全国に人材派遣会社の事業所は、大きいものから小さいものまで全国に7万所以上あると言われています。派遣会社の数が多すぎて、どの派遣会社を選べばいいか迷ってしまう人も多いかもしれません。
たとえば大手と規模の小さな中小派遣会社では、どちらがいいのでしょうか。いずれもそれぞれの良さがあり、最終的には自分に合った派遣会社を選ぶことが大切です。ここでは、派遣会社をタイプ別に比較して、特徴やメリット・デメリットをみていきます。ぜひ派遣会社を選ぶ際の参考にしてください。
目次
派遣会社の種類
一口に派遣会社と言ってもいろいろな種類があります。いわゆる大手と呼ばれるところから、特定の業種や職種に特化したもの、地域密着型のものまでさまざまです。ここでは代表的なものをご紹介しましょう。
大手派遣会社
テレビCMなどでもおなじみの大手派遣会社は、全国各地に登録場所があり、地名度が高いのが特徴です。圧倒的な求人数と充実した福利厚生と研修制度を誇ります。経営基盤がしっかりしているので、信頼性が高いと言えるでしょう。大手派遣会社は、資本によって次の3つに分かれます。
大手資本系
大手資本系派遣会社とは、人材派遣会社以外の事業を行う大手企業が立ち上げた派遣会社です。大手会社や銀行、有名メーカーなどの多くが派遣事業に進出しています。ほとんどの資本系派遣会社は、そうした企業の100%子会社です。紹介される仕事の多くがグループ会社のものであり、正社員では入社できないような大手企業や人気企業に就業できるチャンスがあります。
大手資本系派遣会社の例
リクルートスタッフィング(リクルートグループ)
パナソニックエクセルスタッフ(パナソニックグループ)
アヴァンティスタッフ(丸紅グループ・みずほグループ)
独立系
独立系派遣会社とは、親会社を持たず、派遣事業を専門とする会社のことを言います。日本の派遣業界の草分け的存在の企業も多く、歴史のある老舗派遣会社が多いのが特徴です。幅広い職種と業種の仕事を取り扱っています。独立系企業の中には、大手資本系の傘下になった会社もたくさんあります。たとえば、もともとは独立系だったスタッフサービスは、現在リクルートグループの子会社となっています。
独立系派遣会社の例
・テンプスタッフ
・パソナ
外資系
外資系派遣会社とは、本社が海外にある派遣会社のことを言います。世界初の人材派遣会社は1947年にアメリカで設立されたマンパワー社です。1966年にはマンパワー社が日本に進出し、マンパワー・ジャパン社を設立。これが日本初の人材派遣会社と言われています。外資系派遣会社の特徴としては、やはり外資系企業に強いのが特徴です。外資系企業の仕事を探しているのであれば、外資系派遣会社に登録することをおすすめします。
外資系派遣会社の例
・マンパワーグループ(アメリカ)
・アデコ(スイス)
・ランスタッド(オランダ)
業種・職種特化型派遣会社
医療やIT、金融といった特定の業種や職種に特化した派遣会社です。特定の業種・職種の求人が充実しているので、専門分野の仕事を探している人におすすめです。その代わり、異業種や異業界への転職を希望している場合の仕事紹介は難しいでしょう。専門知識が豊富なコーディネーターが対応してくれるので、手厚いフォローを受けることができます。
地域密着型派遣会社
資本力は大手企業に及ばずとも、地域密着型で地元の会社に強いのが特徴です。老舗デパートや地方銀行など、その地域で活躍している会社の数を扱っています。地元企業で働きたい人や、特定の地域で就職したい人に適しています。
人材派遣会社は大手と中小規模のどちらがおすすめ?
