QAエンジニアの仕事内容とは? 必要なスキルや将来性を解説

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この記事でわかること

  • QAエンジニアの仕事内容はどのようなものか
  • QAエンジニアの需要と将来性
  • QAエンジニア求められるスキルと役立つ資格
編集者プロフィール
ウィルオブテック事業部
上松 大輝

過去に4年ほど、SEとしてシステム開発やネットワーク構築業務に従事。その後、エンジニアの転職を支援するウィルオブテックで求職者さまのキャリア支援を担当。過去のエンジニア経験を活かし、現場感に沿った具体的なキャリアの提案が得意。

QAエンジニアは高い需要を維持している専門職です。さまざまな業界の企業が今日、QAエンジニアの人材を募集しています。そうした状況に際して「具体的な仕事内容や必要スキルを詳しく知りたい」と思う人も少なくないでしょう。

本記事では、QAエンジニアの仕事内容や求められるスキル、そして将来性などまで詳しく解説します。

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QAエンジニアとは?

QAはQuality Assuranceの略で、品質保証という意味です。

そのためQAエンジニアは「品質管理エンジニア」とも呼ばれます。基本的には、自社が開発したシステム・ソフトウェア・アプリケーションについて「品質評価と分析を行い、問題なく機能することを保証する」という仕事を担います。

人の手で作ったシステムには、ヒューマンエラーの発生する可能性が常に含まれています。そうした可能性を残したままシステムをリリースした場合、ユーザーやクライアント企業の利益を損ね、クレームが発生するなどの事態へつながります。

このようなことを引き起こさないよう、QAエンジニアは完成品を徹底的にチェックします。つまりQAエンジニアは、「公開前・納品前の製品に問題がないことを保証する」という、大きな責任を持っている職種なのです。

テストエンジニアとの違い

テストエンジニアは、システムやアプリケーションの「動作チェック・バグの洗い出し・耐久性の確認」などを行う仕事です。QAエンジニアと仕事内容が似ているため混同されやすいですが、双方にはさまざまな違いがあります。

まず、テストを実施するタイミングがそれぞれ異なります。QAエンジニアが、「開発を終えた完成品」のテストを行うのに対し、テストエンジニアは「開発過程にある製品」の動作テストや耐久性チェックを行います

このように、テストエンジニアの仕事は、開発中のシステムを対象とします。またテスト仕様書に基づき、動作の不具合やバグを検出することが主なチェック方法です。

対してQAエンジニアの対象は、完成したシステムです。そして実際のユーザーの使用環境を再現するなどして、「ユーザー目線からのテスト」を実施します。「動作不良やバグがないか」というチェックに加え、「ユーザーから見て使い勝手はどうか・全体的に満足のいく仕上がりになっているか」といったことも含め、リリース直前の最終チェックを行います。

QAエンジニアがきついと言われる理由

インターネットでリサーチすると、「QAエンジニアの仕事はきつい」などの情報を目にすることがあります。「きつい」と言われる理由は下記のようなものです。

まず、QAエンジニアの業務は「製品の完成後」に始まります。したがって必然的に、「製品の納期が目前に迫っている期間」にテスト業務を完遂せねばならない、というケースが少なくありません。そのため残業時間も増えやすくなり、結果「きつい」と言われることも多くなります。

またQAエンジニアの仕事は、「単調な作業の繰り返し」が主です。同様のテストを正確に繰り返さなければならないので、「地味で面白味がない」と感じる人もいるでしょう。結果、「きつい・つまらない」と言われることが多くなります。

QAエンジニアの仕事内容

QAエンジニアの仕事内容
QAエンジニアは、品質保証テストを「設計・企画」し、実際にそのテストを「実行・分析」します。その後、「フィードバック・改修」まで行います。このように、段階を分けて業務内容をイメージすると、QAエンジニアの仕事を理解しやすくなります。

なお、「改修」に関しては、QAエンジニアが対応せず開発担当に任せるケースもあります。

テストの設計・計画

品質保証に必要なテストの設計や計画を担当します。「どのように品質を検証するのか」「どのようなテストをどう実行するのか」といったことを決め、計画を作成します。

検証に用いる基準もあらかじめ決め、「テスト仕様書の内容に漏れや抜けがないか」もチェックしなくてはなりません。また、計画的にテストを進めるためのスケジュールも組みます。このスケジュールにミスがあると、納期に間に合わなくなる恐れも生じるので、細心の注意が必要です。

テストの実行・分析

テスト仕様書や設計書に基づき、検証を実施します。「要件通りに仕上がっているか・問題なく動作するか・脆弱性がないか」といったところをチェックします。

QAエンジニアの特徴として、不具合やバグだけでなく、「ユーザビリティに問題がないか」もチェックしなくてはなりません。例えば「ユーザーの快適性を損ねる仕上がりになっていないか」「ユーザーのストレスにならない速度で動作するか」などの確認が必要です。

