仕事を辞めたいと申し出たいとき、退職理由をどう話すべきかは円満退職のためにも重要な問題です。引き留められない、揉めないスムーズな退職のためには、建前も必要になるかもしれません。退職理由の上手な伝え方をご紹介します。
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退職理由はどこまで正直に伝えるのがいい?
あなたが退職したいと思っている、その理由は何でしょうか。「残業が長すぎて、やりたいことができない」「やりたい仕事になかなか配属されないのが悲しい」「人間関係が険悪で、会社に行くのが辛い」
…残念ながら、そういった理由では、引き留められたり、説得される可能性は高いでしょう。
退職理由は、正直に伝えるのがよいとは限りません。どんなに不満を抱えていたとしても、会社側の対応が悪いせいで辞めると言ってしまうと、揉める原因になります。
辞める原因を、会社側ではなく自分側に引き寄せて考えましょう。伝えないほうがいいことや、辞めやすくなる理由について解説します。
伝えないほうがいいこと
伝えないほうがいいのは、「会社側がそこさえ直せば、留まってもよい」という意味に受け取られてしまうような理由です。また、上司がトップへそのまま伝えてしまうと上司の立場がなくなってしまうような理由も、避けたほうがいいでしょう。
残業時間や給与、福利厚生への不満
「残業が長い」「給与が安い」「休暇がとりにくい」など、会社へのダイレクトな不満は避けるべきです。「改善するから、もう少しだけ待ってくれないか」と言われて、引き留められてしまうでしょう。今すぐ辞めるため、何か他の理由を見つけなければならなくなります。
また、残業の多さを理由に退職してしまうと、上司としては管理能力が問われることになります。上司が自分の立場を危ういものにしないため、引き留められてしまう可能性もなくはありません。
人間関係への不満
「今の職場の人間関係に耐えられない」という理由を上司に訴えると、「環境を変えればこの会社に留まれる」という意味にとられ、異動や転勤を提案されてしまうかもしれません。
すると、「仕事内容を変えたくない」「この地域を離れたくない」と、どんどん辞めるための理由を挙げなければならなくなるでしょう。
また、人間関係の不満を理由にすると、上司に職場の現状を洗いざらい打ち明けることにもつながります。結果、他の人にも状況についての聞き取りが行われるなど、周りを巻き込む事態に発展するかもしれません。人間関係がよりギクシャクしてしまうのは、目に見えています。
退職理由の伝え方
円満に辞めるためには、理由の伝え方を工夫しなければなりません。ポイントは、あくまで自己都合の退職であることをアピールすることです。
やむを得ない事情を理由にする
引っ越しなどの家庭の事情や、妊娠・出産を機に子育てに専念するといったやむを得ない事情を理由にすると、会社側にはどうしようもないことなので、カドが立ちません。
ただ、嘘は禁物です。「遠くへ引っ越しするから」と会社を辞めたのに、近所で働いているところに前の会社の人と出くわしたら、かなり印象が悪いですよね。「見つかったらどうしよう」とヒヤヒヤしながら働くのも精神的に良くありません。
次の仕事で挑戦したいことがあると伝える
やむを得ない事情が見当たらないなら、「次の職場で、挑戦したい仕事がある」とはっきり告げましょう。どうしてもその会社では実現することのできない仕事にチャレンジしたいのなら、会社側に非がないことは明白です。
加えてポジティブな理由での退職なので、上司も引き留めることなく「頑張れ」と送り出してくれるでしょう。
退職理由の内容NG○例
ここまで退職理由の伝え方を紹介してきました。その中で、自己都合で退職するのだということを明確に伝えるということが大切だと説明しましたが、当然NGな内容もあります。どういった退職理由がNGであるかをご紹介します。
いくらなんでも正直すぎる!
「上司の○○さんとソリが合いませんでした。」
本音のところ、退職理由はそのとおりかもしれません。しかし、ズバリそのまま伝えてしまえば「上司とソリが合わないという理由だけで退職してしまう人」として認識されその印象が残ってしまいます。
社会人としての常識に欠ける行為ですし、何よりも自分の評価を下げてしまい、円満な退職へは導かないのでやめましょう。
たとえ上司とソリが合わなかったとしても、「キャリアの方向性の違い」と伝え、次に自分がチャレンジしてみたいことが何であるかを熱心に説明した方が得策と言えます。何より、職場の人もあなたの次の夢に対して応援する気持ちを持てます。
結局退職理由は何なの…?
「次に進みたい方向はまだわかりませんが、けじめをつけます。」
けじめ、という言葉がつくとしっかりと考えた上での結論のように聞こえがちですが、ふわっとした退職理由を伝えるのはとても失礼です。
あなたが退職するにあたり、職場は引き継ぎを行い、必要であれば人員の補充をし、補充ができるまでは少ない人数で業務をこなしていくことになるのです。そのようなことも考えずに「自分探しがしたい」というような発言は常識的な社会人として認識してもらいたければ絶対にNGでしょう。
失礼すぎる退職理由
「ここで働いていても、一向に成長できないと確信しました。」
個性があることは良いことですが、こと退職の場面では無難に職場を去ることが何よりも重要となります。尖ったキャラクターを演出して顰蹙を買うような発言は、これまで頑張ってきた成果も、人間関係もすべて消し去ることになりますので絶対にNGです。
たとえ、本当に会社自体に将来を感じていないために退職するとしても、今後も働き続ける社員の前でそのような発言をするのは非常識です。むしろ、自分は去る身として今後の会社の発展を願うような気持ちを添えた発言にしましょう。
「立つ鳥あとを濁さず」が理想的な退職の仕方
例え本当の理由を隠して、退職しやすい理由を作ってしまったとしても、退職までは本当の理由を誰にも言うべきではありません。辞めていく人に会社の悪口を言われると、これからもその会社に居続ける側は気分を害してしまいます。
「立つ鳥あとを濁さず」を大事に、お世話になった人へ感謝の念を表しながら退職の日を待ちましょう。
おわりに
会社を辞めたいと思ったら、まずは辞める理由をどうするべきかについて考えてみましょう。ポジティブな理由を見つけられれば、それはそのまま転職活動にも使うことができます。
なお、採用面接でも、前職を辞めた理由を残業や給与など会社側に非があるように語ってはいけません。「これが嫌」ではなく「これがやりたい」を見つけ、退職理由に活用しましょう。