派遣契約書を締結時に注意すべきポイントとは?主な記載内容も紹介!

派遣労働を行うときには、派遣会社から「契約書」をもらうケースが多いです。しかし、読者のなかには契約書に記載してある内容を理解せずに署名する方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、派遣契約書に記載されている内容などを紹介します。 

派遣会社と派遣スタッフの間で交わす派遣契約書に記載されている事項とは? 

派遣会社と派遣スタッフの間では「派遣契約書」と呼ばれる書類が交わされます(書類の名称は派遣会社によって異なります)。はじめに、派遣契約書に記載されている主な内容を見てみましょう。注意点も説明してるので参考にしてみてください。 

業務内容 

勤務先企業からどんな業務を任されるかが記載してあります。契約書に記載してある業務以外の内容は、原則派遣スタッフが関わることはできません。契約書に記載してある業務以外の指示を勤務先企業の担当者から受けた場合は、派遣会社の担当者へ相談すると改善されることが多いです。  

派遣期間 

派遣期間とは勤務先企業で働ける期間のことです。例えば、派遣期間が「2018年5月1日~2018年7月31日」となっている場合は、ひとまず3カ月間働けるということです。派遣契約では、契約満期を迎える1カ月以上前に契約更新の有無を決めます。
今回の場合であれば、契約更新をする場合は8月1日以降も働けます。しかし、契約更新をしなかった場合は7月31日で契約切れとなります。なお、契約更新の有無は勤務先企業の経営成績(財政状況)・派遣スタッフの仕事スキル・勤務態度などによって決まることが多いです。仕事の出来・職場での立ち振る舞いなども考慮されるので覚えておきましょう。
ただし、派遣スタッフのなかには「無期雇用派遣」の契約を結んでいる人もいます。無期雇用派遣の場合は派遣期間が決まっていないため、有期雇用派遣と比べ契約解除される可能性は非常に低いです。派遣社員のなかには、有期雇用派遣から無期雇用派遣に変更できた人もいます。無期雇用派遣として働ける人材を募集している企業もあるので、自身に合う求人を見つけてみてはいかがでしょうか?  

出勤日・就業時間・休日 

出勤日・就業時間・休日についても記載されています。ここで注目すべきポイントは「就業時間」です。就業時間にはカッコ書きで休憩時間も記載されています。
例えば、就業時間が「午前9時~午後5時」で、内休憩時間が「午後12時~午後1時」となっていた場合は、就業時間8時間から休憩時間の1時間を引いた7時間分の給料しか出ません。契約を交わす段階でチェックしましょう。 

賃金 

賃金には、時給(日給)の他に「時間外労働・休日労働時」に上乗せされるパーセンテージも記載されています。お金が絡んでいるので、念入りに確認しましょう。 

時間外労働 

時間外労働(残業時間)の有無も確認しましょう。時間外労働の時間数が多い企業の場合は、定時で退社できる可能性が低いということです。仮に1カ月間の勤務が20日間で、1カ月間の残業時間が40時間だとすると毎日平均2時間程度の残業が発生します。
つまり、定時退社が17時30分であっても毎日19時30分まで働く必要があるということです(極端な例です)。定時退社を望んでいる方は、時間外労働が少ない会社を選びましょう。 

派遣元責任者と派遣先責任者 

派遣元責任者とは派遣会社の責任者。派遣先責任者とは勤務先企業の責任(担当)者のことを指します。なお、勤務先企業で派遣スタッフがトラブルに巻き込まれた場合は、派遣会社への相談が一般的となっているので相談先を間違えないようにしましょう。 

指揮命令者 

指揮命令者とは職場で業務の指示をする人で「直属の上司」のようなものです。基本的には指揮命令者の指示に従って、業務を進める形となります。ただし、勤務先企業によっては指揮命令者が複数人いるケースもあるので、臨機応変に対応してください。 

派遣契約書記入前にチェックすべきことは 

契約書の内容を読まずに契約締結すると、派遣社員として働きだしたときトラブルに巻き込まれることがあります。派遣契約を締結する上でまずチェックすべきことは、求人を紹介してもらったときの内容と契約書の内容に違いがないかです。具体例を挙げると、求人紹介時と比べ「時給が下がっていないか」、「業務内容は合っているか」、「時間外出勤が増えていないか」などがあります。 
さらに、契約書の内容が法的に大丈夫かも確認しましょう。例えば「時間外労働で働いた場合、時給+25%以上」の額が支給されるかなどです。契約書を交わす前には、派遣におけるルールを確認するといかもしれませんね。 

 派遣契約書は、いつ記入するの?

派遣契約書を交わすときには、派遣スタッフが名前などの記入をする必要があります。この章では、派遣契約書を記入するタイミングを見てみましょう。 

基本的には、派遣労働が始まる前に記入する 

基本的には派遣労働が始まる前に記入することが多いです。勤務初日の数日前に記入したり、派遣初日の勤務開始前に記入したりするパターンです。ただ、なかには派遣会社の担当者が忙しく勤務初日から数日経ってから契約書に記入する例もあるので覚えておきましょう。 

派遣契約書の控えは保管しておこう 

派遣契約書の締結後は必ず控えを保管してください。理由は労働上のトラブルが起こったときに役立つためです。控えを渡されなかった場合は、派遣会社の担当者に依頼をして契約書の控えを発行してもらいましょう。 

派遣契約書をもらえないときの対処法は 

派遣会社によっては派遣契約書をもらえないケースもあります。ただ、口約束のみの派遣契約だと、労働トラブルが起こったときに「言った言わない」の言い合いになり、深刻化する恐れがあります。そこで最後の章では、派遣契約書をもらえないときの対処法を見てみましょう。 

ステップ1.派遣会社に連絡をする 

まずやるべきことは、派遣会社への連絡です。派遣会社の営業担当者へ連絡すると、派遣契約書の発行手続きを行ってくれる可能性が高いでしょう。
ただし、派遣会社の担当者によっては連絡が付かないケースもあります。その場合は、派遣会社の代表電話番号に連絡をして労務担当の方と話すとよいでしょう。派遣契約書を発行してもらえるはずです。 

ステップ2.労働基準監督署(労基署)へ相談する 

派遣会社へ連絡しても派遣契約書が送付されなかった場合は、労基署へ相談しましょう。あなたがどのように対処すべきか答えてもらえる可能性が高いです。場合によっては、労基署が派遣会社へ指導するケースもあるので、派遣契約書を発行してもらえる確率も上がります。 

ステップ3.派遣契約書をもらえなければ、別の派遣会社で働く 

ステップ1と2を試しても派遣契約書が送付されなかった場合は、別の派遣会社で働くことをおすすめします。労働上のトラブルが起こったとき、手元に派遣契約書がない状況だと、派遣スタッフ側が不利になるケースも多いです。
また、派遣会社へ「派遣契約書を発行してもらえないから別の派遣会社のスタッフとして働く」旨を伝えることで、派遣会社側が焦りを感じ派遣契約書を送付してもらえるかもしれません。自身を守るためにも、派遣契約書を手にしたうえで働きましょう。 

派遣契約書の内容を隅々まで読んでから契約締結しよう 

派遣業務は、派遣契約書の内容によってルールが決まります。派遣契約書を交わして数日・数週間経ったときに「この記載内容は間違いだ」と伝えても、相手にしてもらえない確率が高いです。派遣契約を結ぶときには派遣契約書の内容を隅々まで読んでから契約締結することをおすすめします。 

※本記事の内容は2018年7月現在の情報です。 

参考書籍: 

  • 人材派遣のことならこの1冊(著:岡田良則)