近年、モバイル端末やIT技術の進化にともない、Webエンジニアの需要は高まっています。
本記事ではWebエンジニアに必要な適性や、年代別での難易度、また転職の際に準備しておくべき事柄について紹介します。
エンジニアの年収を職種・年齢別に紹介します。年収が高いエンジニアの共通点や、年収を上げるための方法やおすすめの資格についても詳しく解説します。
これからエンジニアとしてのキャリアを考えたい人は、ぜひ参考にしてください。
監修者プロフィール
合同会社エンジニアリングマネージメント 社長
久松 剛さん
慶應義塾大学大学院政策メディア研究科博士(政策・メディア)。2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。合同会社エンジニアリングマネージメント社長兼レンタルEM。ベンチャー企業3社にてIPOや組織改善コンサル、PjMなどを歴任後、2022年に合同会社を設立。
現在はスタートアップから日系大手企業まで企業規模を問わず、採用や組織改善コンサル、セミナー、執筆など幅広く活躍中。
転職を考えているのならば、客観的に自分の「強み」や「市場価値」を知ることが重要です。
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TOPICS
エンジニアの平均年収・相場
まず、エンジニアの平均年収について解説します。
ITエンジニアを例として「求人ボックス給料ナビ」を参照すると、正社員の平均年収は489万円です。
これは、2020年度の国税庁の調査による日本人の平均年収441万円を超えており、エンジニアは比較的高い年収を得ているといえます。
しかし、この489万円はあくまで平均であり、同じエンジニアであっても勤務形態によって年収は異なります。正社員の平均月収は41万円となっていますが、派遣社員やアルバイト・パートでは多くが時給制となっており、派遣社員の平均時給は1449円、アルバイト・パートにおいては1192円が平均時給となっています。
また、同じ正社員であっても勤務先やその人の経験、スキルによって年収に大きな幅があることも、エンジニアの特徴といえるでしょう。
エンジニアとして転職を考えるときには自分自身がどのようなスキル・ポジションで活躍したいかを基準とし、平均年収はあくまでひとつの参考とすることをおすすめします。
参考元:求人ボックス給料ナビ「ITエンジニアの仕事の年収・時給・給料」
エンジニアの平均年収|職種別
ひとくちにエンジニアといっても、それに含まれる職種は多種多様です。
プロジェクトの進行管理やメンバーのサポートを行うプロジェクトマネージャーや、インフラであるサーバーやネットワークを管理するインフラエンジニアなど、得意分野や経験・スキルによってそれぞれの職種に分かれています。
ここからはエンジニアの職種別の平均年収を紹介し、どのような職種で年収が高い傾向があるか、またその理由を解説します。
エンジニアの職種別平均年収
- プロジェクトマネージャー…664万円
- プリセールス…658万円
- ITコンサルタント…584万円
- IT戦略/システム企画…575万円
- 研究開発…544万円
- データサイエンティスト…516万円
- システム開発/運用…473万円
- サーバーエンジニア…463万円
- ネットワークエンジニア…455万円
- パッケージ導入/システム導入…452万円
- スマホアプリ/ネイティブアプリ系エンジニア…443万円
- 制御系ソフトウェア開発…427万円
- Webサービスエンジニア…419万円
- SE/プログラマ…417万円
参考元:doda「平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」
平均年収650万円以上の職種は、プロジェクトマネージャーとプリセールスです。
プロジェクトの全体管理をしたり、営業担当として顧客に対して専門な説明を行ったりするなど、それぞれ現場で経験を積んだエンジニアがキャリアチェンジする上位職種となるため、平均年収が高くなる傾向にあります。
続いて平均年収500万円以上の職種としては、ITを活用して企業の経営を助けるITコンサルタントや、膨大なデータを分析して有益な提案を行うデータサイエンティストなどが挙げられます。
その他にも、サーバーの運用・管理を行うサーバーエンジニアや、ネットワークを構築するネットワークエンジニアなどは難易度の高い資格を所得するほど年収も上がりやすくなります。
自らの専門性を活かして企業が抱えている課題を解決する、高いスキルと責任感が求められる職種ほど、平均年収が高くなる傾向にあるといえるでしょう。
年収の高いエンジニアの共通点
ここからは、高収入のエンジニアに共通する特徴を4つ紹介します。
単純な能力だけではなく、市場に求められるエンジニアとして必要な考え方や姿勢についても解説していますので、自分にも当てはまるものがあるか考えながらご覧ください。
専門的な知識を持っている
エンジニアのような専門職では当たり前ですが、高収入を得るためには豊富な経験に伴う高い専門性やスキルを持っていることが条件となります。SIerやSESなどでは資格取得が年収増加に紐づいていることも多々あります。
先程紹介した平均年収の高い職種である「プロジェクトマネージャー」を例に挙げると、まずはプレイヤーとして自らに十分なスキルと専門性がなければ、タスクやメンバーの進捗を管理することは難しいでしょう。
