2015年に労働者派遣法が改正されたのをきっかけに、派遣の「抵触日」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
その後、メディアでは「2018年問題」が取りざたされ、2018年になったら大量の「派遣切り」や「雇い止め」が発生するといった不安をあおるニュースも報じられました。
派遣社員にとって抵触日とは一体どんな日なのでしょうか。
ここでは抵触日の意味と、いざ抵触日を迎えたらどのような状況になるのかについて解説します。
- 抵触日が近付いたらやるべきことを派遣会社に相談するのがおすすめ
- 抵触日を迎えると、同じ派遣先企業では働けません。そのため、抵触日を迎える前に次の派遣先企業を見つけておくことが大切です。
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目次
抵触日とは?
そもそも、抵触日とは何かを説明しましょう。
派遣の働き方や利用は、臨時的・一時的なものであるという考えがを原則とし、常用代替を防止、派遣労働者の雇用安定やキャリアアップを図るために抵触日が設けられています。
また、労働者派遣法で同じ職場で3年を超えて働くことができないと定められました。(3年ルール)
3年ルールとは何か、何故このようなルールができたのかは「派遣3年ルールの概要は?メリット・デメリットや働き方6つのコツを紹介」で解説していますので、興味がある方は是非ご覧ください。
そして、「抵触日」とは、この派遣期間(3年)が切れた翌日のことです。
たとえば、抵触日が4月1日であれば、派遣社員として働けるのは3月31日までということになります。
抵触日を迎えても、同じ職場で働いてしまうと違法となるので注意が必要です。
もし、抵触日を過ぎても働いてしまったらどうなるかをこちらの「抵触日を迎えたらどうなるの?」で紹介しているので、是非ご確認ください。
自分の抵触日が分からない方は就業条件明示書を見るか、派遣会社の担当者に聞いて確認をしておきましょう。
派遣期間の制限を受けない場合もある
派遣で働く全ての方に抵触日があるわけではなく、条件によっては制限を受けない方もいます。
その条件を下記のいずれかに当てはまる方です。
- 派遣元事業主で無期雇用されている
- 60歳以上
- 事業の開始や転換、拡大、事業廃止などの有期プロジェクトで一定期間内に完了する
- 日数限定業務(1ヶ月間に行う日数が通常労働者より少なく、月10日以下)
- 産前産後休業や育児・介護休業などを取得する労働者の代替業務
自分の労働条件や業務内容を確認し、抵触日があるかを知っておいてください。
抵触日には「事業所単位」と「個人単位」の2つがある
抵触日には2つの考え方があり、1つが「事業所単位」で、もう1つが「個人単位」です。それぞれの違いをしっかり理解しておきましょう。
「事業所単位」の接触日
事業所単位での派遣期間制限について「同一の派遣先に対して、労働者を派遣できる期間は3年を限度とする」と定められています。
この派遣期間制限の切れた翌日が抵触日です。
抵触日を迎えると、たとえ個人単位で抵触日まで猶予がある派遣スタッフであっても、その事業所では受け入れることができません。
ただし、事業所内の過半数労働組合(なければ過半数代表者)に対して抵触日の1ヶ月前までに意見聴取を行うことで、派遣期間を延長することは可能です。
派遣先企業は派遣会社と労働者派遣契約を締結するにあたり、事業所単位の抵触日を通知する義務があります。
「個人単位」の抵触日
個人単位の派遣期間制限では「派遣社員が同一の組織で働くことができる期間は3年が限度まで」と定められており、その派遣期間制限の切れた翌日が抵触日となります。
しかし、事業所単位の期間制限は個人単位の期間制限よりも優先されるため、人によっては就業期間が3年未満になる可能性も考えられるでしょう。
たとえば、派遣先企業A社の派遣可能期間が2017年10月1日から2020年9月30日までの3年間だったとします。
もし派遣社員のBさんがA社で2018年の10月1日から就業したとすると、本来であれば2021年9月30日まで働ける計算になります。
ところが実際は、2020年9月30日でA社の派遣期間制限が切れるため、Bさんは正味2年間しか働けません。
ただし、A社が派遣期間延長を申請した場合は、Bさんは個人単位の抵触日である2021年9月30日まで働くことができます。
派遣会社は、派遣契約を締結する際に、派遣社員へ抵触日を知らせる必要があります。
抵触日を迎えたらどうなるの?
