結婚式や出産などの祝い事、お葬式といった不幸の時に使える「慶弔休暇」。すでに取得を経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はこの制度、企業によって規定がさまざまなことをご存知でしたか?
人生の中でそう度々あることではないですが、いざという時のために、使えるシーンや考え方について確認しておきましょう。
目次
慶弔休暇とは?
「慶弔休暇(けいちょうきゅうか)」とは、自分自身や近親者の慶事(結婚・出産)、近親者の弔事(葬式)の際に取得できる休暇のことです。
多くの企業で取り入れられていますが、実は法労働基準法で定められた法定の休暇ではありません。
「慶弔休暇」は「育児休暇」や「リフレッシュ休暇」と同様、会社が独自に設定する、任意の特別休暇なのです。
したがって「慶弔休暇」の有無や休暇の日数は企業によって異なります。
慶弔休暇の有効期限は?
とくに法定の休暇ではないので、慶弔休暇の有効期限などを設定するのは会社になります。
有効期限を設定するのであれば、一般的には半年から1年くらいが多いです。
結婚式や出産が申請した日から大幅に変更されたり、入籍、結婚式、新婚旅行を分散して取得したい人もいるため、休暇を定めにくいということもあって有効期限が長めに設定されています。
一方、葬儀に関しては親族が亡くなった日から1週間以内など短い期限の場合があるので、会社の規則をよく確認をしておきましょう。
慶弔休暇は有給扱い?土日を含む場合も申請する?
結果から言えば、会社の業務規則によります。
前述でも述べましたが、慶弔休暇とは、労働基準法で定められているわけではありません。
務める会社の就業規則で記載がある内容がすべてとなりますので、有給扱いになるのかを確認しておきましょう。
また、公休(土日祝日など)が含まれている場合も、業務規則に沿って申請する必要があります。
申請の前にまずは就業規則に目を通しての確認、上司への確認をしておきましょう。
慶弔休暇は公務員やパートにもある?
公務員に関しましては、自治体によって規則や日数が変わってきます。
一方のパートやアルバイトですが、こちらは務める会社の規則によって異なります。
というのも、パートやアルバイトとは元よりシフトの調整ができるものです。
そのため、慶弔休暇が欲しいと言われればその日を休みにして対応という形にする会社もあります。
もちろん、すべてがないというわけではなく、求人情報を見たときに「福利厚生」の部分で慶弔休暇と記載がある場合は慶弔休暇をもらうことができます。
日数についても就業規則を読んでおきましょう。
入社後すぐにでももらえる?
会社によって取れるか取れないかは異なります。
特別なことなので、理由をしっかり説明すれば取れる場合が比較的多いです。
しかし、取れたとしても入社後すぐとなると慶弔休暇扱いにはできないが、有給か欠勤扱いなら可能という会社もあるでしょう。
もし、結婚式など控えている場合は入社を遅らせるか、事前に会社の方へ事情を話してどうするべきかを相談しておくことが大切です。
直前で話すといった対応は印象を悪くしてしまう恐れがあります。
入社後というものは会社の規則などがまだ把握しきれていない状態です。
「ネットにこう書いてあった」「前の会社でこうだった」などの憶測で判断するのではなく、必ず会社へ相談することを心がけてください。
関係性と日数
「慶弔休暇」に法的な規定はありませんが、一般的には何日程度休暇を取得できるのでしょうか?
また、どの範囲までを親族として、慶弔休暇の申請ができるのか確認してみましょう。
慶事休暇
内容 | 日数 |
---|---|
社員本人が結婚 | 5日 |
社員の子供が結婚 | 2日 |
社員の配偶者が出産 | 2日 |
*女性社員本人が出産する場合…法労働基準法で定められた「法定休暇」の産前産後休暇の申請でも可能。
弔事休暇
内容 | 日数 |
---|---|
0親等が死亡の場合(配偶者) | 10日 |
1親等が死亡の場合(父母、子供、配偶者の父母) | 5~7日 |
2親等が死亡の場合(祖父母、兄弟姉妹) | 2~3日 |
3親等以上が死亡の場合(曾祖父母、伯叔父母、甥姪など) | 会社による |
遠縁の親戚が死亡の場合 | 1日 |
*葬儀や法事などが遠方で行われる場合は、その往復に必要な日数を加算されることも。
例外となるケース
忌引き休暇期間は、企業が設定したものです。
故人への思いは人それぞれであり、企業へそういった心境を伝えれば、規定より多い日数の休暇を取得できる可能があります。
さらに、喪主を務める場合や遠方での葬儀に参列した場合には、規定よりも長く休暇が認められることもあるようです。
一方で、会社によっては三親等以上の関係性(叔父・叔母、曾祖父母など)の場合、忌引き休暇の取得を認めていない会社もあります。
取得しなくても良いの?