問題点が見つかったら、「どのような操作を行うと、どういった問題が生じるか」を再現して記録します。

フィードバック・改修

検出した不具合・バグ、そのほかの問題点をレポートにまとめて提出します。基本的には「このレポートを、開発部門や担当エンジニアに提出するまで」が、QAエンジニアの業務領域です。

ただ企業によっては、「不具合の分析・改善策の立案」まで引き続きQAエンジニアが行い、レポーティングするケースもあります。また、軽微な不具合であれば、上長や担当エンジニアに報告の上、QAエンジニアが自分で改修を行うこともあります。

QAエンジニアの年収

QAエンジニアの年収は、本人の「スキルや経験・資格の有無」や、「勤務先との契約内容」などによって大きく変わります。ただ求人専門検索エンジンである「indeed」が公開しているデータによれば、2022年5月現在、QAエンジニアの平均年収は約560万円前後です。

参照元:indeed「QAエンジニアの平均年収・給与

しかし一般には、300~500万円など、幅の広い範囲で平均年収が想定されています。上記のように、本人・勤務先の持つさまざまな要素が条件となり、年収は大きく変化するためです。500万円などの金額は、あくまで目安として覚えておくに留めましょう。

加えて、QAエンジニアとして実績を積みキャリアアップすれば、さらに高い年収を狙える可能性があります。考えられるキャリアパスとしては、「QAマネージャー・QAコンサルタント・シニアQAマネージャー・プロジェクトマネージャー」などです。

▼プロジェクトマネージャーの転職については
こちらのプロジェクトマネージャーに転職するには? 向いている人や将来性を解説でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。

QAエンジニアの需要と将来性

求人サイトで「QAエンジニア」と検索すれば、数百件の求人がヒットするでしょう。つまり、たしかな需要がある職業です。また、ユーザー目線で品質保証を行えるQAエンジニアはAIなどによる代用がきかないため、将来性も期待できます。

QAエンジニアの需要

品質の低い製品をリリースしてしまうと、ユーザー・クライアント企業の満足度低下につながります。

特に、情報社会化した現代では、ネガティブな情報はまたたく間に拡散します。「使いづらく、不具合も残ったままのシステムを販売する企業」という悪評が自社についてしまうことを防ぐには、納品・公開前の品質管理を徹底することが重要です。

このような背景もあり、「品質保証のスペシャリスト」であるQAエンジニアについて、高い需要が生まれています。このため今日では、多くのQAエンジニアの求人情報が常に出回っています。

また、システム・アプリケーション開発会社が増加し、同業種内での競争も激化しています。どの企業も、「よりよい製品をユーザーの下に届けたい」と考えるため、必然的にQAエンジニアの需要が高まっているのです。

QAエンジニアの将来性

どんなシステム・サービスでも品質管理業務は重要です。したがって今後もQAエンジニアの需要が下がらず、逆に高まると考えられています。

今日、AIやIoT分野における開発がますます盛んになっているため、多くの企業が「AI・IoT分野で豊富な知識・経験を培ったQAエンジニア」を求めています。

昨今、AIやRPAなどの技術を導入している企業では、テスト業務の自動化を進めています。こうした自動化技術も、QAエンジニアの立場を脅かすものではありません。

もちろん、単純に不具合やバグを発見するだけなら、AIやRPAでも可能です。しかしそこから一歩踏み込み、「ユーザー目線での検証」を徹底した上で品質保証を行うのは、やはり人間のQAエンジニアでなければ不可能だからです。
逆に言えば、QAエンジニアが自分の価値を保つためにも、「ユーザーが使用したときどう感じるのか・使いやすいのか・ストレスに感じないだろうか」を細やかにイメージしつつ、徹底した検証を進められるスキルを磨くことが、今後より重要になっていくと考えられます。

QAエンジニアに求められるスキル

QAエンジニアに求められるスキルは、「プログラミングスキル・ソフトウェア開発・テスト技法に関する知識」などであり、加えてコミュニケーションスキルも必要です。

不具合対応のためのプログラミングスキル

QAエンジニアの仕事はあくまで品質保証であるため、本格的なプログラミングを行うことはほとんどありません。
ただ、システムやアプリケーションはプログラミングによって制作されています。そのため問題をスムーズに見つけるためには、プログラミングスキルが必要です。

また、軽微な不具合・バグは、わざわざ開発工程へ差し戻すと大きなロスが生じるため、QAエンジニアが直接修正を行うケースもあります。このようなときも、プログラミングスキルが求められます。

ソフトウェア開発の知識

「開発工程に問題があったために、不具合発生につながっている」というケースに遭遇することも少なくありません。こうした際、速やかに問題を特定するには、「ソフトウェア開発の流れ・プロセス」に関する知識が必要です。

開発工程を見直したり改善を施したりすることは、開発部門の仕事です。しかしQAエンジニアも、改善案の提案を求められるケースはあります。ソフトウェア開発の知識があれば、こうした場合にも適切な返答が可能です。

