バイトでも社員でも、働いている人なら、事務社員などから「ハイ」と源泉徴収票を手渡されたことのある人は多いでしょう。「なんに使うの?」と尋ねても、「ただ、持ってるだけでいいから」などとあしらわれたりして、結局なんなのかよくわからない……そんな人のために、源泉徴収の仕組みを解説します。
目次
源泉徴収ってどんな仕組みかいまいちよくわからない
源泉徴収票が所得税に関わる書類であることはわかっていても、どんな仕組みで、どういうときに使うものなのかがわからなければ、いまいち不安ですよね。毎年、ただ保管していたという人も、この機会に源泉徴収についてきちんと理解しておきましょう。正しく使えば、払い過ぎた税金が戻ってくるかもしれませんよ。
源泉徴収の仕組み
源泉徴収とは、企業が個人に成り代わって所得税を計算し、給与や賞与から差し引いて納税することをいいます。本来、個人が自分の所得に応じた所得税を計算して国に納めるべきところを、企業側が代わりにやってくれるのです。
源泉徴収の範囲は、給与や賞与だけではありません。原稿料やデザイン料、ホステスや芸能人、講演などの報酬に対しても、源泉徴収が行われます。また、利子や配当についても、源泉徴収が行われています。
源泉徴収票とは
年末に渡される源泉徴収票は、その一年にあなたが所得税をいくら支払ったのかをまとめたものです。たんに、これまでの給与明細をまとめたものというわけではありません。所得税は月ごとに天引きされているにもかかわらず、最終的にいくら払うべきかは、年収が定まらなければわからないためです。
会社側は、給与金額と扶養控除などの各種控除、天引きした社会保険料などをまとめて、年間の所得税を計算し直します。これを年末調整といいます。源泉徴収票は、年末調整をした後の正式な納税額を記したものです。年末調整の結果、払い過ぎた税金が戻ってくるケースも多くみられます。
バイトにも源泉徴収はあるの?
バイトであっても、企業が支払うのは「給与」ですから、所得税を給与から天引きして納付を行う義務があります。よって、12月末時点でバイトをしている会社からは、源泉徴収票がもらえるでしょう。
ただ、会社によって事情はさまざまです。バイトの年末調整を行わない例もあるでしょう。とくに2か所以上のバイトを掛け持ちしている人、バイトを転々としている人などは、なかなか源泉徴収票が揃わないかもしれません。
年収103万円以下なら払った税金が戻ってくる
源泉徴収票が必要なのは、自分が支払った税額を確認するためだけではありません。とくにバイトをしている人の場合、年収が103万円に満たなかったら、所得税を納める必要がないため、確定申告をすればすでに収めた税額が丸ごと還付されます。
確定申告は、毎年3月15日が期限です。源泉徴収票を手に入れたら、速やかに年収をチェックして、自分に所得税納税の義務があるかないかを調べましょう。確定申告は面倒なイメージがあるかもしれませんが、インターネットで書類を作成できるサービスもありますし、税務署で納税相談を行っている期間もあります。管轄の税務署を調べてみましょう。
正社員でもバイトでも働くなら源泉徴収の仕組みを理解しておこう
源泉徴収の仕組みを理解すべきなのは、バイトばかりではありません。「確定申告をしなくても、会社側が年末調整してくれているのだし」と安心している正社員も、改めて申告をすれば税金が還付される可能性が残っています。
なぜかといえば、申告すれば税金が安くなる所得控除を適用できるかもしれないためです。誰でも適用になる基礎控除や、給与天引きの社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除などは、すでに適用されている可能性があります。しかし、高額の医療費を支払ったときの医療費控除、寄付を行ったときの寄付金控除などは、おそらく適用されてないでしょう。
自分に当てはまる控除があれば、源泉徴収票をもとに確定申告をしましょう。払い過ぎた分の税金が還付されます。
おわりに
源泉徴収の仕組みは、源泉徴収票をパッとみる程度ではよくわからないものです。「確定申告に使うもの」ととらえてしまうと、「私はバイトだから関係ない」と思ってしまいがちですが、自分が納めた所得税の金額がわかるものと思えば、みる目が変わってきますよね。正しく納税するために、自分の年収と納税額をしっかり確認しましょう。