初めて人材派遣会社に登録する人にとっては「大手=安心」というイメージがあるかもしれません。しかし本当に、大手の派遣会社に登録したほうが良い仕事が見つかるのでしょうか。大手と中小派遣会社にはそれぞれメリット・デメリットがあり、一概に会社規模だけで判断できません。それぞれの特性や強みを知った上で、派遣会社を選ぶことが大切です。
大手人材派遣会社のメリット・デメリット
大手人材派遣会社は、全国に7万所以上ある日本の派遣業界を常にリードする存在です。次のようなメリット・デメリットがあります。
大手人材派遣会社のメリット
求人情報の数が多いため、希望する条件の仕事が見つかりやすいのが最大の魅力です。福利厚生や労働条件もしっかりしていて、給与が高めに設定されていることも大手ならではの強みと言えるでしょう。派遣登録できるオフィスが全国各地にあり、いずれも駅前の利便性のある場所にあることから、初めて派遣の仕事をする初心者でも安心して通うことができます。
大手人材派遣会社のデメリット
大手の派遣会社は求人情報が多い分、派遣登録をしているスタッフも多くなります。そのため、1つの求人に対する競争率が高いのがデメリットです。また、1人の担当者が複数のスタッフを抱えていることも多く、面談や仕事の紹介のやり方が機械的で人情味に欠けるという意見もあります。
中小派遣会社のメリット・デメリット
中小派遣会社は、全国的な知名度はなくとも、地元では有名な企業と太いパイプを持っています。主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
中小派遣会社のメリット
地域密着型の中小派遣会社は、地元との関わりが強く、その地域で有名な企業の求人を多く扱っています。大手よりも登録スタッフが少ないので、倍率が低い状況で応募することが可能です。地元に密着した企業で働きたい場合は、中小派遣会社を選んだほうがいいかもしれません。また、小規模で雇用先も少ないため、連絡を密にとれる、親身に相談にのってくれるといったメリットがあります。
中小派遣会社のデメリット
大手に比べると資本力が少ないため、給与や福利厚生の面ではどうしても劣ることが多いようです。研修制度などもあまり期待できないでしょう。また、中小派遣会社の中には、悪質業者が一部に混在している場合があります。口コミサイトなどを参考にして、きちんと見極めてから登録しましょう。
派遣会社を選ぶ4つのポイント
派遣会社を選ぶ際には次の4つのポイントをチェックしましょう。ただし、人によって優先する項目は異なります。まず、自分がどこにプライオリティを置くかをしっかり考えてから、選択することが大切です。
1.希望条件に合う仕事がある
自分の希望条件や経歴、スキルにマッチする仕事がたくさんあるかどうかは、派遣会社を選ぶ上で最優先すべきポイントです。職種や業種、勤務時間、時給、勤務地など、あなたの希望条件を満たした求人案件を豊富に扱っている派遣会社を選びましょう。たとえば「語学を生かした仕事をしたい」のであれば、外資系企業の求人を得意とする派遣会社を探しましょう。また「正社員を目指して働きたい」という場合は、紹介予定派遣の求人が多い派遣会社がおすすめです。
2.経営基盤がしっかりしている
経営基盤がしっかりしている派遣会社であれば、景気の波に左右されにくく、給与の支払い遅れなどのリスクを回避しやすいでしょう。そういう意味では、大手派遣会社がやはり安心かもしれません。
3.福利厚生が充実している
毎日気持ちよく仕事をするためには、福利厚生の充実は欠かせません。社会保険制度や健康診断、有給休暇など確認しておきましょう。例をあげると、子育てをしながら働きたいワーキングマザーにとって、育児支援制度があるかどうかはチェックすべき重要なポイントになります。
4.手厚い研修制度がある
スキルアップのための研修が充実しているかどうかは、今後のキャリア形成のために重要なことです。今後のキャリア形成まで一緒に考えてくれるような派遣会社をおすすめします。
派遣会社は複数登録しよう
これぞと思う派遣会社が見つかったら、次は登録に進んで行きます。本命の派遣会社だけを登録しても構いませんが、1社だけでは本当に自分に合うのかを比べようがないでしょう。また、1つだけに絞るとより良い条件の仕事が見つかる可能性が低くなります。
派遣会社を複数登録しても全く問題はありませんし、むしろ推奨されています。どの派遣会社も登録は無料です。大手だけに限らず中小の派遣会社も視野に入れて、複数の派遣会社に登録することをおすすめします。そうすることで、その会社のシステムや担当者との相性を確かめられるでしょう。さらに、好条件の仕事が見つかりやすくなるはずです。
派遣会社に選ばれる人材になるには
自分に合った派遣会社が見つかり、登録を済ませたからといって、すぐに仕事を始められるわけではありません。派遣社員と派遣先企業の双方の希望がマッチングすることで、初めて雇用関係が成立します。
あなたが派遣会社や仕事を選ぶように、派遣会社もたくさんの派遣社員の中から仕事を紹介する人を選択しています。希望の仕事に就くためには、あなた自身が仕事を紹介したくなる人材になることが大切です。
仕事のスキル以外にも、コミュニケーション能力があるか、社会人としての一般常識があるか、身だしなみや言葉遣いがきちんとしているか、といった点がチェックされています。派遣会社に「この人になら安心して派遣先に紹介できる」と思ってもらえるような人物になれるよう努めましょう。
まとめ
一口に派遣会社と言っても、特徴やタイプはさまざまです。大手派遣会社は求人の豊富さや安定感、福利厚生など待遇面の充実が強みであり、やはり安心感があります。それに対して、地元に密着した中小派遣会社は、地域で有名な企業の求人案件を多数扱っています。小規模だからこそできる小回りの効く対応で、親身になってサポートしてくれるでしょう。
それぞれの派遣会社の特徴やメリット・デメリットを踏まえた上で、自分がどこに重きを置くかを判断して、相性の良い派遣会社を選びましょう。
希望に合った仕事に就くには、あなた自身が派遣会社に「この人になら安心して仕事を任せられる」と思ってもらえるような人物になることも大切です。
参考サイト: