 |
---|---|
筆記試験 | 令和6年1月下旬(最終週日曜日) |
実技試験 | 令和6年3月上旬(第1日曜日) |
受験料 | 一律18,380円 |
筆記試験について
出題形式はすべて5肢択一式で、5つの選択肢の中から1つを回答する形式になります。
試験時間が合計3時間40分なので、集中力や体力の配分が大切です。
試験概要
試験時間 | 10:00~11:50 / 13:45~15:35 (合計3時間40分) |
---|---|
試験場所 | 筆記試験 35都道府県 |
【筆記試験 125点満点】
※11科目群でそれぞれ最低1問は正解すること
試験科目 | 問題数 |
---|---|
人間に尊厳と自立+介護の基本 | 2+10 |
人間関係とコミュニケーション+コミュニケーション技術 | 2+8 |
社会の理解 | 12 |
生活支援技術 | 26 |
介護過程 | 8 |
発達と老化の理解 | 8 |
認知症の理解 | 10 |
障害の理解 | 10 |
こころとからだのしくみ | 12 |
医療的ケア | 5 |
合計 | 125問 |
実技試験について
介護福祉士試験の実技試験は、実務者研修や介護技術講習を修了することで免除になるため、ほとんどのルートで実技試験は免除になります。
実技試験を受ける必要があるのは、福祉系高校ルートで福祉系特例高校を卒業した場合です。
内容としては、出題範囲から選択された分野に関して5分程度の実技演習を行うというものです。
介護の原則 | 安全・安楽 |
---|---|
自立支援 | |
個人の尊厳 | |
健康状況の把握 | 利用者の健康状況の把握 |
介護者の健康管理 | |
環境整備 | 室内環境 |
ベッド | |
身体介護 | 体位と体位変換 |
移乗動作 | |
移動・歩行介助 | |
食事の介助 | |
排泄の介助 | |
保清の介助 | |
衣服の着脱 | |
整容の介助 |
試験の難易度について
年度によって変動がありますが、合格率は例年60~70%ほどできちんと対策をしていれば合格することは難しくない試験内容です。
さまざまな模擬問題集や模擬試験があるので、本番のシミュレーションのために取り組んでおくのがおすすめです。
介護福祉士取得後の働き方
介護福祉士資格を取得するためには時間や費用の面でコストがかかりますが、長期的に見るとより良い条件で働くことが可能になります。
ここでは、介護福祉士資格を取得することでどのような働き方ができるようになるのかを紹介します。
給与面について
【介護職員の平均給与額(月給・常勤の者)、保有資格別】
保有資格 | 平均給与額 |
---|---|
保有資格なし | 271,260円 |
初任者研修 | 300,510円 |
実務者研修 | 307,330円 |
介護福祉士 | 328,720円 |
※参照:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」第98表
介護福祉士の資格を取得することで、無資格の職員と比較して月給に5万円、実務者研修の職員と比較して2万円もの差が生まれてきます。
介護福祉士を取得した職員は、専門性が高くリーダー職や指導係などの役割を任されるため、手当がつきやすい傾向があります。
キャリアパスについて
介護福祉士の資格を取得することで、さらに専門的な介護職や管理職へのキャリアアップが可能になります。
【上位職の一例】
施設長・管理者 | 施設や事業所の管理、運営の業務を担当 |
---|---|
ケアマネージャー(介護支援専門員) | ケアプランの作成 |
生活相談員 | 利用者や家族の相談窓口 |
認定介護福祉士 | 介護福祉士の上位資格 |
上位職では現場で介護をするよりも事務的な手続きや管理が主な業務になり、身体的な負担は軽くなる傾向があります。
そのため、これらの上位職は年齢を経ても長く続けやすいのが大きなメリットです。
まとめ
介護士とは介護従事者全般を指す言葉で、介護福祉士と混同されることがありますが、厳密には違う意味の言葉です。
介護福祉士は介護職唯一の国家資格で、取得することで転職やキャリアアップに有利になり、さまざまな役職に挑戦することが可能になります。
介護福祉士の資格取得のためには実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルートの3つのルートが存在しますが、社会人の方には実務経験ルートがおすすめです。
無資格・未経験から介護の仕事に挑戦したい場合は、まずは初任者研修を受講するか資格取得支援制度のある事業所で働くことが向いています。
介護福祉士資格試験は合格率60~70%ほどの国家資格で、しっかり対策と勉強をしていけば決してハードルの高い資格ではありません。
資格の取得方法を理解していれば、ほかの職業からでも介護職にチャレンジできるので、介護に挑戦したいという意欲のある方はぜひ挑戦してみてください。
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