派遣社員は退職金をもらえるの?意外と知らない退職金について!

派遣社員にもいつかは退職する時期が訪れます。そうなったときに退職金はもらえるのでしょうか? 正社員であれば、退職する際に退職金もらえる場合が多いというイメージがあると思いますが、派遣社員の場合は退職金をもらえるのかどうか、よく知らないという人が多いようです。もし退職金がもらえる可能性があるなら、知らないままだと大きな損失になってしまいます。また、もらえないにしても、果たしてそれは損なのでしょうか。もらえないならば、正社員を目指した方がいいのでしょうか。今回は、派遣社員の退職金についてご説明します。

この記事では、そもそも退職金とはどういった制度なのかということを踏まえながら、派遣社員が退職金をもらえるのかどうか、もらえる可能性を上げるにはどうすればいいかをご説明します。制度をきちんと把握して、利益を得られるように立ち回っていくためにはどうすればいいかを事前に知っておきましょう。

そもそも退職金とは?

そもそも退職金というのは、所属している会社を退職する際に会社から支払われる特別手当のことをいいます。この退職金制度は、憲法や法律で保証されているものではなく、各会社で退職金支払いの有無を制度付けることになっています。ですので、会社によって退職金の有無はまちまちなのです。 退職金には、大きく分けて2つあります。

1.退職一時金制度(一般的に退職金と呼ばれている制度)

2.退職年金制度

退職一時金制度とは、退職にあたり、勤務先の企業などから一時的に金銭が支払われる制度を指します。退職一時金制度は、厚生年金基金や確定給付企業年金と同様に、確定給付型退職給付制度の1つです。厚生年金基金などは、支払原資を外部の金融機関に積み立てるのに対して、退職一時金の原資は、一般的に企業内部で準備されます。

一方、退職年金制度とは、企業を退職した際に従業員やその家族に支払われる企業年金のことです。退職金は一括で受け取るのに対し、企業年金の場合には分割して定期的にお金を受け取ることが可能です。退職年金では、分割以外に一括受け取りを選択することも可能で、ライフスタイルに合わせて受け取り方を決められます。退職年金制度には、確定拠出年金や確定給付企業年金といった制度があります。

このように、退職金と一口にいっても、会社によって退職金の有無が異なり、また退職金の中にも2種類が存在しています。

派遣社員は退職金をもらえる?

正社員であれば、会社にもよりますが退職金をもらえる可能性があります。しかし結論から言うと、残念ながら派遣社員が退職金をもらうのは現実的に考えてかなり厳しいです。

派遣社員が退職金をもらうことが厳しい理由として、以下の2つが考えられます。

退職金制度を扱う会社が年々減ってきている

退職金は終身雇用を前提として扱う制度と考える会社が多かったようです。現在では、多くの会社で終身雇用制度が崩壊しつつあり、そうした流れの中で、終身雇用を前提として作られた退職金制度そのものを廃止してしまっている会社も珍しくありません。また、退職一時金は企業側の負担としてかなり大きいものであるため、そうした経済的な理由からも退職金制度を設けていない会社も多いのです。また、退職金の額も減っている会社が多いようです。こういった退職金制度のない会社の場合、正社員・派遣社員の区別なく退職金はもらえないということになります。

退職金制度の対象外になりやすい

もう一つの要因は、雇用期間の問題です。多くの会社では「3年以上の雇用」が、退職一時金制度の対象条件となっています。しかし、派遣法の改正に伴い、一般的な派遣社員は派遣期間を3年までと規定されてしまいました。政令26業務に含まれる派遣社員も派遣期間を規定されてしまった

ため、たとえ退職金制度がある企業であっても、派遣社員は雇用期間が足りないために退職金をもらえない可能性が高いです。

派遣社員でも退職金をもらえる可能性を上げるポイント

上記の理由から、派遣社員が退職金をもらうのは現実的に考えて厳しいといえます。それでも、せっかく派遣社員として会社に貢献したのだから、少しでも退職金をもらえる可能性を上げておきたいです。なるべく退職金をもらうために取れる行動には、以下のものがあります。

無期雇用派遣を検討する

無期雇用派遣とは、雇用期間が決められていない派遣社員です。派遣会社と契約を結ぶことで、多くの派遣先で仕事をすることが可能です。「3年まで」という雇用期間の指定がないため、退職金制度の条件である3年の雇用期間を超えて働くことができます。派遣期間が3年を超えれば、会社の制度にもよりますが退職金をもらえる可能性が上がります。

特定派遣を検討する

「特定派遣」と呼ばれる派遣は、派遣会社に「正社員」として雇用され、仕事があると派遣先に派遣されます。一定の期間で契約を結ぶ「一般派遣」に対し、「特定派遣」は派遣先との契約が終了したとしても、派遣元である派遣会社との雇用契約はなくなりません。そのため、派遣先で期間満了になったとしても、派遣会社の社員である限り、給与が発生するのが大きな特徴です。この「特定派遣」であれば、派遣元である派遣会社から退職金や賞与が支給される場合があります。もちろん在籍する派遣会社の規定によりますが、支給されるケースもまれに見られます。

応募する・登録する前に福利厚生を確認する

各会社に応募したり派遣社員として登録したりする際に見てほしいのが「募集要項」です。募集要項では勤務内容や勤務時間だけではなく、福利厚生に関しても記載されています。そのため、福利厚生欄に「退職金あり」と記載されている会社を探すことがおすすめです。 ただし注意点として、退職金がいくらとは書かれていません。各会社が決めた制度ということもあり、企業によってバラつきがあります。相手企業に内定をもらわない限り、退職金がいくらもらえるかというのはわかりません。知りたい場合は派遣会社の社員を通じて情報を得たり、インターネットで検索したりするのがおすすめです。

派遣社員は事前に退職金分の手当をもらえている?

派遣社員は退職金をもらえる可能性が非常に少ないのは事実です。しかし「派遣社員だから退職金を貰えない」と嘆く必要はありません。 派遣社員の多くはボーナスや奨励金、退職金などがないというのが一般的です。しかし、その分時給換算すると派遣社員の方が正社員に比べて月収は高い傾向にあります。 これに加えて派遣社員は就業時間がほぼ安定しているため、プライベートの時間を優先することが可能です。 賞与や退職金などがもらえて生涯収入が高い正社員と、数年間の月収が高い傾向にある派遣社員。どちらもメリットとデメリットがあるため、自分のライフスタイルなどに合わせて選択しましょう。

まとめ

派遣社員のほとんどは退職金をもらうことが難しいです。理由としては、退職金制度自体が廃れてきていることや、派遣社員が退職金をもらえる年数以下で退職してしまうことが多いということが挙げられます。 もし派遣社員で退職金をもらいたいという場合には、無期雇用派遣を検討したり、登録の際に福利厚生を確認したりすることが必要になります。退職金がもらえないとはいえ、派遣社員はその分時給が高い傾向にあるため、退職金のために無理に正社員を目指すのではなく、自分のライフスタイルに合った職務形態を選びましょう。

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