QCD(Quality:品質・Cost:費用・Delivery:納期)の管理が求められるため、経験や視座も欠かせません。
また、自分の得意分野や専門分野だけを突き詰めるのではなく、関連する幅広い分野についても精通していると、より重宝されます。
顧客の業界事情を汲むことができたり、さまざまな分野から幅広い目線で提案できたりする対応領域の広さは、エンジニアとして代えがたい大きな強みになります。
問題解決能力が高い
全ての業界・業種に共通することではありますが、トラブルは最も恐ろしいものであると同時に、避けては通れない道でもあります。
専門性を売りにするエンジニアは、トラブル発生時の解決能力が特に重要視されやすく、豊富な経験によって裏付けされた判断力や、最善の策を講じることができる危機管理能力を発揮するチャンスにもなります。
トラブルによりサービスが停止すると売上や契約にも関わってきます。迅速な復旧はもちろん、再発防止策を提案することも求められます。
また、トラブルはサーバーやシステムに留まらず時には人間関係でも発生します。エンジニアとして仕事に向き合うことはもちろんですが、それを取り巻く人々を上手に巻き込みながら問題を解決できる能力は高く評価されるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
エンジニアはひたすらシステムやパソコン周辺機器と向き合っているイメージが根強いですが、だからこそ非ITエンジニアに対してもわかりやすく説明し、理解してもらい、協力してもらうコミュニケーション能力の高さが重視される職種でもあります。
プロジェクトは一人の優秀なエンジニアに委ねられるのではなく、顧客やチームメンバーと一丸になって進めていくものです。
経営層や事業責任者のやりたいことが、合理的でない場合もあります。相手の立場を尊重しつつ、議論を重ねながら落とし所を探っていくコミュニケーション能力や対人影響力が不可欠です。
仕様書や報告書を作成する際には、理解しやすい内容にしたり、相手の意見を受け止め、自分の意見をわかりやすく伝える工夫をしたりするなど、上手に周りと協力しながらスムーズに仕事を進められる人が評価されます。
向上心がある
優秀なエンジニアは仕事中だけではなく、自分の時間を割いて新しい情報を取り入れる努力を惜しみません。
全ての業界情報を網羅することは難しいですが、将来事業で求められる技術や知識、スキルはどのようなものかということにたいし、今できることは何かを見極め、自らをアップデートし続ける必要があります。
こうして身につけた知識や技術を社内に広めていくことで、技術力の底上げを期待されています。常に最前線で活躍している人は、現状に満足せず、貪欲に高みを目指し続けていると言えるでしょう。
エンジニアが年収アップを目指すには
高い年収を得るためにはそれに見合う経験とスキルが必須ですが、一朝一夕で身に付くものではありません。現役のエンジニアがここから年収をアップさせるためには、具体的にどのような施策があるのでしょうか。
ここからはエンジニアとして長く活躍していくために、今できる年収アップの近道について紹介します。自分に合った施策を見つけ、ぜひ年収アップを目指して実践してください。
スキルを身につける
せっかくの専門知識や高いスキルも、市場や顧客に求められなければ宝の持ち腐れになってしまいます。ニーズに合ったスキルを身につければ重宝され、年収アップの道も拓けます。
例えば、需要が高いプログラミング言語を習得し、それを用いた実務経験を積むことができれば、企業への大きな強みになります。ただし、机上で学習しただけでは訴求力が弱いことに注意が必要です。
市場や顧客のニーズを先回りして、今後求められるスキルを身につけておくことが、賢く年収アップするために必要といえそうです。
こちらの「Javaの将来性は今でも高い?Javaエンジニアに必要なスキルも紹介」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「COBOL」については
こちらの「COBOLの将来性は? 特徴や今後エンジニアが身につけるべき知識を紹介」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「PHP」については
こちらの「PHPの将来性はある?現在のPHPエンジニアのニーズを詳しく解説!」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
▼言語「Python」については
こちらの「Pythonの将来性は高い?メリットやできることも合わせて解説!」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
上流工程を目指す
現在エンジニアとして活躍している人は、今のうちにシステムの設計や要件定義など、少しでも上流の工程を経験しておきましょう。
局所的な開発だけでなく、開発プロジェクト全体の流れを把握することは、リーダーやマネージャーなどプロジェクトの要となる高年収の職種には必須の技能です。
職種を変える
Webサービスエンジニアやプログラマなどのプレイヤーを現職とする方は、上位職種へのキャリアップを目指しましょう。
アプリ領域で活躍している場合は、管理職であるプロジェクトマネージャー、IT技術を活用して企業課題を解決するITコンサルティングは年収が高い傾向にあります。