抵触日を迎えたときの選択肢は次の3つです。
派遣先企業に直接雇用される
派遣先企業が引き続きその派遣スタッフに働いてもらいたいと申し出た場合、本人が希望すれば直接雇用として働くことができます。
しかし、直接雇用には正社員だけでなく、契約社員やパート社員なども含まれるため、必ずしも派遣社員より待遇面がよくなるとは限りません。
派遣先企業に直接雇用を打診されたら、雇用形態や条件面などをよく確認してから決めましょう。
同じ派遣先の別の課で働く
派遣の期間制限で定められた「同一の組織」とは、課やグループのことを意味します。
つまり、同じ派遣先企業であっても、別の部署であれば新たに就業することは可能です。
たとえばA課からB課に異動した場合、B課でさらに3年間働くことができます。
しかし、同じ会社であっても課が変われば業務内容も大きく異なるため、これまで培ってきた経験やスキルを活かせる仕事に就けるとは限りません。
別の派遣先で働く
たとえ派遣先が変わるとしても、同じ業務内容でキャリアを積んでいきたいと考えるのであれば、派遣会社から別の仕事を紹介してもらう選択肢があります。
同じ派遣先で同じ業務内容の仕事に就きたい場合は、紹介予定派遣を検討してみるのも1つの手です。
契約期間以降をどうしたいのか、派遣会社に相談しよう
抵触日についてわからないことがある場合や、契約期間後のキャリアプランについて悩みがあれば、派遣会社の担当者へ気軽に相談してみましょう。
直接雇用を希望する場合、派遣会社から派遣先企業への直接雇用を依頼することも可能です。
直接雇用が成立せず、引き続き派遣社員として就業したい場合、部署を変わっても同じ会社で働きたいのか、会社が変わっても同じような業種の仕事をしたいかによって、派遣先から紹介される仕事の内容が変わってきます。
今後のキャリアアップのためにも、前もってしっかり話し合っておきましょう。
法改正と抵触日
「抵触日とは?」で話したように、改正労働者派遣法によって派遣労働者は業種に関わらず、同一の組織で派遣社員として働ける期間は3年間と定められ、抵触日はその派遣期間が切れた翌日のことです。
2015年9月30日法改正が行われました。
その3年後となる2018年10月1日以降、派遣可能期間に抵触するのを理由として、多くの派遣労働者が契約を打ち切られるのではないかと懸念されています。
これがいわゆる「2018年問題」です。
そもそも今回の派遣法改正は、国が不安定な有期雇用の解消を目指したものであり、正社員として直接雇用してほしいという理由から施行されました。
2018年から多くの企業では、人員整理に着手する動きが目立ってきました。
憂慮しすぎることはありませんが、自分の身を守るためにも、派遣法の知識を身につけておくことは非常に重要なことです。
労働者派遣法の基礎知識
抵触日をくわしく理解するためには、派遣社員が関わる法律(労働者派遣法)についても正しく知っておく必要があります。
現在派遣社員として働いている、もしくは派遣で働くことを検討しているのであれば、この機会に基本的な知識を身につけておきましょう。
労働者派遣法とは?
労働者派遣法とは1986年に施行された法律です。
派遣法の誕生を皮切りに日本の人材派遣は始まりました。時代の流れとともに何度も改正がなされています。
2015年には、労働者の保護を強化する内容を盛り込んだ「改正労働者派遣法」が制定されました。
労働派遣法については、こちらの「派遣法の基本をわかりやすく解説!これまで行われた法改正についても紹介」でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
改正労働者派遣法の3つのポイント
改正労働者派遣法の主なポイントは次の3つです。
(1)すべての労働者派遣事業が許可制へ
これまでの労働者派遣事業は一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)の2つに分かれていました。
しかし、許可要件を満たせないため、特定労働者派遣事業と偽る事業者があったのも事実です。
そこで、新たな許可基準が設けられ、一定の基準を満たした事業所だけが派遣事業に従事できることになりました。
平成30年9月30日以降、特定派遣のままで労働者派遣事業への切替え申請を行なっていない事業所は、派遣事業を行えなくなります。
(2)派遣労働者の期間制限を原則上限3年に
改正前の派遣法では、派遣業務を特定の26業務(のちに28業務に再編成)と自由化業務とで区別していました。
そのため、専門的な知識やスキルを必要とする26業種には雇用期間の定めがありませんでした。
しかし、どの業務が専門業種に該当するのかを判断するのが難しく、現場の混乱を招いていたのです。
法改正後は専門26業務が廃止され、すべての派遣労働者が、同じ組織で働ける期間制限を上限3年間に統一しました。
ただし、派遣元で無期雇用されている派遣労働者や、60歳以上の派遣労働者には適用されません。
(3)キャリアアップ措置
派遣会社から派遣スタッフに対して、計画的な教育訓練やキャリア・コンサルティングの実施が義務付けられました。
これらの措置によって、派遣労働者のキャリアアップを促進するのが狙いです。
まとめ
派遣社員は同じ組織で最長3年までしか働くことができないルールがあります。
抵触日とは、その派遣期間が切れた翌日のことです。
そして、抵触日には事業所単位と個人単位の2つがあり、事業所単位が優先されます。
状況によっては3年を待たずに抵触日が訪れることがあるため、両方の抵触日をきちんと把握しておきましょう。
抵触日を迎えたら同一の組織で働き続けることができなくなるので、あらかじめ派遣期間が終了したあとのキャリアプランについて考えておく必要があります。
将来の働き方で悩んだら、1人で悩まず派遣会社の担当に相談しましょう。
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安心してご相談ください。
参考サイト
- 抵触日を迎える前に派遣会社に相談を!早めの行動で安定した就職を
- 抵触日を迎えると、直接雇用に切り替えるか、同じ企業の別の課に移るか、別の派遣先を探すかの3つの選択肢がありました。ですが、いずれにしても派遣会社の担当者に相談してください。
派遣会社ウィルオブでは、それまでのスキルを考慮した求人を提案させていただきますので、希望条件ややりたい仕事をお話しください。
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