もし慶弔休暇制度を利用せずに、冠婚葬祭の参列のために会社を休んだ場合、勤怠上は「欠勤」となる場合があります。
特に忌引きは事前に予定されていないため、突然の欠勤で周囲に迷惑がかかってしまうかもしれません。
利用できる制度があれば、休む権利の根拠として慶弔休暇制度を利用することをおすすめします。
慶弔休暇の申請・証明
慶弔休暇は会社の就業規則によって規則が変わるので、申請や証明書の提出などに関しましてもその規則の確認をし、その通りの手順で用意するのがベストです。
慶弔休暇がある会社であれば、手続きはメールだけで済むのか、口頭でも説明が必要か、必要な書類は何か、報告すべき内容は何かなど細かく書いてあるかと思われます。
もし、そういった内容の記載が見つからない場合は、上司へ相談をしましょう。
会社によっては事前に用意するものもあるかもしれないので、余裕をもって行動することが好ましいです。
ですが、突然の訃報などでそういった時間がない場合には、上司へきちんと事情を説明し、後からの申請でも良いか相談をするのが一番問題なく解決します。
新婚旅行も慶弔休暇で取得可能?
「慶弔休暇の有効期限は?」で述べたように慶弔休暇には有効期限というものを設定するのは会社であり、その使い方も会社によって変わってきます。
慶弔休暇の日数内であれば良いという会社もあれば、新婚旅行は有給でしか認めないというところがあるかもしれません。
新婚旅行は会社と話し合って根回しをしておくことが重要
もし、慶弔休暇で取得できたとしても、突然「〇日から1週間、新婚旅行のための休暇をいただければと思います」と言われても、会社側は困ってしまいます。
社員が1週間いないという状況は会社の業務が滞ってしまう可能性もあるため、日数や時期などについても含め、会社側と話し合いをしておきましょう。
たとえば、新婚旅行へ行く時期が会社の繁忙期だった場合、ただでさえ忙しいのに一人分の業務の肩代わりをしなければならないので、他の社員に迷惑をかけてしまいます。
会社の繁忙期を避けた比較的余裕ができる時期で計画を立てると周りに迷惑をかけることなく、心置きなく新婚旅行を楽しめます。
自分の業務についても周りへ頼んだり、少しでも業務を片付けておくために前倒しで業務を進めるなどの根回しも必要です。
いかに会社や周りに迷惑をかけないようにするか、復帰後に自分にかかる負担をなるべく減らしておけるかなど、長期休暇を取る際にはそういった会社との密な話し合いや周りへの根回しなどの事前準備が重要となることを覚えておきましょう。
慶弔休暇を取得したら気をつけておくと良いこと
事情があって休むので、その期間は自分がいないことを意識しましょう。
自分がいなくても会社や同僚が困らないように配慮することは重要であり、社会人のマナーとして当然のことと言えます。
ここでは、慶弔休暇を取得するときに心がけておくことを紹介します。
就業規則を確認する
「慶弔休暇」については、就業規則を読んでおくことが重要です。
取得のタイミングや日数などを見直し、上司や人事部などに確認をしましょう。
さらに、慶弔休暇が有給か無給かも、会社によって異なります。書類の提出を求められることもありますので、準備をしておきましょう。
慶弔休暇の申請は早めに
「慶弔休暇」の申請は早めに行う方が良いでしょう。
結婚式の場合は日取りが決まっているため、事前に書面で申請しておきます。
出産は、予定日の通りに生まれてきてくれることが少ないため、すぐに連絡ができるよう準備しておきましょう。
忌引き休暇は口頭などでなるべく早く連絡しましょう。
まずはどういった続柄の方が亡くなったのか、通夜・告別式の日時、休暇を取得する期間はいつかを伝えます。
書面に残すため、メールを送ることも大切ですが、まずは口頭で事実を伝えることが優先です。
「慶弔休暇」明けは、まず挨拶を
慶弔休暇明けで復帰する際には、サポートしてくれた方へ感謝の気持ちを伝えることが大切です。
上司や同僚に、慶事・弔事が滞りなく終えられたことに対するお礼、不在時に対応していただいた感謝の気持ちを伝えましょう。
菓子折りなどを持参し、上司や同僚にカバーしてもらったお礼と、今日からまたがんばって働くという意思を伝えることで、礼儀正しい印象を持ってもらうことができます。
まとめ
何かあったときに活用する慶弔休暇は、いざ使うとなった時にどうすればいいのか分からないことが多くあります。
利用する機会が少ない制度だからこそ、事前に調べておくことでスムーズに手続きや申請が進められます。
会社の就業規則によって違うからこそ、自分の会社ではどのような扱いになっているか確認することをおすすめします。
慶弔休暇の意味や仕組み、取得方法を知り、会社に迷惑がかからないように心がけましょう。