また、外部からの攻撃からシステムを守るセキュリティエンジニアの需要も高まっています。現在オンプレミスのインフラエンジニアであれば、クラウドサービスの設計や運用を行うクラウドエンジニアへのキャリアップも視野に入れましょう。
職種を変えるおすすめのタイミングは、現職で近い職種の業務経験を経て転職したあとです。転職のタイミングでの職種変更は未経験と見なされ、逆に年収が下がってしまうケースもありますので注意してください。
こちらの「プロジェクトマネージャーに転職するには? 向いている人や将来性を解説」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
資格を取得する
エンジニアは経験とスキルが重要視されるため、経歴があれば資格の有無は問われないことは多いですが、保有していることで転職時に有利になるケースもあるでしょう。
TOEICのような一般的な検定からデータベースに関する専門性を問うものまで、求められる資格は多くあります。
フリーランスになる
ある程度企業に勤めて経験とスキルを積んだら、フリーランスとしての独立を視野に入れる方もいるでしょう。
企業勤めと違い、案件を取得するための営業活動や経費管理などのタスクは増えますが、フリーランスと顧客をマッチングさせる仕事紹介サービスや、フリーランスエージェントも多数あります。
軌道に乗り、安定するまでは時間がかかるため、ある程度の資金力があり、自らの経験とスキルに自信がある人におすすめです。
フリーランスエンジニアついては「フリーランスエンジニアで成功できる? 必要な素質やメリット・デメリット」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
転職する
現在勤めている企業の給与に不満がある場合は、別の企業への転職を検討してみるのも一つの手です。
近年の急速なITの普及によって業界は慢性的な人手不足であり、需要の高い優秀なエンジニアを確保するために、高給を提示する企業も少なくありません。
相応の評価を得られる人材であれば、転職を機に大幅な年収アップが期待できます。
エンジニア転職のエージェントについては「エンジニア転職におすすめの転職エージェントと転職サイトを紹介」でも詳しく解説していますのでぜひ、参考ください。
エンジニアの年収アップにおすすめな資格
最後に、エンジニアの年収アップに繋がるおすすめの資格を紹介します。目指すキャリアに合わせて取得しておきたい資格について、ぜひ参考にしてください。
TOEIC
英語力を示す資格であるTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)は、IT業界に留まらず一般的に知名度の高い検定試験です。
一見、エンジニアに英語力は不要と思われるかもしれませんが、プログラミング言語の仕様書は英語で書かれていることが多いほか、グローバル企業に就職すれば英語でのマネジメントを求められる機会も少なくありません。
また、英語力があればフリーランスになっても海外の案件を請けることができます。国や言語を超えて活躍できるエンジニアにとって、TOEICは取得しておいて損はない資格と言えるでしょう。
オラクルマスター
オラクルマスター(ORACLE MASTER)とは、オラクル社が実施しているデータベースの資格です。難易度は「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」の4つに分かれており、受験資格はそれぞれ異なります。
データベースと聞くとインフラ領域のエンジニアの専門資格と思われがちですが、データベースの基礎知識やSQLの作成は他領域のプロジェクトでも頻出します。
オラクルマスターは資格取得の過程でSQLから設計や運用の内容まで勉強することになるので、データベースの知識を身につけたい人にはおすすめの資格です。
マイクロソフト認定プロフェッショナル (MCP)
マイクロソフト認定プロフェッショナル(MCP)とは、マイクロソフト製品に対する知識とスキルを示す資格です。
主に「MTA」「MCSA」「MCSE」の3つに分かれ、証明する技能ごとにさまざまな種類があります。
認知度が高く重要視されやすい資格であり、近年では資格取得者数を企業情報に掲載する企業も少なくありません。エンジニアとしての業務経験に沿った認定に合格することで、学習意欲の高さはもちろん経験を裏付ける目安になります。
まとめ
昨今の人手不足で需要の高まりつつあるエンジニアは、多くの職種で日本人の平均年収を超える収入を得られる傾向です。
専門性の高いエンジニアは、実績や経験を積むことで年収アップに期待できます。十分なスキルがあれば、フリーランスに転身したり、マネジメント職へキャリアアップしたりと、さらなる年収アップに挑戦するのもよいでしょう。
よくある質問
エンジニアの年収はどれくらいですか?
同じエンジニアであっても勤務形態によって年収は異なりますが、平均は489万円です。国税庁の調査による日本人の平均年収441万円を超えており、エンジニアは比較的高い年収を得ているといえます。平均年収の詳細は「エンジニアの平均年収・相場」で説明しているので確認ください。
年収の高いエンジニアの共通点を教えてください。
優秀なエンジニアは「専門的な知識」「問題解決能力」「コミュニケーション能力」「向上心」が優れている方が多いです。詳細は「年収の高いエンジニアの共通点」で説明しているので確認ください。
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