労働者の中には、労働基準法についてよく知らないまま働いているという人も多いと思います。
ですが、この法律は労働者の方を守るためのものです。そのため、法律を知ることは自身を守ることにもつながります。
それでも難しいと思われてしまいまうでしょう。
そこで、ここでは労働基準法について簡単に分かりやすく紹介していきます。
何が違法であり、もし会社が違法行為をしていたらどんな対策をすればいいのかについての記載もありますので参考にしてください。
労働基準法とは?
労働基準法とは、労働条件に関する最低条件を定めている法律で、13章まで定められています。
その全ては、労働者の権利を尊重するためのものです。各章の内容に関しては以下のようになっています。
- 総則
- 労働契約
- 賃金
- 労働時間、休息、休日及び年次有給休暇
- 安全及び衛生
- 年少者
- 第6章の2 妊産婦等
- 技能者の養成
- 災害補償
- 就業規則
- 寄宿舎
- 監督機関
- 雑則
- 罰則
労働基準法では、労働者の権利から寄宿舎など労働環境の面にいたるまで多くの項目を網羅しています。
これらは、労働者を雇用する上で必ず守らなくてはいけないものであり、違反がある場合には労働者の方が雇用主に対して通告をするようにしましょう。
労働基準法の違反になってしまう事例
では、実際に労働基準法の違反になる可能性がある事例を紹介していきます。
解雇の予告がない
雇用主は、労働者に対して解雇の予告をすることが義務付けられているため、予告なしにいきなり労働者を解雇することはできません。
解雇の予告は解雇予定日の1ヶ月前までには労働者に対して予告をする必要があります。
有給がない
労働者は、一定条件を満たしていれば有給をもらうことがでます。
有給は、入社後半年経つと自動的に権利を取得することになります。そのため、半年以上同じ雇用主の元で働いているにもかかわらず有給をもらうことができない時は労働基準法違反に値します。
差別がある
雇用主は、労働者を性別や年齢で差別することが禁止されています。そのため、仕事によって性別を定めている場合は、労働基準法に違反している可能性が高いと言えるのです。
労働者を募集する際に性別や年齢を指定して募集することも禁止されているので、ご注意ください。
休憩が全くない
雇用主は労働者に対して、労働時間が6時間を超えるときには45分、8時間を超えるときには1時間の休憩を与える義務があります。労働者が労働をする時に休憩がない時には雇用主が労働基準法に違反している可能性が高いといえます。
割増賃金がない
雇用主は労働者に対して、正規の契約時間外に働かせる時には、割増賃金を支払う必要があります。深夜に労働者に労働を頼む際には、深夜割増料金を加算して給料を支払う義務があるのです。
賃金の割増率は、正規の時間外労働の場合は1.25倍、深夜労働の場合に1.25倍、休日労働の場合に1.35倍になっています。
労災の申請ができない
労働者が労働中に怪我や病気などの不利益を被ることになった場合、雇用主は労災の使用を認める必要があります。
労働者は労災を使うことで療養補償、休業補償、障害補償などの補償を受けることが可能です。
また、雇用主は労災が発生した場合は、労働基準監督署に報告をする必要があります。
出産に際して休暇がない
労働者が妊婦の場合は、雇用主は労働者の負担にならないよう残業をなくすなどの対策を行います。
妊娠している労働者が出産する際には、出産の前後で休暇を取得することを認める必要があります。労働者が出産を理由に会社を休もうと思っても雇用主が休暇の取得を妨げるということはできません。
雇用条件の提示がない
雇用主は、労働者を雇う際に雇用条件についてまとめた雇用契約書を作成して、労働者に対して提示する必要があります。また、労働者がまた10人以上いる事業所では、就業規則を作成・届出しつつ、労働者に周知させる義務があります。
そのため、雇用主と契約をする際に雇用条件の提示がない場合や労働者が10人以上いるにもかかわらず就業規則の周知がなされていない時は労働基準法に違反している可能性が高くなっています。」
罰金の請求
雇用主は、労働者に対して罰金という形で金銭等を要求することや、罰金に相当する金額を給与から天引きすることは禁止されています。
たとえば、「遅刻をしたら罰金〇万円を支払う」「売上が赤字となったらその分を支払う」といったものが禁止とされる対象です。
ですが、会社運営にかかわる大きな損害や迷惑行為を労働者が行った場合は、雇用主は迷惑行為を行った労働者に対して損害賠償請求をすることは可能になっています。
労働基準法に違反していると思ったらどうすればいいの?
自分が働いている会社や自分の親族が働いている会社で労働基準法の違反をしている可能性があっても、どのように対処すればいいのかわからない人も多いと思います。
ここでは、労働基準法に違反していることに気付いた時にどのように対処したらいいのかについて簡単に紹介していきます。
労働基準監督署への相談
自分が働いている会社や、自分の親族が働いている会社で労働基準法の違反の疑惑がある場合は、最初に労働基準監督署に連絡をするようにしましょう。
労働基準監督署は、労働者の権利を守るためにある国の機関です。この機関は、労働指導なども行っており労働に関する相談も受け付けています。
労働基準法の違反の可能性があるという段階でも、労働基準監督署に相談に行くことで解決することもあります。
派遣の場合はコーディネーターに相談
正社員やパート・アルバイトのように直接雇用ではなく、派遣会社を介して雇用している派遣社員。
この場合は、何か問題があったり、悩みや相談事があればまずは担当者(コーディネーター)に相談をしましょう。
派遣社員の雇用主は派遣会社であるため、派遣先での問題は派遣会社を通すことが一番穏便に解決する方法です。
労働基準法違反で罰則をうけるのは?
労働基準法に違反することで、罰則を受けるのが誰なのかわからない人も多いと思います。
ここでは、労働基準法に違反した時に罰則を受ける対象について解説していきます。
労働者が不利益を被ることはあまりない
労働基準法に違反している旨を、労働基準監督署に報告したことが当該の会社に伝わらないようになっています。
会社が労働基準法に違反した時に労働者が罰則を受けることはなく、報告内容や報告者の情報が外部に流出することもありません。そのため、労働者が不利益を被ることは基本的にありません。
基本的には経営者と会社が罰則を受ける
労働基準法に違反した際、罰則を受けるのは経営者と会社です。
この他にも、使用者(労働基準の違反を直接指示したとされる人物)も罰則を受ける対象になります。基本的には、労働基準法に違反すると経営者と会社、そして使用者だけが罰則を受けます。
雇われ店長の場合は直接罰則を受けないことも
雇用主が店長の場合でも、労働基準法違反の罰則を受けないことがあります。それは、店長が雇われ店長の場合です。
労働基準法の違反で、罰則を受けるのは使用者です。そのため、店長の指示ではなく本部の部長などの指示で労働基準法の違反が行われている場合は、雇用主である店長が罰則を受けないこともあるのです。
労働基準法に違反した時の罰則
労働基準法に違反した時に経営者や会社、使用者が受ける罰則は以下のようになっています。
- 1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金
- 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
- 30万円以下の罰金
まとめ
労働基準法は労働者のことを守るために作られている法律です。
そのため、労働者のことを守る内容が主なものであり、労働基準法に違反した場合には労働者ではなく経営者や会社、使用者が罰せられます。
そして、労働基準法違反の旨を報告した人物に関しては絶対に流出することはありません。
そのため、労働基準法に違反している可能性がある場合は労働基準監督署に相談をしてください。
安心して仕事ができる環境を作っていくため、労働者もしっかりと労働基準法を学んでいきましょう。