テスト技法に関する知識

QAエンジニアの業務では、「結合テスト・シナリオテスト・運用テスト」など、工程ごとに異なるテスト技法を用います。そのためさまざまなテスト技法の知識が不可欠です。

また、専用ツールを用いてテストを行うこともあるため、それらテスト用ツールの扱い方も知っておかねばなりません。知識として知っているだけでなく、現場で使いこなせるだけの技量が求められます。

的確に問題を伝えるコミュニケーションスキル

QAエンジニアには、コミュニケーションスキルも必要です。複数部門にまたがり、さまざまな人と関わりを持つからです。他部門のスタッフや、他専門職のスタッフとも円滑にやり取りを行う機会も少なくないでしょう。

そうした際に備え、「伝えるべき事柄を、誰にでも正しく伝えられる能力」を持っていなくてはなりません。

また、クライアント企業に説明を求められることもあります。この場合は、物事を論理的に伝えられる力に加えて、基本的なビジネスマナーも必要です。

マネージメントスキルも求められる

一般的なQAエンジニアには必要ありませんが、立場によってはマネージメントスキルも求められます。例えば「現場リーダー」を務めるなら、他のQAエンジニアたちを管理したり、チーム全体のタスク進捗を管理・調整したりしなくてはなりません。

また、品質保証の国際規格であるISO 9001の知識が必要となるケースもあります。開発内容によっては、「ISO 9001の知識が必須」となることもあるため注意してください。

▼QAエンジニアの転職については
こちらのQAエンジニアに転職! キャリアパスや転職のポイントを解説でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。

QAエンジニアに役立つ資格

QAエンジニアとして働くなら、「JSTQB認定テスト技術者」「ソフトウェア品質技術者」の資格を取得したり、「QC検定」に合格したりしておくことが有益です。

スキルを証明するJSTQB認定テスト技術者資格

JSTQB認定テスト技術者資格は、一般財団法人「日本科学技術連盟」が実施している試験です。

この資格を取得しておけば、「QAエンジニアとして確かな実力を有している」と海外でも証明できるため、グローバルに活躍したい人には、特におすすめの資格です。

試験では「ソフトウェアの品質に関する知識」が問われます。出題数や難易度により3つのレベルに分けられていますが、日本ではFoundation LevelとAdvanced Levelしか受験できません。

品質向上のためのソフトウェア品質技術者資格認定

「ソフトウェア品質を向上させる技術」を高めるために実施されている試験です。

こちらも日本科学技術連盟が主催で、「初級・中級・上級」の3レベルに分かれています。試験内容の特徴は、「ソフトウェアの品質に関する、幅広い知識を問われること」です。

なお、初級を受験しなくても、中級から受験できます。また「レベルによって年間の受験可能回数が異なる」という点には注意が必要です。

日本の業界内における知名度や人気は高く、QAエンジニアに取得を推進している企業や、「取得必須」としている企業も少なくありません。

基本的な品質管理に関するQC検定

QC検定では、「品質管理の基本的な知識」が問われます。主催は一般財団法人「日本規格協会」です。

1~4級までレベル分けされています。なお、2022年9月より「準1級」判定も、正式な合格基準として設定される予定です。

参照元:日本規格協会 品質管理検定センター 「準1級 設置に伴う、制度・運営方法の変更の概要

学習過程において、「品質管理手法の基本」をしっかりと学べるため、基礎固めに最適です。QAエンジニアを目指す人はもちろん、品質管理の基本から学びたい人にも適した試験です。

なお2~4級に合格していなくても、1級を受験可能です。レベルに関わらず、毎年2回までしか受験できないため、QAエンジニアを目指すのなら最初から1級を受験するのもよいでしょう。

まとめ

QAエンジニアは需要が高く、将来性にも期待できる職業です。「世の中により良質なシステムやサービスを送り出すための仕事」であり、その分やりがい・責任も大きい職種です。QAエンジニアへの就職や転職を志望しているなら、なるべく早めに資格取得に向けて動き出しましょう。

また特に、QAエンジニアへの「転職」を目指すなら、転職エージェントの利用も有効です。

なるべく、QAエンジニア求人をはじめとした、IT関連求人を豊富に扱うエージェントを探してください。そうしたエージェントに相談することで、自分の条件にマッチしたQAエンジニア求人に出会える可能性が高まります。

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よくある質問

QAエンジニアの需要について教えてください。

はい。需要があると言えるでしょう。ユーザー目線で品質保証を行えるQAエンジニアはAIなどによる代用がきかないため、将来性も期待できます。詳細は「QAエンジニアの需要と将来性」で説明しているので確認ください。

QAエンジニアに求められるスキルを教えてください。

QAエンジニアに求められるスキルは、「プログラミングスキル」「ソフトウェア開発」「テスト技法に関する知識」などであり、加えて「コミュニケーションスキル」も必要です。詳細は「QAエンジニアに求められるスキル」で説明しているので確認ください。

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